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2024/01/10最終更新⽇時
2024/01/10リ・バース60の融資限度額を徹底解説!決定要因と変動の理由
- 融資・ローン

Contents

\こんな方に読んでほしい/
- リ・バース60って何?
- リ・バース60の融資限度額はリバースモーゲージと違う?
- リ・バース60の融資限度額は変わることがある?
今回はリ・バース60の融資限度額を解説するにあたって、リバースモーゲージとの違いや「そもそも担保とは何か?」についても触れています。
リ・バース60が気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
高齢者向けローン「リ・バース60」とは?特徴と利用条件を解説
高齢者が住宅ローンやリフォームローンなどを利用しようとした場合、収入や年齢制限などの融資条件により、新たに融資を受けることができないことが多いです。
そこで、満60歳以上の方でも融資を受けられるのが「リ・バース60」です。
リ・バース60とは、民間の金融機関と提携して住宅金融支援機構が融資している満60歳以上の方向けの住宅ローンの1つです。
通常のローンでは「元利一括返済」という返済方式を取り入れることが多い、つまり契約終了時に元本と利息をまとめていっぺんに返済しなければなりません。
しかし、リ・バース60の返済方式は「元本一括返済」です。
つまり、契約者の存命中は受けた融資の利息分だけを返済し、契約者の死亡後に担保である自宅を売却することでその売却代金でローンの残債を一括返済することになります。
ちなみに、「リ・バース50」という商品もあります。
こちらは担保掛目の割合が低くなってしまいますが、満50歳以上満60歳未満の方を対象としていますので、年齢によってリ・バース60の対象外となってしまった方でも利用可能です。
担保掛目(たんぽかけめ)・・・担保物件の価格よりも低く評価する時の比率
リバースモーゲージとの違いを徹底比較!リ・バース60の特徴とは
住宅ローンに詳しい方は、「あれ、リバースモーゲージとは違うの?」と思ったのではないでしょうか?
- 「高齢者向けのローン商品である」
- 「自宅を担保にしてローンを組む」
- 「契約者の存命中は利息分だけを返済する」
- 「契約者の死亡後に自宅を売却する」
など、実は基本的な仕組みは「リバースモーゲージ」も「リ・バース60」も同じです。
しかし、実は両者には確かに違いがあります。
リバースモーゲージ | リ・バース60 | |
資金使途 | 制限なし | 制限があり |
融資限度額 | 低い | 高い |
金利 | 高い | 低い |
年齢制限 | 各金融機関によって 制限あり | 60歳以上 (上限なし) |
上記の中でとくに大きく違う点は、「資金使途」です。
リバースモーゲージでは、資金使途が生活資金や老後資金など制限がないことが多いため、比較的さまざまな使い方ができます。
しかし、リ・バース60はあくまでも住宅ローンの1種です。
よって資金使途は、住宅の購入・建築・リフォーム・住宅ローンの借り換えなど、住宅に関する使い方に限定されています。
ただし、金融機関によって利用可能年齢や資金使途、融資限度額は異なりますので、融資条件の詳細は各金融機関に確認してみてください。
リ・バース60の融資限度額を決める3つの基準とは?
さて、今回の本題である、リ・バース60の融資限度額についてお伝えします。
まず、リバースモーゲージの融資限度額は基本的に担保評価額の50〜60%ほどと言われています。
(例)自宅の担保評価額1,500万円の場合、融資限度額は750〜900万円となる。
一方で、リ・バース60の融資限度額は、次の3つの中で最も低い金額となります。
- 8,000万円以下
- 所要金額の100%まで
- 担保評価額の50〜60%まで
しかし、満50歳以上満60歳未満の方でもリ・バース60を利用できる場合もありますので、その場合の融資限度額は担保評価額の30%となります。
逆に、担保となる自宅が長期優良住宅で契約者が満60歳以上の場合、融資限度額は担保評価額の55〜65%になります。
融資限度額を決める前に知っておきたい「担保」とは?
リ・バース60の融資限度額が決まる際には、「担保評価額」が重要になってきます。
では、その「担保評価額」が何かを説明する前に、そもそも「担保」が何かについて説明します。
担保についてある程度理解できている方は、この章は飛ばして次の章で「担保評価額」について見てみてください。
担保とは?基本的な概念とその重要性
ローンの話題になるとよく「担保」というワードが出ますが、そもそも担保とは何でしょうか?
それは、金融機関などからお金を借りる時にもしそのお金を返せなくなっても(=ローンを返済できない)、その返済を保証するためにお金を借りた人が金融機関などに差し出すモノのことです。
ですので、ローンの返済ができなくなった場合は担保からお金を生み出さなければならないため、担保には財産的価値が必要です。
担保の種類を理解しよう:人的担保と物的担保
では、その担保にはどんなモノが当てはまるのでしょうか?
実は担保には2種類あります。
人的担保(じんてきたんぽ)
人的担保とは、ローンの契約者がローンを返済できなくなった場合でも、代わりに返済を保証してくれる人のことです。
人的担保はさらに「保証人」「連帯保証人」「連帯債務」と3つの種類に分かれています。
しかし、どれも人が担保にかけられるということは同じですが、もちろん人をお金に換えることはできません。
ですので、契約者がローンを返済できなくなった場合は代わりに担保に入った人が残債を返済することになります。
物的担保(ぶってきたんぽ)
物的担保とは、人的担保の「モノ」バージョン、つまり担保にしたモノをお金に換えることでローンの返済を保証します。
物的担保には不動産、車、債券、預貯金など財産的価値のあるあらゆるモノが対象です。
正確には、物的担保はさらに「典型担保」と「非典型担保」に分かれます。
典型担保
典型担保・・・民法に規定されている担保物権のことです。
- 法定担保物権
- 留置権
- 先取特権
- 約定担保物権
- 質権
- 抵当権
非典型担保
非典型担保・・・民法に物件として規定されていない担保ですので、担保権設定契約を締結した当事者の合意によって発生します。
- 仮登記担保
- 譲渡担保
- 所有権留保
上記のように、典型担保と非典型担保の中にもそれぞれ種類がありますが、ここではあまり重要ではないため「こういう種類があるんだな」程度の理解で構いません。
リ・バース60の融資限度額はどう決まる?担保評価額とその計算方法
さて、「担保」については一通りご理解いただけたのではないでしょうか?
それでは、前述したリ・バース60の融資限度額の決め手の1つである「担保評価額」について解説します。
担保評価額とは?融資限度額に与える影響
担保評価額(たんぽひょうかがく)とは、金融機関で融資を受ける際に担保にする不動産の評価額のことです。
不動産評価額との違いとは?知っておきたい基礎知識
似た言葉に「不動産評価額」がありますが、これは意味が異なります。
不動産評価額とは、建物や土地などの不動産に関するあらゆる税金を算出する際に「基準になる不動産価値を表す価格」です。
この不動産評価額には5種類あり、「一物五価」と言われています。
- 地価公示(公示価格)
- 固定資産税路線価(固定資産税評価額)
- 相続税路線価(相続税評価額)
- 都道府県地価調査(基準地標準価格)
- 実勢価格
担保評価額はどのように求められる?
担保評価額=不動産評価額×担保掛目
リ・バース60の融資限度額は変動する?理由とその影響
リ・バース60を利用すると、契約後も融資限度額は変わることがあるのでしょうか?
答えは「イエス」です。
リ・バース60は基本的にはリバースモーゲージと同様の仕組みですので、リバースモーゲージにも同じことが言えます。
融資限度額の変動要因とは?地価や評価額の影響
リ・バース60で融資限度額が変わるのには、担保評価額が「不動産評価額×担保掛目」で求められるからです。
前述した内容をおさらいすると、リ・バース60では次の3つの中で最も低い金額が融資限度額となります。
- 8,000万円以下
- 所要金額の100%まで
- 担保評価額の50〜60%まで
[1つ目]or[2つ目]が最も低い金額となれば問題ありませんが、最も低い金額が3つ目でですと融資限度額は契約後も変動する場合があります。
なぜなら、そもそも不動産評価額は変動するものであり、それを担保評価額の算出に用いているからです。
不動産評価額はどのように変動する?
リ・バース60/リバースモーゲージにおいて、不動産評価額とはほぼ「地価」を意味します。
地価の下落を引き起こすのは、人口減少・デフレ・株価のピークアウトなどさまざまな社会的動向によるものです。
地価が下がるとどうなる?
地価が下がると以下のように、リ・バース60の融資限度額へ影響します。
[地価が下がることで起きる影響]
人口減少などの社会的動向
→地価が下がる
→担保の不動産評価額が下がる
→担保評価額が下がる
→融資限度額が下がる
→融資限度額を超えてしまう
→契約者の死亡後も借金が残る
リ・バース60に関するよくある質問【Q&A】
Q.1:担保物件の売却代金がローン残債を上回った場合、残ったお金はどうなりますか?
A.1:残ったお金は相続人が受け取ることができます。ただし、売却益が譲渡所得となり、所得税などが課税される場合があります。
Q.2:担保物件を売却してもローンの返済が残ってしまうとどうなりますか?
A.2:リ・バース60で契約者(債務者)の死亡後に担保物件を売却してもローンの返済が残ると、「リコース型」または「ノンリコース型」のいずれか2つのパターンに分かれます。
- リコース型:相続人がローンの残債を返済する義務がある
- ノンリコース型:相続人にローンの残債を返済する義務がない
リ・バース60においてはノンリコース型を利用する契約者が、なんと99%も占めています。
しかし、ノリコース型は返済義務がない分金利が高くなってしまいますので注意が必要です。
さらに、ローンの残債のうち返済不要となった部分は「債務免除益」とみなされます。
そうなると所得税などが課税されることがありますので、詳細は税理士などの専門家に確認してみてください。
まとめ:リ・バース60の融資限度額を正しく理解しよう
今回は、リ・バース60の融資限度額に着目してまとめて解説しました。
リ・バース60は資金使途が住宅関連に限られるという点において、リバースモーゲージと異なる商品です。
リ・バース60は、「8,000万円以下」「所要金額の100%まで」「担保評価額の50〜60%まで」のうち最も低い金額が融資限度額になることを必ず理解しておきましょう。
さらに、3つ目の担保評価額は変動する可能性があります。
担保評価額を求める際に不動産評価額が用いられ、その不動産評価額(≒地価)はさまざまな社会的動向により変動する可能性があるからです。
不動産評価額が下がることで、「融資限度額の引き下げ」ひいては「相続人に借金が残る」ことへと繋がる恐れがあります。
そうならないためには、融資限度額に対して余裕を持って融資を受けたりノンリコース型で契約したりすることで対策可能です。