マンション経営を相続したらどうなる?メリット・デメリットも解説

マンションの経営を親から相続する際、さまざまな手続きが必要ですが内容を詳しく理解していない方も多いのではないでしょうか。本記事では、マンション経営を相続した際の流れをご紹介します。

賃貸オーナーとして経営を引き継いだ場合でも、マンション経営の経験がない方にとって利益を出すことは難しく感じるかもしれません。マンション経営は難しい側面もあるため、メリット・デメリットをしっかり理解したうえで相続することが大切です。

また、マンション経営を相続後はそのまま経営を続ける、売却するほかの事業に土地活用する方法などさまざまなパターンがあります。自分に合った方法を選ぶことで、相続もストレスなくおこなえるでしょう。

マンション経営の仕組み

マンションの経営は、インカムゲインと呼ばれる購入したマンションを賃借することで得られる賃料収入、キャピタルゲインと呼ばれるマンションを売買した際に得られる差益の2つが主な収入になっています。

長期的に安定した収入を得られること、節税効果が期待できることなどがメリットとして挙げられます。マンションの経営で成功するコツは、かかる費用に対する収入の割合を表す利回りをしっかり理解しておくことが重要です。

マンションの経営は自分でおこなうほかにも、不動産会社などに依頼する方法もあります。もし相続後に自信がない場合は、プロにお任せするのもおすすめですよ。

マンション経営を相続する際の流れをご紹介

マンション経営を相続する流れを見ていきます。

事前確認をする

マンション経営を相続するにはさまざまな税金が発生するため、節税対策と制度が有効になるタイミングを理解しておくことが大切です。

マンション経営を相続税対策として始める場合は、相続開始日前に3年間の経営期間が必要になります。贈与税の場合でも相続税の税制特例を受けるには丸3年間の経営期間が必要です。

事業継承は経営のノウハウなどを伝授する期間があるため、丸5年作る期間が必要です。継承する内容については、会社の形態や役員の有無によってするべきことが異なります。

マンション経営を相続する際は思い付きでできるものではなく、綿密な計画を練ることによって進めることが可能です。節税を考えている場合は、必ず事前に税理士に相談するようにしましょう。

ローン残債の確認をする

経営しているマンションのローン残債を確認します。ローンの残債がある場合はローンはマイナスの資産として引き継がれるものの、相続する場合のみ団体信用生命保険を利用することで残債を完済することもできます。仮にローンの残債がある場合は、引き継いだものが毎月の返済を継続することになります。

引継ぎ者を決める

遺言書などに引継ぎ者の名前が記載されていた場合はその者が引き継ぎます。遺言や信託が存在しない場合、法定相続人による話し合いにより引継ぎ者を決めます。

マンション経営の引継ぎには法定相続人全員の同意が必要になるため、引継ぎ希望者が複数人いる場合は、トラブルに発展する可能性もあります。トラブルを回避するためにも、相続は生前にしっかり話し合っておくとより安心です。

管理会社・銀行に連絡する

相続する者が決まったら、経営者が変わる旨を管理会社や銀行に伝えましょう。不動産管理会社では契約書名義や振込口座の名義を変更する手続きをおこない、法的な名義変更が完了次第家賃収入の振込先が変更されます。

すべての手続きが完了後、入居者にオーナー変更の旨が通知されます。ローンの残債があった場合は団体信用生命保険の適用、口座変更やローン継承に関する手続きが銀行によっておこなわれます。

名義変更をする

マンション経営の相続者が決定したらマンションに関係するすべての法的な書類の名義変更をおこないます。名義変更の際は登録免許税がかかることを頭に入れておきましょう。一般的には司法書士や弁護士などに手数料を支払って代行してもらいます。

名義変更にあたり必要な書類がいくつかあります。それぞれ書類には有効期限があるため、自身で動くのではなく代行者に頼まれたうえで動くと手間がなくなります。

準確定申告をおこなう

マンションの経営を相続する場合は、引継ぎ者がオーナーの代わりに準確定申告をおこないます。このことを準確定申告と言い、亡くなった日から4か月以内におこないます。このときに引継ぎ者が決定していない場合は、法定相続人全員で準確定申告をし、後日引継ぎ者が決まった時点で再分配します。

相続税の納税をする

相続が発生した日から10か月以内に相続税を納付します。生前贈与でマンション経営の引継ぎをした方は実際の相続が発生したら相続時精算課税により精算します。

マンション経営を相続するメリット・デメリット

ここからは、マンション経営を相続するメリット・デメリットをご紹介します。双方を理解しておくことで、自分に合うかどうかを見極められるので参考にしてみてください。まずはメリットから見ていきましょう。

現金の相続よりも相続税が低い

マンションの経営を相続する際は相続税の支払いが発生します。相続税は、親がなくなった際に引き継ぐ現金や土地などに発生する税金のことで、相続発生から10か月後までに支払います。

マンションの相続は同等価値の現金で相続するよりも相続税が安く抑えられるのがメリットです。不動産は貸家建付地になるので、土地や建物の相続税軽減措置を受けられるのが理由です。

資産価値が下がりにくい

現金や株のように価値が変動しにくい不動産は、長い目で見ても価値が下がりにくいため資産価値を維持しやすいのがメリットです。また、継続した家賃収入を得ることができれば、資産を守る手段になり得るのが嬉しいポイントです。

将来の年金対策として有効

マンション経営の相続をし、その後も経営を続ける場合は自身の年金対策として有効になります。理由としては、マンションの入居者が居ることにより毎月収入が発生するため、安定した収益が得られるからです。

年金受給に加え、不労所得を得ることができれば老後も不安がなくゆとりのある生活を送ることができるでしょう。

次にデメリットを見ていきます。

ローンの返済を抱えることがある

相続する際にローンの返済が残っている場合は、返済の義務も相続人に引き継がれます。収益性が見込まれない場合はローンの返済に自身の資産を充てる必要があり、出費がかさむのがデメリットです。ローン返済のほかにも、管理に必要な資金、修繕に必要な資金をあらかじめ算出しておくことが重要と言えます。

築年数によっては十分な収入を得られないことがある

マンションは新築であるほど人気があるため、空室を出さないためには築年数が経つごとに家賃を下げる必要があります。収入を下げる必要があることも考慮したうえで、相続をするか検討することも大切なポイントです。

管理や税金の負担がかかる

マンション経営をするにあたって、税金の支払いがつきものです。相続した後は、固定資産税や所得税、都市計画税などの支払いが発生します。

一時的に税金が発生する現金の相続とは異なり、毎年発生するので資金にゆとりがない場合は資産を切り崩す必要が出てきます。マンションの管理自体は専門業者に委託することもできるので、不安な方はプロに頼ることも検討してみましょう。

マンション経営を相続する際の注意点とは

マンション経営を相続する際には注意点がいくつかあります。注意点を知っておくことで、経営を成功に導けるので参考にしてみてください。

兄弟での共有名義をさける

親から相続したマンション経営の権利を兄弟で相続するパターンもよくあることです。しかし、さまざまな観点からトラブルに発展する恐れもあるので避ける方が無難です。

トラブルが起こった場合は名義人全員で対応する必要がある、名義人全員の同意なしでは売却できないなど、後々面倒になるため相続人は1人に決めるのがおすすめです。

保証人は負債を放棄できないことを理解する

マンション経営のためにした借金の保証人になっている場合、相続発生後も返済の義務は消えないため注意が必要です。仮に相続放棄した場合でも保証人としての責任から逃れられない点に注意しましょう。

借金が法定相続分通りに分割される

法律上債権者を守るために被相続人の借金は、法定相続分通りに相続することが決まっています。マンションを相続する者を決めた場合でも、銀行に申請しない限りは法定相続分通りに借金が按分されてしまいます。

相続登記した場合でも銀行の名義とは連動していないため、マンションの権利者について取り決めが決定したら銀行に連絡し、法定相続分通りに分割されないようにしてもらう必要があります。

マンション経営を相続した後の流れは?

マンション経営を相続した後の流れについては、いくつかのパターンがあります。自分に合うパターンを選ぶことで、安心してマンション経営を相続できます。

マンションの経営を継続する

相続後もマンション経営を継続する方法もひとつの手です。マンション経営の損益分岐点を把握したうえで、適切なタイミングで修繕、建て替えなどをおこなうことで負債を抱えることなく経営を続けられます。

マンション経営以外に変更する

マンション以外の土地活用方法に切り替えるのもおすすめです。例えば築年数が経ったマンションの場合はリノベーションする必要があります。リノベーション工事にかかる費用を考えると、別の土地活用方法を考えるのがよいでしょう。

土地活用には、トランクルーム経営、駐車場経営などさまざまな事業があります。マンションの経営に自信がない方は、ほかの事業も検討するのがおすすめです。

マンションを売却する

マンション経営を相続した後は、売却する方法もあります。資産の維持やマンション廃業、納税のためなど理由はさまざまです。また、死後に相続をする場合は連携がとれておらず納税漏れが起こるパターンもあります。

これらのトラブルを回避するためにも、親と生前にしっかり話し合っておくことが重要です。家族の資産を減らさないためにも今後も経営するかどうかはしっかり確認するのがおすすめです。

まとめ

マンション経営を相続した際の流れをご紹介しました。マンション経営の経験がない方は、無理せず不動産会社に頼ることも大切なポイントです。相続したのちは、経営を継続するのも売却することも可能です。

自分の生活パターンに合った方法を選ぶことが重要と言えます。経営を継続した場合にかかる費用、発生する収益を計算した上でどの方法が正しいのかを算出しておきましょう。