リバースモーゲージの罠?5つの理由と対策を解説

「リバースモーゲージ えぐい」
「リバースモーゲージ 罠」
なんて言葉が出てきます。
「リバースモーゲージを利用しようと考えていたが、不安になってきた」という方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、「リバースモーゲージがえぐい」と言われる理由について解説します。
その理由が気になる方はぜひ最後までご覧ください。
リバースモーゲージの基本知識
まず、リバースモーゲージの仕組みについて説明します。
リバースモーゲージとは、最近利用者が増えている住宅ローンの1種です。
自宅などの不動産を担保にして、金融機関から借入が可能です。
契約者が生存中は基本的に利息分のみを支払い、契約者の死亡後にローンを一括返済する仕組みです。
そのため、一般的な住宅ローンに比べ、毎月の返済負担が軽く、資金調達が可能な点が特徴です。
また、自宅を担保にしても契約者の死亡後に売却するため、契約者の存命中はそのまま自宅に住み続けられます。
「まとまった資金が欲しいけれど、家はすぐに手放したくない」という方にオススメの手段です。
実はリバースモーゲージは、住宅ローンが残っていても利用できます。
リバースモーゲージで売却した後にまとまった資金を得ることで、ローンの残債を一括返済できますので、「住宅ローンを返済する資金がない方」こそ利用を検討してみてください。
ここまでで、リバースモーゲージの基本的な仕組みをご理解いただけたでしょうか?
一見メリットが多いリバースモーゲージですが、「えぐい」と言われる理由があります。
実際に利用する前にきちんと実態を理解しておかなければ、損をしてしまうかもしれません。
えぐいと言われているホントウの理由【5つ】
このセクションでは、リバースモーゲージが「えぐい」とされる5つの理由を見ていきましょう。
相続人に借金が残る
リバースモーゲージでは、契約者の死亡後に自宅を売却します。
売却価格がローンの残債を下回ると借金が残り、相続人に返済義務が生じることが「えぐい」と言われています。
(例)契約者である親がリバースモーゲージを利用
- ローン:1,500万円
- 自宅の売却価格:1,000万円
- 残りの借金:500万円
→相続人に500万円の返済義務が生じる
なお、ローンの残債が自宅の売却価格を上回るのは「地価の下落」が影響しています。
リバースモーゲージでは、不動産評価額の中でも「地価」が重要視されます。
契約者の死亡後に自宅を売却するころには、契約当時よりも大幅に建物自体の資産価値が落ちてしまっています。
そのため、建物の価値より土地の価値で判断せざるを得ません。
したがって、以下のような流れが生じます。
- →地価が下落する
- →不動産評価額が下落する
- →地価が下落する前よりも自宅の売却価格が下落する
- →ローンの残債>売却価格となる
この問題を避けるためには、契約時に「ノンリコース型」を選ぶことが重要です。
- リコース型:金利が比較的低く、担保物件の売却後に借金が残った際に返済義務がある
- ノンリコース型:金利が比較的高く、担保物件の売却後に借金が残った際に返済義務がない
- ノンリコース型はリコース型よりも金利が高めですので、よく検討してみてください。
自宅がなくなる
リバースモーゲージで契約者が死亡後、自宅を売却すると自宅の所有権がなくなり、同居人も退去しなければなりません。
「自宅を売却」とは、正確には「自宅とその土地」の両方を売却することを指します。
よって、自宅だけでなく土地の所有権もなくなってしまうことが「えぐい」と言われています。
リバースモーゲージは、高齢者向けのローン商品です。
高齢者がリバースモーゲージで自宅を売却した後、次の住宅が決まらない不安定な状況は避けたいものです。
自宅がなくなることはリバースモーゲージの仕組み上避けられないため、事前に理解し対策を講じれば問題ありません。
契約者がいつ亡くなるかは不明ですが、「〜〜歳になったら引っ越し先を探そう」「病気になったら荷物を整理しよう」といった事前準備が重要です。
毎月の支払いだけが残る
リバースモーゲージを利用すると、金融機関などの契約したローン会社から借入金を受け取れます。
しかし、その借入金を限度額まで使い切り、毎月の利息が残ることが「えぐい」と言われています。
リバースモーゲージは、ローン会社によっては資金の使用用途が自由な場合があり、使いすぎてしまう方も中にはいるでしょう。
これは契約者側の問題ですので、計画性を持って得た資金を利用すれば問題ありません。
ちなみに、リバースモーゲージの借入金の受け取り方には3種類あります。
リバースモーゲージの借入金の受け取り方
年金方式
年金のように一定期間に毎月定額を受け取る方式です。
一定の間隔で一定の金額が入るため、借入金を生活費に使いたい方にオススメです。
一括方式
契約時に借入限度額の借入金を一括で受け取る方式です。
リフォームしたりや高齢者施設に入ったりなど、まとまった資金が必要な方にオススメです。
極度額方式
借入限度額までならば、契約者の必要に応じて自由に借入金を受け取れる方式です。
「今すぐにお金がいる訳じゃないけれど、今後のためにお金を確保したい」という方にオススメです。
「リバースモーゲージで受け取る借入金を何に使いたいのか?」を明確にすることで、どの方式で受け取り、どうやって資金を活用していくのかの計画を立てやすくなるでしょう。
金利が上がってしまう
金利とは、借りたお金に対して上乗せするお金の割合のことです。
一般的な住宅ローンであれば金利は0.5〜1.5%ですが、リバースモーゲージの金利は約3%ほどと高めに設定されることがほとんどです。
リバースモーゲージでは毎月受け取る借入金に対して金利がかかり、その分を利息として毎月支払います。
よって、金利が高ければ高いほど毎月返済しなければならない金額が大きくなってしまうので、金利には注意が必要です。
そして、リバースモーゲージでは多くの場合「変動金利」が導入されています。
よって、毎月の金利が安定せず金利が上がってしまう可能性があることが「えぐい」と言われています。
(例)借入金2,000万円の場合
- 金利が4%の時:年間80万円(=月に約66,000円)の支払い
- 金利が5%の時:年間100万円(=月に約83,000円)の支払い
→金利が5%の時の方が年間20万円(=月に17,000円)支払いが多い
金利が上昇するのには経済の動向が大きく絡んでいます。
- 景気
- 物価
- 為替相場
これらは個人の力では防ぎようがありません。
あらかじめ将来的に金利が上がることを想定して、借入額を減額したり、日々の支出を見直して自己資金に余裕を持たせたりすることが大切です。
不動産評価額が下がると契約者が存命中でも返済が始まる
リバースモーゲージにおいてとくに重要視される不動産評価額が「地価」です。
もし不動産評価額(≒地価)が下落してしまうと、借入限度額が見直され、今借入できる金額よりも少なくなってしまうかもしれません。
不動産評価額が下がる前と下がった後では、以下のような違いがあります。
不動産評価額下がる前
借入限度額≧借入総額
→借入総額が借入限度額を超えていないので、契約者の死亡後にローンを返済
不動産評価額下がった後
借入限度額<借入総額
→借入総額が借入限度額を超えているので、契約者が存命中でもローンの一部を返済しなければならない
「借入限度額=ここまでしかお金を借りられません」ということですので、借入限度額を超えて借入はできません。
よって、限度額を超えて借入てしまうと契約者が存命中でも一部の返済が始まってしまうため「えぐい」と言われています。
地価の下落には社会的動向(人口減少、デフレetc.)が絡んでいますので、数10年先を見越してどれくらい地価が下落するかは予測できません。
よって、どちらかと言うとリバースモーゲージ自体の仕組みと社会的な問題によるものと言えます。
これを防ぐには、借入額を減額したり元々の借入額を低めに設定したりして、借入限度額に対する現在の借入総額に余裕を持たせておきましょう。
えぐい事態を分類!回避するために大事なことは?
さて、ここまででリバースモーゲージにおける5つの「えぐい」についてお伝えしました。
- 相続人に借金が残る
- 自宅がなくなる
- 毎月の支払いだけが残る
- 金利が上がってしまう
- 不動産評価額が下がると契約者が存命中でも返済が始まる
この5つを分類すると以下のようになります。
社会的/経済的な問題 | 仕組み上の問題 | 契約者側の問題 | |
自宅がなくなる | ◯ | ||
毎月の支払いだけが残る | ◯ | ||
金利が上がってしまう | ◯ | ◯ | |
相続人に借金が残る | ◯ | ◯ | △ |
不動産評価額が下がると契約者が存命中でも返済が始まる | ◯ | ◯ | △ |
ちなみに、「相続人に借金が残る」と「不動産評価額が下がると契約者が存命中でも返済が始まる」に関しては、契約者が借入限度額を超えて借入すぎてしまうと相続人に借金が残ったり存命中でも返済が始まる可能性があります。
そのため、契約者側の問題を「△」としています。
これらの5つのえぐい事態を避けるには、
「リバースモーゲージのメリット・デメリットをよく把握&比較する」、
「同居人や相続人などの周りの人、リバースモーゲージを取り扱うプロに相談する」、
この2つが大切です。
リバースモーゲージのメリット・デメリットをよく把握&比較する
実際に契約してしまう前に、どんなメリット・デメリットがあるのかをよく把握して、他の売却方法や資金調達方法と比較するようにしましょう。
生活資金や老後資金を得たいのならば、リバースモーゲージではなくとも「リースバック」や「不動産投資」という方法もあります。
売却したいけれどローンが残っている方には「任意売却」という選択肢もあります。
あなたが今、
「どのような状況で」
「どのような不動産を持ち」
「どんな目的で不動産を売却したいのか」
「得た資金を何に使いたいのか」
によって、利用する方法は変わってきます。
まずはあなたの状況を全体的に整理し、それに合った方法を比較検討してみてください。
同居人や相続人などの周りの人、リバースモーゲージを取り扱うプロに相談する
リバースモーゲージを利用すると、契約者本人だけでなく同居人や相続人にも影響があります。
金利が上がったり借金が残ったりしてから、
「そんなこと知らなかった」
「こうなると思ってなかった」
となってしまうと、周りの人に負担をかけたりトラブルに発展したりしてしまいます。
リバースモーゲージの利用を検討し始めた段階から、早めに周りの人に相談してみてください。
また、リバースモーゲージの仕組みや条件はとても複雑です。
その内容を素人が個人ですべて理解するには時間がかかり、間違った知識を得てしまうかもしれません。
銀行の担当者、ファイナンシャルプランナー、リバースモーゲージを扱ったことのある弁護士などのプロに相談してみてください。
きっと的確なアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ
今回は、「リバースモーゲージがえぐい」と言われる理由を5つ解説しました。
「えぐい」と言われている事態は、実際には仕組み上の問題だけでなく、契約者の使い方次第であったり、社会的/経済的な問題で防ぎようがなかったりすることが分かりました。
今回解説した5つのえぐい事態を避けるには、
リバースモーゲージのメリット・デメリットをよく把握&比較する
同居人や相続人などの周りの人、リバースモーゲージを取り扱うプロに相談する
この2つが大切です。
これをしたからと言って必ず避けられるわけではありませんが、契約前にこの2つをすることで少しでも対策になります。