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2025/12/12不動産の買い替え特例とは? 制度の概要や適用条件をわかりやすく解説!
- 不動産の知識

不動産の買い替え特例には多くの条件が定められているため、制度の内容や仕組みを正しく理解できていない方は多いのではないでしょうか。
買い替え特例は、マイホーム売却にかかった税金を先送りできる制度です。制度の内容を理解すれば、マイホームの住み替えのための資金計画を立てやすくなります。
本記事では、不動産の買い替え特例の概要や適用条件、注意点をわかりやすく解説します。居住用財産の3,000万円の控除との違いも紹介しているため、どちらを適用すべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
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- 買い替え特例は税金が控除されるのではなく、売却時の税金を将来へ繰り延べられる制度である
- 売却する不動産と買い替え先の不動産の双方に細かく条件が定められている
- 他の住宅特例との併用ができないため、今後の売却予定を踏まえた判断が欠かせない
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
不動産の買い替え特例とは?

不動産の買い替え特例とは、居住用物件(自宅)を売却するときにかかる所得税の支払いを、次に取得した居住用物件(自宅)を売る時期まで先送りにできる制度です。
本来不動産の売却にかかる所得税は、不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に納税しなければなりません。
買い替え特例が適用されると、この所得税の支払いは、買い替えたマイホームを将来売却する時期まで繰り延べされます。売却した年に税金を用意する必要がないため、その分を住み替え資金として活用しやすくなります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
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不動産の買い替え特例の適用条件をわかりやすく紹介

買い替え特例では、売却する不動産と買い替え先の不動産ごとに適用条件が細かく定められています。
以下でどのような条件が定められているかを確認しましょう。
売却する不動産に関する適用条件
売却する不動産に関する適用条件を6つ紹介します。
日本国内の物件を売却・購入すること
買い替えの特例が適用されるのは、日本国内の物件を売却し、同じく日本国内の物件へ買い替える場合です。海外の不動産を売却した、または海外にある住宅を取得したケースでは対象外となります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
住まなくなった日から3年を迎える年の12月31日までに売却すること
売る予定の住宅にもう住んでいない場合、住まなくなった日から3年を迎える年の12月31日までに売却する必要があります。例えば、2025年12月8日に退去した場合、2028年12月31日までにマイホームを売却しなければなりません。
なお、自宅をすでに取り壊した場合、取り壊した日から1年以内に売却の契約を締結する必要があります。取り壊していない場合と同様、売却期限は住まなくなった日から3年を迎える年の12月31日までです。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
不動産の居住期間・所有期間が10年以上であること
不動産の居住期間と所有期間は、どちらも売却する年の1月1日時点で10年以上(建物・土地両方)である必要があります。
居住期間とは実際にその不動産に住んでいた年数を指し、所有期間とは登記上の取得日から数えた年数のことです。
売却する年がちょうど10年目に該当する場合、その年の1月1日時点ではまだ9年目に該当します。その時点では10年目に達しておらず、買い替え特例の適用対象外となるため注意しましょう。
なお、居住期間は転勤などの都合で途中に空白期間があっても、住んでいた期間の合計が10年以上であれば対象になります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
親族や内縁関係にある人以外への売却であること
買い替え特例は、両親や子ども、配偶者、兄弟姉妹などの親族や内縁関係にある人への売却では適用されません。
法律上の親族とは、6親等内の血族と配偶者の血族である姻族のことです。例えば、祖父母や孫、いとこ、配偶者の父母なども親族の範囲に含まれます。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
売却代金が1億円以下であること
買い替え特例を受けるためには、その不動産の売却代金が1億円以下でなければなりません。
売却代金が1億円以下になるかどうかは、マイホームを売った年の前々年から翌々年までの5年間に分割して売却した金額も含めて判定します。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
他の住宅特例との併用がないこと
買い替え特例は、居住用財産の3,000万円の特別控除や住宅ローン控除など、他の住宅特例との併用が認められていません。
具体的には、マイホームを売った当年・前年・前々年に3,000万円特別控除や譲渡損失の損益通算などの住宅特例を使っている場合、買い替え特例の適用対象外となります。そのため、売却歴がある場合は、どの年にどの特例を使ったかを事前に整理しておく必要があります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
不動産ビギナーさん思ったよりも条件が複雑に設定されているんですね。
山口 智暉条件を満たさないと特例の対象外になるため注意しましょう。
買い替える不動産に関する適用条件
買い替え特例は、新たに購入する不動産にも条件が設けられています。取得時期や買い替え時期など、見落としやすいポイントもあるため事前に確認しておきましょう。
取得時期に応じた期限までに買い替えること
買い替えの特例では、マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間に買い替える必要があります。加えて、買い替えで新たに取得した不動産には、取得時期に応じた期限までに居住しなければなりません。
売却時期に応じた入居の期日は、以下の通りです。
| 新たなマイホームを取得した時期 | 入居期日 |
| 旧マイホームを売った年、もしくはその前年 | 売却した年の翌年12月31日まで |
| 旧マイホームを売った年の翌年 | 取得した年の翌年12月31日まで |
期日を過ぎると資金計画に大きな影響が出る可能性があるため、スケジュールを事前に確認しておきましょう。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
建物の床面積50平方メートル以上、土地の面積500平方メートル以下であること
新たに取得するマイホームは、建物の床面積が50平方メートル以上、土地の面積が500平方メートル以下である必要があります。
床面積は、登記簿に記載されている専有部分の面積を基準に判定される仕組みです。床面積が50平方メートル以下の不動産は、ワンルームマンションなどが中心となります。
土地面積は敷地全体の面積で判定されるため、敷地面積とも呼ばれる場合があります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
買い替え先が中古住宅の場合は基準となる築年数や耐震基準を満たしていること
耐火建築物以外の中古住宅に買い替える場合は、あらかじめ定められている築年数や耐震基準を満たしていることを証明する必要があります。
買い替え特例の適用が認められている中古住宅の要件は、以下の通りです。
- 取得の日以前25年以内に建築された住宅であること
- 一定の耐震基準を満たしている住宅であること
上記2つを満たす必要はなく、いずれか一方を証明できれば買い替え特例の適用対象になります。事前に建築確認書類で建築年月日や耐震情報を確認し、特例が活用できるのかどうかを確認しておきましょう。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
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買い替え特例が適用された場合の税金の計算方法

ここでは、不動産売却で課税される所得税(譲渡所得)の求め方から買い替え特例適用後の税金の扱いを3ステップに分けて解説します。
以下の条件を基に、どのくらいの所得税が次回の売却まで繰り延べされるのかをシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
- 売却価格:4,000万円
- 取得費用:1,000万円
- 取得費用:1,000万円
- 譲渡費用:200万円
- 所有期間:20年(長期譲渡所得)
1.譲渡所得を「売却価額-(取得費用+譲渡費用)」で求める
まずは、売却したマイホームにかかる譲渡所得を以下の計算式で求めましょう。
| 譲渡所得=売却価格-(取得費用+譲渡費用) |
売却価格は「収入金額」とも呼ばれており、土地や建物の売却で受け取った金額のことです。
取得費用は、売却した土地・建物の購入費用や設備費、改良費などを指しています。その土地・建物を購入したときに納めた登録免許税や不動産取得税、集合住宅で借り主を立ち退かせるための立退料なども含まれます。
譲渡費用は、土地・建物の売却にかかった仲介手数料や印紙税、立退料、有利な条件に売却するために支払った違約金などのことです。
今回の条件を計算式に当てはめてみると、以下のようになります。
| 譲渡所得 = 4,000万円 - (1,000万円 + 200万円) = 2,800万円 |
従って、今回の条件での譲渡所得は2,800万円になります。
参考:『国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』
2.譲渡所得税を「譲渡所得×税率」で求める
次は、ステップ1で求めた譲渡所得2,800万円を基に実際の所得税の税額を求めていきます。所得税の税率は、売却した不動産の所有期間(譲渡した年の1月1日時点)に応じて以下の2つに区別されます。
| 譲渡した年の1月1日時点の所有期間 | 区分 | 税率(令和19年までは復興特別所得税2.1%が上乗せされる) |
| 5年以上 | 長期譲渡所得 | 所得税:15% 住民税:5% |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 所得税:30% 住民税:9% |
このように、所有期間が5年を超えているかどうかで適用される税率が異なります。今回の条件では所有期間が20年になっているため、長期譲渡所得で所得税を求めます。
| 2,800万円 × 20.315% = 568万8,200円 |
従って、今回のシミュレーションで売却にかかる所得税は568万8,200円です。
3.所得税は買い替えた不動産の売却時まで繰り延べされる
買い替え特例が適用された場合、ステップ2で求めた所得税は売却した年には支払わず、次に自宅を売却するときまで先延ばしとなります。その際は、今回繰り延べた所得税がまとめて課税される仕組みです。
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不動産の買い替え特例を活用する際の注意点

不動産の買い替え特例を活用する際の注意点を2つ紹介します。
税金が免除されるわけではない
買い替え特例は、売却した年の税金の支払いを将来へ先延ばしできる制度であり、税金そのものがなくなるわけではありません。買い替え先の自宅を将来売却したときには、今回繰り延べた所得税も含めて課税されます。
目先の税負担は軽くなりますが、最終的な税額が減る制度ではない点はあらかじめ理解しておく必要があります。
適用条件が多く設けられている
買い替え特例は、売却する不動産と買い替え先の不動産の双方に、さまざまな条件が設けられています。所有年数や買い替え・入居の時期など確認すべき事項が多くあり、適用可否の判断がしにくい制度です。
条件の見落としがあると特例が適用されないため、売却や購入を進める前に要件を一つずつ整理して確認しておきましょう。
不動産ビギナーさん一時的な先延ばしであり、税負担が軽くなるわけではないんですね。
山口 智暉将来売却予定がある方は、事前に資金計画を立てておきましょう。
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買い替え特例と居住用財産の3,000万円控除はどちらを活用すべき?

自宅売却に関する特例には、買い替え特例の他に、居住用財産の3,000万円控除があります。居住用財産の3,000万円控除とは、居住用物件を売却した際に、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円まで差し引ける制度です。
どちらの特例を適用すべきか迷った場合は、以下の2点を基準に整理してみてください。
- 物件売却によって発生する譲渡所得が3,000万円を超えているか
- 買い替えた物件に長く住む予定があるか
譲渡所得が3,000万円以内であれば、3,000万円控除を使うことで譲渡所得そのものを0にできます。
一方、譲渡所得が3,000万円を超える場合は、3,000万円控除を使っても課税対象が残ります。そのため、税金の支払いを将来へ繰り延べられる買い替え特例の方が資金面で有利になる場合があります。
また、買い替え先の物件に長く住む場合、売却の機会が訪れないため実質的に税負担が発生しません。数年以内に再び売却する可能性が高い場合は、早い段階で税金の支払いが発生するため、3,000万円控除の方が資金面での負担を抑えやすいケースもあります。
このように、譲渡所得の金額と今後の住み替え計画の両方を考慮して判断することで、状況に合った特例を選びやすくなります。
参考:『国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例』
不動産ビギナーさん譲渡所得と次の家にどのくらい住むかで判断が分かれるのですね。
山口 智暉制度の併用は不可となるため、選ぶ制度を慎重に判断しましょう。
【まとめ】
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不動産の買い替え特例の仕組みを押さえて売却の準備を進めよう

不動産の買い替え特例が適用されると、売却した年にまとまった税金を支払わずに済むため、住み替え時の資金計画を立てやすくなるのがメリットです。適用条件が細かく決められているため、判断に迷ったら売却に強い不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら資金計画を立てていきましょう。
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