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2026/03/06年金受給者が自宅売却すると年金は減る?影響と確定申告・注意点を解説
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年金を受給している方の中には、「自宅を売却すると年金が減ってしまうのではないか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。老後の生活資金を確保するために自宅の売却を検討している場合、年金受給額への影響があるのかは非常に気になるポイントです。
結論から言うと、自宅を売却したことが理由で年金の支給額が減ることは基本的にありません。
ただし、不動産売却によって発生する譲渡所得によって、税金や医療保険料、介護保険料などの負担が増える可能性があります。その結果、「手元に残るお金が減った」と感じるケースもあるため注意が必要です。
この記事では、年金受給者が自宅を売却した場合の年金への影響や注意点、確定申告の手続きについて分かりやすく解説します。自宅の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
株式会社MDIにて土地活用の提案営業に従事
東洋プロパティ㈱にて不動産鑑定事務に従事
株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
Contents
年金受給者の自宅売却による年金への影響とは?
年金受給者が自宅を売却すると、年金の支給額が減ってしまうのではないかと不安に感じる方も多いでしょう。しかし、基本的に自宅を売却したことが原因で年金の支給額が減額されることはありません。
例えば、自宅を売却して老人ホームへ入居する場合や、子どもと同居するために住み替える場合でも、売却したこと自体が理由で年金が減ることはないため、過度に心配する必要はありません。
ただし、不動産売却によって発生する所得は税金や社会保険料に影響する可能性があります。そのため、売却後の負担額が増えるケースについては理解しておくことが大切です。
まずは、年金の仕組みを理解するために「老齢年金」の種類と受給額の決まり方について見ていきましょう。なお、自宅を売却した後もそのまま住み続けたい場合は、「リースバック」という不動産活用方法もあります。売却後に賃貸として住み続けられる仕組みのため、老後資金の確保と住まいの維持を両立できる選択肢として注目されています。
老齢年金の種類と受給額の決定要因
年金にはさまざまな種類がありますが、不動産売却との関係でよく話題になるのは「老齢年金」です。
老齢年金には、すべての年金加入者が受け取る「老齢基礎年金」と、会社員など厚生年金に加入していた人が受け取る「老齢厚生年金」があります。
会社員として厚生年金に加入していた人は、この2つの年金を受け取ることができ、自営業者や個人事業主などは基本的に老齢基礎年金のみを受給します。
また、厚生年金には「在職老齢年金」という制度があります。これは60歳以降も働きながら厚生年金に加入している場合に適用される制度です。
老齢年金の受給額は、原則として年金加入期間や納付した保険料などを基に計算されます。そのため、前年度の所得や一時的な収入によって年金額が変動することはありません。
では、なぜ「自宅を売却すると年金が減る」と誤解されることがあるのでしょうか。
その理由の一つが、働きながら年金を受け取る場合に適用される「在職老齢年金制度」です。
年金支給額が減額される減額制度の仕組み
年金制度は、基本的に高齢などの理由で十分に働くことが難しい人の生活を支えるための仕組みです。そのため、一定以上の収入を得ながら働いている人については、年金額が調整される制度があります。
これが「在職老齢年金制度」です。
この制度では、給与などの収入と年金額の合計が一定基準を超えた場合、年金の一部が支給停止されることがあります。そのため、「収入が増えると年金が減る」と認識されることがあります。
しかし、不動産売却によって得られる譲渡所得は、この在職老齢年金の計算対象となる給与収入には含まれません。そのため、自宅を売却したことが理由で年金が減額されることはありません。
自宅を売却しても年金自体は減らないことが分かりましたが、税金や社会保険料などには影響が出る可能性があります。次の項目では、年金受給者が自宅を売却する際に注意すべきポイントについて解説します。
関連記事 : 税金が高すぎて生活できない!活用できる支援策や対処法を紹介
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年金生活者が自宅売却時に注意すべきポイント
年金受給者が自宅を売却する場合、年金の支給額自体が減ることは基本的にありません。しかし、不動産売却によって発生する所得は税金や社会保険料に影響する可能性があります。
ここでは、年金生活者が自宅を売却する際に知っておきたい主な注意点を3つ紹介します。
譲渡所得税と住民税が発生する点
不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合、年金受給者であっても譲渡所得税や住民税が課税されます。年金受給者だからといって税金が免除されるわけではありません。
ただし、売却した不動産がマイホームである場合は「3,000万円の特別控除」を利用できる可能性があります。この特例を適用すると、譲渡所得が3,000万円以内であれば所得税や住民税が発生しないケースもあります。
この特例を利用するためには確定申告が必要です。確定申告を行わない場合、控除が適用されず、本来支払う必要のない税金が発生する可能性があるため注意しましょう。
譲渡所得による後期高齢者医療保険料の増加
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度では、保険料が前年度の所得に応じて決定されます。そのため、自宅売却によって譲渡所得が発生すると、翌年度の医療保険料が上がる可能性があります。
この場合、年金そのものの支給額が減るわけではありませんが、医療保険料の負担が増えることで「手元に残る年金が減った」と感じることがあります。自宅売却によって年金が減ったという誤解は、この仕組みから生まれているケースが多いといえるでしょう。
譲渡所得による介護保険の負担割合増加の可能性
介護保険を利用する際には、原則としてサービス費用の1割を自己負担します。ただし、所得が一定額を超える場合には、負担割合が2割または3割に引き上げられることがあります。
例えば、65歳以上の方で合計所得金額が220万円を超える場合などは、介護サービス利用時の負担割合が最大3割になる可能性があります。
不動産売却によって譲渡所得が発生すると、その年の所得が増えるため、介護保険の負担割合が一時的に上がるケースも考えられます。売却後の社会保険料の変化についても事前に確認しておくと安心です。
以上が、年金受給者が自宅を売却する際に知っておきたい主な注意点です。
なお、不動産売却によって譲渡所得が発生した場合は、年金受給者であっても確定申告が必要になるケースがあります。次の項目では、譲渡所得税の確定申告の手続きについて詳しく解説します。
関連記事 : 不動産売却後の住民税:計算方法と効果的な節税テクニック
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譲渡所得税の確定申告手続き完全ガイド
不動産売却によって譲渡所得が発生した場合、年金受給者であっても確定申告が必要になるケースがあります。一般的な手続きの流れは以下の通りです。
①特例が適用できるか確認する
②譲渡所得を計算する
③確定申告書を作成する
④確定申告書を提出する
ここでは、それぞれの手続きのポイントを解説します。
譲渡所得税額の計算方法
まずは、不動産売却によって発生する譲渡所得の計算方法を確認しておきましょう。
譲渡所得は、次の計算式で求めます。
【譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)】
それぞれの用語の意味は次の通りです。
- 譲渡価額:不動産を売却して得た金額(売却代金)
- 取得費:不動産を購入した際の費用 ※建物部分は減価償却費を差し引いた金額
- 譲渡費用:不動産売却にかかった費用(仲介手数料・測量費・広告費など)
譲渡所得が算出された後、その金額に税率を掛けることで所得税や住民税が計算されます。
また、譲渡所得の税率は所有期間によって異なります。
| 所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 5年超(長期譲渡所得) | 約20.315% |
| 5年以下(短期譲渡所得) | 約39.63% |
※税率には所得税・住民税・復興特別所得税が含まれています。
なお、購入時の書類が残っておらず取得費が不明な場合は、「概算取得費」として 売却価格の5% を取得費として計算することも可能です。
さらに、マイホームを売却した場合は 3,000万円の特別控除 などの特例が適用できる可能性があります。これらの特例を利用できれば、譲渡所得税が大きく軽減されるケースもあります。
確定申告書への記入項目と取得費の計算
確定申告では、不動産売却によって発生した譲渡所得を計算し、以下の書類に記入します。
- 譲渡所得の内訳書
- 確定申告書第三表(分離課税用)
まずは「譲渡価額(売却金額)」と「取得費」を計算します。
譲渡価額は次の計算式で求めます。
【売却価格 + 固定資産税精算金】
固定資産税精算金とは、売却時に買主から受け取る固定資産税の清算分を指します。
次に取得費を計算します。取得費は土地と建物で計算方法が異なります。
取得費の計算方法
【土地】
購入時の価格
【建物】
購入価格 − 減価償却費
建物の取得費を計算する際は、減価償却費を差し引く必要があります。
減価償却費は次の計算式で求めます。
【減価償却費】
建物購入価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
また、不動産購入時に発生した次の費用は取得費に含めることができます。
- 仲介手数料
- 立退料
- 移転費用
- 建物解体費用
- 据付費用 など
これらの費用を正しく計算することで、課税対象となる譲渡所得を算出できます。
確定申告に必要な書類とオンライン申告
不動産売却の確定申告では、主に次の書類が必要になります。
- 確定申告書B
- 申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書
- 不動産売買契約書
- 登記事項証明書
- 領収書(仲介手数料など)
確定申告書は税務署でも取得できますが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用してオンライン申告(e-Tax)を行うことも可能です。オンライン申告では入力した金額が自動計算されるため、手書きで作成するよりも簡単に申告書を作成できます。
確定申告書の提出方法
確定申告書の提出方法は、主に次の3つがあります。
・税務署へ持参する
・郵送する
・e-Tax(オンライン申告)を利用する
確定申告の時期は税務署が非常に混雑するため、自宅で申告できるe-Taxや郵送を利用する方法もおすすめです。なお、年金受給者には「確定申告不要制度」が適用される場合があります。
次の2つの条件を満たす場合は、確定申告が不要となります。
- 公的年金等の収入が400万円以下
- 公的年金以外の所得が20万円以下
ただし、不動産売却による譲渡所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要になるため注意が必要です。
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まとめ
年金受給者が自宅を売却しても、基本的に年金の支給額が減額されることはありません。老齢年金の受給額は、年金加入期間や保険料の納付状況によって決まるため、前年度の所得には左右されない仕組みです。
ただし、不動産売却によって所得が増えると、後期高齢者医療保険料や介護保険の負担が増える可能性があります。また、譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要になるケースもあるため注意が必要です。
マイホームを売却する場合は、「3,000万円の特別控除」などの税制特例が利用できることもあります。制度の内容を確認し、必要に応じて確定申告を行うことで、税負担を抑えられる可能性があります。
不動産売却は税金や制度の理解が重要です。事前に仕組みを把握し、適切に手続きを進めることが大切です。
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-資格-
宅建士、不動産コンサルティングマスター、FP2級、定借プランナーR、認定空き家再生診断士
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-経歴-
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株式会社リアルエステートにて不動産買取再販事業に従事
リースバック、買取再販、借地底地、共有持分、立退き案件を手がける
