アパート経営の収入と経費率を徹底解説!収益アップの秘訣とは?

不動産を活用して不労所得を得たいと考える人は多く存在します。たとえば、毎月の家賃収入を得られるアパート経営が挙げられます。経営を検討している方の中には、

「アパート経営で毎月どの程度の収入が得られるのか?」

「家賃収入だけで生活を成り立たせることは可能なのか?」

「建物の維持管理費を含め、年間の経費はどのくらい必要なのか?」

といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事ではアパート経営の収入・支出について解説します。それぞれの内訳や費用の割合、収入を上げるポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アパート経営の平均年収とは?主要データから徹底解説

国税庁の「申告所得税標本調査」によれば、アパート経営の平均年収(手取り額)は約521万円とされています。そのほか、不動産収入を得ている人々の所得金額と割合を以下に示します。

所得金額割合
100万円未満7.8%
100万円以上200万円未満19.8%
200万円以上300万円未満16.8%
300万円以上500万円未満23.2%
500万円以上1,000万円未満21.9%
1,000万円以上2,000万円未満8.2%
2,000万円以上5,000万円未満2.3%
5,000万円以上1億円未満0.1%
1億円以上0.1%

データからは、年収300万~1,000万円の範囲に属する人が最も多いことが分かります。しかし、この一覧表はあくまでも「不動産所得」の割合です。アパート経営だけでなく大型マンションやテナントビルの貸し出しなど、大規模な不動産経営も含まれます。

また、実際に手元に入ってくる金額は、諸経費やローン返済額を始めとするさまざまな支出を差し引くことで計算できます。家賃収入の手取りは、一般的に所得合計金額のおよそ15%が相場です。

アパート経営の収入内訳とその特徴

アパート経営では、家賃のほかに収入として計上する費用が存在します。では実際に、アパート経営の収入内訳を詳しくみていきましょう。

家賃収入の重要性とポイント

アパート経営で最も大きな割合を占める収入が家賃です。家賃は、賃貸契約書で「賃料」と表記される場合があります。一般的に、家賃は翌月分の賃料を当月末までに支払う取り決めをするケースが多いです。物件によっては、毎月27日か28日を期限とする場合もあります。また、初月の家賃は入居したタイミングによってさまざまです。月初めから入居する場合であれば従来の賃料で、それ以外であれば日割り計算によって当月分の家賃を算出し、それに加えて翌月分を「前家賃」として契約時に支払うことになります。

管理費・共益費:収入に含まれる要素とは

管理費・共益費も家賃同様、月末までに支払われることが一般的です。賃貸契約書では「共用部の電気・水道や管理に充当する費用」として入居者が支払うよう定められているケースがほとんどです。ただし、小ぶりなアパートや一戸建て賃貸物件などの場合は、管理費・共益費を支払い対象外としている場合もあります。管理費・共益費ともに税務上は貸主の収入であり、借主が支払う電気代や水道代は経費として所得に計上されます。

礼金の仕組みと税務上の扱い

礼金は、入居時に貸主へ支払う「謝礼金」となります。税務上は貸主の収入となり、消費税は居住用物件であれば課税対象外となります。基本的に、礼金は1カ月分の家賃と同額であることがほとんどですが、2カ月分とする物件もあります。また、関西地方では「敷引き」や「保証金」など、いわゆる敷金として預かる場合もあるようです。ただし、敷金の場合はあくまでも預り金のため、入居者の退去までは収入として換算されません。

契約更新料がもたらす収入の安定性

契約期間が満了し、契約を更新する際には、更新料の支払いが必要な場合があります。ただし、立地エリアや管理会社の運営方法によっては更新料がかからない物件もあるため、必要に応じて不動産会社に相談しましょう。更新料を設定する場合、料金は家賃の1~2カ月分が一般的です。書面上では「更新手数料」と記載していることも多く、これは貸主の収入ではなく管理会社の収入となります。

駐車場代の収益効果を最大化する方法

アパート併設の駐車場を利用する入居者から得られる収入が、駐車場代となります。家賃と同様に毎月支払い、入居時は日割り計算で賃料を算出します。また、管理費や共益費、礼金と同じように消費税は対象外です。ただし、貸し出し期間が1カ月に満たない場合は課税対象となることに注意しましょう。

アパート経営に必要な経費とその内訳

アパート経営の支出は「経費」と呼びます。収入を計算する際は、管理費や維持費などをすべて合算したものを総支出とし、収入から差し引きます。では、実際にどのような経費が必要なのか詳しく見てみましょう。

アパート経営で発生する主要な経費とは?

アパート経営に必要な経費は、主に次の3つです。

建物修繕や設備交換費用の目安

アパートの経年劣化を防ぐためには、定期的な修繕や設備交換が必須となります。これらにかかる費用は、修繕工事のタイミングによってさまざまです。費用の目安としては、家賃収入のおよそ10~15%ほどの金額と考えてください。なお、アパートの修繕が必要なタイミングは主に次の3つです。

  • 引っ越しなどによって入居者が入れ替わるタイミング
  • 建物の設備が耐用年数を超え、交換や修繕を要するタイミング
  • 外壁塗装や基礎改修工事など、10年単位で必要な大規模修繕工事のタイミング

また、入居者が退去した後に発生する「原状回復に必要な修繕・清掃費用」も、アパートの環境を保つために欠かせません。原状回復とは、次の入居者のために部屋を使用前の状態に戻す作業のことです。これらに必要な修繕・清掃費用には、次のようなものが挙げられます。

作業内容費用
クロスの張替え1畳あたり2万~6万円
フローリングの張替え1平米あたり750~1,500円
トイレの便座交換、温水洗浄暖房便座の交換・設置5万~10万円
ハウスクリーニング1万5,000~7万円

また、アパートは築年数が古くなるにつれ、設備の修繕や交換が必要となる場所が増えます。そのため、基本的に修繕・交換費用は築年数に伴って増額すると考えてください。また、10年単位で行われる大規模修繕工事では、外壁塗装や基礎工事だけでなく、屋根の張替えなど建物全体を修繕します。そのため、たとえ小規模な木造アパートでも100万円以上の費用がかかるのです。大規模修繕工事はどのようなアパートでも必要となり、管理会社は入居者から「修繕積立金」を徴収することで費用を調達します。

賃貸管理費用を最適化する方法

アパートを賃貸する上で必要となるさまざまな経費が賃貸管理費用です。賃貸管理費用のほとんどは、管理会社へ支払う管理手数料となります。費用の目安としては、家賃収入の5~10%と考えてください。

アパート経営には、建物の修繕や設備交換に加え、入居者募集、家賃回収、苦情対応、共用部の清掃など、多岐にわたる管理業務が伴います。主な管理内容と費用は、次の表を参考にしてください。

管理内容費用
管理手数料家賃のおよそ5%(毎月)
仲介手数料家賃の50%(入居時)
広告料・バックマージン家賃のおよそ20%(入居時)
光熱費アパートによって異なる
接待交通費アパートによって異なる

アパート経営を始めた際、不動産業者が入居者を募集してくれます。その手間賃が仲介手数料で、費用は家賃の50%です。また、貸主から別途依頼があった場合は、広告料やバックマージンを支払うこともあります。

必要な保険料とその選び方

アパート経営を始める際は、火災保険料や地震保険料に加入する必要があります。火災保険の契約期間は、最短で1年から最長で10年まで設定できます。火災保険、地震保険ともにまとめて支払った方が割安となるため、アパート建設時または購入時に最大期間の10年で契約することをおすすめします。なお、保険料の相場は不動産時価のおよそ80%です。そのため、アパートの規模や構造によって金額に大きく変わることに留意しましょう。

アパート経営で収入を最大化する方法

アパート経営の収入を上げるためには、次の3つのポイントを押さえましょう。

利回りを意識した経営戦略

アパート経営の収益向上を目指すには、利回りを意識した運営が重要です。利回りには大きく分けて3つの種類があります。

〈1〉表面利回りの計算方法と注意点

表面利回りは、1年間の家賃収入の投資額に対する割合を指します。算出方法は以下の通りです。

表面利回り=1年間の家賃収入÷投資額

〈2〉実質利回りで見える収益の真実

実質利回りは、アパートが生み出す1年間の純利益の投資額に対する割合を指します。算出方法は以下の通りです。

実質利回り=(1年間の家賃収入-1年間の経費)÷投資額

〈3〉想定利回りを基にした将来計画の立て方

想定利回りは、満室状態の年間家賃収入の投資額に対する割合を指します。算出方法は以下の通りです。

想定利回り=満室状態の年間家賃収入÷投資額

利回りは不動産業者によって設定が異なります。また、アパートの間取りや賃料設定、管理方式など、その数値を左右する要素はさまざまです。利回りをなるべく高くするためには、次のような点に注意しましょう。

  • 相見積もりで複数の不動産業者を比較する
  • 部屋の間取りを小さめにする
  • 建物の仕様を見直す
  • オートロックなどの付加価値を付けて家賃を上げる
  • そのアパートに適切な管理方式を取る

節税対策でコスト削減と収益向上を実現

アパート経営で収入を上げるためには、節税を心がけましょう。不動産経営では、主に次のような税金がかかります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 贈与税
  • 相続税

これらの税金は、いずれも減税措置や控除を利用すれば減額可能です。気になる方は、弁護士や税理士などの専門家に相談してみましょう。

③  業務内容を把握して委託管理をする

アパート経営で収入を上げるためには、経営上の業務内容を把握し、委託管理をしましょう。アパート経営者である大家の業務内容は、次の4種類に分けられます。

業務内容詳細
入居者の募集不動産業者の選択、入居者の客層調査
入居者への対応家賃の集金、入居者や近隣住民のクレーム対応、修繕依頼の対応、退去時の対応
アパートの管理日々のアパート管理、空室対策と対処、大規模修繕工事の計画
その他の業務経営状況の把握、収益の確認

これらの業務は大家個人で行うことも可能です。しかし手間がかかり、アパート経営とは別に本業をお持ちの方はなかなか時間が取れません。そのため、多くの方が委託管理をしています。委託管理のメリットは次の通りです。

〈1〉業務にかかる時間を省略できる

〈2〉効率が上がる

〈3〉本業とのバランスを取れる

〈4〉アパートに駐在しなくても管理ができる

〈5〉分からないことがあれば受託者に相談できる

アパート経営のリスクとその対策

アパート経営を始めるにあたって、リスクを知っておくことも重要です。

家賃下落リスクを抑える方法

不動産は築年数が長くなるにつれ、建物の老朽化が進みます。付近に新築の物件が増えてくると、相対的に建物の価値も人気も下がってしまうでしょう。新しい入居者を得るためには、家賃を下げるほかありません。家賃は新築時の賃料が最高額と考え、その後は下落していくことを想定して事業プランを立てる必要があります。

空室リスクを減らす具体策

アパート経営を始めても、空室が埋まらなければ家賃収入を得られません。空室が続くようであれば、リノベーションやリフォーム、さらに家賃の減額も必要となるでしょう。そうなれば資金調達が困難となり、期待できる収入も減ってしまいます。空室が続くことは、アパート経営において最も大きなリスクと考えておきましょう。

家賃滞納リスクに備える仕組み作り

入居者の家賃滞納リスクも、アパート経営の大きな問題です。そのため、昨今では滞納時の対策として「家賃債務保証会社」を利用する経営者が増えています。これまでの滞納リスク対策では、連帯保証人を付ける方法しかありませんでした。しかし、連帯保証人に保証能力があるとは限りません。より確実に滞納リスクを避けるためには、家賃債務保証会社を利用することが必須となります。

経費増額リスクに対する予防策

経費が増えてしまうと、当然ながら収入も減ります。アパートの経年劣化による修繕費の増加や広告料、10年単位で必要となる大規模修繕工事の費用など、経営を続けていくためには多くの経費がかかります。もちろん、長期的に資金を積み立てておくことは重要です。しかし、総経費がその資金を上回ることもあるでしょう。資金不足に陥らないよう、経費は節約を心がけながら管理を徹底しましょう。

まとめ:アパート経営で成功するためのポイント

今回はアパート経営で得られる収入・支出について解説しました。それぞれの内訳を把握しておくことで、経営上の金銭トラブルを避けられるのではないでしょうか。アパート経営は多額の家賃収入を得られる一方で、建物の管理や修繕、設備交換や大規模修繕工事など、多額の経費がかかります。また、経営上のポイントを押さえておけば、より多くの収入を得られるはずです。リスクを十分に理解して、より安定したアパート経営を始めましょう。