アパート経営の費用内訳と資金調達のポイントを解説

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アパート経営に必要な資金を徹底解説
アパート経営を始めるには多様な資金が必要です。どのような資金が必要か、主な内容を以下で詳しく解説します。
不動産取得税の計算方法と支払い時期
土地や建物を購入すると、不動産を取得したことになり、その際にかかる税金を不動産取得税といいます。この不動産取得税は、固定資産税と勘違いされる方も多いですが、固定資産税は不動産を保有している人に課せられる税金を指し、毎年支払う税金です。
不動産取得税は、不動産取得時のみに課される一度きりの税金です。支払いはアパート購入時ではなく、購入後約半年から1年半後に請求されます。自治体より納税通知書が送られてくるので、同封されている納付書で納税手続きを行いましょう。
不動産取得税の金額は、固定資産税評価額に税率を乗じて計算できます。税率は3%です。固定資産税評価額は不動産の価値よりも低い場合が多く、土地は時価の70%、建物は時価の50%〜60%程度が目安となります。
登記費用の種類と相場
登記費用は、アパートの所有者を証明するための登記手続きに必要な費用です。登記費用は、5,000万円のアパートを購入した場合、約30万円〜50万円ほどかかりますよ。
登記費用にはいくつか種類があり、アパートの所有者を証明する保存登記費用、銀行でローンを組んだ場合は抵当権設定登記費用、新築アパートの場合は表示登記費用がかかってきます。
オーナー自身で登記を行うことも可能ですが、書類準備や手続きに多くの手間と時間がかかります。司法書士に依頼をすると代わりに登記登録を行ってくれます。その場合、司法書士依頼料として約10万円前後かかります。
印紙税の金額別一覧と注意点
印紙税は、契約書や領収書などの法的文書に課される税金です。アパート経営によって交わされる契約書に添付する印紙代は、契約する金額によって異なります。
契約金額が500万~1,000万円で印紙税は5,000円、1,000万円~5,000万円で印紙税は1万円、5,000万円~1億円で印紙税は3万円、1億円~5億円で印紙税は6万円かかります。
1万円以上の印紙購入には事前予約が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。
必須の各種保険料とその内訳
アパートを購入したら火災保険、地震保険に加入しましょう。加入することで、万が一火災が発生した時や地震が起きた時にリスクを最小限に抑えられます。
アパートローンを利用する場合、多くの金融機関では火災保険の加入を義務付けています。
火災保険料はアパートの規模や構造にもよりますが、10年契約で約50万円前後です。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯して申し込む必要があります。
アパートローン手数料とその内訳
アパートを購入する際に、大半がローンを組んでアパートを購入します。ローンを組む際には、保証料と事務手数料の2種類の手数料が発生します。保証料は保証会社に対して支払う手数料を指します。
事務手数料はローンを組む際に金融機関に支払う手数料です。事務手数料は定額制と借入額によって変動する定率制があります。定率制の場合、手数料は約3万円前後が目安です。
アパート経営でかかる維持費と具体的な内容
アパートを購入して、経営が始まるとアパート維持費用がかかります。維持費用で主にかかるのが管理費、修繕費、アパートローン返済費、光熱費などです。
アパート購入後は管理会社に委託する場合がほとんどなので、管理費用として管理会社に支払います。管理会社によって費用は異なりますが、毎月家賃の5%程度です。また、建物の共用部分でかかる電気代や水道代の光熱費はオーナーが負担します。
アパートは築年数とともに劣化していくので、修繕やリフォームが必要となるため、修繕費がかかるのです。また約12年ごとに大規模修繕工事が行われ、外壁の塗装や補修、屋上の防水工事などを行います。
入居者が退去した後は原状回復として、クリーニングや消毒、劣化して壊れてしまった設備などの交換が必要です。
これらの修繕費用は、修繕が発生したときに自己資金より支払うよりは、毎月修繕費を積み立てていくほうがオーナーとしても安心です。突発的な修理が必要になっても対応しやすいと言えるでしょう。
これらの維持費用は家賃収入から充てて支払うので、自己資金から支払うことは少ないです。そのため、アパート経営をはじめる前に月々どのくらいの維持費用がかかるのか、必ず計算して把握しておきましょう。
また、維持費用以外にも毎 年支払う税金があります。所得税や固定資産税などがあります。アパート経営の規模が大きくなる場合は、個人事業税が発生しますよ。個人事業税は10室以上の物件を持った場合が対象です。
さらに、課税売上が1,000万円以上かかる場合は消費税が翌々年から課せられます。このような税金もいくらくらいかかるのか把握しておきましょう。
アパート経営で必要な自己資金の目安と準備方法
アパート経営をはじめる際には、ある程度の自己資金を用意しておきましょう。自己資金の目安は、物件価格の1割〜3割程度です。
自己資金が足りない場合は、金融機関からローンを借り入れることになります。ただし、ローンの金額が高いとそれだけ審査基準は厳しいです。また利息も大きくなり、月々の返済金額も増えます。
とくに新築アパートの場合は物件価格が高額になるので、ある程度の自己資金を用意しておかないと購入できない場合があるので注意が必要です。
自己資金を多く用意した方が借入額も少なくすみ、月々の返済額や金利負担も減るので、なるべく自己資金を用意してから、アパート経営をはじめる方がよいでしょう。
アパート経営資金の調達方法を比較解説
アパートローンとは?仕組みと利用条件
アパートを購入する際には、自己資金とローンを組んで物件を購入するパターンがほとんどです。アパートローンは、投資用のアパートやマンションといった不動産の建築や購入をするときにも利用できます。
アパートローンの審査では、物件の収益性や申込者の年収や勤続年数、自己資金などの属性が確認されます。属性が高いほど審査は通りやすいです。
借入額は目安として年収の10倍程度です。それ以上の金額を希望して申し込むと審査に通らない可能性があります。
なお、住宅ローンを使って投資用アパートを購入することはできません。住宅ローンは自分が居住するために物件を購入する際に利用できます。
アパートローンを取り扱っている金融機関はメガバンク・都市銀行、地方銀行、ノンバンク、日本政策金融公庫などが挙げられます。
都 市銀行は、主にメガバンクである東京三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などが挙げられますよ。これらの銀行の金利相場は約1%前後となり、他の銀行に比べ金利は低いです。しかし金利が低い分、ローンを組むための審査基準が厳しいです。
地方銀行は銀行によって金利が大きく異なります。相場は2%〜4%前後です。都市銀行よりも金利は少し高いですが、同じ銀行でもエリアによって金利が異なる場合もあります。
借入金額や返済期間も銀行によってさまざまとなり、銀行によっては本店のある都道府県かその県境に住んでいるか、同エリア内に購入希望物件があるかなどを条件としているところもあります。
審査は都市銀行よりもハードルが低いです。
ノンバンクとは、銀行のように預金の受け入れを行わず、お金を貸すなどの与信業務に特化した金融機関です。銀行に比べ金利は高く3%〜5%台となります。
しかしノンバンクは銀行よりも融資条件が低く設定されているため、銀行では融資が受けられなかった方でも融資が可能な場合もあります。
日本政策金融公庫は政府系金融機関となり、金利は1%台と低いです。審査のハードルが低く金利も低いのが日本政策公庫の特徴ですが、融資限度額が7,200万円まで、借入期間は10年〜15年となります。
これらの金融機関でローンを組む際には、固定金利と変動金利の2種類があります。どのような違いがあるのでしょうか。以下で解説していきます。
固定金利と変動金利の違いと選び方
固定金利とは、金利が固定されているので、ローンの返済が完了するまでは同じ金利を支払っていくようになります。金利が上昇しても返済額が高くならず、経済状況によって金利変動を受けることがないので、安定した返済計画を立てやすいです。
しかし、市場の金利が下がった場合にも返済額は変わらないので、高い金利を支払い続けることになります。また一般的に、固定金利は変動金利よりも高く設定されているので、金利の負担は大きいです。
変動金利とは、経済状況によって金利が変動しますよ。市場の金利が下がれば借入金利は低くなり、返済額も低くなります。しかし、市場金利が上がれば利息負担が大きくなって、返済額が増えます。
金 融機関は年に2回金利の見直しを行いますが、返済額は5年に1度見直されるので、その期間中に金利が変更されても支払額がかわることはありません。
また1.25倍ルールという決まりがあり、金利見直し後の返済額が見直し前の返済額の1.25倍を超えないようになっています。急激な金利高騰により、支払い金額が上がり過ぎないように調整されています。
アパート経営における資金計画のポイントまとめ
アパート経営をはじめる際にはさまざまな資金がかかります。また、アパート経営を維持するための維持費用や税金もかかってきます。
毎月かかる管理費や修繕費、ローンの返済費用は家賃収入から充てて返済することが可能です。よって自己資金から支払うことは少ないでしょう。
税金に関してはアパート経営の規模が大きくなれば、消費税や個人事業税もかかってくるので、どのくらいの費用がかかってくるのかアパート経営をはじめる前に把握しておきましょう。
アパートを購入する際は自己資金とアパートローンを組んで購入するのが一般的です。アパートローンは金融機関によって条件が異なるので、希望にあったローンが組める金融機関を探しましょう。