マンションの建築費用はいくらくらい?費用相場や建築費用を安くするコツを解説!

マンションの建築費用はアパートの建築費用と比べると高くなる傾向にあります。なぜならマンションは階数が多いことから重量が重くなるため、必然的に坪単価の高い鉄骨や鉄筋コンクリートを使わなければならないからです。

一方でマンションは耐久性・耐震性・遮音性に優れているという側面から収益率が高く、賃貸経営に向いているともいえます。そのためマンションを経営してみたいと思う方も少なくないでしょう。

そこで本記事ではマンション建築時にかかる費用の相場や、建築費用をおさえる方法について解説します。

この記事を読むことで、あなたが建てたいマンションの費用相場や、建築費用をおさえるコツがわかるでしょう。

マンションにかかる建築費用の相場はいくらくらい?        

マンションを建築する際にかかる費用は次の3つの要因に左右されます。

  • 構造別の建築費用の坪単価
  • 地域別の建築費用の坪単価
  • 階数別の建築費用

構造別の建築費用の坪単価

マンションの建築費用は、建物に使用する建築材料によって大きく左右されます。不動産業界上は3階建て以上の集合住宅をマンションと呼びますが、3階建て以上になると耐震性や構造の安定性の観点から丈夫な材料でなければ建設できないようになっています。したがってマンションを建築する場合は、重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄筋鉄骨コンクリート造のいずれかの材料で建築することがほとんどです。もし仮に軽量鉄骨造や木造でマンションを建築した場合は重量を支えきれなくなる可能性が高いでしょう。一番建築費用が安く済む材料は鉄骨造です。その次に鉄筋コンクリート造ついで鉄筋鉄骨コンクリート造の順番で費用が高くなっていきます。構造別の大まかな費用相場は次の通りです。

構造坪単価
鉄骨造90万円~120万円
鉄筋コンクリート造100万円~130万円
鉄筋鉄骨コンクリート造110万円~140万円

たとえば1階あたりの坪数が100㎡で5階建ての鉄骨造マンションを建築する場合の費用目安は90万円×100×5=4億5,000万円です。

なぜ鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造の方が建築費用が高くなるのかというと、鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造は、その名の通り鉄筋や鉄骨で基盤をつくりそこにコンクリートを流し込みます。コンクリートは固まるまで時間がかかるため工期も長くなりがちです。またこれらの構造は現場で柱や梁を作っていきます。つまり工場で部品の大量生産ができないのです。したがってコンクリートを流し込む以外の部分でも時間がかかります。そのほか鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造は重量が重くなるため地盤改良や杭基礎等を補強する作業も必要になります。木造や鉄骨造では不要な作業もしなければならないのです。作業量や工期から考えても工数が多くなるためその分必要となる職人の人数や人件費がかさみます。そのためどうしても鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造のマンションは建築費用が高くなるのです。

なお建築材料の価格は市場や需要供給のバランスなどによって変化するため、建築するタイミングによっては材料費が高くなっている可能性があります。

地域別の建築費用の坪単価

マンションの建築費用は地域によっても異なります。これは地域ごとに建築材料の費用が異なることが要因と言えます。たとえば北海道の構造別坪単価は次の通りです。

≪北海道の構造別坪単価≫

構造坪単価(目安)
木造48万円
鉄骨造68万円
鉄筋コンクリート造77万円
鉄筋鉄骨コンクリート造190万円

一方他の地域の場合はどうでしょうか?

≪東京の構造別坪単価≫

構造坪単価(目安)
木造73万円
鉄骨造94万円
鉄筋コンクリート造104万円
鉄筋鉄骨コンクリート造290万円

≪愛知県の構造別坪単価≫

構造坪単価(目安)
木造56万円
鉄骨造78万円
鉄筋コンクリート造85万円
鉄筋鉄骨コンクリート造189万円

≪大阪府の構造別坪単価≫

構造坪単価(目安)
木造58万円
鉄骨造78万円
鉄筋コンクリート造90万円
鉄筋鉄骨コンクリート造201万円

この表を見てもわかるとおり、地域によって構造ごとの坪単価が大きく異なります。北海道と東京で比較すると、東京の方が全体的に30万円ほど坪単価あたりの建築費用が高いです。

なぜここまで地域によって建築費用に差が出るのか、その大きな要因は都心部の方が建築材料費や人件費が高い点です。とくに都心部の建物が密集したエリアは道路の広さ的に重機を入れられず、人力で作業することが多いです。そのため人件費がかかってしまいます。

階数別の建築費用

マンションの建築費用は建築するマンションの階数によっても変動します。たとえば4階建てのマンションの場合の建築費用は、坪単価×1階あたり床面積×4階という計算式で算出します。この計算式からもわかるように単純にマンションの階数が5階、10階と大きくなっていけば、それに比例して建築費用も高くなっていくのです。

階数ごとのマンション建築費の目安は次の通りです。なおこの表は次の条件で計算しています。

鉄骨造:100万円/坪

鉄筋コンクリート造:130万円/坪単価

鉄筋鉄骨コンクリート造:160万円/坪単価

1階あたりの床面積50坪(10階建てまで)

1階あたりの床面積80坪(15階建て以上)

 鉄骨造鉄筋コンクリート造鉄筋鉄骨コンクリート造
2階建て1億円1億3,000万円1億6,000万円
3階建て1億5,000万円1億9,500万円2億4,000万円
4階建て2億円2億6,000万円3億2,000万円
5階建て2億5,000万円3億2,500万円4億円
15階建て12億円15億6,000万円19億2,000万円
30階建て24億円31億2,000万円38億4,000万円

これらの建築費用はあくまでも目安です。実際の建築費用はマンションの大きさや導入する設備などによっても変動します。参考程度にお考えください。

マンション建築費用の内訳

マンション建築費用の内訳は次の通りです。

  • 本体工事費                                                                                               
  • 付帯工事費                                                                                               
  • その他諸費用

本体工事費

マンションの建築費用のうち大部分を占めるのが本体工事費です。本体工事費は次の計算式で算出します。

本体工事費=坪単価×延べ床面積

たとえば坪単価が100万円、延べ床面積200坪の鉄骨造5階建てマンションを建築する場合の本体工事費は次の通りです。

本体工事費=100万円×200坪=2億円

本体工事のうちわけは基礎部分・躯体・外装・内装などです。

付帯工事費

付帯工事とはマンション本体以外の工事のことです。付帯工事には次のようなものが該当します。

  • 電線の引き込み
  • 給水管・排水管の設備導入
  • 敷地造成
  • 杭うち
  • ガスの引き込み
  • 外構工事

本体を建築しても電気・ガス・水道などのライフラインが整わなければ生活していけないでしょう。付帯工事とは人が生活できるようにするためのインフラを整える工事なのです。

付帯工事の費用は本体工事費の20%〜30%が相場です。

たとえば本体工事費が1億円の場合次のような計算になります。

付帯工事費=1億円×20%~30%=2,000万円~3,000万円

その他諸費用

マンションの建築には本体工事費、付帯工事費のほか諸費用がかかります。諸費用とは次のようなものです。

  • 設計料
  • 水道分担金
  • 登録免許税
  • 印紙代
  • ボーリング調査費用
  • 測量費
  • 火災保険料・地震保険料
  • ローン手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 専門家報酬

マンションを建築する際は事業用ローンを組むことがほとんどです。つまり建築費用が数千万円から数億円かかったとしてもローンで返済していくことになるのです。しかし諸費用に関してはローンに算入できないことが多い傾向にあります。したがって諸費用をローンに算入できない場合は自己資金でまかなう必要があることを覚えておきましょう。

分譲マンションの建築費用はどのくらい?

2022年の分譲マンションにおける建築坪単価は鉄筋コンクリート造の場合約90万円/坪となっています。分譲マンションの建築坪単価は2011年時点では約60万円/坪でしたが、2015年では約78万円/坪、2022年では約90万円/坪と年々増加傾向にあります。

分譲マンションの地域別での建築費用目安は次の通りです。

地域坪単価(目安)
東京都105万円
石川県104万円
秋田県100万円
富山県99万円

この表をもとに分譲マンションの建築費用をシミュレーションしてみます。

(例)東京都で延べ床面積500坪の分譲マンションを建築した場合

建築費用=105万円×500坪=5億2,500万円

国土交通省から発行されている建築単価の推移

国土交通省から発行されている建築工事費調査の概要における建築単価の推移を令和3年完成分と令和4年完成分を比較した場合の結果は次の通りです。

構造2022年2023年
木造19.1万円/㎡18.1万円/㎡
非木造(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)25.3万円/㎡25万円/㎡

国土交通省の建築工事費調査の概要(令和3年完成分および令和4年完成分)引用

この表からわかるとおり、2022年から2023年の1年間で木造と木造以外の建築単価はどちらもわずかに下がっています。

また工事実施額に関しても、2022年は木造で11兆円、非木造で17兆円だったのに対し、2023年は木造で9兆円、非木造で15兆円と少なくなっています。つまり2022年から2023年の1年間で建築単価はわずかに下がり、工事実施額も少なくなったということです。

マンションの建築費用を安くおさえる方法     

マンションの建築費用を安くおさえる方法は次の通りです。                                                                                   

  • 複数の建設会社に相談する                                                                                      
  • 建てたいマンションの適正価格を把握する
  • シンプルなデザインにする・設備のグレードを低くする
  • 設計と建築は同じ会社に依頼する                                             

複数の建設会社に相談する

マンションの建築費用を安くおさえたい場合は、複数の建築会社や土地活用会社に相談しましょう。なぜなら複数社の見積もりをとることで、建築会社、土地活用会社ごとのメリット・デメリット、費用目安がわかるからです。また複数社に見積もりをとることで、A社では2,000万円だったからB社は1,900万円であれば建築を考えるなどのように交渉の武器になります。

1社2社だけに相談するのではなく最低でも5社以上に見積もりや相談をお願いしましょう。

建てたいマンションの適正価格を把握する

マンションを安く建築したいからといって、安さばかりを求めることはおすすめできません。なぜなら建築材料を粗悪な物にしたり、工事の手を抜いたりする業者がいるからです。建築完了後に不備が見つかれば大幅修繕工事が必要になるかもしれません。そうならないためにも、建てようとしているマンションの適正価格や相場はいくらなのかを把握しておくことが大切です。

シンプルなデザインにする・設備のグレードを低くする

マンションの建築費用は外観や内観のデザインにこだわるほど高くなります。そのため建築費用を安くおさえたい場合は、シンプルなデザインにしましょう。また設備のグレードを低くすることでも建築費用はおさえられます。設備を最低限のグレードにしたとしても生活する上での違いはそこまで感じられないでしょう。基礎となる外観や内観、建築手法など以外の部分にこだわらないことが建築費用をおさえる上では重要です。

設計と建築は同じ会社に依頼する

マンションを建築する際は、設計と建築を業者に依頼しなければなりません。設計と建築の業者を別にした場合と、一緒にした場合では設計費が異なるため、安くおさえたい場合は、設計と建築を同じ会社に依頼しましょう。

設計と建築を別会社に依頼した場合の設計費:本体価格の7%~8%

設計と建築を同じ会社に依頼した場合の設計費:本体価格の1%~3%

たとえば本体価格が5,000万円の場合、別々に依頼すると350万円〜400万円の設計費用になります。一方同じ会社に依頼した場合は50万円〜150万円の設計費用になります。

このように設計と建築を別会社に依頼する場合と同じ会社に依頼する場合では大幅に設計費用が変わるのです。

マンションの建築費用に関するよくある質問

マンションの建築費用に関するよくある質問は次の通りです。

  • 20階建てのビル建設費用はどのくらいですか?
  • 何階建てのマンションを建てると儲かるのでしょうか?

20階建てのビル建設費用はどのくらいですか?

ビルの建築費用は建物の構造や地域によっても異なりますが、計算方法はマンションと同様に坪単価×延べ床面積です。

ここでは次の条件でシミュレーションしてみます。

  • RC造20階建て(坪単価80万円)
  • 経費は本体価格の10%
  • 延べ床面積は1,200坪

本体工事費用=80万円×1,200=9億6,000万円

付帯工事費=9億6,000万円×20%=1億9,200万円

諸経費=4億8,000万円×10%=9,600万円

合計=12億4,800万円

上記条件の20階建てビルを建築した場合の費用は、おおよそ12億4,800万円になります。

何階建てのマンションを建てると儲かるのでしょうか?

何階建てのマンションを建てれば儲かるとは一概には言えません。なぜなら儲かるかどうかは、マンションの階数よりもどこにマンションを建てるか、セキュリティが充実しているか、人気の設備が導入されているかなど、機能面や立地面の方が重要だからです。

儲かるマンションを建築したい場合は、立地や周辺環境・エリアの人口・発展していく見込みがあるかなどを調べたうえで、賃貸ニーズの高いエリアに建築しましょう。

まとめ:マンションの建築費用は構造・地域・階数で決まる

マンションの建築費用を左右する要因は次の通りです。

  • 構造
  • 地域
  • 階数

マンションの建築費用が一番安く済むのは鉄骨造です。鉄骨造はコンクリートを流し込む必要がないため、工期が鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造よりも短くなる傾向があります。したがって建築費用も安く済むのです。地域別での費用に関しては、地方よりも都心部の方が建築材の坪単価が高くなりがちです。なぜなら都心部は物価が高いことに加え、重機の入れないエリアが多いからです。重機が入れないということは人力で建築しなければなりません。そのため都心部の方が建築費用は高くなるのです。またマンションの建築費用は坪単価×延べ床面積で計算するため、単純に階数が増えれば建築費用はかさみます。このようにマンションの建築費用は構造・地域・階数の3つによって大きく左右されるのです。建築費用を安くおさえたい場合は、複数の建築会社に合い見積もりをとったり、設計と建築を同じ会社に依頼したり、マンションの相場を把握したりといった対策をとりましょう。土地活用サイトを利用すれば一度に複数社への見積もりを依頼できますので、ぜひ一度相談や見積もりを依頼してみてください。