自宅を売却しても住み続けたい！リースバックにかかる費用はどれくらい？

記事執筆・監修

エキスパート職 山口智暉

• -資格-

  宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

• -経歴-

  株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
  東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
  株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
  リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

近年は不況や増税が続き、家計にも大きな影響が出ています。夢のマイホームを購入してもローンを払うのがきついと感じたことはありませんか？そんな人のために、今回は「リースバック」という今の家に住み続けながら家を売却してお金を手に入れるという制度を紹介します。

リースバックとは？リースバックに向いている人

リースバックとは、自分が現在住んでいる住宅を不動産会社などのリースバック業者に売却し、その後は自分が賃料を払いながら自分の家に住み続けるというものです。

リースバックして売却した家は不動産業者の所有となりますが、その後条件を満たせば買い戻せる可能性もあります。そのため、「今の家に住み続けたいけど一時的にお金が必要になった」という人にオススメの方法です。また、リースバック後に家を買い戻すこともできます。

リースバックは誰でも利用ができる

リースバックは年齢や職業に関係なく利用ができます。定年を迎えた人や年金をもらっている人など関係ありません。

リースバックに向いている人

リースバックに向いている人は、「今の住まいに愛着があり、手放したくないけどお金が欲しい」という人に向いています。リースバック後は自分の家に住み続けられ、引っ越し費用もかからず、お金も一括で受け取れるので、すぐにお金が必要という人にオススメです。また、近所にも売却したということを知られずに済むので、もう一度家を買い戻したいという人にも向いています。

反対に、今の家に愛着が無く、住む場所も変えたいという人には高く売れる一般的な自宅売却がオススメです。しかし、売却期間までの期間が長くお金に変わるまでは時間がかかってしまうでしょう。

リースバックにかかる費用

リースバックをしたいと思っていても費用がかかるか気になります。ここでは、リースバックにかかる費用にはどんな種類があるのかを紹介します。

査定にはお金はかからない

リースバックを利用する際は、家の売却価格とその後に発生する賃料の査定をします。この時点での費用は一切かからず、無料で査定ができます。

不動産売却時にかかる費用

不動産を売却する際は、「印紙税」「抵当権抹消費用」「譲渡益課税」がかかります。

「印紙税」は、不動産の売却で交わす契約書類に貼らなければならない印紙のことです。価格は100万円円〜500万円の場合だと2,000円、500万円〜1,000万円の場合は10,000円、1,000万円〜5,000万円の場合は20,000円の印紙税がかかります。

住宅ローンを組む際には、土地や建物を金融機関が担保にします。その権利のことを「抵当権」と言います。ローンが残っている場合は、売却と共にローンを一括返済し、抵当権の抹消をします。また、建物や土地などはローンを借りている会社のものでもあります。ローンの返済が終わると自分のものになるので、ローンを返済中の方は、抵当権を抹消しなければなりません。抵当権を抹消するには司法書士に依頼する必要があるため、「抵当権抹消の登録免許税」1,000円と「司法書士手数料」15,000円〜20,000円の費用がかかります。この手続きのかかる費用のことを「抵当権抹消費用」と言います。

「譲渡益課税」とは、リースバックで自宅を売却した際に利益が発生すると支払わなければならない税金です。所得税や住民税、復興特別所得税が含まれています。

譲渡益を計算するには、（家を売った価格）−（土地・建物購入額から減価償却費を控除したもの）−（売却にかかった費用）で計算します。

「売却価格−取得費−譲渡費用＝譲渡所得税」が計算式になります。

しかし、3,000万円控除というものがあり、多くの不動産は譲渡所得が0円になる場合がほとんどです。

賃貸契約時に発生する費用

リースバックを利用する際は、賃貸契約も行います。普通の賃貸同様、「敷金・礼金」

「家賃保証料」「火災保険料」「事務手数料」などがかかってきます。ここでは、リースバックの賃貸部分でかかる費用について紹介します。

敷金・礼金

アパートなどを借りる際は敷金と礼金を求められますが、リースバックでは敷金と礼金が発生しない会社がほとんどです。しかし、なかには敷金礼金を要求されるケースもあります。その場合、家賃の1〜2ヶ月分の家賃を敷金礼金として払わなければなりません。

家賃保証料

家賃保証会社に対して支払う保証料のことをいい、リースバックを利用する際に支払わなければなりません。一度支払えばその後は支払う必要がありません。賃貸の契約を更新する際も一年につき1万円程度の金額です。

火災保険料

火災保険は「建物」と家具などの「家財」の2種類があります。不動産購入時はこの2種類に加入していると思いますが、賃貸の場合は「家財」の火災保険に加入します。「建物」の火災保険は不動産会社が加入するので、火災保険の負担を減らすことができます。

リースバックで発生しない費用

「不動産登記費用」は、所有権の移転のための登録費用です。この費用は、リースバックの会社が負担するため、売主が費用を負担する必要はありません。

「仲介手数料」は仲介した際に発生する費用なので、リースバックでは仲介手数料は発生しません。

「事務手数料」は、仲介したい際に発生する事務手数料です。リースバック業者と直接の取引になるので、事務手数料はかかりません。

1,500万円でリースバックをした際の費用

• 印紙税20,000円
• 抵当権抹消の登録免許税1,000円
• 司法書士の費用20,000円
• 敷金礼金（賃料60,000円と仮定）120,000円
• 保証料60,000円

リースバックを利用すると100,000円ほどの費用がかかりますが、この費用は売却したお金から支払うことが可能です。そのため、現段階で手元にお金が無くてもリースバックを利用することができます。

リースバックをした物件を買い戻すには

リースバックを利用する人の中には一時的にお金が必要なため、資金を得るために家を売却するという人がいます。資金が集まったらもう一度家を買い戻したいという人もいるでしょう。ここでは、一度リースバックで売却した家を買い戻すにはどうしたらいいのかを紹介します。

ある程度の資金を集めたらマイホームを買い戻したいという人も多いと思います。買い戻しを希望する場合は、売却時に「再売買予約権」という契約を必ず交わしましょう。この権利を得ることで、優先的にマイホームを買い戻すことができます。

契約の時点で「再売買予約権」と買い戻し価格を決めないと、買い戻しを申し出ても拒否される場合があるので必ず、契約時に金額を決めておきましょう。

リースバック後の買取価格

リースバックを依頼した不動産会社や投資家が、購入時と売却時にかかる費用と利益を上乗せした金額が買い戻しをする価格になります。

リースバック後の買い取り価格の基準値は、売却価格×1.1〜1.3倍とされています。例えば、1,000万円のマイホームを売却した場合は1,000万円×1.3で1,300万円程度になります。

売却価格よりも買い戻し価格の方が高くなる場合が多いので、金銭的負担は大きくなります。

買い戻す際の住宅ローンについて

買い戻す際、建物によっては1,000 万円以上の大金を用意することになります。買い戻し価格が高いけど、家を買い戻したいという人のために住宅ローンという選択もあります。

住宅ローンの審査が通るかは、買い戻しの価格や年齢、収入によって変わります。そのため、住宅ローンが組めるかどうかは本人次第です。

しかし、1回目に組んだ住宅ローンよりも審査は厳しくなります。とくにメガバンクの場合は、特殊なケースのローン融資は嫌がられる場合が多いです。メガバンクで通らなかった住宅ローンの審査でも、金利が高い銀行だったらローンが通るケースがあります。

不動産の所有権情報は登記簿謄本に記載されているので、リースバックをしたという事実は隠せません。

リースバックの買い戻しができない場合

リースバックでマイホームを買い戻しする際には条件があります。買い戻しでは、リースバックを利用する際に交わした契約を賃貸期間中に守っていないといけません。家賃を2ヶ月〜3ヶ月滞納した場合は買い戻す権利を失ってしまい、また家賃を延滞しているので家から追い出される場合もあります。そのため、リースバック後にマイホームを買い戻しする予定の人は家賃を滞納せず、きちんと期日に支払うようにしましょう。

買い戻すには、強い気持ちが必要

リースバックをした後にマイホームを買い戻すには、精神的にも強くなければなりません。一度売却をした価格よりも高い価格で買い戻すことになるので、再購入する際には「なんで売った価格より高い価格で買わなけらばないのか」「今マイホームに住んでいるからこのままでいいや」という気持ちが出てきてしまいます。そのため、マイホームを買い戻すとなると、精神的に強い気持ちが必要となります。

ここでは、マイホームを買い戻す際の注意点などを紹介しました。買い戻すには、精神的な部分と多くのお金が必要になります。しっかり考えたうえで、リースバックを行うようにしましょう。

まとめ

今回はリースバックとはどのようなものか、費用はどれくらいかかるのか、リースバックをした物件を買い戻すことができるのかについて紹介しました。

リースバックは、家に愛着があるため手放したくない、一時的にお金が必要という人にオススメの売却方法です。また、リースバックで家を売却しても期間内であれば買い戻すことができます。住み慣れた環境や地域を変える必要がないと、労力やストレスがかからず安心して暮らし続けられます。また、売却したことも周囲には気づかれないので人目を気にすることもありません。

リースバックを利用をするとさまざまなメリットを受けることができますが、デメリットもあります。メリット・デメリットを考慮したうえで利用しましょう。

加えて、リースバックを活用する際には事前に自分で自宅の売却価格を調べ、それからリースバックを取り扱っているいくつかの不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。比較をすることで、売却金額が適正であるかを判断しやすくなります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

記事執筆・監修

エキスパート職 山口智暉

• -資格-

  宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士

• -経歴-

  株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
  東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
  株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
  リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける