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投稿⽇時

2024/01/11

最終更新⽇時

2024/01/11

住宅ローン借り過ぎのリスクとリースバック活用術

  • リースバック

今回は、ローンの借りすぎ問題とリースバックについて説明します。ローンをなぜ借りすぎてしまうのか、また家を売りながら同じ家に住み続ける方法を知りたい方におすすめの記事です。

住宅ローンを借りすぎる原因とその影響

なぜ住宅ローンの借入額が増えているのか?

近年、若年世帯の住宅ローンの借入金額が増加しています。

内閣府の調査によると、39歳以下の若者の年収に対する負債残高倍率は、2002年の約2倍から2021年には約3.5倍に増加しています。この傾向は今後も続くと予測されています。

国土交通省の資料によると、2021年の首都圏の住宅価格は2012年と比べ約50%上昇しています。この背景には、駅近の高価格帯マンションの人気や、ウクライナ情勢や円安によるインフレの影響があります。

若年層の住宅ローンの負担増加

一方で、日本人の平均給与は2012年から2021年に約7.5%しか上昇していないため、住宅価格の上昇分を十分にカバーできていない状況が続いています。

このような状況下で、若年世帯の住宅購入が増加しています。その理由として、住宅ローン金利が低水準で推移していることや、親世代の定年退職年齢が引き上げられ、親からの経済的援助を受けやすくなっていることが挙げられます。

しかし、住宅ローン世帯の中でも、特に年収が低い若年世帯の年収倍率が高いことが懸念されています。年収倍率とは、住宅価格を年収で割った値で、1.5倍を超えると返済負担が重くなるとされています。

若年世帯の住宅ローン借りすぎは、将来的な経済的負担や、住宅価格の下落による資産価値減少などのリスクを伴います。そのため、住宅購入を検討する際には、十分な準備と検討が必要です。

住宅価格高騰と収入格差の影響

近年、不動産価格の高騰に伴い、住宅購入のための借入額も増加しています。ただし、融資金額が大きいから悪いというわけではありません。適正な融資額は被保険者の年収や世帯収入・支出に応じて異なりますが、あくまでも目安として捉えることが大切です。

住宅ローンの支払いが困難になるとどうなる?

住宅ローンの滞納はさまざまなリスクを伴います。

住宅ローン滞納のリスクと影響

滞納のリスク

  • 遅延損害金の発生
  • 住宅の競売
  • 強制退去
  • 個人信用情報への登録
  • 連帯保証人の負担
  • 遅延損害金の発生

住宅ローンの支払いが遅れると遅延損害金が発生します。遅延損害金は通常年率15%程度で、金融機関によっては20%に達することもあります。

住宅の競売

住宅ローンの支払いが3ヶ月以上滞納すると、債権者は裁判所に競売を申し立てることができます。競売で住宅が売却され、売却代金が住宅ローン残高を下回ると、差額を自己資金で返済しなければなりません。

強制退去

競売で住宅が売却され、新しい所有者に引き渡されると、強制的に退去させられることがあります。

個人信用情報への登録

住宅ローンの滞納は、個人信用情報機関に登録されます。信用情報に傷がつくことで、新たな借入やクレジットカード利用が難しくなります。

連帯保証人の負担

住宅ローン契約時に連帯保証人を立てている場合、保証人にローン返済が求められることがあります。

ではなぜ住宅ローンが払えなくなるのでしょうか。主な原因を二つ紹介していきます。

住宅ローン返済期間の長さとその負担増

住宅ローンの月々の返済額は、返済期間によって大きく変わります。一般的に返済期間を延長すると月々の返済額は減りますが、利息の支払いも増えて総返済額は増加します。

若い世帯は退職期間がかなり先にあるため返済期間を長くし、月々の返済額を低く設定する傾向にあります。ただし、返済期間が長くなるにつれて利息の支払いが増え、総返済額は減っていきます。

三井住友トラスト・資産に所属しているミライ研究所が行った「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」によると、住宅ローンの返済設定期間35年以上と回答した人は全体平均が19.7%だったのに対して、20代で27.0%、30代では39.5%と高い数値となっています。

返済期間延長のメリットとデメリット

返済期間を長く設定するメリットとしては、毎月の返済額を抑えられる点が挙げられます。しかし、その分だけ利息の支払いが多くなり、総返済額が増えるというデメリットも存在します。また、返済期間が長くなると、金融機関が取り扱っている商品や金利の選択肢が限られるというリスクもあります。

住宅ローンを利用する際には、返済期間の長さによるメリットとデメリットをよく理解したうえで、無理のない返済計画を立てることが大切です。

変動金利を選ぶ際のリスク

住宅ローンの金利には、固定金利と変動金利の二つがあります。固定金利は、契約期間中は金利が変動しないため、返済計画を立てやすいというメリットがあります。一方で、変動金利は、契約期間中に金利が変動する可能性があります。そのため、変動金利を選ぶ場合は、金利が上昇した際に利息を含めた総支払額が増加するリスクがありますのでご注意ください。しかし、実際のところ、変動金利のリスクを十分に理解していない人が多いことが問題となっています。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所が行った調査によると、住宅ローンで変動金利を選んだ人の割合は、20代で64.4%、30代で66.3%と、結果として、若い世帯では他の年齢層に比べてこの割合が高いことが分かりました。

また、内閣府「日本経済2022-2023」によると、「将来の金利上昇により返済額はどの程度増加するのか」「今後の金利上昇による返済額増加への対策」などを把握していないと答えた人は、およそ半数程度いることがわかりました。

変動金利は、契約期間中に金利が変動する可能性があるため、金利上昇のリスクを十分に理解したうえで選ぶことが大切です。しかし実際には、金利上昇時に負担の増加を適切にシミュレーションせずに、月々の支払額を抑えられるという理由だけで変動金利を選ぶ人も一定数います。

そのような人は、金利上昇時にどのように対応したらいいかわからず、負担ばかりが増えてしまい返済困難な状態に陥ってしまう可能性もあります。

住宅ローン負担を軽減する方法:リースバックとは?

持ち家のリースバックとは、持ち家を売却して、その代金で同じ家にそのまま賃貸で住み続けるという金融取引です。

持ち家のリースバックでは、まず持ち家を不動産業者に売却します。その代金で、不動産業者から持ち家を賃貸で借りて、そのまま住み続けることができます。

リースバックには、以下のメリットがあります。

  • ローンの解消や資金調達ができる
  • 老後の資産活用ができる
  • 住宅ローンが不要になる

リースバックには、以下のデメリットがあります。

  • 毎月の賃料を支払う必要がある
  • 家を売却することになる
  • 売却価格が相場より低い場合がある

リースバックを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 毎月の賃料は、ローンの返済額と同等かそれ以上になる可能性がある
  • 家を売却することになるため、売却価格が相場より低くなる可能性がある
  • 解約する場合は、違約金が発生する可能性がある

持ち家のリースバックは、ローンの解消や資金調達、老後の資産活用など、さまざまな目的で利用できる金融取引です。しかし、毎月の賃料を支払う必要があるなどのデメリットもあるため、利用前にしっかりと検討することが大切です。

リースバックとリバースモーゲージの違い

持ち家に住みながら資金を調達する方法として、リースバックとリバースモーゲージがあります。どちらも持ち家を担保に資金を調達することができますが、仕組みやメリット、デメリットには違いがあります。

リースバック

リースバックとは、持ち家を売却した後、その代金を元手に不動産会社から賃貸借契約を結び、そのまま住み続けるという方法です。持ち家の所有権は不動産会社に移転しますが、借り主は賃貸人として、家賃を支払いながら住むことができます。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、持ち家を担保に金融機関から融資を受け、死亡後に家を売却して一括返済するという方法です。持ち家の所有権は借り主が保有し続けることができ、毎月一定額の利息を支払うだけで、住み続けることができます。

リースバックとリバースモーゲージの向き不向き

リースバックは、持ち家の所有権を維持したい、老後に備えて資金を準備したい、まとまった資金を必要としている場合に向いています。一方で、リバースモーゲージは、持ち家の所有権を維持したい、老後に備えて資金を準備したい、毎月の支払いは家賃程度で済ませたい場合に向いています。

どちらが向いているかは、利用者の状況や目的によって異なります。そのため、両者の違いをよく認識したうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

リースバックの契約前の注意点を確認しよう

リースバックの契約を結ぶ際には、契約書の内容をしっかりと確認することが非常に重要です。契約書に記載されている内容が、事前に協議した内容と合致しているか、また自分にとって不利な内容がないか、慎重に確認しましょう。

具体的な確認ポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 不動産の売買金額と決済日
  • 家賃
  • 契約年数
  • 再契約の可否
  • 解約時の手続きや違約金
  • 修繕の責任
  • 権利関係

これらのほかにも希望する条件がある際は、契約書に載せてもらうようにしましょう。口約束のみだと、後々トラブルに発展する可能性があります。

契約書の内容を自分で確認するのが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのもよいでしょう。専門家に依頼すれば、契約書の内容を客観的に判断してもらえます。

リースバックの契約を結ぶ際には、必ず契約書を交わしましょう。契約書は、双方の合意内容を証明する重要な書類です。契約書を交わさずに契約を進めると、トラブルが発生した際に、どちらが正しいのかを判断するのが難しくなります。

まとめ:ローンの借りすぎを防ぐために必要な対策

いかがでしょうか。若年世帯の住宅ローン借り過ぎは、将来的な経済的な負担や、住宅価格の下落による資産価値の減少などのリスクを伴います。そのため、住宅購入を検討する際には、十分な検討と準備が必要であると言えます。

またリースバックは、ローンの解消や資金調達、老後の資産活用など、さまざまな目的で利用できる金融取引です。しかし、毎月の賃料を支払う必要があるなどのデメリットもあるため、利用前にしっかりと検討することが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。