アパート一棟買いの失敗を避けるために知っておくべきポイント

Contents
アパート経営のしくみ
アパート経営とは?基本を理解する
アパート経営とは、アパート1棟を購入し、その部屋を賃貸として貸し出すことで、入居者から家賃収入を得ることです。全戸数が入居者で埋まれば、その部屋数分の家賃がオーナーの収入になります。
家賃収入は将来の老後資金や教育資金として貯蓄することが可能であり、多くの人がアパート経営を副業として始めています。
ただし、家賃がそのままオーナーの利益になるわけではありません。アパート経営には管理費、修繕費、ローン返済費用などがかかり、これらを差し引いた分がオーナーの利益となります。
オーナーの業務には、入居者募集、家賃回収、建物管理などがあります。オーナーは自らアパートを管理することもできますが、管理会社に委託して業務を行ってもらうことも可能です。
管理会社に委託する場合、委託料がかかりますが、入居者募集や入居者への連絡などの業務を委託することで、家賃収入を得ることができるため、多くのオーナーが管理会社に委託しています。そのため、忙しい会社員でもアパート経営を実現でき、本業の収入以外に副収入を得ることが可能です。
アパート経営の流れ:成功するためのステップ
アパート経営を始めるには、まず物件探しから始めます。物件選びでは、立地条件や周辺環境などの情報収集が重要です。情報収集を怠って物件を購入すると、アパート経営が成功せず、失敗するリスクが高まります。
立地条件が悪いアパートは入居者が決まりにくく、家賃収入を得られずに赤字になることがあります。アパート選びでは、多くの情報収集を行い、希望に合う条件の物件を探しましょう。
物件が決まれば、不動産会社でアパートの購入手続きを行います。条件や引渡し時期の交渉を行い、その際に建物や室内の不具合がないかを確認することが重要です。
購入後に不具合が発覚し、突然修繕費用がかかることを避けるためにも、念入りに確認する必要があります。
購入が決まったら、入居者探しが始まります。中古アパートでは既に入居者がいるケースが多いですが、空室がある可能性もあります。
そのため、前オーナーが依頼していた管理会社に引き続き委託することも可能ですが、空室がある場合は入居者募集がうまくいっていないことを示しています。
アパート経営では入居者がいて家賃収入を得るため、新たに管理会社を探して依頼するのも良いでしょう。管理会社を選ぶ際には、入居者募集の方法や建物管理の方針、入居率を確認することが重要です。
物件探しも重要ですが、どの管理会社に依頼するかも非常に重要です。
アパート経営で失敗する人の特徴
アパート1棟購入で稼げると過信する人
アパート1棟を購入してオーナーになれば、入居者から家賃収入を得られると簡単に思ってしまいがちです。購入すれば稼げると思っている人は、アパート経営がうまくいかず失敗に陥る可能性が高いです。
アパート経営のメリットでもある家賃収入は、入居者がいないと得られません。入居者を決めるには、立地条件や周辺環境が充実したエリアの物件を選ぶ必要があります。
また、アパート経営は長期運営の投資になるので、様々な予測不能な事態が起こります。そのような事態が起きた時にその場で対応するのは難しく、事前に把握して対応するのとでは今後アパート経営を続けていく際に大きな差がでてきます。
家賃収入を得られるのは間違いではないですが、簡単に稼げると安易に考えるのはたいへん危険です。
リスクを把握せずに始める危険性
アパート経営は家賃収入が入るというメリットもありますが、デメリットもあります。デメリットとして主に挙げられるのは、空室リスク、家賃滞納リスク、修繕費リスク、災害リスク、家賃下落リスクなど様々なリスクが考えられます。
事前にこのようなリスクを把握せずにアパート経営を行うのは危険です。リスクを知ることで予測不能な事態が起きた時にスムーズに対応でき、最小限のリスクで抑えることが可能です。
リスクを把握するには、セミナーに参加したり、本でアパート経営についての知識を身につけるとよいでしょう。
収支計画の重要性:綿密な計画が必要
アパート経営は、毎月同じ額の家賃収入が入ったり、決まった額の支出があるわけではありません。
例えば、入居者がいなければ部屋数分の家賃収入が減ります。入居者が決まらない場合は、家賃を下げて募集をすることもあるでしょう。ローンの支払い金利が上がったり、突然修繕費がかかることも予想されます。
このように、収入と支出の金額は決まっていないので、収入より支出が多ければ赤字になりアパート経営を続けていくことが難しくなります。
そうならないためには綿密な収支計画を立てることが重要です。収支計画とは、収入から支出を差し引いて、手元にどれだけの利益が残るかを年単位でまとめることです。
とくに大規模修繕工事は一般的に約12年毎に行われます。その際にどのくらいの修繕費用がかかるのか計算しておくと、お金の動きを把握しやすいです。金利が上がったり、家賃が下がることをある程度予測して収支計画を立てると、何かあった時に対応しやすいです。
節税目的での購入は危険?その真実
アパート経営で得た家賃収入は、本業の給与課税所得と合わせて所得税や住民税を計算することが可能です。もし、アパート経営の所得が赤字になれば、給与課税所得より不動産の赤字分を差し引くことで、課税所得が低くなり、所得税、住民税も下がります。
不動産の所得を計算する際は総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。この必要経費の中に減価償却費というものがあります。
減価償却とは、不動産など価格が大きく長期間にわたって使用できる資産は、購入した年に経費計上せず、一定の期間にわたって経費として計上することが可能です。
実際には支出していない経費を計上して、会計上の赤字を作ることができ、アパート経営は節税につながります。
しかし、節税効果を大きく感じられるのはアパートを購入した年だけでしょう。購入した年は、売買契約を結ぶ際にかかった印紙代、不動産取得税、仲介手数料などを経費として計上できます。
2年目以降は購入した年よりも計上できる経費が少なくなるので、実際に節税効果をあまり期待できません。
節税目的で購入しても、家賃収入が入らなければ、運営自体が難しくなり節税どころではありません。
アパート経営をしながら、おまけに節税効果も受けられると思うくらいがよいでしょう。
アパート経営における利回りの重要性
アパートを探す際に、立地条件や周辺環境を確認しますが、利回りの数値を見るのもアパート選びでは重要になります。利回りとは、物件価格に対して1年で得られる収益割合のことです。
割合の数値が高いほど、収益性が高いと言われています。この利回りには表面利回りと実質利回りの2種類があります。
表面利回り
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割り出して計算します。不動産の広告やチラシに掲載されているのは、この表面利回りが一般的です。
例えば、年間の家賃収入が600万円で物件価格が8,000万円の場合、500万円÷8,000万円×100=7.5%が表面利回りとなります。
しかし、この表面利回りはアパート経営中にかかる修繕費や管理費などの必要経費を入れずに計算しています。
実質利回り
実質利回りとは、アパート経営中にかかる必要経費を考慮して計算されます。表面利回りと比べ、年間家賃収入より必要経費を差し引いて計算するので、より正確な収益を確認できます。
こちらも同様に年間の家賃収入が600万円で必要経費が100万円、物件価格が8,000万円の場合、(600万円-100万円)÷8,000万円×100=6.25%が実質利回りです。
このように同じ条件でも、表面利回りと実質利回りの数値は異なります。少なくとも、表面利回りだけを見てアパートを選ばないようにしましょう。
アパート経営を成功させるためのポイント
物件選びのポイント:立地と周辺環境の重要性
アパート経営で家賃収入を得るには、入居者を決めることです。入居者を決めるには、アパートの立地や生活利便性の良いエリアを選ぶ必要があります。
最寄り駅までの近さや、コンビニ、スーパーが近くにあるか確認して、賃貸需要の見込めるエリアか判断する力が必要です。
また、再開発などが行われ企業や商業施設が増えれば、人口が増える可能性も高くなります。再開発が行われるかは、自治体のホームページで確認することができるので、多くの情報を得てからアパート選びを行いましょう。
信頼できる管理会社の選び方とそのメリット
アパート経営を行う際、自ら運営することもできますが、管理会社に委託してオーナーの代わりに管理業務を行ってもらうケースがほとんどです。
委託をすれば、管理会社が入居者募集や建物管理を行ってくれますが、積極的な入居者募集や建物管理体制が整っていなければ、入居者は決まりにくいでしょう。
そのためには、信頼できる管理会社を選ぶことが重要です。どこの管理会社に委託するかによって、アパート経営の成功に大きく関係します。
管理会社を選ぶ際は、どのような入居者募集を行っているのか、サービス内容や建物管理方法などを確認して選びましょう。
まとめ:アパート一棟買いの成功と失敗を考える
アパート経営は、アパートを購入後、部屋を賃貸として貸し出すことで入居者より家賃収入を得られます。
オーナー自らアパートの管理を行うこともできますが、管理会社に委託したほうが、入居者募集や建物管理、退去時の対応など様々な業務をオーナーに代わって行ってくれます。
忙しい会社員でもアパート経営をすることで、本業以外にも収入を得ることが可能です。しかし、アパート一棟を購入するとなると、それだけ大きな費用が必要です。
アパート経営においてリスク把握や経営についての知識を身につけていないと、失敗に陥る可能性があり、大きな負債だけが残ることもありえます。
そうならないためには、アパート選びは立地条件が良く、賃貸需要の高いエリアで探しましょう。また、委託する管理会社は入居者募集の方法やサービス内容など確認してから決めるようにしましょう。