アパート経営が「地獄」と言われる理由10選と対策方法を解説!

部屋を貸し出すことで家賃収入を得られるアパート経営。「株よりもローリスクな投資」と言われる一方で、アパート経営にはいくつものリスクと落とし穴が存在します。経営に失敗した方の中には、「アパート経営は地獄…」と感じる方もいるほどです。
そこで本記事では、アパート経営が「地獄」と言われる理由と、その対策方法について解説します。これからアパート経営を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
アパート経営は何が地獄なのか
アパート経営の収益源は「家賃収入」です。「空室さえ埋まれば家賃が入ってくるから、利益を得られる」と考えている方もいるかもしれません。しかし、アパート経営にはさまざまなリスクがあり、「安定した経営を続ける」ことは簡単ではないのです。
特に、アパート経営が「地獄」と言われる代表的な要因として、次の3つがあります。
ローンの返済
アパートの購入時、多くの方が住宅ローンを利用します。その後、毎月ローンを返済していくわけですが、資金プランの立て方が甘かったことなどが原因で、ローン地獄になる方も少なくありません。中には、毎月10万円以上の赤字が続く経営者もいるようです。
家賃滞納による赤字
数か月に及ぶ入居者の家賃滞納や夜逃げなどが原因で、家賃収入を得られなくなったケースもあります。訴訟を起こそうとしても、弁護士への報酬も別途かかり、最終的に数十万単位の赤字になってしまうことも…。アパート経営は経済的なリスクはもちろん、精神的負担も大きいと言えます。
入居者への対応
アパート経営の魅力として「不労所得」が挙げられますが、持ち主の業務は多岐にわたります。その中でも、特に心身ともに負担が大きいのは入居者への対応です。「トイレが詰まった」「隣人がうるさい」「玄関の鍵が壊れた」といった入居者のトラブルに、迅速に対応しなければいけません。
しかし、アパート経営が「地獄」と言われる要因は、上記の3つだけではありません。より細かくひも解いていくと、経営上の難点はいくつも存在します。次の章では、さらに深堀りしてアパート経営の問題点を見ていきましょう。
なぜアパート経営で地獄を見るのか
アパート経営が地獄と言われる理由には、次のような事項が挙げられます。
立地条件がよくない
立地条件のよさは、アパート経営を成功させる重要な鍵です。「最寄り駅からの距離が近い」「スーパーや病院が近い」といった立地条件のよさは、入居者を集めるために役立ちます。空室リスクや、家賃下落リスクも大幅に軽減できるでしょう。しかし逆に、立地がよくないアパートは、なかなか入居者が集まりません。
特に、相続した土地や建物で経営を始める場合は注意しましょう。場所を選べないからです。立地条件がよくないときは、その土地の家賃相場やニーズに寄り添う必要があります。
空室リスクや家賃下落リスクの対策を講じていない
空室リスクはすべてのアパートが抱える問題です。建物は築年数が長くなるにつれ、資産価値が低下します。それに伴って需要も下がり、逆に空室リスクは上がります。空室が続けば、家賃の値下げもやむを得ないでしょう。このようなリスクを考慮し、家主は対策を講じなければいけません。リスクを考えずにアパート経営を始めてしまうと、「空室地獄」に陥ってしまいます。
お金を借りすぎている
アパート経営を始める際、建物の購入時に住宅ローンを組むことが一般的ですが、借り入れ額が多すぎるために返済に苦しむ方もいます。アパート経営が安定していれば問題ありません。しかし、ぎりぎりの状態で経営を続けていると、ローン返済が困難になり「借金地獄」に陥ってしまうでしょう。
コスト削減を重視しすぎている
アパート経営には固定資産税のほか、維持費や管理費など、さまざまな費用がかかります。トータルの収益を上げるためには、このようなコストを削減することが重要です。管理費や修繕費などを極端にカットしてしまうと、返って不都合が生じます。建物の劣化が早まり、新しい入居者が得られなくなるのです。コスト削減は大切ですが、やりすぎると経営が不安定になってしまいます。
トラブルに備えた資金調達をしていない
アパート経営では不測の事態が付き物です。時には立て続けに退去の申し出があったり、自然災害によって建物の修繕工事が必要になったりします。また、詳しくは後ほど説明しますが、金利上昇リスクによるローン返済の増額も考えられます。このような不測の事態を補うためには、ある程度の資金が必要です。そのため、予備資金がまったくない状態でアパート経営を進めてしまうと、資金地獄に陥る危険性があります。
不動産業者を比較していない
アパート経営を始める方の多くが、不動産業者や管理会社に一部の業務を委託しています。いずれも、安定した経営を続けるための重要なビジネスパートナーです。最初に目にとまった会社が、最適な一社とは限りません。業者を選ぶ際は、最初から一社に絞るのではなく、複数の業者をピックアップして比較しましょう。悪質な業者にアパートを任せてしまうと、経営者は地獄を見ることになります。
節税のためだけに経営を始めた
アパート経営者の中には、「節税になるから」という理由で始めた方もいます。アパート経営によって、相続税や固定資産税を節税できるのは事実ですが、節税をメインに経営を進めることは危険です。
アパート経営の肝は、「安定した経営を長く続けること」です。一時の節税のためだけに始めると、どうしても資金プランや経営プランがずさんになります。相続税や固定資産税は決して安くありませんが、アパート経営失敗による借金地獄よりはましです。
金利上昇リスクを考慮していない
住宅ローンを利用した方のうち、変動金利型のプランを選んだ場合は、ローン返済額が金利によって上下します。特に、借り入れ額が高い方は、わずかな金利変動でも返済額が跳ね上がってしまうでしょう。住宅ローンを利用する場合、金利上昇リスクを視野に入れておくことが重要です。万が一のことに備え、資金は十分に余裕を持たせておきましょう。そうでなければ、たちまちローン地獄に陥ってしまいます。
サブリースに頼りすぎている
サブリースとは、アパートを管理会社に借り上げる契約を指します。簡単に言えば、経営を「丸投げ」する状態です。本業が忙しい方はサブリースを利用する場合も多いですが、リスクを知っていなければ経営地獄に陥ります。
まず、経営状態を自分で把握できないことが大きな問題です。さらに、サブリースしたからといって安定した経営が保証されるわけではなく、空室が続けば家賃保証額を引き下げられる可能性もあります。サブリースが悪いわけではありませんが、利用時は信頼できる業者を選び、契約事項をしっかり読んでおきましょう。
入居者のトラブルに対応できていない
入居者の家賃滞納や夜逃げ、住人同士の人間関係のトラブルは、どのようなアパートでも起こりうるトラブルです。滞納されれば家賃収入は得られませんし、強制退去させるにしても手数料がかかります。このような入居者トラブルに対応できるよう、事前にマニュアルを作っておくといいでしょう。入居者トラブルに対応できるか否かは、今後のアパート経営を安定したものにするか否かを左右する重要な決め手です。
アパート経営を地獄から天国へ変えるために
アパート経営は、知識不足やリスク対策不足、間違った経営方法によっては「地獄」と感じるケースもあります。では、それを「天国」に変えるためにはどのような対策を講じればいいのでしょうか。ここでは、アパート経営を地獄から天国に変えるためのポイントを4つに分けて紹介します。
立地条件がよくない場合は買い替えを検討する
アパート経営において、立地条件は最重要とも言えるポイントです。どんなに質のいいアパートでも、住みにくい土地に建っていれば入居者は集まりません。
もともと土地を所有している方や、相続で土地や建物を引き継いだ方は、それらを経営に利用すればコストを抑えられます。しかし、立地条件があまりにも悪い場合は、買い替えを検討してもいいかもしれません。つまり、所有する土地や建物を売却し、その売却金で立地条件のいい土地や建物を買うのです。多少の手間はかかりますが、その後のアパート経営を考慮すると、買い替えがプラスに働く可能性は十分に考えられます。
まとまった予備資金を確保する
アパート経営には不測の事態が付き物です。万が一のことを考え、まとまった予備資金を確保しておきましょう。目安としては、アパート購入価格の3割ほどの金額です。この割合は、金融機関の担保評価額に基づいています。
金融機関は住宅ローンなどの融資を行うとき、担保となる不動産を市場価格の7割程度で評価します。その程度の評価額であれば、もし不動産を売ることになっても融資額を回収できるからです。残りの3割を賄うためには、契約者本人の資金が必要です。
強度が高いアパートを建てる
これは新築アパートで経営を始める場合のポイントです。アパートを建てる際は、建物の質の高さを意識する必要があります。安普請の建物は、建築時は低コストで済むかもしれません。しかし、すぐに不具合や故障が発生し、結果的に修繕費が嵩んでしまう可能性があります。最初の投資を渋ってしまうと、後でしわ寄せがくるかもしれないということです。
新築アパートを建てる際は、施工実績の高いハウスメーカーに依頼しましょう。ただし、いたずらにアパートのクオリティを上げるのではなく、「質の高さ」と「可能な範囲の予算」とのバランスをうまく取ることが重要です。
管理方法を十分に検討する
アパートの管理方法は2種類存在します。
〈1〉 管理委託
管理委託とは、アパートの管理を管理会社に委託する方法です。家賃収入のうち5%を報酬として管理会社に支払います。高い収益性を見込める一方で、経営そのものを管理会社に任せるわけではないため、空室リスクの責任は持ち主が負います。
〈2〉 家賃保証型サブリース
家賃保証型サブリースとは、アパートを丸ごとサブリース業者に委託する方法です。管理委託と異なり、管理だけでなく経営自体もサブリース業者に任せるため、持ち主が空室リスクを負う必要はありません。そのぶん手数料は高くなりますが、リスクを軽減できる点は大きな特徴です。
こうして比べると、家賃保証型サブリースは低リスクで、経営をサブリース業者に一任できるため魅力的に感じられるかもしれません。しかし、立地条件によっては管理委託の方が適切な場合もあります。管理方法を決める際は、不動産業者に相談したり、周辺地域のアパートの管理方法を調べたりして十分に検討しましょう。
アパート経営にまつわるQ&A
Q.1 木造アパートの建築費用はどれくらいですか?
A.1 アパートの建築費用は、建物の構造によってさまざまです。木造であれば、坪単価が70万~100万円前後ですから、2階建てのアパートを建築するとなると5,000万円前後の費用が必要になります。
Q.2 アパート経営はどれくらいの割合で成功するものですか?
A.2 不動産サイト『イエウール』の調査によると、アパート経営者のうちおよそ70%が現状の経営に満足しているとの結果でした。過半数の経営者が、理想の経営を長く続けられていることが窺えます。ただし、「月100万円以上の利益を出したい」という経営者もいれば、「赤字でなければオッケー」という経営者もいるでしょう。何をもって成功とし、現状に満足するかは人それぞれです。
Q.3 不動産業者はどのような基準で選べばいいでしょうか?
A.3 不動産業者を選ぶ際は、各業者のホームページの業績を確認しましょう。業者によって得意とする分野はさまざまです。土地活用に強い業者もいれば、売買に強い業者もいます。そのうち、「賃貸経営」や「アパート建設」に強い業者を中心に、複数社をピックアップして比較してみましょう。
Q.4 マンション経営と比べたとき、アパート経営にはどのようなメリットがありますか?
A.5 マンション経営は、最初から建物一棟を利用するのではなく、マンションの1部屋を貸し出すことが一般的です。一方、アパート経営は建物を1棟丸ごと使います。貸し出せる部屋数が多いため、アパート経営は「最初から大きな利益を期待できる」ことが大きなメリットです。
いかがでしたか?
今回はアパート経営の失敗の理由と対策方法について解説しました。リスクや落とし穴の多さから、アパート経営は「地獄」と言われることもあります。多額のローン返済や入居者トラブルなど、経営上のリスクは計り知れません。しかし、事前に失敗要因を知っておくことで、未来で起こりうるトラブルを防げるのではないでしょうか。