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2024/07/29最終更新⽇時
2024/07/29家の解体費用が払えない
- 不動産の知識

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「家を解体しようとしている方」
「家の解体費用が払えない方」
この記事では、家の解体費用が払えないことについてわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
家の解体費用はいくらかかるのか
空き家の解体や家のリフォームなどを考えている人にとって、「解体費用が高い」というイメージがあるのではないでしょうか?そのため、実際に解体できないこともあると思います。
家を解体するときに必要なのは、
①建物を解体するための費用
②廃棄物を処理するための費用
③そのほか必要な費用
です。
①建物を解体するための費用
この費用は、名前の通り建物を壊すための費用です。構造や坪数、立地条件から価格が決まります。
解体費用の相場は以下の通りです。
20坪の場合
木造は50〜100万円、鉄骨造は70〜140万円、鉄筋コンクリート造は90〜160万円
30坪の場合
木造は75〜150万円、鉄骨造は105〜210万円、鉄筋コンクリート造は135〜240万円
坪数が大きいと解体の作業量が増えるため、費用が高くなります。構造に使われている素材も頑丈であればあるほど、解体時の技術や機械が必要となり、時間がかかります。
②廃棄物を処理するための費用
廃棄物を処理するための費用は、建物を壊した後に木屑やタイル、コンクリートなどを処理するのにかかります。木屑はそこまで高くないことが多いですが、タイルやコンクリートのような重い廃棄物は高くなる傾向があります。
また、建設工事にかかる資材の再資源化などに関する法律によって、手作業で分別する工程もあるため、廃棄物を処理するためにかかる費用を安くするのは難しいでしょう。
③そのほか必要な費用
上記の2つ以外にも必要な費用があります。例えば、塀を撤去するための費用や、土地を整えるための整地費用などです。加えて、水道管などを撤去する費用も、別途で発生する可能性があります。
解体費用は誰が負担するのか
一般的に、解体費用は所有権を持っている人が負担しますが、そうではないこともあります。
続人
空き家になっている実家を解体する場合は、相続人が負担します。しかし、親戚や兄弟で所有権を分ける共有名義の場合は、割合に応じて費用を負担するケースもあります。
借地人
借地にある空き家の解体費用は、原則、その土地を借りている人が負担します。
一般定期借地権は、建物を解体して更地にしたあと返す契約を結びます。しかし、建物譲渡特約付借地権などの、地主に建物買取請求権を使える契約もあります。
契約の内容によって解体費用の負担が変わるので、借地にある空き家を持っている場合は、一度確認すると良いでしょう。
解体費用の補助金はあるのか
結論、国から解体費用の助成制度はありません。しかし、自治体が古い家の解体を助成制度の対象にしていることは多いです。その制度の対象であっても、自治体が勝手に助成してくれるわけではありません。事前に申請が必要なこともあるので、解体する前に自治体の助成制度について確認しましょう。また、必要なタイミングで自治体に申請の手続きをしましょう。
解体のためのローンがある
解体した後に新築工事を行う場合、新居の住宅ローンのなかに解体費用を組み込むことができます。しかし、売却を前提とした住宅の解体は、フリーローンや空き家解体ローンが使えます。
フリーローンは、利用の目的が決められていないローンです。銀行で取り扱っていることが多いです。しかし、金利が低いのに対して、審査は厳しいのでその点は注意してください。
空き家解体ローンは、空き家が増え続けることへの対処法として、政府からの申請によって提供されている、空き家を解体するためのローンです。地方銀行で取り扱っていることが多いです。空き家解体ローンを利用したい場合は、金融機関によって空き家の定義が違うことと、売却前の解体は対象外になる可能性があるので、その点に注意する必要があります。
相続放棄すれば解体費用はかからないのか
管理費用や解体費用の負担を減らすために、相続放棄することを考える人もいるかもしれません。しかし、空き家を相続放棄したとしても、管理義務が残ると考えられるので、確実に費用や手間を減らせるとは限りません。
例えば、空き家を相続人全員が相続放棄した場合は、次の管理人が決定するまでは管理義務が残ります。空き家が倒壊してしまって、周りに被害が及んだときは、相続放棄しても残った管理義務によって、賠償責任を取ることになります。また、相続放棄した場合は、空き家だけでなく他の財産も放棄することになるので、注意しましょう。
解体費用が払えないときの対処法
空き家の解体は、相続後に急な出費になる可能性もあるので、費用の負担に苦しんでいる人もいます。そこで、解体費用を抑える方法や、解体する以外の方法を紹介していくので、検討してみましょう。
〇解体する前に片付けをする
できる範囲では自分で片付けをすることをおすすめします。家にある道具の処分や庭の木の伐採、廃棄物の分別や運搬など、事前に自分でもできそうなことを探して、少しでも解体費用を抑えられるようにしましょう。
その場合、解体も自分でできるのではと考える人もいるかもしれませんが、結論、自分で解体できますがおすすめはしません。
一般人が所有する空き家を解体する場合、建設業許可や産業廃棄物収集運搬許可が必要になります。また、解体するときに重機を使う場合は、運転や操作をするための免許も必要です。
手作業で解体することもできなくはありませんが、長い時間がかかるので、現実的に考えると良くないでしょう。また、解体する期間が長くなればなるほど、近隣の人にも迷惑がかかってしまい、クレームが来たり、事故が起きたりする可能性があります。
※アスベストを含む建材を使っている空き家の場合は、一般人が解体することはできません。
大工の仕事が得意で解体を経験してみたい人以外と、時間に余裕がある人は、プロにお願いするか、他の解決方法を探して検討するのが良いでしょう。
ローンを組む
前に紹介したように、解体のためローンがあるので、そのローンを組んで資金を調達する方法があります。住宅ローンと違って、担保や保証人の必要がない金融機関が多く、金利の低い状態で返済計画を長い期間で組むことができるところが特徴です。
それぞれの金融機関で条件は異なりますが、金利は2〜5%がほとんどです。ローンであれば、余裕が持てる期間で借りて、資金にゆとりができたら繰り上げて返済することもできます。
補助金を利用する
こちらも前に紹介したように、自治体がやっている空き家解体のための補助金制度を活用して、費用負担を軽減するのも方法の1つです。
〈例〉
対象となる工事は、使い古して管理不全状態の空き家の解体です。
補助金額は、解体費用の2分の1になります。(最大で50万円)
対象となる人は、その空き家の所有権あるいは相続人です。
自治体によっては、毎年4月に新年度版の制度を始める可能性があるので、空き家を管轄する自治体を調べ、補助金制度についてチェックしてみることをおすすめします。
解体しないで売却する
空き家の状態や築年数によっては、解体せずにそのまま売却して、解体費用を抑える方法もあります。最近では、中古の家をリノベーションする人が増えてきているので、古屋付きの土地物件として売却できるかもしれません。
特に、内装や水回りの設備を一新する場合、空き家が古くても問題ありません。雨漏りや虫の被害などによって、建物の構造部分が大きなダメージを受けていなければ、売却できる可能性が高くなります。
しかし、あまりにもボロボロで古い空き家だと、売却しにくいかもしれません。まだ使えるという状態の空き家であれば、売却を考える価値はあります。高額な解体費用を払う前に、一度、売却の査定を受けてみてはどうでしょうか。
空き家の売却益を利用する
持っている現金が足りない場合は、空き家の売却益を解体費用に当てるのも方法の1つです。引越し前に解体するという内容を契約条件に盛り込めば、手付金や内金で解体費用をカバーできます。
土地の利便性が良いのに対して、建物の状態があまり良くない場合は、この方法を検討する価値があると言えます。
賃貸物件として運用する
立地の利便性が良く、建物の状態が比較的良い空き家は、解体しないでリフォームして賃貸として運用するのも方法の1つです。
家族で暮らせる一軒家の賃貸物件は、家賃の相場が高めなので、不労所得を大きく得られる可能性があります。リフォームのための初期投資は必要になりますが、空き家であれば物件所得費用がいらないので、短期間で集められるでしょう。内装の張り替えや水回りの設備の交換などは、リフォームの内容が最小限であれば、初期費用は抑えることができます。
地主に買い取ってもらう
前に紹介した借地に建っている空き家を持っている場合は、契約の内容によりますが、建物買取請求権を行使して、地主に買い取ってもらうこともできます。
借地権には、定期借地権と普通借地権という、複数の種類があります。普通借地権の場合、契約満了になったときは、建物買取請求権を行使できるケースがあります。また、地主の都合から契約を終わらせたいと言われた場合であっても、交渉が可能になるかもしれません。
借地の空き家は、契約内容を見直してから、一度、地主に相談してみることが良いと思います。
おわりに
今回は、解体費用が払えないことについて解説しました。
解体費用は高額で、家計にとっては1つの負担にもなります。加えて、問題が起きてしまうと、大きなトラブルに繋がる可能性もあるので、注意が必要です。
空き家は、なるべく早く解体するか、活用できる方法を探しましょう。放置を続けると、劣化が進行して、より費用がかかってしまうケースも考えられます。もし、放置している空き家が倒壊して、周りに被害を与えてしまった場合は、所有者に管理責任と賠償を求められるかもしれません。
なるべく早くと言っても勝手に話を進めるのではなく、親族と話し合いをしたり、専門家にも相談したりするようにしましょう。