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2023/10/05最終更新⽇時
2025/06/30つなぎ融資とは?メリットやデメリットをわかりやすく解説
- 融資・ローン

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つなぎ融資とは
マイホームを注文住宅で建てる場合、完成するまでに着工金や上棟金、最初の土地取得など、それぞれのタイミングに合わせて資金が必要です。こうした資金繰りに利用されるのが「つなぎ融資」です。
では、つなぎ融資とはどのようなものなのか、詳しく解説します。
つなぎ融資の基本概念
つなぎ融資とは、マイホームの建築中に必要な資金を一時的に借り入れる制度です。マイホームを購入する場合、購入代金などをすべて自己資金で購入するのは困難なため、住宅ローンを利用するのが一般的です。
住宅ローンの融資は、マイホームの売買契約が締結され、引き渡しが完了すると同時に行われます。売買に関する費用の大部分は引き渡しの際に支払いますので、住宅ローンで対応が可能ですが、注文住宅などのマイホームを建築する場合は、着工金、上棟金などをその都度支払う必要があります。
建築途中のタイミングで支払う資金を融資してもらうのが、いわゆるつなぎ融資です。
つなぎ融資の利用フロー
つなぎ融資を利用する場合、まずどのようなタイミングで資金が必要になるのかを把握しておかなければなりません。
まず、土地の購入からスタートして建物が完成し引き渡されるまでに、どのタイミングで、いくらくらいのお金が必要なのかを確認しておきましょう。融資を利用する前に明確な資金計画を立てておかないと、借り入れたお金で支払いが足りなくなる可能性もあります。
マイホームを建てる土地が見つかったら、建築業者と請負契約を締結し、住宅ローンと併せてつなぎ融資の申し込みを行いましょう。
ローンの審査に合格すると、土地の売買契約とふたつのローン契約を行います。
そして資金が必要なタイミングで借入金からお金を支払い、建築を進めていくという流れになります。金融機関によって利用までの流れが異なる場合もあるため、あらかじめ問い合わせておくとよいでしょう。
返済のタイミングと方法
返済のタイミングは、マイホームの引き渡しが終わり、住宅ローンの融資が実行されたときです。
返済パターンとしては、①一時的な借入金の利息を毎月返済し、住宅ローンが実行されたときに元金を返済する、②住宅ローンが実行されたときに元金と利息を一括返済する、の2つがあります。
どちらのパターンであっても、住宅ローンの実行時には全額返済する必要があります。
つなぎ融資のコストと費用
住宅ローンを利用する場合、契約にあたりいくつかの経費がかかります。つなぎ融資の場合も住宅ローンと同等の費用がかかると考えておきましょう。契約にあたり諸費用として、印紙代、融資に伴う事務手数料、融資の保険料、場合によっては団体信用生命保険料が必要になります。
これらの金額は、取り扱う金融機関や、借り入れる金額によって異なります。土地の取得からマイホーム建築までを検討している際には、上記手数料を十分理解しておきましょう。
つなぎ融資のメリット
上述のとおり、注文住宅の建築ではタイミングごとにまとまった資金が必要であり、それを補うのがつなぎ融資を利用する主な目的です。
それではつなぎ融資を利用することで、どのようなメリットがあるのかについて見てみましょう。
資金がなくてもマイホームを建てられる
まず自己資金がなくてもマイホームを建築できる点が挙げられます。
建売住宅や中古住宅の購入であれば、引き渡し時に住宅ローンを使って一括支払いが可能ですが、マイホームを建築する場合、住宅ローンでは間に合わない支払いを自己資金から工面する必要があります。
自己資金にあまり余裕がないとマイホームを建てられず、中古住宅や建売住宅の購入を検討することになりますが、つなぎ融資を利用すれば、建築までの間にかかる費用を借入金から支払うことが可能です。
建物が引き渡されるまで、つなぎ融資に関して支払うのは利息部分のみで済むため、建築中の資金負担も軽減されます。
時期を選ばずマイホームを購入できる点が、大きなメリットといえるでしょう。
新居の購入に際し、売却を待つ必要がない
新居の購入前に現在の自宅を売却することを売り先行型、現在の住居を売却前に新居を購入することを買い先行型といいます 売り先行型のデメリットは、資金不足のために現在の住宅が売却できなければ新居の購入が難しい点です。理想に合った土地などを見つけたのに、現在の住宅が売却されていないため、マイホーム建築をあきらめるケースもあるでしょう。
しかし売り先行型であっても、つなぎ融資を利用することで、現在の住居を売却する前に、新居を購入することが可能です。売り先行型から買い先行型に切り替えられると、仮住まいを準備する必要もありません。
売却する予定の住まいは空き家の状態で募集することが可能です。新居の購入で売り先行にできる点もメリットといえるでしょう。
担保が不要な場合もある
つなぎ融資は担保の必要がないケースもあります。一般的に融資を受ける場合、万が一お金の回収が不可能になった場合のことを考え、担保が必要とされています。住宅ローンを利用する場合でも、建物や土地に抵当権を設定したうえで融資が実行されます。
つなぎ融資の場合は、一時的な融資という点や住宅ローンとセットといった位置づけになるケースが多く、担保が必要ない場合もあります。担保の有無に関しては金融機関によって異なるため、確認しておくといいでしょう。
つなぎ融資のデメリット
つなぎ融資の利用はメリットだけでなく、デメリットについてもきちんと把握しておくことが大切です。さもないと利用してから後悔する可能性も考えられます。この項目では利用の際のデメリットについて説明します。
高い金利のリスク
つなぎ融資は住宅ローン金利よりも金利が高い点はデメリットでしょう。住宅ローンの金利は金融機関によって異なるものの、2022年現在、一般的には1%前後です。一方でつなぎ融資を利用する場合は金利が2%から4%になることが多く、高金利であることがわかります。
短期の一時的な融資であるため金利が高いとはいっても、大きな負担は感じないかもしれませんが、低ければ低いほど支払いの負担は減りますので、金利が高い点はデメリットといえます。
手数料の負担
つなぎ融資を利用するにあたり、手数料が発生する点を前述しました。手数料の金額は、住宅ローンの手数料と同程度となるケースがほとんどです。
住宅ローンと同等の出費が必要になる点も、デメリットとなるでしょう。
住宅ローン控除が使えない
つなぎ融資は住宅ローン控除が利用できません。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用した際に所得税の控除が受けられる制度です。一定の要件下において基準を満たしていると、年末の住宅ローン残高における0.7%が最長13年間にわたり控除され、住宅ローンを使ってマイホームを購入した方の多くが利用しています。
その要件とは主に、住宅の引渡し日か工事の完了から6か月以内に居住すること、ローンの借入期間が10年以上であること、マイホームである、耐震基準に適合している、住宅の床面積が50平方メートル以上あること、合計所得が2,000万円以下であることなどがあります。
住宅ローン控除を利用する要件のひとつに、住宅の完成後6か月以内に住みはじめていることが挙げられます。つなぎ融資を利用して住宅ローン控除を使おうとしても、マイホームが完成前の場合、要件を満たせないことになるのです。
注意しておきたいのは、住宅ローン控除が使えないのはつなぎ融資のみだということです。その後住宅ローンを利用する場合は、一定の要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。
つなぎ融資利用時の注意点
つなぎ融資は住宅ローンとは性質が異なっており、メリットもデメリットもあることがわかります。つなぎ融資を利用する場合、どのような点に注意しておくといいのでしょうか。この項目では利用する場合の注意点について説明します。
金額や融資回数の制限
つなぎ融資は、借り入れる金額や融資の回数に制限があります。金融機関によって異なるため一概にはいえませんが、通常土地の購入、着工金、中間金は、引き渡しまでに融資が必要となり、最大3回とするケースが一般的です。融資の金額は、住宅ローンの4割程度であったり、全額であったりさまざまです。
一時的な支払いがどの程度必要で、どのくらいの金額が融資可能なのか前もって金融機関に問い合わせておきましょう。
住宅ローン審査通過の必須条件
融資をうけるには住宅ローンの審査に必ず通過していなければいけません。住宅ローンが通っていなければ、つなぎ融資を利用する意味がありませんので当然かもしれません。つなぎ融資は、住宅ローンを申し込んでいる金融機関に頼まなければいけない点も、注意が必要です。
取り扱い金融機関の少なさ
取り扱っている金融機関が少ないという点もデメリットです。マイホーム建築などで、最初からつなぎ融資が必要だとわかっている場合は、つなぎ融資の取り扱いがある金融機関を選ぶ必要があるでしょう。
取り扱う金融機関の少なさが、住宅ローンの申し込みにも影響します。
つなぎ融資の総まとめ
マイホームを建築するにあたり、引き渡しまでにいくつかの費用が発生します。住宅ローンの実行までにまとまった資金が必要になるケースがあり、つなぎ融資を利用することによって自己資金がなくても対応が可能です。
金利が高い点や、住宅ローン控除の対象外であるなどのデメリットもあります。取り扱う金融機関が限られているといった点にも注意が必要です。
特性を掴み、上手に利用すると、非常に有効的な融資ともいえるでしょう。