自宅売却の税金徹底解説!控除の活用法と計算方法を徹底紹介

自宅を売却した際、実は様々な税金が発生し、売却者は支払い義務を負うことになります。具体的に自宅を3000万円以上で売却した際、その利益(譲渡所得)が課税対象になります。具体的には所得税と住民税が課されます。この贈与所得とはどのように計算されるのでしょうか。今回の記事では、贈与所得の計算方法をご紹介します。さらにそれぞれ課される税金の計算方法も解説しますので、ぜひ最後までお読みください!
Contents
自宅売却時に発生する税金の種類と基本知識
自宅を売却すると、印紙税・譲渡所得税・住民税・復興特別税といった税金が必ず発生します。
それぞれの税金について以下で詳しく説明します。
① 印紙税 → 契約書・領収書などにかかる税金のこと。不動産を売却した場合においては、不動産の売買契約書に対してかかります。印紙税額は契約金額に応じて200円から最高で60万円と幅広く設定されています。
② 譲渡所得税 → 自宅の売却後に発生する税金です。不動産の売却利益(譲渡所得)に対して発生します。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税率は、売却する不動産の所有期間によって変動します。所有期間が5年以下の場合は、「短期譲渡所得」となり税率が30%となります。5年以上の場合は「長期譲渡所得」となり、税率は15%と低くなります。
③ 住民税 → 住民税に関しても、譲渡所得と同様に物件の所有期間によって変動します。5年以下の場合は、「短期譲渡所得」となり税率が9%となります。そして5年以上の場合は「長期譲渡所得」となり、税率は5%になります。
④ 復興特別所得税 → 最後に、こちらの税金は2037年(令和19年)まで所得税に加算される税金です。東日本大震災からの復興に必要な財源の確保をするための税金となっています。2037年まで所得税の税率に2.1%が加算されます。
以上、自宅売却の際に支払う義務が生じる4つの税金をご紹介しました。
案外自宅売却の際には、発生する税金が多いことがわかったのではないでしょうか。
次に売却した際に利益が出る場合がありますが、その利益に対して発生する譲渡所得税があります。
まずは譲渡所得について解説していきたいと思います。
譲渡所得とは?自宅売却時の利益にかかる税金の仕組み
譲渡所得とは、国税庁のHPによると「一般的に土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得のこと。ただし、事業用の商品などの棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得にならない。」とされています。
*参考国税庁ホームページ
そのため、自宅を売却して得られる利益は、一時的なまとまった所得として譲渡所得に該当します。
譲渡所得の計算方法を徹底解説
譲渡所得は以下の方程式によって求めることができます。
譲渡所得の金額 = 譲渡による総収入金額 - 土地、建物などの取得費 - 譲渡費用
具体的に取得費とは、売った土地や建物を買い入れた時の購入代金や、購入手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費を加えた合計額を指します。
そして譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用を指しており、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売る時の取り壊し費用などです。
具体的にこのようなものになります。
*参考https://www.baikyaku.polusnet.com/column/detail.php?n=265
取得費とは?計算に必要な費用の内訳
- 購入代金、建築代金
- 購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税等)
- 仲介手数料
- 測量費、整地費、建物解体費
- 設備費、改良費
- 一定の借入金利子等
譲渡費用とは?減税に繋がる重要ポイント
- 仲介手数料
- 印紙税
- 借家人に支払った立退料
- 建物解体費
- 借地権の名義書換料
取得費と譲渡費用の金額が大きければ大きいほど、譲渡所得の金額は小さくなるので、課される所得税も小さくなります。そのために、取得費や譲渡費用などの領収書はきちんと保管しておく必要があります。数年前に自宅を購入して以来、領収書の場所を把握できていない方もいるのではないでしょうか。今のうちに探して出しておくことをオススメします。
また、譲渡所得を正確に求めるためにも、取得費や譲渡費用にかかった金額を出す必要がありますので、この点を留意していただけたらと思います。
譲渡所得税の税率は期間で変わる!長期・短期の違いを解説
譲渡所得税は、その不動産の保有期間によって決定されます。期間によって税率が定められており、5年以上の場合は長期譲渡所得として20.315%の税率が適用されます。
5年以下の場合は短期譲渡所得になりますので、39.63%の税率が適用されます。5年間を区切りとして、両者の間で19%もの差がつくことになります。
所有期間を数える時の注意点ですが、売却をした年の1月1日時点でカウントされます。そのため自宅を購入してから5年目の年に売却をしたとすると、まだ5年を経過していないことになりますので、短期譲渡所得が適用されることになります。
所得税と住民税の具体的な計算方法【例を使って解説】
譲渡所得の求め方がわかったので、実際の所得税がどのように計算されるのかをここでみてみたいと思います。
例えば
収入金額→5,000万円
購入価格→4,000万円(土地1,000万円、建物3,000万円)
購入時にかかった費用→100万(土地40万円、建物60万円)
売却にかかった費用→500万
という条件で、所有期間が3年だとします。
所有期間が5年未満の場合、39.63%の税率が適用されます。
減価償却費
(建物購入価格3,000万円+購入時にかかった建物の費用60万円)×90%×償却率0.015×経過年数3)=137万4300円
譲渡所得
収入金額(5,000万円)-取得費(購入時価格4,000万円+購入時費用100万円-減価償却費(137万4300円)-譲渡費用(売却時費用500万円)= 352万5700円
譲渡所得税の金額 352万5700円×39.63%=140万円 ※譲渡所得税において100円以下の金額は切り捨てます。
自宅売却時に使える税控除制度一覧
また前述でご紹介した譲渡所得税は、自宅売却の利益に対して発生するものです。しかし利益が出ていても、支払いが免れることがあります。それは、自宅売却に関する優遇制度や税免除制度が整備されているからです。
具体的に、マイホーム売却に限った制度ですと4種類ほど存在しています。
- 3,000万円の特別控除(①)
- 10年超えの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(②)
- 特定の居住用財産の買換え特例(③)
- 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(④)
税控除制度①:3000万円特別控除の条件と注意点
3,000万円の特別控除とは、3,000万円以下で自宅を売却した場合に譲渡所得税が控除される制度です。
適用条件は以下です。
- 自宅に住まなくなってから3年目の日が属する年の12月31日までに売却すること
- 以前に同じ土地を活用して利益を得ていないこと
- 売却年の2年前までこの特例を受けていないこと
- 売主と買主が親族や親子などの特別な関係にないこと
そして、この制度は1人につき3,000万円の控除になるので、夫婦の場合は6,000万円控除となります。非常に優遇される制度ですので、その後2年間は適用されなくなります。さらに、セカンドハウスや賃貸マンションは対象外となっています。
税控除制度②:10年超え軽減税率の特例とは?併用可能な控除制度
次に、居住用財産を10年以上所有した場合に適用される軽減税率の特例について解説します。売却する自宅の保有年数が10年を超える場合に適用できる制度です。
特例を適用した際の税率はこちらになります。
<6,000万円まで>
所得税→10.21% 住民税→4%
<6,000万円を超える部分>
所得税→15.315% 住民税→5%
となっています。
適用条件は
- 売却自宅が国内にあること
- 自宅に住まなくなってから3年目の日が属する年の12月31日までに売却すること
- 売主と買主が親族や親子などの特別な関係にないこと
以上です。
こちらの制度は制度(①)との併用が可能ですので、当てはまる方は積極的に利用されてください。
税控除制度③:居住用財産買換え特例で税金を繰り延べる方法
続いて特定の居住用財産の買換え特例についてご説明します。自宅売却をした後にマイホームを購入される場合に適用される制度です。一定条件を満たすことで売却利益に対する税金を繰り延べできます。
譲渡所得税が免除されるのではなく繰り延べされるので、次回また自宅買い替えを行う際には繰り延べ分も請求されることになることに、注意が必要です。
売却した自宅よりも新しく買い替える自宅の方が高いか同額の場合は、税金は全額繰り延べになります。新しいマイホームの方が安い場合は、その差額に税金がかかることになります。
注意したい点としては、制度(①)と制度(②)との併用ができないという点です。
一般的には、譲渡所得が3,000万円以下の場合は税額がゼロになる3,000万円特例控除が有利、譲渡所得が3,000万円を超えていれば、買い替え時に税金がかからない居住用財産の買い変え特例が有利とされています。
税控除制度④:損益通算と繰越控除で損失を賢くカバーする方法
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(④)についてご説明します。こちらは自宅売却の利益ではなく、損失が出た際にそのマイナス分を他の所得と合算して減税を図れるものです。
売却による損失を、給与と相殺することによって減税を図ります。損失が大きく1年では控除しきれない場合、売却した翌年から3年間繰越控除ができます。
以上、自宅売却の際に発生する税免除制度のご紹介でした。
【まとめ】自宅売却時の税金を正しく理解し、負担を軽減しよう
今回は、自宅売却をした際に支払い義務が発生する税金の種類をご紹介しました。発生する税金を事前に把握しておくだけでも、準備を進めやすくなります。譲渡所得に対する税金は自宅売却時特有のものです。売却を検討している方は、譲渡所得に関する知識を身につけておくことが重要です。
さらに、譲渡所得の計算方法についてご説明しました。過去の領収書などをご準備の上で一度計算を行ってみてください。そうすることで、おおよその所得税を先に知ることができ、その結果に応じて様々な策を練ることができます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。