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2024/08/06最終更新⽇時
2024/08/06離婚する場合に住宅ローンはどうなるの?
- 融資・ローン

Contents

- 「離婚したい方」
- 「離婚の場合の住宅ローンに興味がある方」
- 「離婚に不安がある方」
- 「離婚後の住宅ローンについて知りたい方」
この記事では、離婚の際の住宅ローンについて初心者の方にもわかるように解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
離婚時に住宅ローンどうする?最初に確認するポイント
離婚を検討する際には、「自宅の処分はどうするべきか?」や「住宅ローンについてどのように対処するべきか?」など、多くの人が悩むポイントが存在します。居住を続けるのか、それとも売却するのか、そしてどちらが住み続けるのかといった決定が、離婚における話し合いの内容を大きく左右します。この文では、離婚時における様々なケースごとの住宅ローンの支払い方や留意点に焦点を当て、その解説を提供いたします。
確認するポイント
家の名義人
住宅の売却に際しては、登記上の名義人が唯一売却の権限を有しています。そのため、売却を考えている場合には、家の所有者が誰かを正確に把握しておくことが必要です。夫婦での共有名義が一般的な場合もありますので、確認が不可欠です。家の所有者が分からないケースや相続に関する場合、または以前に購入した経緯が分からない場合には、法務局で登記簿謄本を入手することで、所有者を確認することが可能です。
残債額
住宅ローンを返済中の場合、売却を考える際には残債額を確認し、その金額に基づいてどれだけの売却額が必要かを計算することが不可欠です。
住宅ローン残債の確認方法は複数あります。年次で送付される金融機関の「残高証明書」や、契約時に受け取る「返済予定表」、または銀行の窓口を利用する方法があります。一部の金融機関ではネットバンキングを通じていつでも残債を確認できますが、その際にはオンラインサービスへの登録が必要です。
住宅ローン残債が売却額よりも少なく、差額が生じる場合を「アンダーローン」と呼びます。逆に、住宅ローン残債が売却額を上回り、完済が難しい状態を「オーバーローン」と言います。
アンダーローンの場合、売却額で住宅ローンを返済し、残った資金を夫婦で分配することが可能です。しかし、オーバーローンの場合は、売却額での完済が不可能なため、不足分を現金で補填するか、住宅ローンを離婚後も継続して支払う必要があります。 (具体的な対処法についてはこちらをご覧ください。)
このように、住宅ローン残債によって売却後の手続きが異なるため、残債額を確認しておくことが肝要です。
契約内容
離婚後の住宅ローンの返済責任は、基本的には契約上の債務者がその負担を負います。従って、具体的な契約内容を確認し、債務者が誰であるかを明確にすることが非常に重要です。夫婦で住宅ローンを結ぶ場合、3つのケースが考えられます。
連帯保証人でも連帯債務者でもない場合
連帯保証人でも連帯債務者でもないケースでは、住宅ローンの支払いに関する法的な義務は発生しません。財産が債務超過である場合、財産分与を請求することは難しいかもしれませんが、お互いが協議によって、もう片方が残債を住宅ローンの債務者に支払うことを取り決めることが可能です。
より詳しく説明すると、連帯保証人とは、主に返済保証の立場で契約に関与する者であり、連帯債務者とは、借り入れ契約の当事者として実際に債務を負う者です。これらに該当しない場合、法的な支払い義務は存在しません。ただし、夫婦間での話し合いにより、債務残高の支払いに関して合意できる余地があります。
連帯保証人の場合
夫婦の中で一方が債務者であり、もう一方が連帯保証人となる「連帯保証型」の住宅ローン契約では、連帯保証人は債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合にのみ、返済義務が発生します。この契約形態では、連帯保証人が支払いを求められた場合、拒否することはできません。
詳しく説明すると、連帯保証人は債務者が住宅ローンの返済を履行できなくなった際に初めて保証の義務が生じ、その結果、連帯保証人に対して返済が要求されることになります。なお、連帯保証人は支払い請求があれば拒否することができません。
連帯債務者の場合
連帯債務とは、一つの債務に対して複数の当事者が共同で返済義務を負う仕組みです。夫婦が「連帯債務型」の住宅ローン契約を結んでいた場合、双方は同等の返済責任を共有し、お互いに同じく債務の返済に責任を持つこととなります。
離婚の後でも家に住むためには?
夫が住み続ける場合の手続き
夫が住み続ける場合、自宅の名義人と住宅ローンの債務者が双方とも夫の場合でも、特定のケースでは手続きが必要です。たとえば、離婚時におけるマイホームの評価額が住宅ローン残額を上回っている場合、そのプラス分に関する財産分与手続きが必要です。財産分与は通常、夫婦で均等に分け合う原則が適用され、プラス評価額の半分に相当する金額を夫から妻に支払う必要があります。
さらに、妻が住宅ローンの連帯保証人である場合、金融機関との交渉を通じて連帯保証人から外れる必要があります。ただし、金融機関の了承を得ることは一般に簡単ではなく、外れる際には保証協会の利用や一括での入金などが条件となることも留意しておくべきです。
連帯債務から単独債務に変更する
離婚後に夫がマイホームに住む場合、夫婦の共同債務から夫の単独債務への切り替えが一つの選択肢となります。夫が主債務者で妻が連帯債務者として共同で組んでいた住宅ローンを、夫が1人で新たな住宅ローンに切り替えることで、単独債務に変更できます。ただし、この場合、夫婦合算収入に基づいていた初めの住宅ローンと比べて、夫が新たに借りる住宅ローンの額が低くなる可能性があります。もし連帯保証人が妻以外を求められる場合は、保証協会などを活用して対策が必要です。
なお、夫婦の連帯債務から夫の単独債務へ変更すると、妻側に贈与税が課税される可能性があります。具体的には、夫婦が共同で返済していた住宅ローンを夫が単独で一括返済することになり、本来妻が担当するはずだった返済が夫によって代わりに行われる形となります。これが贈与と見なされ、妻に対して贈与税が課税されることになります。贈与税を回避したい場合は、離婚時に妻側の住宅ローンを一括返済するなどの対策を講じることが重要です。
が住み続ける場合の手続き
別の銀行で住宅ローンを借り換える
年収の低下により返済が困難になる懸念があるため、銀行は離婚時に債務者を夫から妻に変更したり、連帯債務を単独債務に変更したりすることを容易には認めてくれません。夫が居住するマイホームの債務者名義を将来的に妻に変更したい場合は、住宅ローンの借り換えを検討することが必要です。ただし、この際には新たな住宅ローン審査が必要となり、妻の年収や勤続年数によっては借り換えが難しい可能性もあります。
年収が減少し、返済に不安がある場合、銀行は通常、離婚に伴う債務者の変更や連帯債務の単独債務への変更を簡単には認めません。将来的に夫妻の共同住宅の債務者名義を変更したい場合は、住宅ローンの借り換えが適切ですが、このプロセスでは新たな審査が必要となり、妻の経済状況によっては借り換えが難しい場合も考えられます。
公正証書を作成して一方が払い続ける
借り換えが難しい状況で、子どもや生活費などの事情から引き続きマイホームに住み続けたいと望む妻にとって、解決策として考えられる手段があります。その一つは、住宅ローンの完済後に家の所有名義を夫から妻に変更する取り決めを公正証書に記載しておくことです。この方法では、夫が住宅ローンを引き続き支払い、妻はそのまま住み続けることが可能です。
不倫などにより離婚の責任がある場合、夫が住宅ローンを引き続き支払うことを慰謝料の一環として取り決めることも可能です。このような合意により、妻がマイホームに住み続けるための負担を軽減できます。
なお、家の売却を検討している場合は、不動産一括査定が有益です。フォームを入力することで複数の不動産会社から査定結果を得られ、高い査定額や迅速な売却が実現しやすくなります。
離婚時に住宅ローンの残債がある場合の対処
どちらかがそのまま住み続ける
住宅ローンの名義人が夫であり、離婚後も夫がそのまま家に住み続ける場合、特に手続きが煩雑になることはありません。夫は引き続きローンの支払いを担当し、家に住み続けることとなります。ただし、注意が必要なポイントも存在します。例えば、妻が連帯保証人になっている場合、夫がローンの支払いを滞った際には妻にも返済義務が発生することに留意しましょう。住宅ローンの連帯保証人を変更することは一般的に難しいため、夫婦で共有名義の場合、ローン完済後に家の名義を夫1人のものに変更する合意が重要です。
夫の支払いが滞ると、妻が家を退去させられるリスクも存在します。ローンの名義人変更は難しいケースが多いものの、妻が安定した収入を有していて、かつ条件が整えば名義人変更が可能な場合も考えられます。したがって、妻がローンを支払える安定収入がある場合は、名義人変更を検討することが適切です。
家を売却する
住宅ローンの残債を返済する手段として、家を売却することが考えられます。この場合、売却価格が住宅ローンの残債を上回る場合、その差額で住宅ローンを完済できることになります。住宅ローンの残債が完済されると、その後の手続きとして売却に伴う諸経費を差し引いた残金は夫婦2人で均等に分配されます。
このプロセスにより、夫婦双方が共同で所有していた住宅を売却し、売却額が残債を上回ることでローンの完済が実現します。その後の残金の折半により、離婚後の財産分与が円滑に進行します。この手続きにおいては、売却時の市場価格や不動産の需要供給状況などが影響を与えるため、慎重かつ適切なタイミングでの売却検討が重要です。
売却方法「仲介」
家を売却する際、最も一般的なアプローチは不動産仲介を活用する方法です。これは、不動産会社に家の売却を委託し、買主を見つけてもらう手段で、通常は個人が買主となります。
仲介による売却の主なメリットは、不動産市場の相場価格に基づいて、売主が望む販売価格を設定できることです。これにより、売却額が最大限に引き上げられる可能性があります。一方で、デメリットとして挙げられるのは、仲介による売却までにかかる時間の長さです。
仲介による販売期間は、通常で言うと売り出しの段階から現金化までに4ヶ月から6ヶ月ほどかかります。物件の状態や条件によっては1年以上かかる場合もあり、また売却が難しいケースも考えられます。さらに、仲介業者や内覧者が頻繁に訪れることから、近隣に売却が知られることも検討すべき点です。
売却方法「買取」
不動産買取は、不動産買取業者に直接家を売却する方法であり、買主は主に不動産会社や専門業者となります。
買取による売却の最大の利点は、短期間で家を現金化できることです。通常、買取業者による1回の査定で価格が確定し、売却にかかる時間が短縮されます。交渉によっては、最短1週間から最長1ヶ月程度で現金を手にすることができます。また、買取での売却では仲介手数料が無料であることが一般的です。さらに、仲介業者や内覧者が頻繁に訪れないため、売却の進捗を秘密裏に進めることができます。
ただし、売却価格が仲介に比べて60%から70%程度になるという点が大きなデメリットです。また、買取を行っていない不動産会社も多いため、買取業者を見つける際には時間や手間がかかる可能性があります。
4.まとめ・終わりに
住宅ローンが残っている場合でも、離婚は可能ですが、オーバーローンの状態では自己資金が不足すると住宅の売却で完済できないため、一方がローンの支払いを続ける必要があります。
住宅の所有者であり、かつローンの支払い名義も夫単独の場合、夫が住み続ける手続きは比較的簡単です。ただし、妻が何らかの事情から住み続けなければならない場合は、トラブルを回避するために住宅ローンの借り換えや公正証書の作成などの方法を検討することが重要です。