土地の整地費用はいくら?仕上げ方法や業者の選び方を解説

建物を解体し、土地だけを活用したい場合に整地作業は不可欠です。

「土地を高く売りたいので整地したいけど、相場はどれくらいなの?」

「土地を整地して、そこで駐車場経営をしたい。おすすめの整地方法は?」

この記事では、整地の費用や仕上げ方法の種類について解説します。あわせて業者の選び方や、自分で整地する際の手順も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

整地とは

整地とは、土地をきれいに整えるための工事や作業を指します。簡単に言えば、土地を有効に活用するための基礎作業です。土地を平らにならし、不要になった障害物や草木を取り除くことで土壌を整えます。
 しかし、整地という言葉に聞き馴染みがない方も多いかもしれません。整地はどのような場面で必要とされるのでしょうか。

整地が必要な場面

整地作業は、以下のような場面で必要とされます。

①建築物の建設前後

新しい建物を建てるときは、その土地がきれいにならされている必要があります。また、既存の建物を解体した後も、後の建築工事を考えて整地しなければいけません。整地作業によって建設予定地の地形を整え、建物の基礎を築くための最適な地盤を作り出します。

②庭の整備

住宅や商業施設の庭や敷地内の整備においても、整地作業が必要とされます。庭の地形を整えたり、不要な草木を取り除いたりして、美しい景観や使いやすいスペースを作り出します。

整地作業の内容

整地作業の内容は、その土地の状況や利用目的によってさまざまです。さらに、業者によっても多少異なりますが、一般的には次のようなプロセスで進められます。

①地形の平坦化

土地の凹凸をならし、平坦な地面を作り出します。建物の基礎を安定させるため、そして土台を整えるための作業です。

②障害物の撤去

解体作業後には、さまざまな障害物が発生します。石やコンクリートの破片、石膏ボードやガラス片、または草木などの障害物は撤去しなければいけません。この撤去作業を入念に行うことで、土地を利用するときの安全性や利便性が向上します。

③土壌の調整

これまでは土地の見栄えを整えるための作業でした。しかし、ここでは土壌の硬さや水はけなど、土地の性質そのものを改善する作業が含まれます。土壌を適切な状態に調整することで、より強度の高い土地を作り出せるのです。

「造成」や「更地」との違い

整地と似たようなニュアンスの言葉に、「更地」や「造成」などが挙げられます。これらの用語にはどのような違いがあるのでしょうか。

①造成とは

造成工事は、土地を特定の目的に適した状態に整える工事を指します。たとえば、宅地や商業地の開発に伴った土地の整備です。この造成工事では、地形の変更や地盤の安定化などが重視されるため、整地作業よりもさらに専門的な作業が必要とされます。

②更地とは

更地とは、住宅や建物が解体された跡地のことを指します。つまり建物がなくなり、土地が空き地となった状態のことです。整地されているかどうかは関係なく、純粋に「建物がない状態の土地」を示します。

☆本章のまとめ

整地工事は、土地の有効活用や安全な建築物の建設を可能にする重要な工程です。土地の状況や利用目的に合わせて適切な整地工事を行うことで、土地の価値を最大限に引き出すことができます。

整地するメリット

建物を解体した後、土地をどのように活用するかは人それぞれです。しかし、整地すれば土地をきれいな状態に一新できるため、土地活用や売却もスムーズに進められます。ここでは、整地にどのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。

売買価格が上がる

整地すると、その土地の売買価格が上がります。もちろん、古家付きの土地を売り出すことも可能ですが、一般的には建物がなく整地された土地の方が売れやすいです。

整地することで、土地の見栄えは格段によくなります。そのため、新築や再開発を考えている人々の関心を集めやすく、より早い段階で買い手が見つかるでしょう。そうしてニーズが高まれば、土地の売却価格をさらに上げられます。

土地活用の選択肢が広がる

整地した土地では、さまざまな土地活用ができます。新しい建物を建てることはもちろん、駐車場として利用したり、太陽光発電システムを導入したりすることも可能です。土地の活用方法はニーズや目的によって異なりますが、整地することで選択肢がいっそう広がるでしょう。

すぐに工事を開始できる

整地することで、土地をすぐに活用する準備が整います。建物が残っている状態では、すぐに土地の活用や工事を始められません。しかし、あらかじめ整地しておくことで、制限なくすぐに工事を始められます。実際、建設や再開発などの計画を立てている場合は、整地しておくことで建設プランをスムーズに進められることが多いです。時間を節約し、効率的に土地を活用するためにも、整地作業は欠かせません。

☆本章のまとめ

土地の魅力を最大限に引き出し、活用するためには整地が必要不可欠です。計画を立てる際は、土地の使い道を踏まえた上で、適切なタイミングで整地作業を始めましょう。

仕上げ別:整地の費用相場

土地の整地にかかる費用は、その仕上げ方法によって大きく異なります。ここでは、代表的な整地の仕上げ方法とそれぞれの費用の相場を詳しく見ていきましょう。

粗仕上げ

粗仕上げは、土地の活用方法が特に決まっていない場合や、予算を抑えたい場合に用いられます。簡単な作業で費用を抑えられるため、初期費用を抑えたい方におすすめの仕上げ方法です。ただし、業者によっては作業の丁寧さにばらつきがあるため、整地を依頼する際は相見積もりを取りましょう。なお、粗仕上げの費用は1平米あたりおよそ300〜600円が相場です。

砂利整地

砂利整地は、粗仕上げの後に砂利を敷き、重機で転圧することで仕上げる方法です。砂利を敷くことで水はけがよくなり、さらに防犯対策や雑草対策にもなります。比較的安い費用で土地を整えられるため、コストを削減したい方におすすめの仕上げ方法です。砂利整地の費用は、1平米あたりおよそ1,000〜1,500円が相場となります。

砕石舗装

砕石舗装は、粗仕上げの後に砕石を土地全体に敷き、転圧して固める方法です。見た目がきれいで安定感があるため、土地の活用方法に幅広く対応できます。特に、土地の売却や新築などを考えている方におすすめです。砕石舗装の費用は、1平米あたりおよそ2,000〜7,000円が相場となります。

真砂土舗装

真砂土舗装は、粗仕上げよりもさらに細かくゴミや塵を除去し、真砂土を地面に敷き詰めて固める方法です。見栄えだけでなく水はけもよくなるため、さまざまな用途で土地を活用したい方におすすめです。真砂土舗装の費用は、1平米あたりおよそ3,000〜4,000円が相場となります。

アスファルト舗装

アスファルト舗装は、砕石舗装の後にアスファルトを敷き詰める方法です。アスファルトは耐久性に劣る面もありますが、工期が短く費用を抑えられるという利点があります。駐車場経営を考えている方におすすめの仕上げ方法です。なお、アスファルト舗装の費用は、1平米あたりおよそ3,500〜6,000円が相場となります。

コンクリート舗装

コンクリート舗装は、砕石舗装の後にコンクリートを敷き詰めて固める方法です。初期費用は高くなりますが、耐久性が高く補修も少なく済むため、長期的な土地活用を考えている方に適しています。コンクリート舗装の費用は、1平米あたりおよそ5,000〜1万円が相場です。

防草シート仕上げ

防草シート仕上げは、雑草対策を重視した整地方法です。雑草を根こそぎ除去してから、防草シートを敷き詰めることで仕上げます。ただし、見た目があまり美しくないため、その上から砂利などを敷くことが一般的です。防草シート仕上げの費用は、1平米あたりおよそ1,000〜6,000円が相場となります。

☆本章のまとめ

土地を活用する際には、自分のニーズに合った仕上げ方法を選ぶことが重要です。駐車場経営をしたいときはアスファルト舗装、質の高い状態で土地を売却したいときは真砂土舗装など、目的に応じて仕上げ方法を選びましょう。また、それぞれの仕上げ方法のメリットやデメリットを十分に考慮し、業者選びや予算の立て方にも注意してください。

整地を頼むときの業者の選び方

整地作業を依頼するときは、信頼できる業者を選ぶことが重要です。ここでは、整地を頼む業者を選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

明確な見積もりを出すかどうか

整地作業を依頼するときは、見積もりの段階で料金の内訳を明確に提示してくれる業者を選びましょう。事前に内訳をしっかり説明してくれる業者であれば、追加料金が工事後に発生するリスクも低くなるはずです。

また、重機の使用や経費による追加料金についても、見積もり時にきちんと提示してくれるかどうかを確認しましょう。
 さらに、公開されている1平米あたりの単価や基本料金をチェックすることも業者選びの参考になります。それぞれの業者の公式ホームページに掲載されているはずです。料金の公開は、業者が自社のサービスに自信を持っている証拠とも言えます。

企業情報や実績を確認する

業者の信頼性を確かめるためには、これまでの施工実績や企業情報をチェックすることが重要です。大手企業のグループ会社や地元で実績のある業者であれば、安心して依頼できる可能性が高いと言えます。

また、技術力の高さや得意分野は業者によってさまざまです。これらは、それぞれの業者の公式ホームページで公開されている施工実績を見れば把握できます。また、創業年度や社員数などの会社情報も重要な判断材料です。会社の規模や歴史を知ることで、信頼性や安定性をある程度見極められるでしょう。

☆本章のまとめ

整地を依頼するときは、明確な見積もりと実績豊富な業者を選びましょう。信頼できる業者を選ぶことで、適切な価格で安心して作業を任せられます。

自分で整地する場合の流れ

整地したい方の中には、「業者に頼むとお金がかかるから自分でやりたい」という方も少なくありません。自分で整地したい場合は、次の手順に従って作業を進めましょう。

必要な道具を用意する

まずは整地作業で使う道具を用意しましょう。熊手、鎌、トンボ、スコップなどの道具が必要です。このような道具をあらかじめ準備しておくことで、整地作業の効率が格段にアップします。

石の撤去、除草をする

整地を妨げるような石を撤去し、雑草も除去しましょう。特に、雑草を放置すると後々の作業に支障をきたす可能性があります。地表だけでなく、根元から完全に抜くことで再生を防止できます。

土を耕す

不要なものを取り除いたら、土を耕してやわらかくしましょう。小石や木の根などを取り除きながら土をほぐします。この作業は土地の柔軟性を高めるだけでなく、地中埋設物の有無を確かめる目的もあり、整地作業の中でも重要な段階です。

土壌改良剤を撒く

土地の状態に応じて、肥料や土壌改良剤を撒きましょう。土壌改良剤は土の質を改善し、植物の生育を促進してくれる薬剤です。特に、整地し終えた土地に庭や家庭菜園を作りたいときは、より丁寧に土壌改良剤を撒くといいでしょう。

勾配を確認する

土地の勾配を確認し、必要に応じて調整しましょう。土地の水はけをよくするためには、ある程度の勾配が必要です。ただし、もともと水はけがいい土地であれば、この作業は省いても問題ありません。

土を平らにする

土地の高低差を調整し、土を平らに整えましょう。高低差をそのままにしておくと、水たまりの原因になってしまいます。また、表面が平らになるように土をならす作業に加え、必要に応じて芝生や砂利を敷くことで景観を整えられるでしょう。

土を固める

最後に土を固めましょう。足で踏み固めても構いませんが、ハンドダンパーがあれば便利です。土台をしっかりと整えることで、整地後の土地活用や売却でのトラブルを防げます。また、固めたときに土地の高低差が変わってしまうこともあるので、追加用の土を必要に応じて準備しておくといいでしょう。

いかがでしたか?

今回は土地の整地費用について解説しました。整地は、土地を高値で売却することのほか、新しく始める土地活用をスムーズに進めるためには欠かせない作業です。整地費用は仕上げ方法や業者によってさまざまですが、依頼時に相見積もりを取ることで複数社の料金を比較できます。また、自分で整地する場合も、あらかじめ土壌改良剤やハンドダンパーを準備しておくといいでしょう。