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2024/06/10最終更新⽇時
2024/06/10アパート・マンション経営は儲からない?リスク対策徹底解説
- 一棟アパート・マンション投資


マンションやアパートなどを貸し出し、家賃収入を得られる賃貸経営。不動産業界では「賃貸経営は儲からない」との声が多く聞かれます。賃貸経営には多くのリスクが伴い、初期費用も決して安価ではありません。
しかし、賃貸経営はしっかりとリスク対策を講じれば儲かります。儲からない理由の多くが、それらのリスク対策や知識不足によるものだからです。この記事では、賃貸経営が儲からないと言われている理由や、考慮すべきリスクについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
賃貸経営の基礎知識
賃貸経営が儲からない理由を理解する前に、まず賃貸経営の基礎知識を確認しましょう。賃貸経営は、主に「アパート経営」と「マンション経営」の2種類に分けられます。それぞれの経営形態にはどのような違いがあるのでしょうか。
アパート経営
アパート経営は、1棟のアパートを賃貸物件として取り扱うことが一般的です。各部屋に入居者を募り、家賃を回収することで収入を得ることができます。後ほど説明するマンション経営では、「1部屋のみ購入して賃貸物件にする」ことも可能ですが、アパート経営の場合は「1棟丸ごと賃貸物件にする」ことがほとんどです。そのため、初期費用は比較的高額になることが多いです。しかし、満室になれば多額の家賃収入が見込めるため、アパート経営は「初めから大きな利益を得たい」と考える方におすすめです。
マンション経営
マンション経営は、最初から1棟丸ごと賃貸物件にするより、1部屋を購入して賃貸するケースが多く見られます。これがアパート経営との大きな違いです。アパート経営より投資額を抑えられるため、「低リスクで賃貸経営を始めたい」という方はマンション経営を検討してみてください。初期費用も比較的安く抑えられます。また、経営が軌道に乗ってきたら部屋数を増やし、家賃収入をアップさせることも可能です。
アパート経営とマンション経営の違い
アパート経営とマンション経営の違いは、以下のようにまとめられます。
賃貸する物件 | 初期費用 | |
アパート経営 | アパート1棟 | 比較的高い |
マンション経営 | マンションの1部屋 | 比較的安い |
また、それぞれの経営方法には異なるリスクが存在します。アパート経営の場合は部屋数が多いため、空室が続いてしまうと家賃収入を見込めません。そうなると、多額の初期費用を回収する時間も長くなるでしょう。一方、マンション経営(1部屋のみの賃貸が前提の場合)では、その部屋の入居者がいなければ家賃収入はゼロです。いくら初期費用を安く抑えても、その後に入ってくるお金がなければ経営は続けられません。
さらに、アパート経営・マンション経営のどちらにも大切なのが「期待利回り」です。
期待利回りとは
期待利回りは、簡単に言えば「支出に対する収入の割合」を指します。つまり、経営にかかる支出に対して得られる収入の割合を示しています。アパートやマンションに関わらず、不動産経営ではこの期待利回りが重要視されます。期待利回りが高ければ、その後の経営も安定したものになるでしょう。そのためには、綿密な経営プランと資金プランをあらかじめ立てておくことが重要です。
なぜ賃貸経営は儲からないと言われるのか?
不動産業界では、「賃貸経営は儲からない」と言われています。しかし、一概にそうとは言えません。賃貸経営を始めた全員が儲かるわけではありませんが、成功している人はしています。特にアパート経営では、全国の平均利回りがおよそ8%に達するほどです。
このように、実際に儲かることが数値で証明されているにもかかわらず、なぜ賃貸経営は儲からないと言われるのでしょうか。ここでは、「賃貸経営は儲からない」と言われている理由を5つに分けて紹介します。
① 入居者を維持することが困難
新築の段階であれば、比較的多くの入居者を期待できます。しかし、その入居者数を維持できるとは限りません。物件の築年数が長くなるにつれ、周辺地域のアパートやマンションへとニーズが移り、空室を埋めることが難しくなる可能性があります。賃貸経営において、「入居者を長年保ち続ける」ことは非常に難しいことです。このような空室リスクから、「賃貸経営は儲からない」と感じる方もいます。
② 家賃減額のリスクがある
総務省の小売物価統計調査によれば、昨今ではさまざまな地域で家賃の平均額が低下しているようです。賃貸経営の家賃設定は、少なくともこのような社会情勢の影響を受けます。これは経営者の努力ではどうにもならないことです。
周辺地域の家賃相場が安ければ、賃貸経営者は入居者を獲得するために家賃を減額する必要があります。収入は減ってしまいますが、空室リスクを防ぐためにはやむを得ません。このような社会女性の影響から、「賃貸経営は儲からない」と感じる方も多いようです。
③ ローンの負担が大きい
賃貸経営を始める際は、少なくとも数千万単位のお金を動かすことになります。この際、自己資金だけでは賄えず、金融機関から多額のローンを借り入れる方がほとんどです。ローン返済額が高いため、「経営が不安定になったときにローンを返せないのでは」と不安に感じる方も少なくありません。このような印象から「賃貸経営は儲からない」と感じる方も多いようです。
④ 経営者の知識不足
賃貸経営がうまくいかない理由の1つとして、「経営者の知識不足」が挙げられます。賃貸経営から得られる利益にばかり目を向けてしまい、肝心の経営メソッドやプランがずさんになってしまうパターンです。賃貸経営では、家賃によって得られる「収入」を意識してしまいがちですが、重要なのは「支出」です。支出をどのくらい抑えられるかによって、トータルの収益も変わってきます。このような基礎知識がない状態で経営を始めてしまうと、いつまでたっても黒字化は見込めません。このようなケースが多いため、「賃貸経営は儲からない」と感じる方もいるようです。
⑤ 収入が安定するまでに時間がかかる
賃貸経営は即座に結果を出せるものではありません。収入が安定する=黒字化するまでには、それなりの時間がかかります。特にアパート経営の場合、初期投資の費用がかかる分、黒字化までの時間が長くなるでしょう。アパート購入時に必要な自己資金(頭金)や、毎月のローン返済、建物の維持費・管理などを考えると、入居者が少ない最初のうちは赤字が続くかもしれません。「今すぐ大きな利益を得たい」という気持ちもわかりますが、賃貸経営は長い目で見ることが大切です。
儲からない賃貸経営の特徴とは?
賃貸経営を始めるにあたって、失敗の原因となる要素を把握することが重要です。ここでは、儲からない賃貸経営の特徴を5つに分けて紹介します。
① 事前リサーチが不十分
賃貸経営を始める際は、さまざまな方面での情報収集が必要です。周辺エリアの家賃相場や賃貸物件のニーズはもちろん、近所にどのようなアパートやマンションが建っているのかも把握しておきましょう。これらの情報をもとに、建築プランや経営プランを立てていきます。事前リサーチは、賃貸経営の基盤となる重要なプロセスです。
② 資金不足
賃貸経営では、物件を購入する際にローンを利用することが一般的です。また、経営を始めた後は毎月の維持費や管理費がかかります。毎月のローン返済、建物の維持・管理……。経営が順調であれば問題ありませんが、空室が続くと「ローンが払えない」「建物の維持費が足りない」といった事態になりかねません。賃貸経営では、最初のうちは家賃収入に期待せず、資金に余裕を持った状態で始めることをおすすめします。
③ 収支管理がずさん
賃貸経営の失敗によくある原因として、「家賃収入にばかり目を向けてしまう」ことが挙げられます。しかし、賃貸経営のトータルの利益は「収入」から経費などの「支出」を差し引いた金額です。つまり、賃貸経営の成功の鍵は「徹底した収支管理」と言えます。収支管理がずさんだと、いくら収入が高くても利益は上がりません。経営上の支出をきちんと想定して、将来的なリスクを避けることが重要です。
④ 節税を目的に賃貸経営を始めた
節税を目的とした賃貸経営を検討している方もいます。賃貸経営で節税が期待できる税金は次の3つです。
〈1〉 所得税 副業で賃貸経営をしていて、かつ赤字経営である場合、本業の収入と相殺すると課税評価額が下がります。これによって税率が下がるため、トータルの所得税を大幅に抑えることが可能です。 |
〈2〉 固定資産税・都市計画税 土地は利用しているか否かにかかわらず、所有しているだけで課税対象となります。しかし、賃貸経営を始めると、その土地に「宅用地」としての特例が適用されるため、ただ土地を持っているだけの場合より税額を抑えられます。 |
〈3〉相続税 預貯金や有価証券などの遺産は、不動産に代えておくことで相続税を大幅に削減できます。そのため、賃貸経営者の中には、相続税対策として「現金を不動産に変える」目的で経営を始めた方もいるようです。 |
賃貸経営で節税効果を期待できるのは事実ですが、それを目的として経営を始めることはおすすめできません。たとえ節税できたとしても、賃貸経営には多くの諸費用がかかり、結果的にマイナスの収益になりかねないからです。賃貸経営を始める際は、あくまでも安定した家賃収入を目的とし、節税はおまけ程度に考えておきましょう。
⑤ 専門家の意見を取り入れていない
賃貸経営には不動産に関する専門知識や経営ノウハウが必要です。何も知識がない状態で始めてしまうと、後になって大きな損失を生みかねません。ネットで調べても、収集した情報を整理することにも多少の知識が必要になります。そのため、賃貸経営を始める際は、不動産業者や経営アドバイザーなどの専門家に相談しましょう。
賃貸経営におけるリスクとは?
賃貸経営が儲からないと言われる理由の一つは、「リスクが多い」ことです。しかし、そのようなリスクを事前に把握しておけば、「儲からない」という事態を防げるはずです。ここでは、賃貸経営で起きやすいリスクを4つに分けて紹介します。
① 金利上昇リスク
家賃経営を始める方の多くが、物件購入時にローンを利用します。このローンの返済額は、金融機関が指定する金利によって決まることが一般的です。この際、「変動金利」という方式でローンを組んだ場合、金利上昇による返済額の増額リスクが生じます。そうなると家賃収入が安定しても、ローン返済額が上がったせいで「儲からない」という事態が発生しかねません。そのため、ローンを組む際は金利を十分に考慮して資金プランを立てましょう。
② 空室リスク
賃貸経営を続けるにあたり、最も重要なのが空室リスクへの対策です。新築のうちは問題ありませんが、築年数が経つにつれニーズは減っていきます。そうなると、家賃を値下げや外観の補修工事など、必要な追加経費は決して安くありません。たとえ家賃収入が安定していても、将来的な空室リスクを考慮して対策を講じておくことは重要です。
③ 自然災害リスク
日本は世界有数の「地震国」と呼ばれています。過去の巨大地震の影響で、倒壊した建物の数は計り知れません。ほかにも火災や台風による洪水など、さまざまな災害を考慮することが大切です。火災保険や地震保険の加入は不可欠ですし、建物の耐震基準を見直す機会も必要でしょう。これらを怠ってしまうと、賃貸経営が儲からない以前に、建物や土地を失ってしまう可能性があります。
④ 入居者の家賃滞納リスク
たとえ空室が埋まっても、入居者が家賃を滞納すれば経営者の収入はゼロです。日本賃貸住宅管理協会が発表した「住宅市場景況感調査」によれば、全国の賃貸物件の家賃滞納率は6.6%となっています。つまり、100人の入居者がいれば、そのうち6人は家賃を滞納するリスクがあるということです。家賃滞納リスクを防ぐためにも、経営者や不動産業者による事前リサーチ、入居者の収入や貯金などのデータ収集は欠かせません。
いかがでしたか?
不動産業界では、賃貸経営が「儲からない」と言われています。家賃減額のリスクや経営者の知識不足、入居者の維持が困難であることなど、その理由はさまざまです。しかし、儲からない理由をあらかじめ把握し、リスク対策をしっかり講じていれば、賃貸経営は儲かります。経営を検討されている方は、経営プランや不動産知識をきちんと身につけ、必要に応じて専門家の力を借りましょう。
参考文献
賃貸経営は儲からないの?~賃貸経営の不安を解消!~ | 川口市の設計事務所 | 土地有効活用なら |(株)エトバスノイエス(KANAEL住まいる) (etwas.co.jp)