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投稿⽇時

2024/06/28

最終更新⽇時

2024/06/28

実家相続後に住むための手続きとメリット・デメリット

  • 不動産の知識

「相続した実家に住む際の手続きは?」「実家には住めないけれど、売却はしたくない」など、実家の相続にあたって悩んでいる人もいるでしょう。本記事では実家を相続して住む場合の手続き方法や、実家に住むメリット・デメリットを解説しています。実家の相続で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

相続した実家に住むための必要な手続きと注意点

相続した実家に住む場合、以下の手続きが必要です。手続きに不安がある方は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。

  • 遺言書を確認する
  • 遺産や債務を確認する
  • 相続登記をする(名義変更)
  • 相続税の申告と納付をする

遺言書の確認とその重要性

実家の相続を検討するにあたり、まずは遺言書を確認します。亡くなった方が残している場合は、遺言書に沿って遺産を分割します。自筆の遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」と呼ばれる、遺言書の偽造・変造を防止する手続きを行いましょう。

近年は「エンディングノート」を記載するケースもありますが、法的効力はない点に注意が必要です。ただし亡くなった方の遺志確認には使えるため、あれば見てみると良いでしょう。

遺産と債務の確認方法

次に遺産や債務を確認します。相続税の発生有無を調べる必要があるからです。銀行や証券会社などの金融機関にも連絡し、亡くなった方の名義の財産状況について細かく確認します。

借金がある場合、相続人に返済義務が生じるケースも多いため、マイナスの資産の有無を確認するのも重要です。返済が難しい場合は、相続放棄も検討しましょう。

基本的に相続するかどうかは3ヶ月以内に決める必要があります。実家の相続も含めて、亡くなった方の財産をどう管理するのかを決めましょう。

亡くなった方がアパートを経営していたり個人事業を行っていたりし、所得税の確定申告が必要な場合「準確定申告」と呼ばれる手続きが必要です。1月1日から他界した日までの所得や税額を計算し、相続の開始があると知った日の翌日から4ヶ月以内に申告と納税をしましょう。

相続登記(名義変更)の手順

実家を相続することを決定した場合、不動産の名義変更が必要です。2024年4月1日から義務化された「相続登記」に従い、所有権取得を知った日から3年以内に申告を行う必要があります。期限を守らないと、10万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。

相続登記の手続きには、法定相続人全員分の戸籍謄本・印鑑証明書など、いくつかの書類が必要なため、早めに準備をしましょう。遺言書がない場合「遺産分割協議」と呼ばれる、法定相続人全員が集まり遺産分割を話し合う場が必要です。相続登記時に「遺産分割協議書」が求められるため、早めに作成を依頼しましょう。

相続税の申告と納付の注意点

相続税が発生した場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に申告と納付が必要です。相続税が必ず発生するわけではなく、相続額から借金や葬式費用などを差し引いた額が基礎控除額を超える場合にのみ課税されます。基礎控除額は次の計算式で求められます。

  • 3,000万円+(600万円×法定相続人数)

ただし「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」などの適用を受ける場合、納付額に関係なく申告が必要なケースもあります。

実家相続に必要な書類一覧

相続した実家に住むための手続きには各種書類が必要です。「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」にまとめられているため、ご確認ください。手続きに不安がある場合、弁護士や司法書士に相談しても良いでしょう。

実家を相続して住む3つのメリット

相続した実家に住むことで得られる主なメリットは、以下の3つです。

  • 家賃をおさえられる
  • 実家を残せる
  • 節税ができる

メリットに納得できる場合、実家に住むことを検討しても良いでしょう。

家賃の節約と生活費の軽減

相続した実家に引っ越せば、家賃の支払いを節約することができます。賃貸に住んでいる場合、家賃がかからなくなり、生活費を大きく抑えることが可能です。とくに実家に近い場所で家を借りていれば職場や学校までの距離を変えずに引っ越せるため、生活環境が大きく変わる心配もないでしょう。家賃の支払いに悩んでいる場合、実家の相続を検討してはいかがでしょうか。

実家に人が住んでおらず空き家として所有するにも管理は必要です。自分で管理しきれず、費用を支払って空き家管理サービスを活用している人もいるでしょう。実家を相続すればサービスを利用する必要がないため、管理費用も発生しません。家賃や管理費用をおさえられるのは、大きなメリットといえるでしょう。

実家を守るための選択肢

実家を相続すれば、思い出の詰まった幼少期を過ごした家を残すことができます。現在は住んでいなくても、手放すことに対して心情的に抵抗が生じる方も多いでしょう。幼少期を過ごした家に愛着がわくのは当然のことです。実家に住むと引っ越し費用を用意したり交通の便が悪くなったりするデメリットはあるかもしれませんが、手放したくない人は検討する余地があります。

実家に住み続けるのは難しくても、残したい場合は賃貸に出すのも一案です。実家を残したまま家賃収入を得られるメリットがあります。いずれにしても、引っ越してきたり貸したりして、人が住んでいる状態を維持できれば、家が劣化しにくくなります。

相続税を減らす方法:節税対策

実家を相続した際に、建物が取り壊されていなければ、節税が可能です。特に「小規模宅地等の特例」を適用すれば、最大330㎡までの土地評価額を80%減額することができます。相続税が少額であれば問題ないかもしれませんが、資産価値の高い土地や実家を相続する場合は大きな節税効果があります。

ただし特例を受けるには、相続開始の直前から被相続人との同居が条件のため、注意が必要です。また、ケースによっては細かい条件が発生します。詳細は国税庁のホームページから確認してください。

実家相続後に住む場合のデメリットと対策

相続した実家に住む場合、以下の2つのデメリットがあります。

  • 固定資産税がかかる
  • 修繕やリフォームをする必要がある

デメリットを理解して、相続した実家に住むかどうかを判断してください。

高額な固定資産税の負担

実家を相続すると、不動産の所有者となり、固定資産税を支払う必要が生じます。固定資産税の額は、納税通知書や課税証明書で確認することができます。翌年以降で自分が支払う税額がすぐにわかるため、一度目を通しておくと良いでしょう。

とくに資産価値の高い土地や建物は固定資産税が高い可能性があるため、支払えるかどうかを事前にしっかりと検討する必要があります。相続税の支払いもあるため、想定以上の費用になる可能性もあるでしょう。長期的な計画を考えて支払いが難しい場合、売却も視野に入れたほうが良いでしょう。

修繕やリフォームの必要性

実家に住む際、修繕やリフォームが必要になる可能性があります。特に数十年経過した住宅では、設備の故障や劣化が進行している場合もあります。引き続き住む場合、状況によっては修繕やリフォームが必要かもしれません。

設備の交換程度であれば大きな支出にはなりませんが、リフォームの内容によっては数百万円の費用が発生するとも考えられます。相続税や固定資産税などの費用とあわせて考える必要があります。

費用をおさえるには、壊れていたり安全性に心配があったりする設備を最低限修繕し、そのほかの箇所は追って対応すると良いでしょう。

相続した実家に住まない場合の活用方法3選

相続した実家に住まない場合、以下の3つの活用方法があります。

  • 売却する
  • 賃貸に出す
  • 空き家バンクに登録する

実家に住むのが現実的ではない場合は検討すると良いでしょう。

実家を売却するメリットとデメリット

売却して現金化する方法もあります。その際、まずは建物を取り壊さずにそのまま売りに出すことを検討すると良いでしょう。リフォームやリノベーションなどで、自分好みの家に住みたいと考える人もおり、早期売却できる可能性があるからです。

なかなか買い手がつかない場合は、取り壊して土地のみで売りに出しましょう。とくに利便性が良い土地であれば、戸建てを建てたい人に買ってもらえる可能性があります。ただし解体費用が発生する点に注意が必要です。補助金やローンなどを検討しても良いでしょう。

売却する際のポイントは、複数の不動産会社に見積もってもらうことです。より高く売却できそうな不動産会社に依頼すると良いでしょう。

賃貸に出して家賃収入を得る方法

実家を手放さずに賃貸として活用する方法もあります。賃貸に出すことで、家賃収入を得ることができ、実家を維持することが可能です。修繕やリフォームに手が回らないケースも考えられます。とはいえ実家を売却するのに抵抗がある人にオススメの手段です。

借り主がいれば、家賃収入を得られます。実家を手放さずにプラスアルファで収入も得られるのは大きなメリットです。

賃貸を検討しているのであれば、まずは不動産会社に相談するのが良いでしょう。自分で手続きをしたり借り手を探したりするのは手間がかかるため、プロに相談するのが安心です。土地勘があり信用できる不動産会社に依頼しましょう。

空き家バンクに登録して活用する

空き家バンクへの登録も有効な手段です。空き家バンクは、空き家を貸したい人と利用したい人を自治体が仲介する制度で、賃貸や売却を希望する所有者にとって便利なサービスです。自治体の主導であれば安心できる人もいるでしょう。不動産会社に依頼したくない場合に有効な手段です。

「地方移住をしたいけれど、遠方に住んでいる」人や「自然豊かな地方で子育てをしたい」人とマッチする可能性があります。自分で住むのは難しくても希望者に住んでもらえれば、家の劣化の防止にもつながります。気になる人は、まずは自治体のホームページから概要を確認してください。

実家相続時に避けるべき2つの失敗

実家の相続を決めた場合に避けるべきことを2つ解説します。

  • 共有名義にする
  • 放置して空き家にする

トラブルを防ぐためにも、内容を理解しておきましょう。

共有名義のリスクとトラブル回避方法

共有名義での所有は避けるべきです。遺産分割協議がまとまらず、実家以外の財産がない場合、共有名義で相続されることがありますが、その場合、後々トラブルが発生しやすくなります。共有名義での不動産の所有者はひとりではなく複数人です。

申請自体は可能ですが、売却や土地の利活用に際し、名義人全員の同意が必要になる点に注意が必要です。二次相続が発生すると、お互いに面識のない人が名義人になり、トラブルに発展する可能性もあります。そのため、可能な限り避けるのがオススメです。

放置して空き家にしない理由

実家を放置して空き家にすることは避けるべきです。空き家のままだと、管理が不十分になり、犯罪や周囲とのトラブルの原因となることがあります。そのため「税金をおさえるために、とりあえず放置しよう」と空き家にしてしまうケースもあるでしょう。

しかし空き家は犯罪の温床になったり近隣住民とのトラブルに発展したりするリスクがあります。最悪の場合、行政代執行の対象になります。周囲の治安や景観を維持するためにも適切に管理しましょう。

まとめ:実家相続の手続きと賢い活用法

実家を相続するには、以下の手続きが必要です。不安な場合、専門家である弁護士や司法書士に相談するのがオススメです。

  • 遺言書を確認する
  • 遺産や債務を確認する
  • 相続登記をする(名義変更)
  • 相続税の申告と納付をする

実家を相続すれば、家賃をおさえられたり節税ができたりするメリットがあります。一方、固定資産税がかかったり修繕やリフォームが発生したりするリスクもあるため、長期的な資産計画のもと総合的に判断する必要があります。

相続した実家に住まない場合、売却や賃貸に出したり空き家バンクに登録したりする方法もあるため、必ずしも手放す必要がない点は安心です。メリットやデメリットなどをふまえて判断してください。