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2024/06/28最終更新⽇時
2024/06/28仲介手数料の値引きは可能?交渉のタイミングと注意点
- 不動産の知識

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物件の売却や購入を行う際、多くの方が不動産業者のサポートを必要とします。専門知識と経験を持った彼らが、顧客に代わって契約の手続きを進めてくれるのです。この仲介に対しての報酬を「仲介手数料」と言います。
「不動産売買の仲介手数料はどうやって決まるの?」
「費用をなるべく安くしたいけど、仲介手数料は値下げしてもらえる?」
このような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産の売却や購入時に不可欠な仲介手数料について解説します。金額の計算方法や、値下げ交渉についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
仲介手数料の基礎知識
仲介手数料とは?
不動産の売買や賃貸をしたいとき、多くの方が不動産業者に仲介を依頼します。なぜなら、不動産取引には専門知識が必要で、個人で行うにはハードルが高いからです。そこで、不動産業者に仲介を依頼します。
仲介とは、不動産業者が取引相手との間に入ってもらうことです。契約内容の説明から物件の引き渡しまで、豊富な知識と経験を持った担当者が手続きをサポートしてくれます。この仲介に対して支払う報酬が、仲介手数料です。
仲介手数料の相場と平均額
仲介手数料は、売買の場合、取引する物件の売買価格に基づいて決まります。詳しくは次の章で説明しますが、ここでは「物件の売買価格による」と考えてください。また、賃貸の仲介手数料は、家賃の半額~1カ月分の金額が一般的です。
仲介手数料の支払いタイミング
仲介手数料は、契約が成立して初めて発生する報酬(=成功報酬)となります。そのため、契約前ではなく契約成立時に支払います。しかし、その場で全額を支払うわけではなく、2回に分けることが一般的です。1度目は契約時、2度目は物件の引き渡し時で、それぞれ半額ずつ支払います。
契約時に一括で支払っても問題はないのですが、不動産取引では契約から物件の引き渡しまでにさまざまな手続きが必要です。たとえば、登記準備や住宅ローンの契約などが挙げられます。これらの手続きも不動産業者に依頼しなければいけないため、仲介手数料は2回に分けることが賢明です。
仲介手数料の計算方法
あらかじめ支払う金額を把握しておくことで、不動産取引をスムーズに進められるはずです。実際に、仲介手数料はどのように決まるのでしょうか。ここでは、仲介手数料の計算方法を解説します。不動産の売買や購入を検討している方は、これを機にぜひ覚えてみてください。
仲介手数料の法定上限
前章で、仲介手数料は「物件の売買価格による」と説明しましたが、「売買価格が高ければ高いほど仲介手数料も上がる」というわけではありません。仲介手数料は、法律によって上限額が定められています。詳しくは次の表を参考にしてください。
売買価格(税抜き) | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下 | 売買価格の5%+税 |
200万円~400万円以下 | 売買価格の4%+税 |
400万円~ | 売買価格の3%+税 |
上の表のように、仲介手数料には上限額が定められています。では実際に、物件Aを購入する際に必要な仲介手数料をシミュレーションしてみましょう。
〈物件Aの購入に必要な仲介手数料〉
物件A……売買価格2,000万円
物件Aの売買価格を、上の表をもとに分けると次のようになります。
- 200万円以下の部分……200万円
- 200万円~400万円以下の部分……200万円
- 400万円~の部分……1,600万円
次に、それぞれの上限額に応じて仲介手数料を計算します。
- 200万円以下の部分……200万円×5%=10万円
- 200万円~400万円以下の部分……200万円×4%=8万円
- 400万円~の部分……1,600万円×3%=48万円
最後にすべてを合わせて消費税をかけると、物件Aの仲介手数料は次のようになります。
(①+②+③)+税=72万6,000円
よって、物件Aの購入に必要な仲介手数料は72万6,000円です。
売買価格ごとのおおまかな仲介手数料
ここまでは不動産売買の仲介手数料の計算方法を解説しました。しかし、実際に取引される物件の売買価格はさまざまです。計算が苦手な方は、目安として次の表を参考にしてください。
物件の売買価格 | 仲介手数料の上限額 | 消費税 | 仲介手数料 |
1,000万円 | 36万円 | 3万6,000円 | 39万6,000円 |
3,000万円 | 96万円 | 9万6,000円 | 105万6,000円 |
5,000万円 | 156万円 | 15万6,000円 | 171万6,000円 |
1億円 | 36万円 | 30万6,000円 | 336万6,000円 |
仲介手数料は値下げした方がいいのか
不動産の購入は「人生最大の買い物」と言われるほどの一大イベントです。物件の購入には大金が必要ですから、「せめて仲介手数料は少しでも安くしたい!」という方も多いのではないでしょうか。
仲介手数料は値下げ可能か?
不動産取りにおいて、仲介手数料は値下げしてもらえることもあります。ここでは、売主・買主それぞれの立場に分けて、値下げしてもらえるケースを見てみましょう。
① 売主:契約内容次第で値下げしてもらえる
売主は、不動産業者と媒介契約を締結します。物件の販売活動を委託するための契約です。この契約には仲介手数料の取り決めも含まれており、契約が成立した段階で売主は不動産業者へ仲介手数料を支払うことになります。
しかし、契約内容や交渉次第では、仲介手数料を値下げしてもらえることもあるのです。
実際、不動産業者と媒介契約を結ぶとき、ほとんどの売主が仲介手数料の値下げ交渉をしています。
特に、複数の不動産業者から提案を受ける場合は、仲介手数料の値下げ交渉に応じてくれるかどうかは、業者を選ぶ上で非常に重要なポイントです。仲介手数料を少しでも安くしたい方は、多少の融通を利かせてくれる業者にお願いしましょう。
② 買主:交渉次第で値下げしてもらえる
売主と同じように、買主が仲介手数料を値下げしてもらえるケースもあります。
たとえば、買主が希望する物件の価格と予算にギャップがある場合を考えてみましょう。いわば、「買いたい気持ちはあるけど、予算が足りないかもしれない…」という状態です。
先述した通り、不動産業者は契約を成立させなければ報酬(仲介手数料)を受け取れません。それなら、少しくらい仲介手数料を値下げしても、とにかく契約した方が業者の利益になるわけです。このような場合、不動産業者が買主の値下げ交渉に応じてくれることがあります。
ただし、すべての不動産業者が値下げに対応できるわけではありません。中には、双方の意思疎通がうまくいっていない場合もあるでしょう。値下げ交渉を行う際には、不動産業者とのコミュニケーションが重要です。相手の考え方や立場を理解し、適切な交渉を行うことが大切です。
このように仲介手数料は、契約内容や交渉次第では値下げしてもらえます。
しかし、その一方で、仲介手数料の値下げにはリスクも発生するのです。
「支払う金額が安くなったのだから、リスクなんてないのでは…?」
と考える方もいるかもしれません。
次は、「仲介手数料は値下げしない方がいい」と言われている理由について詳しく説明します。値下げを検討している方は、必ずリスクを把握した上で交渉を進めてください。
仲介手数料を値下げしない方がいい理由
①仲介手数料を値下げしたぶん、売買価格を値上げされるかもしれない
仲介手数料を値下げしても、そのぶん売買価格を値上げされるかもしれません。つまり、不動産業者が自社の収益性を考慮して、売買価格を高く設定するかもしれないということです。この場合、仲介手数料を値下げしても、実質的な支払い額は変わりません。
☆解決策
仲介手数料の値下げ交渉の前に、まずは価格交渉をしましょう。価格が合意に達した後に、仲介手数料の値下げ交渉を行うことで、トータルの出費を安く抑えられるかもしれません。
②販売活動の優先順位が下がるかもしれないから
仲介手数料の値下げによって、不動産業者の報酬は減ってしまいます。そのため、業者内で販売活動の優先順位が下がるかもしれません。売主としては、できるだけ早く物件を売却したいでしょう。しかし、仲介手数料を値下げしなかった他の売主がいる以上、不動産業者はそちらを優先する可能性があります。
☆解決策
「販売活動をスピーディに進めること」と「仲介手数料の値下げ」の両方を叶えることは、現実的には難しいです。そのため、「できるだけ早く物件を売りたい」という方は、値下げ交渉を控えた方がいいかもしれません。
また、仲介手数料の値下げ交渉をあまりにも執拗に続けると、不動産業者からの物件を紹介してもらえなくなる可能性もあります。販売活動の優先順位が下がるリスクも踏まえ、買主としての値下げ交渉は慎重に行いましょう。
不動産取引で仲介手数料以外に必要な費用
不動産を売却する際、仲介手数料のほかにさまざまな費用が発生します。ここでは、不動産取引で仲介手数料以外に必要な費用を4つ紹介します。
引っ越し費用
引っ越しには多くの費用が発生します。不動産業者からの見積もりだけでなく、引っ越し業者のサイト比較など、個人でできる範囲の情報収集をしておきましょう。特に、買い替えの場合は仮住まいが必要になるケースもあるため、引っ越し費用をあらかじめ資金プランに組み入れておくことが重要です。
建物の解体費用
不動産売却に伴い建物を解体する場合、解体費用が発生します。解体業者を選ぶ際は、見積もり金額だけでなく、作業内容や配慮事項なども確認しましょう。さらに、最初から1社に絞るのではなく、相見積もりで複数の業者を比較することが重要です。また、工事中に近隣住民とのトラブルを防ぐためにも、解体工事の予定日時や工期の共有なども欠かせません。
手付金
不動産の売買契約が成立すると、買主は売主に手付金を支払うことになります。この手付金は契約の成立を証明するためのお金です。それだけでなく、売買契約の履行を保障する役割も果たします。不動産の売買契約には欠かせない費用なので、余裕を持って資金の準備しておきましょう。なお、手付金は売買代金の一部に充てられ、金額は全体の5%~20%の範囲内に収まります。
登記費用
不動産の売却に伴い、登記上の所有権を移転しなければいけません。この登記費用は買主が負担します。一方、売主が負担するのは抵当権抹消登記などの費用です。これには登録免許税や司法書士の報酬などが含まれ、およそ2万~3万円が相場です。
仲介手数料にまつわるQ&A
Q.1 仲介手数料と建物の売買価格はどちらも消費税がかかりますか?
A.1 仲介手数料に消費税はかかりますが、建物の売買価格は課税対象にはなりません。これを知っておかないと、余分な手数料を支払ってしまうことになります。トータルの出費を抑えるためにも、消費税にまつわる基礎知識を今のうちに身につけておきましょう。ただし、新築の建物を購入するときは、売買価格も課税対象となることに注意が必要です。
Q.2 不動産売買だけでなく、買い取ってもらうだけでも手数料はかかりますか?
A.2 買い取りのみの場合、手数料はかかりません。仲介とは、あくまでも不動産売買の取引を仲介することだからです。そのため、不動産業者がみずから物件を買い取る場合は仲介に該当せず、手数料を支払う必要もありません。
Q.3 2018年から法律が変わったと聞いたのですが、具体的な改正内容を教えてください。
A.3 具体的に変更された部分は、仲介手数料の上限額です。それまでは、物件の売買価格が400万円ちょうどの場合、仲介手数料の上限額は18万円でした。しかし、2018年1月からは金額が変更され、以降は売買価格が400万円以下の物件でも上限額は18万円です。
これには空き家問題が深く関わっています。というのも、400万円以下の値がつきやすい空き家を放置せず、より流通性を高めるために法律が改正されたのです。そのため、現在では空き家のように比較的安価な物件でも、全国で数多く取引されています。
いかがでしたか?
今回は不動産売買の仲介手数料について解説しました。仲介手数料は、物件の売買価格に応じて金額が決まります。ここでもう一度おさらいしておきましょう。
〈売買価格ごとの仲介手数料の計算方法〉
200万円以下……売買価格の5%+税
200万円~400万円以下……売買価格の4%+税
400万円~……売買価格の3%+税
また、仲介手数料は契約内容や交渉次第では値下げしてもらうことも可能です。しかし、値下げすると売買価格を高く設定されたり、販売活動を後回しにされたりする可能性もあるため、値下げ交渉の際はこうしたリスクを把握しておきましょう。さらに、不動産売買では仲介手数料のほか、引っ越し費用や手付金、登記費用などさまざまな事務手数料がかかります。必要な費用をあらかじめ把握し、余裕のある資金調達を心がけましょう。