空家を活用して管理コストを帳消しにしたい!利益が出る方法を解説

とりあえず相続したけれど、活用法が決まらない空家。所有しているだけで管理や税金などの費用がかかるのが悩みの種です。

しかし空家をうまく活用すれば管理コスト以上の収入を得ることができます。

全国で増加する空家の現状をひも解きながら、活用する方法や行政支援の探し方、活用事例を紹介します。

お荷物の空家を収入源にする方法を一緒に探りましょう。

空家を活用するなら知っておきたい基礎知識

住宅を相続したものの活用法が定まらず、空家になっていませんか?

大きな儲けが得られなくてもいいから、管理コストを捻出するくらいの収入があればと考えるのは自然なことです。

全国の空家事情や活用するメリットを解説します。また行政支援の探し方も紹介します。

空家が活用されていない?全国の空家事情

空家は都市部や地方という区別なく、全国的に増加傾向にあります。

その理由には少子高齢化や地方を離れた土地への永住などが関係しています。

住宅は所有しているだけで毎年固定資産税が発生するだけでなく、定期的な管理のために手間と費用がかかります。

自宅の近所であれば手入れに出かけることもできますが、遠方だとそうはいきませんよね。

荒らしてしまうくらいなら「住宅だけ相続を放棄すればいいのでは?」と考えるかもしれません。

しかし相続はさまざまな資産をまとめて受け継ぐため「住宅だけを放棄する」といった取捨選択はできないしくみになっています。

また2024年4月から住宅や土地といった不動産を相続した場合は相続人が相続登記することが義務付けられました。

全国的に管理を放棄された空家が増加していることや、相続手続きがなされていないために所有者不明の物件が増えていることが義務化の背景にあるようです。

空家を活用するメリットを3つ紹介

管理コストがかかるだけで、所有しているメリットが見出せない空家。

実は活用しだいでさまざまなメリットが期待できます。

  • 貸し出すと長期的に収益がある
  • 管理や手入れを任せられる
  • 景観や治安をよくできる

3つのメリットを順番に見てみましょう。

貸し出すと長期的に収益がある

空家を活用する方法には売却するという手もあります。しかし売り時を誤ると思っていたより安い価格で売ることになります。売却にかかった費用を差し引くと大した利益にならないかもしれません。

しかし貸し出すと借主がいる間は安定した家賃収入を得られ、長く住んでもらえれば売却するより得になることもあるでしょう。

家を残しておけば、家族や親族の誰かが使いたくなったときに新しい家を持つよりコストを抑えて入居できます。

管理や手入れを任せられる

所有している限りは管理しなければいけません。貴重な休みを空家の掃除やメンテナンスで潰してしまうのはもったいないですよね。

例えば人に貸せば、入居した借主が生活の中で掃除やメンテナンスをしてくれます。住人がいることで空家をいいコンディションに保てるのです。

景観や治安をよくできる

庭付きの空家は草が生えたり、設備が経年劣化で壊れたりします。雨どいが朽ちて道路に垂れ下がっている姿を見かけることはありませんか?地域の景観を害するだけでなく、危ない場所ともいえるでしょう。

また空家になっていると動物が住み着いたり、放火など犯罪の温床になってしまったりすることも考えられます。

空家を適切に活用することで所有者と地域、両方の問題を解決できます。

3.助成金や補助金を活用できるかも!行政支援を調べよう

地方に限らず、都市部でも空家は増加傾向にあります。多くの自治体にとって空家問題は頭が痛いことでしょう。

空家が増えると治安や景観を損ねるだけではありません。所有者が分からない空家が地域に危険を及ぼすときは、行政が税金を使って対応することになります。

そこで空家を活用してくれる人へ積極的に支援している自治体があります。

空家活用の支援の具体的な内容は各自治体のホームページから調べるといいでしょう。

他には「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトを活用するのもオススメです。

支援の有無を知りたい自治体と条件を選択すると、支援の数が表示されます。自治体のホームページから探すより見つけやすいでしょう。支援策が掲載されているページへのリンクも記載されていますので、迷わずに自治体の情報元にたどり着けます。

地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイト

空家をどう活用する?利益を得る方法

空家を活用するには具体的にどんな方法があるのでしょうか。

「賃貸物件として貸す」「売却する」「更地にする」の大きく分けて3つの方法があります。

3つの方法の具体的な内容を見ながら、あなたの条件に合うものがあるか照らし合わせてみましょう。

戸建て賃貸として貸し出す

空家の活用を考えたとき、すぐに思いつくのが貸し出しではないでしょうか。

賃貸として貸し出す場合もやり方はさまざまです。

  • 戸建てのままクリーニングして貸す
  • リノベーションまたは建て替えて貸す

空家の設備や状態が良好な場合や築年数が浅い場合はハウスクリーニングするだけで賃貸物件にできます。もっともコストがかからない方法でしょう。

築年数が経っていたり、設備が古くなっていたりする場合はリノベーションや立て替えをした上で貸し出すケースがあります。

これには少なくとも100万円以上の費用が必要になるでしょう。

しかしリノベーションや建て替えできれいにしても借り手が付かなければ空家のまま劣化してしまいます。

空家があるエリアは借主が付きやすい立地条件であるかや家賃相場と比較して費用改修にどれくらいかかりそうかなどは事前に調べてシミュレーションしておきましょう。

また必ずしも住宅として使う必要もありません。シェアハウスやシェアオフィス、店舗など住宅以外の使い道を考えるとより利益を上げるチャンスかもしれません。

次項で詳しく解説します。

どちらの方法を選ぶにしても、不動産会社などの専門家に相談するといいでしょう。

地域に詳しく賃貸の実績がある不動産会社なら、よりよい活用方法が見つかるかもしれません。また住宅の様子から賃貸にするにはハウスクリーニングで済むのか、もっと大規模なリフォームが必要なのかも判断してくれます。

それに加え、賃貸物件の借主を探す際にも不動産会社の仲介があると契約をスムーズに進められます。

空家の活用方法から相談して、安心して任せられる不動産会社を探すといいでしょう。

空家を売却する

売却する大きなメリットはまとまった額の売却金を得られることです。それ以外にも管理のための手間やコストを手放すこともできます。

空家を売る際には空家周辺の売却価格の相場を調べておくことや、土地の境界線を把握しておくなどの準備が必要です。

実際の売却は不動産会社に仲介を依頼するのがもっともスムーズでしょう。仲介手数料が必要になりますが、不動産取引の手続きを代行してもらえて安心です。

またすぐに買い手が見つかるとも限りません。その場合は空家の隣近所の人が買主になってくれるケースもありますので、聞いてみるのもいいでしょう。

更地にして別の活用方法を見出す

空家を解体して更地にすることで活用方法が広がります。更地にするメリットとデメリットを比較しながら、どんな風に活用できるか探ってみましょう。

まずは更地にするメリットです。

  • 利用の幅が広がる
  • 自治体から解体費用の補助が出る

土地の上に建っている建物のコンディションを考慮する必要がなくなります。借地として貸し出せば、建物は借主が建てるのでコストはかかりません。契約時に借地契約が満了した際は「更地返し」としておけば土地だけになって返却されます。

建物を解体する場合は「老朽危険家屋解体撤去補助金」が適用される場合があります。老朽化で倒壊の危険がある家屋を解体する際に適用され、自治体から補助が出ます。

支給条件は各自治体が定めており、補助金の適応になるか調査を受ける場合もあります。

支給額は解体費用の5分の1から2分の1かつ上限50万円が一般的です。

支給額や適用条件は各自治体によって異なるので、ホームページや役所で問い合わせるといいでしょう。

次に更地にするデメリットです。

  • 建物の解体費用がかかる
  • 固定資産税が高くなる可能性がある

解体にかかる費用は建物の種類や面積によってことなります。一般的な木造建築であれば30坪で90万円~150万円程度です。

軽量鉄骨造であれば180万円~210万円、鉄筋コンクリート造だと210万円~240万円と高くなります。

解体工事に手間がかかると費用も増します。重機が使えない場所や残置物が多い、浄化槽や井戸が埋まっているなどは費用が増す一例です。

固定資産税は土地と建物の合算で納付額が決定します。固定資産税が年々下がるのは建物の価値が下がっているからです。しかし更地になると土地だけの価値になるため、場所や条件によっては現行よりも固定資産税が高くなることがあります。

更地にしても所有している限り、税金や管理のコストはかかります。そのコストを回収するために工夫が必要です。

例えば駐車スペースが限られているエリアなら、月極め駐車場やコインパーキングにすると利益率がいいでしょう。

日当たりがいい場所なら太陽光発電設備を設置する人も増えています。

土地だけにすれば、人件費をかけず自動的に稼いでくれる施設に変えてデメリットを補えるでしょう。

借り手が付きやすい空家の活用方法

空家を貸そうと考えても借主が現れなければ利益にはつながりません。借り手が付きやすい空家の活用方法を3つ紹介します。

初期費用を抑えて貸すなら戸建て賃貸

元々の住宅を活かして貸し出す方法です。戸建ては部屋数も多く、主な借主はファミリー層です。ファミリー層は小学校や中学校に通うお子さんがいると、同じ家に長く暮らしてくれる傾向があります。

住宅の老朽化が進んでいる場合はリフォームやリノベーションを考える必要があると思うかもしれません。しかし古さに魅力を感じる人もいます。

古民家や昭和レトロの実家っぽさを武器にするならDIYリフォームOKの物件としてアプローチするのもいいでしょう。

初期費用がかからない分、家賃を安めに設定するなどといった工夫で借り手が見つかりやすくなります。

リフォームOKの物件の場合、住居ではなく店舗として借りたい人もいます。あなたの空家がカフェや雑貨店になるかもしれませんね。

建て替えやリフォームをするなら住宅以外の活用法がある

建て替えやリフォームをするなら、住宅以外の活用法を考えるのはどうでしょうか。

大きな家であれば、シェアハウスやシェアオフィスとして作り替えるのも有効です。

古い町並みを再利用する取り組みをしている商店街が、古民家をシェア店舗にして成功している例もあります。

建て替えやリフォームの場合は十分なメリットを得られるかを事前にしっかりと見極めることが必要です。

福祉施設として活用してもらう

グループホームやデイサービスなどに活用するケースも増えています。元々の建物をリフォームして貸している場合が多く、住宅地の中にあることも珍しくありません。

自治体によってはグループホームへの改修が補助の対象になる場合もあります。

セーフティーネット住宅という選択肢もあります。セーフティーネット住宅は住宅確保要配慮者を拒まない住宅のことをいいます。所得が少なく他の賃貸住宅で入居を断られてしまうような人にも、住むところを提供することを目的とした法律に基づいた制度です。

条件を満たした住宅をセーフティーネット住宅情報提供システムに登録します。

セーフティーネット住宅の特徴から高い収益は見込めません。しかし登録しておくことで他の物件を断られた人を受け入れるチャンスが広がります。長期的に借主が現れない場合は検討してみてもいいでしょう。

まとめ

空家は所有しているだけで管理の手間や税金といった費用が発生します。維持管理費を節約するには空家を活用して利益を得るのが近道です。

初期費用を抑えて活用するなら、住宅として賃貸するといいでしょう。

また建て替えやリフォームで新たな価値を付けると、戸建て賃貸より利益を得られます。

空家の活用には自治体からの補助の対象になることもあります。活用する方向性が決まったら、どんな補助があるか調べてみると初期費用を抑えることができるでしょう。

所有している空家の立地条件などを加味して、どんな活用方法にするかじっくり検討することをオススメします。