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2024/06/25固定資産税の計算をエクセルでシミュレーション!土地・家屋の事例解説
- 不動産の知識
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける

住宅など不動産を所有している人は月々の固定資産税の支払いに不安を感じていませんか。不動産購入後に固定資産税の通知がきて金額の大きさに驚く人もいるでしょう。
実は固定資産税はエクセルやスプレッドシートを使用すれば自分で計算できます。あらかじめ税額を計算すれば納税間際に焦らなくてすむので、この記事を読んで固定資産税の計算に慣れておきましょう。
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Contents
固定資産税とは?
まず固定資産税の概要を解説します。固定資産税の種類など基礎知識を学びましょう。
固定資産税の種類とその特徴
固定資産税とは、以下3つの固定資産にかかる税金のことです。
- 土地
- 家屋
- 償却資産
家屋には住宅と店舗、償却資産には事業用の備品(パソコンや車など)が含まれます。償却資産にかかる固定資産税は償却資産税と呼ばれて区別されることが多いです。この記事では土地と家屋にかかる固定資産税について解説します。
固定資産税の納税義務者と計算方法
土地や家屋を所有している人は、毎年必ず固定資産税の支払いが必要です。毎年1月1日現在における固定資産の所有者が市町村に対して納税します。東京都23区内にある固定資産の場合は、東京都に対して都税として支払います。
税額は固定資産の評価額を基に計算されます。土地と家屋それぞれの計算方法については後ほど解説します。
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エクセルで簡単に固定資産税を計算する方法
固定資産税の計算方法は決まっており、エクセルやスプレッドシートで簡単に計算できます。固定資産税の納税通知書が自宅に届く前に金額を知りたい人はエクセルで計算しておきましょう。
固定資産税をエクセルで計算するメリット
エクセルに固定資産税の計算式を保存しておけば、毎年自動的に納税額を計算できます。エクセルをPCにインストールしていない人はスプレッドシートでも代用可能です。固定資産税を計算するために有料ツールを導入する必要はありません。
また、エクセルやスプレッドシートはインターネット上で簡単に共有できます。遠方にいる親戚など関係者間で相談しやすくなるでしょう。過去のデータも管理できるので複数年分の税額の変化をまとめて確認可能です。不動産を複数所有している場合も課税状況を簡単に把握できます。
エクセルでの計算エラーチェックのポイント
固定資産税の計算には軽減措置が関わるため、計算条件が少し複雑です。計算ミスを防ぐために、時々エラーチェックを行うことが大切です。
計算式やシミュレーションの金額は後ほど解説します。
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土地にかかる固定資産税の計算方法
ここからはエクセルで固定資産税を計算する際の計算式を解説します。
まず、固定資産税は以下の式で計算可能です。
固定資産税=土地の固定資産税+建物の固定資産税
ここでは土地の固定資産税の計算方法を解説します。
住宅用地の固定資産税計算方法
住宅の土地部分の固定資産税は以下です。
土地の固定資産税=土地部分の固定資産税評価額×1.4%
固定資産税の税率は1.4%が標準ですが、自治体によっては1.5〜1.6%となる場合もあります。
土地の固定資産税評価額は各自治体が路線価に基づいて決定します。固定資産税路線価の公示価格の70%が土地の固定資産税評価額です。
農地や特殊地の固定資産税の計算方法
住宅が建っている土地には住宅用地の特例が適用され、固定資産税が軽減されます。
- 小規模住宅用地(200㎡まで)の固定資産税評価額は1/6
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分)の固定資産税評価額は1/3
土地の固定資産税の軽減措置には期限がありません。
土地の固定資産税軽減措置を知ろう
農地は住宅より収益性が低いため、土地部分の固定資産税評価額も低くなります。計算式は住宅同様以下です。
土地の固定資産税=土地部分の固定資産税評価額×1.4%
また、固定資産税評価額が30万円未満なら固定資産税はかかりません。
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家屋の固定資産税の計算方法
前述の通り、固定資産税は以下の式で計算可能です。
固定資産税=土地の固定資産税+建物の固定資産税
次は家屋の固定資産税の計算方法を解説します。
住宅の固定資産税計算式
住宅の建物部分の固定資産税は以下です。
建物の固定資産税=建物部分の固定資産税評価額×1.4%
土地部分と同様に税率が1.4%の場合もあれば1.5〜1.6%となる場合もあります。
建物の固定資産税評価額は、建物を建て直す際にかかる費用を基準に計算します。再建築価格の約70%や工事請負契約の50〜70%が目安です。
建物の固定資産税の軽減措置
以下の条件を満たすと建物の固定資産税が2分の1になる軽減措置を受けられます。
- 一戸建ての場合
- 住宅の床面積が50㎡~280㎡である
- 賃貸併用住宅の場合、居住部分が1/2以上を占めている
- マンションの場合
- 3階建て以上
- 耐火構造・準耐火構造住宅
- 一戸あたりの床面積が50㎡以上280㎡以下
土地の軽減措置と違って期間が定められており、新築一戸建ての場合は3年間、新築マンションの場合は5年間です。
さらに、長期優良住宅として認定されている場合は軽減措置が2年間延長となります。新築一戸建ては5年間、新築マンションは7年間軽減措置の対象となります。
軽減措置がなくなると固定資産税の支払額が増えるので気を付けましょう。
住宅のリフォームによる固定資産税の軽減措置
省エネ、耐震、バリアフリー、長期優良住宅化などのリフォームを行うことで、建物部分の固定資産税が半額に減額されます。期間は1年間です。リフォームによる軽減措置には、併用できるものとできないものがある点に注意してください。
店舗併用住宅の固定資産税計算方法
店舗併用住宅の場合、自宅部分の床面積が1/2以上であれば、住宅と同様の軽減措置を受けられます。また、土地においても自宅部分の床面積の割合によって、住宅用地とみなされ、軽減措置を受けることができます。
| 家屋の種類 | 住宅部分の割合 | 率 |
| (1)下の(2)以外の家屋 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
| 1/2以上 | 1.0 | |
| (2)地上5階以上の耐火建築物の家屋 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
| 1/2以上3/4未満 | 0.75 | |
| 3/4以上 | 1.0 |
店舗併用住宅の場合は最低でも総床面積の4分の1以上の住宅部分がなければ住宅用地の特例の対象外です。
店舗の固定資産税の計算方法
店舗の固定資産税は、住宅と異なり軽減措置がありません。小規模住宅用地の軽減措置が適用される住宅と比較すると、固定資産税の金額が6倍となります。
その代わりに、特定の条件に当てはまれば小規模非住宅用地の特例が受けられ、固定資産税が2割減免となります。
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固定資産税シミュレーション:実際の例で計算してみよう
エクセルに固定資産税の計算式を入力した後にセルフチェックできるよう、具体的な例を記載します。住宅の種類や土地の種類に応じたシミュレーションを参考にしてください。
新築一戸建ての固定資産税シミュレーション
新築一戸建て住宅の固定資産税のシミュレーション結果は以下です。
- 土地の固定資産税評価額 3,000万円
- 建物の固定資産税評価額 1,500万円
- 土地の固定資産税額 3,000万円×1.4%×1/6(※1)=7万円
- 建物の固定資産税額 1,500万円×1.4%×1/2(※2)=10万5千円
(※1)小規模住宅用地の住宅1戸につき、200㎡以下の部分は6分の1に減額
(※2)新築一戸建て住宅の軽減措置により、2分の1に減額
上記のように、新築一戸建て住宅の場合は土地で7万円、建物で10万5千円となり、年間合計で約17万5千円の固定資産税がかかります。
中古一戸建ての固定資産税のシミュレーション
上記の例から3年後(長期優良住宅なら5年後)になると固定資産税の建物部分の軽減措置がなくなります。また、建築年数の経過によって建物の価値が減少するため減価補正率を使って固定資産税を計算します。
例えば、築6年の木造の中古一戸建ての場合、減価補正率は0.62なので固定資産税は以下です。
建物の固定資産税額 1,500万円×0.62×1.4%=13万円
上記の新築一戸建ての建物の固定資産税額10万5千円より納税額が増えるので気を付けましょう。
新築マンションの固定資産税のシミュレーション
新築マンションの固定資産税のシミュレーション結果は以下です。
土地の固定資産税評価額 2,500万円
建物の固定資産税評価額 1,300万円
土地の固定資産税額 2,500万円×1.4%×1/6(※1)=5万8千円
建物の固定資産税額 1,300万円×1.4%×1/2(※2)=9万1千円
(※1)小規模住宅用地で住宅1戸につき、200㎡以下の部分は6分の1に減額
(※2)新築マンションの軽減措置により、2分の1に減額
上記のように、新築マンションの場合は土地で5万8千円、建物で9万1千円となり、年間合計で約14万9千円の固定資産税がかかります。
中古マンションの固定資産税のシミュレーション
上記の例から5年後(長期優良住宅なら7年後)になると固定資産税の建物部分の軽減措置がなくなります。また、中古一戸建て同様に建築年数の経過に応じて減価補正率を使用し固定資産税を計算します。
例えば、築8年の非木造の中古マンションの場合、減価補正率は0.7866なので固定資産税は以下です。
建物の固定資産税額 1,300万円×0.7866×1.4%=14万3千円
上記の新築マンションの建物の固定資産税額9万1千円より納税額が増えるので気を付けましょう。
住宅を処分して更地にすると固定資産税は高くなる
住宅を処分して更地にすると、結果として固定資産税は高くなります。住宅用地の特例による軽減制度が受けられないからです。更地の固定資産税のシミュレーション結果は以下です。
土地の固定資産税評価額 3,000万円
土地の固定資産税額 3,000万円×1.4%=42万円
住宅が空き家であっても残しておく方が固定資産税は安くなります。
店舗の固定資産税は住宅より高い
店舗のみの場合は、住宅用地の特例による軽減措置が受けられないため、更地同様に固定資産税が高くなります。
店舗併用住宅の場合は、床面積の割合により固定資産税は変動しますが、住宅のみの場合より固定資産税はやはり高いです。固定資産税を安くしたければ、店舗より住宅部分の床面積を広く確保しましょう。
農地の固定資産税のシミュレーション
所有している農地の固定資産税評価額が100万円の場合の計算式は以下です。
土地の固定資産税額 100万円×1.4%=1万4千円
1万4千円の固定資産税を毎年納める必要があります。
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固定資産税の支払いについて知っておくべきこと
固定資産税をエクセルで計算できたら、最後に支払い時期と決済方法について確認しましょう。
固定資産税の支払いスケジュール
固定資産税は年4回に分けて支払います。東京都は6月、9月、12月、2月ですが、他の自治体では支払い月が異なります。第1期の支払い期限までであれば、1年分一括で支払うことも可能ですが、一括払いによる割引制度はありません。
固定資産税の支払い方法6選
固定資産税の支払い方法は以下6種類あります。
- 現金払い
- 口座振替
- クレジットカード払い
- ペイジー支払い
- スマートフォン決済
- 電子マネー
領収書が必要なら現金払いがオススメです。払い忘れを防ぐなら自動で引き落とせるよう口座振替で支払いましょう。ペイジーやスマートフォン決済であれば自宅で固定資産税の納税が可能です。電子マネー決済の場合、チャージの上限が5万円のものが多いので気を付けてください。
支払い遅延による延滞金について
固定資産税の支払いが1日でも遅れると延滞金がかかります。固定資産税額が大きいと延滞金も高くなるため気を付けましょう。
納付期限日から20日が経過すると、土地と建物を管轄する自治体から督促状が届きます。督促状を無視すると、最終的な納税期限が記載された催告書が内容証明郵便で送付されます。この期限を過ぎると給与などが差し押さえられるので、固定資産税を延滞しないようあらかじめエクセルで税額を計算しておきましょう。
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まとめと固定資産税計算を効果的に活用するためのポイント
固定資産税の計算式は条件によって異なりますが、エクセルやスプレッドシートを活用すれば、自分で計算できます。支払いを忘れないよう固定資産税の金額を把握し、家計の一部として日頃から意識しておきましょう。
住宅のローンや光熱費など他の固定費とバランスを取りながら、上手く家計を管理できると良いですね。
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