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2023/09/30最終更新⽇時
2023/09/30借地権の費用は高い?借地料や権利金などの詳細を解説
- 底地・借地

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借地権の基本:土地を借りる仕組みと利点
住宅や建物を建てる際に不動産を購入するのが一般的ですが、不動産の活用方法には借地という選択肢もあります。借地とは、地主が所有する土地を借りることで、その土地を自由に利用する権利を得ることを指します。借地権を取得すれば、自分の好きな建物を建てることも可能です。借地権は利用用途が広いため、取得にどの程度の費用がかかるのか気になる方も多いでしょう。今回は、借地権取得時に必要な費用について詳しく解説します。
普通借地権と定期借地権の違いとは
借地権には、主に「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。
普通借地権は、契約期間が終了しても更新が可能です。借地人が契約の更新を希望すれば、大抵の場合は契約が続行されます。地主から契約を解除されることは、特定の条件を除いてほとんどありません。このため、普通借地権は借地人にとって有利ですが、地主が土地を返還してもらえない可能性もあります。
一方、定期借地権は契約期間満了後の更新ができないため、地主は契約終了後に確実に土地を回収できます。定期借地権は、地主にとって有利なため、利用されることが多いです。
借地権取得に必要な費用とは?詳細な内訳と計算方法
借地権を取得する際には、いくつかの費用が発生します。主な費用としては、借地料、権利金、登録免許税、更新料、そして建物の維持費が含まれます。それぞれの費用について、以下で詳しく説明します。
借地料:二つの条件によって変わる相場
借地権を取得する際には「借地料」が発生します。
これは土地の賃料にあたります。
借地料の相場は、借地権の種類(普通借地権か定期借地権か)や建物の用途(居住用か事業用か)によって異なります。
例えば、定期借地権の場合、居住用の建物が建つ借地の借地料は一般的に土地価格の2〜3%ですが、事業用の建物が建つ場合は4〜5%になります。
普通借地権の場合、借地料は定期借地権よりも低くなることが多いです。例えば、住宅用の場合は固定資産税の約3倍、事業用の場合は相続税路線価の約6%になります。これらの水準は、地代としては比較的低いといえるでしょう。
権利金:設定基準と計算方法
借地権を取得する際には、権利金も支払う必要があります。権利金は、借地権を設定するための一時金であり、返還されることはありません。これはアパートの礼金に似たもので、借地の更地価格に借地権割合を掛けた金額が一般的な相場です。借地権割合とは、その土地に対する借地の占める割合を示します。なお、権利金は普通借地権にのみ発生し、定期借地権には適用されません。したがって、普通借地権は定期借地権よりも高額な費用がかかることになります。
登録免許税:詳細と申請手順
借地権を取得すると、登録免許税がかかります。
登録免許税とは、不動産の所有権について登記簿に登記するために支払う税金です。
借地権を取得したときも、登記簿に登記することになるので、登録免許税を支払います。
登録免許税は、金融機関に現金で納めます。
その領収証書を登記申請書に貼付して法務局に提出すれば、納税は完了です。
しかし、登録免許税の金額が30,000円以下の場合は、現金ではなく収入印紙を購入して申請書に貼り付ける方法を取ります。
更新料:取り決めと実務的な注意点
借地権の契約更新にあたって、更新料が発生する場合があります。
その際は更新料を支払います。
そもそも契約の更新は定期借地権ではできず、普通借地権の場合しかできません。
つまり、更新料が必要となるのは普通借地権の場合しかありません。
しかし、実は更新料の支払いは必須ではないのです。
借地人が更新料を支払っているのは、地主との関係を良好に保ち、確実に契約の更新を認めてもらうようにするため、自主的に支払っているのです。
しかし、更新料を支払うことを契約書で明記してある場合や、過去に更新料を支払ったことがある場合には、しっかりと更新料を支払うようにしましょう。
更新料の金額は借地料の5%くらいになるのが一般的ですが、地域によって違いがあります。
借地に住宅を建てる際の追加費用
次に、定期借地権付き住宅を取得した場合の費用を説明します。
借地権では、土地は購入するのではなく、貸借します。
そのため、土地を購入する費用はかからず、建物の建設費だけ支払うことになります。
これは、特に地価が高額な場所に建物を建てたいときにはお得になります。
それは、本来だと高額で買えないような土地も、貸借して利用することができるからです。
借地を利用すると、土地と建物を購入する場合よりも費用を20〜40%も抑えることができます。
そのための費用を支払う際には、住宅ローンが利用できます。
中には、借地権専用の住宅ローンもあるので、住宅ローンを利用したい場合には銀行で相談してみるとよいでしょう。
建物維持費用:長期的なコストの見積もり
借地に住宅などの建物を建てたら、その後は維持費がかかります。
それは、土地部分の所有権はないけれど、建物部分については借地人の所有となるからです。
建物を建ててから年月が経ち、劣化が目立ってきたらリフォームすることがあるかもしれません。
そのための費用などは自己負担になります。
そのほかに、電気やガス、水道などを利用すれば光熱費がかかるので、その費用もかかります。
借地権取得の経済的メリット
ここまで、借地権を取得するための費用について説明してきました。
借地権には借地料や、権利金、登録免許税、更新料に加えて借地に建てた建物の維持費などの費用が必要になります。
それらの費用を支払ってでも借地権を取得するのは、借地権に何らかのメリットがあるからでしょう。
ここでは、借地権のメリットについて紹介していきます。
費用対効果:借地権のコストと節約効果
借地を取得するためにかかる費用は、一般的な不動産を購入するよりも安い場合が多いです。
それは、借地権付きの物件を取得する際には、その土地を購入することはないからです。
普通は土地と建物を購入することになりますが、借地権では建物のみを購入し、土地は貸借するだけです。
このように、最初に土地や建物を取得するための費用が少なくてすむというメリットがあります。
しかし、その代わりに借地を借りた場合は毎月地代を支払うことを忘れてはいけません。
つまり、取得する際にかかる費用は借地の方が安いけれど、結果としていくら支払うことになるのかはその借地に何年間住んでいたのかによって変わってくるのです。
それは、長く住めば住むほど地代の支払い総額が増えていってしまうからです。
税金面の優遇:不動産取得税・都市計画税が免除される
一般的な不動産を購入すると不動産取得税や都市計画税などがかかりますが、借地権の場合はそれらの税金がかかりません。
それは、不動産取得税や都市計画税は土地の所有者に支払いの義務があるからです。
借地では土地を利用するけれど、所有権を手にするわけではありません。
そのため、借地人は不動産取得税や都市計画税を支払う必要がないのです。
しかし、これは借地には何も税金がかからないというわけではありません。
借地の上に建物が建っている場合は、その建物に対してかかる固定資産税を納めなければなりません。
とはいえ、一般的な不動産の場合は不動産取得税も都市計画税も固定資産税も支払わなければならなくなるので、それと比べると借地は税金面で得をしているといえるでしょう。
借地権の全体像と取得に関するまとめ
今回は、借地権を取得した際に支払う費用にはどのような項目があるのかについて説明してきました。
借地権を取得するには、借地料や、権利金、登録免許税、更新料に加えて、借地に建てた建物を維持するための費用がかかります。
定期借地権付き住宅は、一般的な住宅を購入するよりも費用が安い場合が多いです。
それは、借地では土地を購入しないからです。
その代わりに地代を毎月支払うことにはなるけれど、一般的な住宅にかかる固定資産税や都市計画税の支払い負担がありません。
それらをまとめて考えると、借地の方が費用面で得になることがあるのです。
特に、都市部のような土地の価格が高いところでは借地権のメリットが大きくなります。
建物を建設して利用したいけれど費用面が気になるという場合には、借地権の利用も検討してみてください。