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2023/10/27最終更新⽇時
2025/06/12貸地・借地・底地って何?違いを徹底整理して基礎から理解
- 底地・借地

Contents

こんな悩みはありませんか?
「底地と借地って何?どう違うの?」
「貸地と借地は同じ?」
「底地」に「借地」、さらには「貸地」まで、土地に対して使う言葉が多くて分かりづらいですよね。
今回の記事は、そんな土地に対する知識があまりない初心者の方にも分かるようにその3つをまとめました。
「底地」とは?特徴とメリットを解説
まず、土地に家を建てるには土地の使用権が必要です。
自分が所有している土地に自分の建物を建てるのであれば、土地の使用にとくに問題ありません。
しかし、他人の土地の上に建物を建てる際は、土地の所有者と賃貸借契約を結ばなければなりません。
その際に賃貸借契約を結んで、他人に貸す土地のことを「底地(そこち)」と呼びます。
ですので、「底地」とは賃借権がついている土地のことを指すのです。
※賃借権・・・賃貸借契約に基づく賃借人(居住者)の権利のこと
また、底地を所有する権利を「底地権」、底地を所有している人を「底地人」と言うので合わせた覚えておきましょう。
底地権の特徴
底地権は、地代を借地人からもらったり、借地人の承諾なく自由に土地を売却したりする権利を持っています。
しかし、土地を使用する権利はありません。
なぜなら、土地の使用権は借地人が持っているからです。
一度借地人に貸した土地(借地)を地主が取り戻すことは、正当な事由がない限り難しいでしょう。
地主が土地を取り戻すには、まず「借地人が土地の使用を必要とする理由」と、「地主が土地の使用を必要とする理由」を比較して、相対的に必要性が高い方が最終的に選ばれます。
底地を所有するメリット
賃貸収入が得られる
不動産(土地を含む)は所有するだけでも、毎年固定資産税評価額の1.4%の固定資産税に加えて、0.3%の都市計画税が課されます。
しかし、所有している底地を他人に貸すと、建物を所有している人から賃料を得られます。
収益には毎月の賃料の他にも、物件を貸す際の礼金や契約期間の定めがある場合の契約更新料なども得られます。
地主自身が土地を利用していないのであれば、他人に貸すことで収益を得られるため、資産の有効活用が可能です。
固定資産税を抑えられる
底地は更地と比較すると、固定資産税が安く抑えられます。
固定資産税は毎年納付しなければなりません。
その納付額は土地の用途に応じて変わります。
ただし、具体的な税率は自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
土地を所有していると毎年ある程度のまとまった額の税金を払わなければいけません。
しかし、底地であれば賃料を得られることに加えて税金も抑えられるため、家計の負担を多少は抑えられそうですよね。
管理しやすい
底地はマンションのように維持費や初期費用をほぼかける必要がありません。
なぜなら底地に建つ建物自体は借地人の所有物であるからです。
そのため、修繕費なども含めて維持費や原状回復にかかる費用も負担しなくて良いのです。
また、土地の管理やその費用もすべて借地人に任せられます。
建物の管理よりもかなり工数が減り、契約後は楽に賃料を得られることが期待できます。
「借地」とは?特徴とメリットを解説
よく似た言葉に「借地(しゃくち)」がありますが、これは底地とは別物です。
借地とは、建物所有者からして借りている土地のことを指します。
底地と同様に、借地を所有する権利を「借地権」、借地を所有している人を「借地人」と言います。
より簡単に言うならば、「底地」は土地を貸す側が使用する言葉であり、「借地」は土地を借りる側が使用する言葉となります。
借地権の特徴
- 土地の権利を持つのは地主
- 地主に対して地代(賃料)を払う
- 借地に建てた建物を無断で売却できない
- 建て替えは事前に地主へ相談しなければならない
- 契約期間が満了すると、更地にして地主に土地を返還する
借地権のメリット
- 土地に関する税金を払わなくてもよい
土地を購入するとその土地の所有権を得られ、自分の財産として自由に使用できます。
つまり、地主となるということです。
しかし、そうなると地主として固定資産税や都市計画税等各種租税公課を払わなければなりません。
それに対し、借地権はあくまでも土地を使用する権利ですので、土地の所有権は持っていません。
そのため、固定資産税や都市計画税を支払わなくて良いのです。
- 購入するよりも安い
借地権付きの建物はかなり安い費用で購入できます。
場所にもよりますが、土地代の購入費が通常の購入よりも6〜8割前後まで安くなります。
さらに、賃借権は毎月の支出が安定するため支払い計画も立てやすいでしょう。
- 法律によって保護される
建物の所有を目的として土地を借りると、旧借地法や借地借家法によってある程度保護されます。
「賃貸」と聞くと借り手の方が弱い立場だと感じてしまいますが、借地権については借り手に対しても手厚い保護がなされているのです。
「定期借地権」でもなければ、借り手が望むと契約は原則更新されることになっています。
もし何らかの事情で地主から立ち退きを要求されても、前述したようにそれには正当事由が必要です。
また、正当事由は簡単に認められるものではないため、安心して借り続けられるでしょう。
貸地とは?借地との違いを解説
底地、借地に加えて「貸地(かしち)」という言葉もあることをご存知ですか?
貸地も他の2つの言葉と明確に分けられます。
実は「底地」「借地」と呼ぶのは、地主の土地上に借地人の建物が建っているときだけなのです。
貸地とは
駐車場や畑など建物がなく、土地自体の利用目的で貸し借りしている場合は「貸地」と言います。
この場合、底地権・借地権は発生しません。
また、土地や建物が地主のもので家のみを借りている場合も底地・借地とは言いません。
では、以下で貸地と借地における違いを解説していきます。
法律の違い
貸地と借地権では適用される法律も異なります。
貸地は民法、借地権は借地借家法の制限を受けます。
地主の立場で言うと、貸地は比較的土地がいつでも自分の手元に戻る権利です。
しかし、借地権は正当な事由がない限り取り戻せないため、かなり法の強制力が違います。
どのくらいかと言いますと、生涯の長い間土地の使用権を他人に譲り渡すくらいです。
契約形態
契約形態での違いは、貸地は「借地借家法によらない土地賃貸借契約」となり、借地権では「借地権設定契約」となります。
まず、借地権設定契約は
「普通借地権設定契約」
「定期借地権設定契約」
「事業用定期借地権設定契約」
の3つに分かれます。
それぞれ借地契約の最低期間が定められており、それより短い契約期間を設定しても無効となります。
- 普通借地権設定契約の場合
- 契約期間:原則最低30年間
- 更新後の契約期間:1回目の更新では20年、2回目の更新では10年
※当事者の合意によってこれより長く設定可能ですが、逆にこれより短くすると無効になります。
- 定期借地権設定契約
- 契約期間:50年以上
- 契約の更新:なし
※契約期間が満了すると土地を返還してもらえます。
- 事業用定期借地権契約の場合
- 契約期間:10年以上50年以下
- 契約の更新:なし
※期間が満了すると土地を更地にして返還してもらえます。
- 契約方法は公正証書によって行う
次に、借地借家法によらない土地賃貸借契約の契約期間は、民法によって契約期間は20年を超えられません。
しかし、合意によって更新はできます。
借主の立場だと「借地権」の方が権利上強くなります。
しかし、地主の立場だと「借地権」は半永久的に土地の使用権を譲り渡すくらいの強制力です。
また、借地人が死亡すると「借地権」は相続財産として扱われます。
賃料の違い
そのため、貸地と借地権では賃料の設定が大きく異なります。
貸地は、土地の面積に応じて駐車場代相当額の地代が賃料となります。
一方借地権では、地主へ権利金と月々の地代の両方を支払わなければなりません。
権利金は土地価格の6〜9割ほどの金額が相場です。
2つの借地権について解説。旧法と新法の違いは?
借地権には2種類あります。
それは、旧法の「借地法」と新法の「借地借家法」です。
借地法(旧法)
1992年8月より前から土地を借りている場合は、旧法の「借地法」が適用されます。
契約期限は定められていますが、更新することでほぼ永久的に借りられます。
木造などの場合は存続期間は20〜30年、更新後の期間は20年となります。
また、S造・RC造は存続期間は30〜60年、更新後の期間は30年です。
現在は旧法の借地法に該当することが多いようです。
借地借家法
1992年8月以降から借り始めた場合は、「借地借家法」が適用されます。
借地借家法は以下の5種類に分かれています。
- 普通借地権
- 契約期限が定まっている
- 更新するとほぼ永久的に借りられる
- 存続期間は構造に関係なく初めは30年〜
- 合意の上の更新なら1回目は20年、以降は10年
- 定期借地権(一般定期借地権)
- 定期借地権付きの一戸建て・マンションに住宅用として土地を賃借
- 契約期間:50年〜
- 契約更新:なし
- 契約終了後:更地にして返還
- 事業用定期借地権
- 事業用(店舗や商業施設など)で土地を借りる場合に限る
- 契約期間:10年〜49年
※2008年1月1日の法改正以前は10年〜20年
- 契約終了後:更地にして返還
- 建物譲渡特約付借地権
- 契約から土地所有者が建物を相当の対価で買い取る決まりが課せられる
- 契約期間:30年〜
- 一時使用目的の借地権
工事の仮設事務所やプレハブ倉庫などで一時的に土地を借りる場合
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「底地」と「借地」について初心者の方向けに解説しました。
底地と借地の使い分けは、土地を貸す人から見た視点なのか、土地を借りる人から見た視点なのかによって異なります。
用語のまとめ
底地→地主が他人に貸している土地
借地→自分が地主から借りている土地
貸地→建物がなく、土地自体を利用する目的で貸し借りしている土地
また、借地権には旧法の「借地法」と新法の「借地借家法」があります。
両者は土地を借りた日が1992年8月より以前か以降かによってどちらの方に適用されるのか変わります。
借地借家法には5つの種類があるため、借りている土地がどれに当たるのか確認しておきましょう。
借地借家法の種類
- 普通借地権
- 定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付借地権
- 一時使用目的の借地権
土地を貸す側も借りる側もトラブルを避けるために、貸す側と借りる側両方の法や契約を知っておかなければなりません。
底地や借地について分からなくなれば、ぜひこの記事をまた参考にしてください。