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2024/07/01最終更新⽇時
2024/07/01土地に関する税金とは?節税対策には土地活用がおすすめ
- 税金

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土地は持っているだけでお金と手間がかかります。特に毎年の税金は固定資産税や都市計画税など、土地を所有するすべての方が課税対象です。しかし、土地をうまく活用することで、これらの税額を大幅に下げられます。
本記事では、土地に関わる税金について解説します。あわせて、それらの節税対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
土地活用で節税しやすい税金
土地を所有している場合、節税のポイントを抑えておけばさまざまな税金の負担を軽減できます。実際、土地活用ではどのような税金を節約できるのでしょうか。ここでは、土地活用によって節税できるかもしれない主な税金を紹介します。
相続税
土地の所有者が亡くなり相続が発生すると、相続税がかかります。相続税の金額は、不動産の評価額によって決まることが一般的です。
ただし、土地や建物などの不動産が常に高いわけではありません。時には現金よりも評価額が低くなることもあるのです。また、土地に賃貸物件などを建てることで一時的に評価額を下げ、相続税を節税できます。
固定資産税
固定資産税は毎年、土地や建物などの不動産所有者全員に課税されます。 固定資産税には土地や建物の状態によって、さまざまな減税措置が準備されているため、節税対策の中でも重要なポイントです。
また、詳しくは後ほど説明しますが、更地の土地は固定資産税が高額になりやすい傾向にあります。この場合は、建物を建てることで税額を大幅に減らすことが可能です。建物があると固定資産税は最大6分の1にまで減額されるため、かなり大きな節税効果が期待できます。
贈与税
贈与税は、土地や財産を贈与する場合にかかる税金です。 年間110万円までは非課税枠があり、それ以上の金額にのみ課税されます。贈与税の節税対策のときに、税理士や弁護士などの専門家が「贈与額が110万円を超えないように」と言われるのはこのためです。しかし、これは裏を返せば「贈与額にさえ注意すれば、贈与税は比較的簡単に節税できる」とも言えます。
また、不動産が現金よりも低い評価額の場合は、不動産にしてから贈与することで贈与税を節税できます。つまり、不動産の評価額の低さを逆手に取って節税する方法です。また、贈与税が高くなってしまう場合は、贈与税をあらかじめ支払っておくことで相続税を節税できます。
都市計画税
都市計画税は、不動産の所有者のうち、市街化区域内など特定のエリアにのみ課税される税金です。建物が建っている土地であれば、都市計画税が最大3分の1に減額されます。そのため、更地の土地に比べて大幅な節税効果が見込めるでしょう。
☆本章のまとめ
土地上に建物を建てる、賃貸物件を経営するなど、土地をうまく活用することで不動産に関わる税金を節約できる可能性があります。そのためには、所有者がみずから土地の活用方法を考案し、経営プランをしっかり練ることが重要です。その土地に合った活用方法で、節税効果を最大限に引き出しましょう。
固定資産税を節税したい場合
土地を所有している方にとって、固定資産税は毎年の負担となります。土地の状態や使い道、敷地面積によって税額が大きく異なる固定資産税ですが、節税するにはどのような対策を講じればいいのでしょうか。ここでは、固定資産税を節税したい場合のポイントを詳しく見ていきましょう。
土地を分筆する
土地の分筆とは、1つの土地を複数に分割して登記することです。この方法を用いることで、固定資産税評価額を下げられる可能性があります。ただし、分筆には測量や登記にも別途費用がかかるため、まずは弁護士などの専門家に相談しましょう。
登記簿と実際の面積を確認する
納税時期になると、各市町村の役所から「納税通知書」と「登記簿」が送られてきます。まずはこれらをしっかり比較し、記載内容に間違いがないかをチェックしましょう。特に、減税措置がきちんと適用されているか、新築物件においては評価額が軽減されているかなどを入念に確認することが重要です。
認定長期優良住宅の認定申請を行う
認定長期優良住宅に認定されると、固定資産税の減税期間が最大5年に引き伸ばされます(マンションの場合は最大7年)。
さらに、住宅ローン減税や登録免許税の税率引き下げなど、固定資産税以外の税金においても、認定長期優良住宅の認定は大きなメリットです。認定基準を満たすための手数料と手続きはきちんと把握しておく必要がありますが、節税効果は非常に高いためも多いため一考の余地はあります。
省エネ改修工事などのリフォームを行う
省エネ改修や耐震改修、バリアフリーなどのリフォームを行うことで、固定資産税が3分の1に軽減される場合があります。ただし、実際にかかった工事費用が対象になるわけではなく、国土交通省が設定した標準的な範囲でしか減税されないことに留意しておきましょう。その範囲は120平米までに限られるため、物件の大きさや工事内容によっては再考する必要があります。
☆本章のまとめ
固定資産税の節税には、不動産業者や司法書士など専門家の協力が必要です。わからないことがあればその都度相談し、適切な対策によって税金の負担を減らしましょう。
更地の固定資産税を安くしたい場合
一般的に、更地は宅地に比べて固定資産税が高くなる傾向にあります。更地の固定資産税額を抑える方法はあるのでしょうか。ここでは、更地の固定資産税を安くする方法について、以下の2つのポイントを解説します。
取り壊しは1月1日以降から始め、竣工は1月1日に間に合わせる
土地の固定資産税は1月1日時点の状態で決まります。そのため、取り壊しや新築のタイミングが重要です。このタイミングを間違えてしまうと、余計な固定資産税を支払わなければいけないので注意しましょう。具体的には、取り壊しは1月1日以降に行い、竣工は1月1日に間に合わせることがポイントです。
次の2つの例をもとに見てみましょう。
〈例1〉1月1日前に取り壊し・竣工した場合
取り壊し(損をする)
→1月1日前に取り壊してしまうと、その年度から土地は「更地」とみなされます。そのため住宅用地の特例が適用されず、宅地だった場合の3倍の固定資産税を納税しなければいけません。
施工(得をする)
→1月1日前に建物を竣工すると、その年度から土地は「住宅用地」とみなされます。そのため住宅用地の特例が適用され、固定資産税額がそれまでの1/3に軽減できます。
〈例2〉1月1日後に取り壊し・竣工した場合
取り壊し(得をする)
→1月1日後に取り壊しても、その年度の土地は「住宅用地」とみなされます。そのため、依然として住宅用地の特例が適用され、減税されたままの固定資産税を納税すれば問題ありません。
施工(損をする)
→1月1日後に建物を竣工すると、すでに建物が建っているにもかかわらず「更地」とみなされてしまいます。そのため住宅用地の特例が適用されず、減税していない状態の固定資産税額を納税しなければいけません。
このように、固定資産税を節税するためには、取り壊しや施工のタイミングを十分に検討することが重要です。適切な時期に作業を始めれば、住宅用地の特例が適用されて固定資産税を大幅に抑えられます。
共同住宅を建てる
更地の土地を活用する際は、共同住宅を建てることで固定資産税を大幅に安くできます。
なぜなら、共同住宅を建てると小規模住宅用地の特例が適用されるからです。これによって、
土地全体の課税標準額が固定資産税評価額の6分の1となります。
さらに、戸数が増えるほど特例の効果は大きくなるため、土地の有効活用には共同住宅建設が有効です。税金対策としての効果もかなり期待できます。
☆本章のまとめ
固定資産税の負担を軽減するためには、取り壊しや新築のタイミングに注意しましょう。また、共同住宅を建てることも税金対策に有効です。その土地に合った活用方法を見出し、固定資産税をより安く抑えられるよう資金プランを立てましょう。
土地を貸し出すことで節税対策をしたい場合
土地活用の中でも、特にオーソドックスなのが土地の賃貸借です。不動産所有者の中には、「建物を建てずに土地のみを貸し出したい」という方もいるはずです。実際、土地の賃貸による収入は、固定資産税の負担を大幅に減らしてくれます。ここでは、土地を貸し出すことで節税対策をしたい場合を詳しく見ていきましょう。
土地の貸し出し時の賃料
土地から得られる収入は、地代として知られています。その計算方法には複数のアプローチがありますが、方法としては「積算法」が一般的です。
地代(土地の賃料) = A更地価格(円) × B期待利回り2% + C必要経費
ここでは、期待利回りや必要経費などを考慮しなければいけません。たとえば、土地代5,000万円で50坪の土地を想定してみましょう。固定資産税そのほかの経費が50万円とすると、地代は次のように計算されます。
A更地価格 × B期待利回り2% + C必要経費= 5,000万円 × 2% + 50万円 = 150万円(地代相当額)
よって、この土地の賃料は150万円となります。
土地を貸し出すことで節税対策をしたい場合の注意点
①地代に消費税は課されない
土地を居住用途として貸し出す場合、その収入には消費税が課されないことに注意しましょう。これは、居住用地の収入が消費税の対象外だからです。そのため、土地を貸す場合には消費税を考える必要はありません。
②固定資産税額は変わらない
土地を貸し出した場合でも、固定資産税の支払いは土地のオーナーが担当します。ただし、貸し手が土地上にマイホームや事務所などの建物を建てる場合は、住宅用地の特例が適用され、固定資産税が減額されることに留意しましょう。
③相続税対策としても有効
土地を貸し出すことで、相続税の評価額が減額される場合もあります。さらに、貸した土地からの地代収入は相続税の課税対象外となりません。そのため、固定資産税と相続税を同時に節税できることになります。
④土地の貸し出し以外にも節税方法は存在する
土地を貸すこと以外にも、節税方法はいくつか存在します。たとえば、コインパーキング経営やアパート経営などがよくある活用例です。節税が目的なら、土地の貸し出しに絞らず、これらの活用方法を検討してみてもいいかもしれません。
☆本章のまとめ
土地を所有している場合、その活用方法によって節税効果が微妙に異なります。より多くの税金を節約するためには、不動産業者や司法書士など専門家の助言が不可欠です。土地の活用方法や節税効果についての正しい知識を得るためにも、まずは専門家に相談してみましょう。
土地の税金対策に関するよくある質問
土地の所有者であれば、税金対策について疑問や不安を抱くこともあるでしょう。ここでは、土地の税金対策に関するよくある質問にお答えします。
Q.1 節税効果があまり期待できない活用方法はありますか?
A.1 土地活用にはいくつかの方法がありますが、節税効果の低いものもあります。たとえば、駐車場経営や土地の賃貸、コインランドリー、資材置き場、自動販売機の設置などです。これらの方法は初期費用が安く、経営を始めやすいとされています。しかし、その分経費が少ないため、節税効果はあまり期待できないでしょう。
Q.2 土地の売却は節税になりますか?
A.2 土地を売却することでも節税効果は期待できます。売却すれば、固定資産税や都市計画税の課税対象外となるからです。短期的な節税効果が望めますが、ほかの土地活用のような長期的な節税効果は見込めません。
Q.3 土地活用で節税対策をするときのポイントはありますか?
A.3 土地活用で節税対策をするときは、次の5つのポイントを押さえておきましょう。
- 相続税、固定資産税、収入のバランスと優先順位を考える
- 二次相続を踏まえて資金プランを立てる
- 減税措置の効果や減税額をその都度チェックする
- 遺産分割が難しくなる可能性を考慮する
- 経営が順調に進められるかどうかシミュレーションしてみる
節税効果だけでなく、相続対策や経営の安定性を考えることも大切です。
いかがでしたか?
今回は土地の税金対策について解説しました。土地に関する税金を節約するためには、土地活用が効果的です。土地上に建物を建てたり、賃貸したりすることで減税措置が適用され、毎年の固定資産税や都市計画税を大幅に抑えられます。土地を所有している方は、これを機に税金対策を始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献