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2025/07/14借地権の境界線トラブルに要注意!確認方法と対処法をわかりやすく解説
- 底地・借地

借地権の契約期間は通常数十年単位に及び、更新を続けると世代を超えて契約関係が続くことも珍しくありません。この長い期間の中で、いつの間にか境界線が不明瞭になったり、知らぬ間に越境によるトラブルが発生したりすることも十分に考えられます。
この記事では、意外と複雑な境界線の定義をひも解きます。越境トラブルが起こる原因やその確認方法、未然に防ぐポイント、そして実際にトラブルになった際の解決手段まで、詳しく解説していきます。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
借地権の境界線とは

借地権の境界線問題が発生する背景には、契約期間の長さ以外にも「境界線」の種類が複数存在することがあります。
まずは土地に関する「境界線」の定義と、土地の利用において境界線を定める必要性について解説します。
借地権以外の境界線の種類
大半の人が、「境界線=固定の1つのみ」と思っているのではないでしょうか。しかし実際には、境界線には複数の種類があり、それぞれで範囲や変更の可否が異なる点が、境界線問題を複雑にする要因となっています。
主なものだけでも、境界線には以下の4種類が存在します。
| 筆界 | 登記簿上で定められた公的な境界。原則として変更できず、法務局が管理している。 |
| 所有権界 | 土地の所有者同士の合意で決まる境界。話し合いによって変更できる。 |
| 借地権界 | 借地人が使う範囲を地主と借地人の合意で決める境界。合意があれば変更できる。 |
| 地上権界 | 地上権を設定した範囲の境界。地権者同士の合意で変更可能。 |
このほか、権利関係者の合意を前提としない「占有界」もあります。例えば、隣地の人が長年にわたり一部の土地を使用しているようなケースでは、その利用実態に応じて生じた境界線が占有界にあたります。占有界は正式な境界線ではないものの、長期間にわたって継続すると、時効取得により権利として認められる可能性があります。
借地権における境界線の重要性
通常使用する分にはあまり意識されない土地の境界線ですが、曖昧なまま放置すると、土地利用に関する思わぬリスクが生じます。
まず、境界線が明確でない不動産はリスクを伴うため、資産価値が大きく下がり、売却や担保に出す際には不利な条件を強いられることになります。
また、建物や塀を建てる際に土地面積が正確に把握できず、希望通りの建設ができなかったり、実際の境界と異なっていたことで建築許可が下りなかったりすることも考えられます。
さらに、境界や面積に対する認識の違いがある場合、賃貸借契約そのものが無効となるリスクも否定できません。
不動産売買でよくあるトラブル事例と解決法
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借地権の境界線が曖昧な理由
さまざまな理由から、土地の境界線を明確にしておくことは重要です。しかし、契約期間が長期にわたる借地権では、途中で境界線が不明確になる原因がいくつか考えられます。
主な原因は以下のとおりです。
| 筆界と所有権界との相違 | 途中の変更などにより、登記上の公的境界(筆界)と実際の所有権境界(所有権界)とが異なってしまう |
| 建設工事中のアクシデント・誤った設置 | 工事中に境界標が破損・移動・撤去されたり、誤った位置に境界標や塀が設置されたりして、境界線がわからなくなる |
| 災害による境界標の消失 | 地震や台風などの自然災害により、境界標が失われてしまう |
| 隣人の意図的な行動 | 隣人が悪意を持って、境界標を故意に移動または破壊してしまう |
| 登記と現況のズレ | 登記記録と、実際の土地利用状況とが一致していない |
| 契約内容の不明確さ | 借地契約の内容が曖昧で、境界について明確に定められていない |
| 古い借地の慣習 | 昔の借地契約や地域の慣習により、境界が不明確なまま放置されている |
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境界線越境トラブルの原因

借地権の境界線は、塀や柵などで明確に仕切られているとは限りません。また、仕切られている場合でも空中や地中などの目印が及ばない範囲も含め、さまざまな越境トラブルが起こりやすくなります。
ここでは、越境問題が起こりやすい主な原因について3つ紹介します。
建物の一部
まず想定されるのが、建物の一部が境界を越えてしまうケースです。
建築時の測量や設計ミス、あるいは増改築の際の確認不足などにより、庇(ひさし)や雨どい、出窓などが隣地の空間にはみ出してしまうことがあります。
こうした越境は気付いたとしてもすぐに解消できるとは限らず、隣地所有者との調整や構造の修正が必要になるため、問題が大きくなるおそれがあります。
関連記事:境界線付近の建築の制限/きょうかいせんふきんのけんちくのせいげんとは
樹木や塀
樹木や塀は、越境トラブルの典型例です。枝や根が隣地に伸びてしまったり、ブロック塀やフェンスが境界を越えて設置されていたりすることは、日常的に起こり得ます。
特に古い借地や境界標が不明確な土地では、こうした問題が発生しやすい傾向がありますが、話し合いさえまとまれば、解消は比較的容易です。
地中埋設物
見落とされがちなのが、地中の埋設物による越境です。上下水道管やガス管、地中杭などが知らないうちに隣地の地下まで入り込んでいる場合には、発見までに時間がかかる上に撤去も難しくなります。
借地の場合、もともと境界線が法的に定められているものではないことに加えて、設計図書に記載されていない古い埋設物や私道の私設管などが存在する可能性もあり、所有権土地よりも越境リスクが高いといえます。
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越境物・埋設物の確認と対処法

越境物や地中埋設物は、土地利用や取引の場面で思わぬ問題につながる可能性があるため、適切な確認と対処の流れを押さえておくことが重要です。
ここでは、越境物や埋設物の確認方法と、見つかったときの対応の流れについて解説します。
越境物・埋設物を確認するには
越境物や地中埋設物の有無を確認するには、地上・地下それぞれに適した方法があります。以下に主な確認方法をまとめました。
| 確認対象 | 主な確認方法 |
| 地上 | ・境界標や杭の設置状況を現地で確認する ・測量図や登記簿の内容と現地を照合する ・塀や庇、フェンスなどを目視し、必要に応じて写真で記録する ・隣地所有者と立ち会い、相互に確認する ・ドローンやレーザースキャナーを活用する(高所) |
| 地下 | ・既存建物の設計図や竣工図から図面調査を行う ・古地図などから過去の土地利用履歴を調べる地歴調査を行う ・レーダー探査による非破壊調査を行う ・ボーリング調査や試掘調査で直接確認を行う |
特に地中の埋設物については、専門家に調査を依頼するのが確実です。調査の範囲や方法は、現場の状況や目的に応じて選択するとよいでしょう。
越境物・埋設物が見つかったらどう対処する?
越境物や地中埋設物が見つかった場合の対処法は、次のような手順が基本となります。
- 隣地所有者や関係者と協議し、越境物や埋設物の現状や対応方針について話し合う
- 現状維持や撤去猶予などの合意内容は、覚書や合意書として書面に残す
- 撤去や是正が可能な場合は、越境物や埋設物を移設・撤去し、難しい場合は建て替え時や将来の撤去について合意しておく
- 売買時には越境物や埋設物の存在を買主に正確に説明し、合意内容も引き継ぐ
越境物を放置すると、時効取得により土地の一部を失うおそれがあるため、合意内容は必ず書面にしておくことが重要です。また、関係を悪化させてトラブルを大きくしないためにも、現状使用の承認や猶予期間の設定など、必要に応じて柔軟な対応を行う必要があるでしょう。
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境界線トラブル防止のポイント
土地の境界線は日常生活の中では意識されにくいものですが、ひとたび問題が表面化すると、その後の不動産取引や土地活用に深刻な影響を及ぼします。
境界線トラブルを未然に防ぐためには、日常的な管理に加え、関係者との適切な連携や合意形成が欠かせません。以下に、実践しやすい主なポイントをまとめました。
| 境界線・借地範囲の明確化 | ・測量士などに依頼し、現地を確認する ・必要に応じて境界標を設置し、境界確認書や契約書に明記する |
| 契約書や図面の整備・保管 | ・面積・範囲・地番・図面を正確に記載し、関係者間で内容を確認する ・古い契約は見直しを行う |
| 定期的な現地確認 | ・境界標や塀などの移動 ・破損を定期的にチェックする ・異変があれば早期に対応する |
| 工事時の境界標の破損・紛失防止対策 | ・工事前に関係者で立ち会い、確認 ・記録を行う ・境界標をカラースプレーなどで目立たせる |
| 専門家への相談 | ・不明点は土地家屋調査士や司法書士などに相談する ・必要に応じて法的手続きも検討する |
| 関係者とのコミュニケーション | ・地主・借地人・隣地所有者で話し合い、疑問や変更は書面で合意を残す |
| 分筆・登記の整理を検討 | ・複雑な場合は分筆・合筆登記を行い、将来のトラブル防止につなげる |
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借地権の境界線トラブルの解決法

借地権の境界線をめぐるトラブルは、当事者同士の認識の違いや権利関係の複雑さから、解決までに時間や労力を要することが少なくありません。問題が発生した際には、状況に応じて以下のような適切な手段を選択し、解決につなげましょう。
まずは話し合う
いきなり法的手段に出るのではなく、地主・借地人・隣地所有者など関係者同士で協議し、境界や利用範囲について合意を目指しましょう。
合意内容は書面(境界確認書など)で残しておくと、後々のトラブル防止につながります。口頭だけの約束では誤解が生じやすく、また借地権を更新するうちに世代が変わり内容が伝わらない可能性もあるため、必ず書面で記録しておきましょう。
また、早い段階で率直に話し合いを重ねることで、信頼関係の維持も図りやすくなります。
第三者を交えた調停・ADRを利用する
協議だけでは解決が難しい場合は、裁判所の調停や土地家屋調査士会などが運営するADR(裁判外紛争解決手続)を利用する方法があります。
ADRは裁判よりも手続きが簡易で、費用や時間の負担も抑えられる点がメリットです。また、ADRは非公開で手続きが進むため、プライバシーが守られやすい点も特徴です。
第三者である専門家の仲介を受けることで、当事者同士の感情的な対立をやわらげ、合意形成や和解を目指せます。
筆界特定制度を利用する
登記上の「筆界」(公法上の境界)が不明な場合、法務局に申請して「筆界特定制度」を利用できます。筆界特定制度では、登記官が資料や現地調査に基づき、筆界の位置を公的に特定します。
ただし、筆界特定制度は「筆界」のみが対象で、「借地権界」や「所有権界」など私的な境界は対象外です。そのため借地権の範囲そのものを決める手段ではありませんが、底地と隣地の境界が争点の場合などに活用できます。
裁判で争う
話し合いや調停でも解決に至らない場合の最終的な手段が、裁判による解決です。
裁判では、「所有権界」や「借地権界」に関する争いは民事訴訟(所有権確認訴訟など)で扱われ、和解が成立することもあります。一方、「筆界」を確定する必要がある場合は、境界確定訴訟を提起し、裁判所が客観的な資料や現地調査に基づいて筆界を確定します。
裁判には時間や費用がかかるものの、当事者同士の合意が難しい場合には有効な解決策となります。
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まとめ

境界線の問題は、売却や相続、名義変更といった大切な場面で、思わぬ障害となることがあります。現在は問題が起きていなくても、将来のトラブルを防ぐために、一度確認しておくとよいでしょう。
また、境界が曖昧なままでは、不動産の価値が下がったり、手続きが進まなくなったりするリスクも考えられます。少しでも不安や疑問があれば、早めに専門家へ相談することが、解決への近道です。
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