投稿⽇時
2024/06/12最終更新⽇時
2024/06/125階建てから10階建てまで!ビル建築費と経営のポイント
- 不動産投資

Contents

「ビル経営は儲かるのか」
「ビルを建築することは難しいイメージがありますが、実は計画次第で現実的に取り組むことができます。」
街でよく見かけるビルも、アパートやマンションと同様にオーナーが存在し、同じように賃料を得ています。ビルを建築して経営することも、不動産投資の一つとして考えられます。
そこで本記事では、本記事では、ビルを建築して経営する際のメリットとデメリットに加え、建築を検討している方向けに構造や費用についても詳しく解説します。
ビル建築と経営のメリット・デメリット
初めに、ビルを建築して経営するメリットとデメリットを紹介します。
ビル建築と経営のメリット
- 高い賃料
- 税制上の優遇措置
- 立地の要件が緩和される
- 所得税の節税
- 相続税対策による納税資金確保
高い賃料収入
オフィスビルは、ビジネスや事務作業を行う場所として需要が高く、そのため賃料も高額に設定されます。ビジネスエリアに位置するオフィスビルは、ビジネス拠点としての重要性から、ほかの居住用物件よりも高い賃料が期待できます。また、ビジネスエリアの需要が高まると、賃料もそれに連動して上昇する傾向があります。
税制上の優遇措置と節税効果
オフィスビルの建設は、税制上の優遇措置を受けられる点が魅力です。相続税の場合、オフィスビルの評価額が他の用途と比べて低くなることがあります。これは、「貸家建付地」として評価され、土地の評価額が下がることによるものです。また、建物の減価償却費を経費として計上することで、所得税の節税効果が期待できます。
立地選びの柔軟性
アパートやマンションの建設には、建築基準法に基づく厳しい要件があります。しかし、オフィスビルの場合は、これらの要件が比較的緩和されています。周辺環境の影響も少なく、商業地域やオフィス街など、建設場所の制約が比較的少ないため、希望する立地に建築しやすいという利点があります。
所得税の節税
オフィスビルの経営開始時には、多くの場合赤字が発生します。しかし、この赤字は他の所得と通算できるため、所得税の軽減効果が期待できます。また、建物の減価償却費によっても節税が可能です。これにより、オフィスビル経営事業の立ち上げ初期における税金負担を軽減できるのです。
相続税対策としてのビル経営
オフィスビルの賃料収入を蓄積することで、相続時の納税資金を確保できます。この仕組みを活用することで、相続税の支払いに必要な資金を計画的に確保できます。納税資金は相続財産の一部となりますが、相続税の支払いをスムーズに行うことができます。
ビル建築と経営のデメリット
反対に、下記のようなデメリットも存在します。
- 景気に左右されやすい
- 退去、空室時のリスクが高い
景気変動によるリスク
ビル経営では、入居者となる企業の業績や景気動向に左右されやすいというデメリットがあります。例えば、景気が悪化すると企業の業績が低下し、オフィスや店舗スペースの需要が減少する可能性があります。とくに、コロナ禍の影響でテレワークが広まったことで、オフィススペースの需要が低下する傾向が見られました。このような変化により、ビル経営者は需要の急激な変動に対応しなければならないリスクがあります。
退去・空室リスクの高まり
ビル経営では、テナントの退去や空室が発生した場合のリスクが高いというデメリットがあります。賃料が高額である一方、テナント退去後の空室期間が長引くと収入減少のリスクが伴います。また、新しい入居者となる企業を見つけるプロセスについても、時間と労力がかかります。さらに、空室が続くとローンの返済が困難になるかもしれません。そのため、ビル経営者はテナントの入居継続や新規入居者の確保に常に注意を払う必要があります。
ビル経営は大規模な投資であり、景気変動やテナントの入退去によるリスクを考慮する必要があります。それに伴い、適切なリスク管理と柔軟な運営が求められます。
ビル経営に向いている人の特徴
ビル経営に向いている人について詳しく説明します。
- 人通りの多い場所や大通りに面した土地を所有している人
- 相続税対策をしたい人
賃料収入を確保しやすい立地を所有している人
ビル経営は、人通りの多い場所や大通りに面した土地を所有している人に向いています。なぜなら、ビルのテナントを見つけやすい場所であれば、賃料収入を確保しやすくなるためです。例えば、オフィスビルであれば主要都市の中心部、駅周辺などが適しています。これらの場所は多くの人が行き交い、テナントの店舗や事務所がより多くの人に目に留まりやすいため、空室リスクが低くなります。その結果、ビル経営者は安定した賃料収入を期待できるでしょう。
相続税対策を意識した人
ビル経営は相続税対策にも有効です。ビルの建設に使用された土地は「貸家建付地」と呼ばれ、相続税の評価額が更地の8割程度に安くなります。したがって、ビル経営を行うことで、相続税の負担を軽減することができます。とくに、賃貸住宅や商業施設として利用されるビルは、相続税対策の有効な手段として注目されているのです。
これらの要因を考慮すると、人通りの多い場所に土地を所有している人や相続税対策を考えている人にとって、ビル経営は魅力的な選択肢となります。ビル経営には多くのリスクや責任が伴いますが、適切な条件を満たす土地を所有している人にとっては、安定した収益を得るための手段として有益です。
ビルの構造と種類:選択のポイント
ビルの構造には、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の3種類があります。それぞれ解説します。
ビルの主要構造
鉄骨造(S造)
鉄骨造は、柱や梁などの骨組みに鉄骨を使用した構造です。鋼材の厚みによって重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分かれます。耐震性が高く、強度も優れているという点や、防音性があり、ビルや高層マンションに適しているという点があります。重量鉄骨造はとくに強度が高いです。
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋コンクリート造は、鉄筋の枠にコンクリートを流し込むことで作られる構造です。鉄筋とコンクリートが組み合わさることで強度が生まれます。鉄筋コンクリート造は、耐久性や耐震性が高く、耐火性にも優れる点、高層マンションなどに適している点、壁にも鉄筋が埋め込まれているため、間取りの自由度が低いという点の特徴を持っています。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
SRC造は、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造です。鉄骨と鉄筋コンクリートの組み合わせによって、耐久性や耐震性が向上します。この構造には、耐久性や耐震性に優れ、自由度が高いということや、大規模な建築物に適しているが、工期が他の構造よりも長くなることがあるという特徴があります。
これらの構造のうち、どの構造のビルを建築するかについては、建物の用途、建設費、耐久性などの条件を慎重に考慮して選ぶことが重要です。建物の高さや地震のリスクなども考慮して、最適な構造を選ぶことが重要です。
ビルの構造選びに影響を与える要因
ビルの構造を選ぶ際には、以下の詳細な要素を考慮することが重要です。
ビル建築費用と坪単価
ビルの建築費用は、構造の選択に大きな影響を与えます。鉄筋コンクリート造は一般的に建築費用が高く、鉄骨造や木造に比べて耐久性や耐震性が高いです。一方で、鉄骨造や木造は比較的建築費用が抑えられる傾向があります。建築費用の他にも、長期的なコスト(保守・修繕費用など)も考慮する必要があるでしょう。
耐震性と安全性
地震などの自然災害に対するビルの耐震性は、安全性を確保する上で非常に重要です。特に地震多発地域では、耐震性が高い構造を選択することが求められます。耐震性の高い構造としては、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造が一般的に選ばれます。これらの構造は地震に対する柔軟性や強度を備えています。
デザイン性と市場価値
ビルの外観や内装のデザインは、建物の魅力や利用価値を高める要素の一つです。特に商業施設やオフィスビルなどは、デザイン性が重視されます。鉄筋コンクリート造は、柱や梁の自由度が高いです。これにより、斬新なデザインや高層ビルの建築が可能となります。
ビル経営への影響
選択した構造がビルの経営に与える影響も考慮する必要があります。建物の耐用年数やメンテナンスコスト、賃貸価格などが影響を与えます。耐震性やデザイン性が高い構造を選ぶことで、将来的な入居率の向上や賃貸価格の向上につながる可能性があります。
これらの要素を総合的に考慮し、ビルの用途や立地条件、予算などに合わせて最適な構造を選択することが重要です。建築家や土地活用の専門家との協力や相談も必要です。
ビル建築にかかる費用の詳細
最後に、ビルの種類ごとの坪単価について解説します。
ビル建築費用の種類
オフィスビルの建築費用
通常のオフィスビルは、一般的な商業地区や繁華街の駅周辺に位置する中規模なビルです。主に10階程度の建物が該当します。
構造
- SRC造:105万円~125万円/坪
- RC造:90万円~110万円/坪
- S造:85万円~105万円/坪
テナント・雑居ビルの建築費用
テナント・雑居ビルは、様々な業種のテナントが入居する小規模なビルです。一般的には2階万円~5階程度の建物が該当します。
構造
- RC造:80万円~95万円/坪
- S造:75万円~90万円/坪
高層オフィスビルの建築費用
高層オフィスビルは、大規模な商業地区や都心部に位置する高層建築物で、一般的には10階以上の建物が該当します。
構造
- SRC造:125万円~165万円/坪
- RC造:110万円~130万円/坪
- S造:105万円~125万円/坪
地域ごとのビル建設費の相場
ビルの建設費は、地域によって異なります。一般的に都心部に近いほど建設費は高くなりますが、以下のデータは各地域の坪単価の一例です。
北海道のビル建設費
- SRC造:130万円
- RC造:78万円
- S造:75万円
東京都のビル建設費
- SRC造:174万円
- RC造:115万円
- S造:120万円
神奈川県のビル建設費
- SRC造:133万円
- RC造:82万円
- S造:89万円
福岡県のビル建設費
- SRC造:71万円
- RC造:73万円
- S造:74万円
鹿児島県のビル建設費
- SRC造:2,162万円
- RC造:89万円
- S造:69万円
以上のデータを見ると、一般的に都心部に近い方が坪単価が高く、地方ほど安くなる傾向があることがわかります。ただし、最近では建築資材の高騰などにより、どの地域でも建築費用が上昇しています。
まとめと今後のビル建設のポイント
ビルを建築して経営するメリット
- 高い賃料
- 税制上の優遇措置
- 立地の要件が緩和される
- 所得税の節税
- 相続税対策による納税資金確保
ビルを建築して経営するデメリット
- 景気に左右されやすい
- 退去、空室時のリスクが高い
ビル経営に向いている人
- 人通りの多い場所や大通りに面した土地を所有している人
- 相続税対策をしたい人
ビル建築にかかる費用
通常のオフィスビル
- SRC造:105万円~125万円/坪
- RC造:90万円~110万円/坪
- S造:85万円~105万円/坪
テナント・雑居ビル
- RC造:80万円~95万円/坪
- S造:75万円~90万円/坪
高層オフィスビル
- SRC造:125万円~165万円/坪
- RC造:110万円~130万円/坪
- S造:105万円~125万円/坪