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2024/06/21最終更新⽇時
2024/06/21家の名義変更とは?4つのケースに分類してそれぞれの特徴を徹底解説
- 不動産の知識

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皆さんは自身が住んでいる家の名義が誰になっているかをご存知ですか?何らかの理由でその名義を変更しなくてはならない場合、どのような手続きが必要なのか、また何が必要であるかを理解しているでしょうか?
今回は家の名義変更について詳しく説明していきますので是非参考にしてみてください。
名義変更が必要となるケース
「名義変更」とは、家の持ち主が変わる際に申請する、名義の変更手続きのことを指します。法律上では「登記」とも表され、第三者に自身の物件であることを証明するために必ず必要とされる手続きのことです。
まずはじめに、家の名義変更をしなければならないケースについて解説していきます。家の名義変更をしなくてはならないケースは大きく分けて4種類存在します。
まず一つ目は、「不動産売買」のケースです。家を売ったり買ったりする時、その所有権を変更します。家の売り手から購入した買い手へ所有権を移動させる手続きが必ず必要となるのです。この手続きは一般的に、司法書士が家の売却代金の決済、引き渡しと同時に行います。売り手の住宅ローンがまだ完済されていない場合には、事前に一括で返済して抵当権を抹消することが必要です。抵当権とは、住宅ローンなどを借り入れる際に、金融機関等が購入する土地と物件に対して設定する権利のことで、いわゆる「担保」のことです。物件を売却した代金で残っている住宅ローンを返済する場合には、抵当権抹消登記、そして所有権移転登記を同時に行うのが一般的です。
二つ目のケースは、「遺産相続」です。家の持ち主が死亡した場合、亡くなった人からその相続人へ不動産の名義を変更しなければなりません。不動産売買では売り手と買い手の両者が共同で名義の変更を申請するのに対して、遺産相続による名義変更では相続人のみが申請を行います。しかし、相続人が複数人存在して遺言書もない場合には相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの分配で相続するのかをきちんと決めておく必要があります。その上で遺産分割協議書を作成し、遺産登記を行います。
三つ目のケースは、「財産分与」です。夫婦が離婚して財産分与を行う際、その内訳に不動産が含まれている場合、家の名義変更が必要になるケースがあります。財産分与とは、夫婦が離婚する時に、それまでの婚姻生活中に夫婦が共に協力して築き上げてきた財産を、それぞれの貢献度により公平に分配する精度です。その財産は夫婦で2分の1ずつに分けることが原則となっています。財産分与で名義変更が必要になるのは、夫婦の共有名義で購入した家をどちらか片方の名義に変更するというような時です。土地と建物で所有者の名義が異なる場合や住宅ローンの残債が残っているという場合では手続きが複雑になりがちです。そのため、司法書士や弁護士に相談しながら慎重に手続きを進めることをおすすめします。
最後のケースは、「生前贈与」です。生前贈与とは、不動産などの財産を所有者が生存している間に誰かに無償で譲ることを指します。相続する財産が一定額を超えてしまうと相続税を支払う必要があるため、その税金対策として所有者が生存している間に親から子へ、孫へ、兄弟姉妹へなどに家を贈与するケースがあります。生前贈与を行う場合にも所有者から贈与する相手へと名義変更をしなければなりません。生前贈与には原則として相続税がかかりませんが、贈与税がかかる可能性があります。特に、不動産を贈与された場合には、購入または取得した不動産を登記する時に必要となる登録免許税や不動産取得税がかかります。また、相続人が複数いる場合に一人にのみ贈与してしまうと所有者が死亡した場合に、法定相続人間でトラブルになってしまうことがあるので注意しましょう。
名義変更手続きのプロセス
家の名義変更を行う手順は先述した4つのパターンで共通する流れと異なる流れがあります。パターンごとに1つずつ順を追って解説していきますので参考にしてください。
不動産売買の場合
不動産売買による名義変更の手順については次のような流れで手続きを行います。
売買契約の成立
家の売買契約が成立した場合に家の売り手と買い手の両方で売買契約書を作成します。その際、不動産会社が仲介している場合であれば売買契約書の作成は不動産会社が代理で行います。
必要書類を集める
家の売り手と買い手により必要書類が異なりますので自身の立場に合った書類を用意しましょう。家の引き渡しの日までに間に合わなかったり紛失したりなどの理由で用意できない書類がある場合は早めに不動産会社や司法書士に連絡するようにしましょう。
物件の引き渡しと代金の支払い
一般的に家の引き渡しと代金の支払いは金融機関で売り手と買い手、不動産会社の担当者、司法書士などが集まり行われます。売り手と買い手がそれぞれ必要書類を用意した上で司法書士に渡し、それを司法書士が確認をしてから買い手が売り手に代金を支払い、取引が完了します。
法務局への申請(司法書士)
家の名義変更を司法書士が代行して行う場合は、売り手と買い手それぞれから必要な書類を預かり、不動産売買による家の名義変更を法務局に対して申請をします。住宅ローンかある場合にはこの際一緒に抵当権抹消登記も行います。
名義変更完了の確認
名義変更の申請をしてから約2週間ほどで手続きが完了します。手続き完了後に司法書士から権利証の返却書類が売り手と買い手の両方に郵送されてきます。
4)の法務局への申請から名義変更完了の確認までのプロセスは、他の②遺産相続、③財産分与、④生前贈与による名義変更においても同様です。それまでの流れはその場合によって異なるので、次はそれぞれのケースにおいて異なる手順について説明していきます。
遺産相続の場合
不動産の名義の確認
登記事項証明書(法務局の登記簿に記録されている土地や建物の所有者の情報が記された証明書のこと)で、その不動産の名義人が誰なのかを確認します。
必要書類を集める
遺産相続による名義変更をする上で必要な書類を収集します。
相続人の選定
遺言書があるのであればそれに従います。無い場合は法定相続人をリストアップして、相続人になる人を確定させます。
遺産分割協議書の作成
遺言書が無い場合、相続人となる人が全員で遺産分割協議を行います。そこで相続内容を決め、「遺産分割協議書」を作成します。これには相続人全員の署名と実印が必要になります。
財産分与の場合
財産分与の同意
まずはじめに、夫婦間で財産をどのように分配するのかで両者の合意が必要です。離婚の同意と一緒に決めるのが一般的ですが、法律上では離婚後に財産分与を請求することも可能です。しかし、財産分与を請求できるのは離婚から2年以内と決められているので注意しなくてはなりません。
必要書類を集める
財産分与をする上で必要な書類は、「裁判離婚」と「協議離婚」により異なります。裁判離婚とは、離婚をする上で調停などで裁判所が離婚に関与していることです。協議離婚とは、夫婦間の話し合いで離婚が成立することを指します。
名義変更申請の書類の作成
財産分与による名義変更の申請書は、財産(不動産)を渡す人ともらう人の両者が共同で作成を行います。
生前贈与の場合
必要書類の準備
生前贈与に関する名義変更では、その不動産を渡す側ともらう側で準備する書類が異なります。
名義変更のための申請書の作成
法務局へ申請をするための書類を作成します。
付属書類の作成
申請書と一緒に必要となる書類の作成を行います。ここで必要となる書類は、不動産取引が行われたことを証明するための登記原因証明情報などです。
このように、4つのケースそれぞれによって名義変更を行う流れが異なります。自分がどのパターンに当てはまるのかを把握しておきましょう。
の、住宅ローン等の融資を受ける際に必要)
- 顔写真付きの本人確認書類
それぞれのパターンにおける名義変更に必要な書類
不動産売買の場合
先ほど説明したように、家の売り手と買い手で必要となる書類が異なります。それぞれに必要な書類を紹介しますので参考にしてください。
売り手に必要な書類
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)
- 登記済権利証または登記識別情報通知
- 固定資産評価証明書
- 住民票または戸籍の附票(登記に記載の住所から住民票の住所が変更されている場合に限る)
- 顔写真付きの本人確認書類
買い手に必要な書類
- 住民票
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの
遺産相続の場合
遺産相続による名義変更の申請はオンラインでも可能です。その場合は後から必要書類類を法務局に持って行くか郵送します。
被相続人に必要な書類
- 出生時から死亡時までの戸籍謄本
- 住民票除票または戸籍附票
相続人に必要な書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産を譲り受ける人の住民票
- 遺言書または遺産分割協議書
- 法定相続人の印鑑証明書(遺産分割協議書を作成する場合のみに限る)
財産分与の場合
財産分与による名義変更は、裁判離婚なのか、協議離婚かにより必要な書類が異なります。
裁判離婚の場合
分与する人に必要な書類
- 特になし
分与される人に必要な書類
- 住民票
- 固定資産評価証明書
- 調停調書及び和解調書など
- 協議離婚の場合
分与する人に必要な書類
- 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)
- 登記済権利証または登記識別情報通知
- 固定資産評価証明書
- 住民票または戸籍の附票(登記に記載の住所から住民票の住所が変更されている場合に限る)
- 離婚の事実の記載がある戸籍謄本
分与される人に必要な書類
- 住民票
- 登記原因証明情報
生前贈与の場合
生前贈与による名義変更では、贈与側と受贈側で必要な書類が異なります。
贈与者に必要な書類
- 印鑑証明書(取引日の時点で3ヶ月以内に取得したもの)
- 登記済権利証または登記識別情報通知
- 固定資産評価証明書
- 住民票または戸籍の附票(登記に記載の住所から住民票の住所が変更されている場合に限る)
受贈者に必要な書類
- 住民票
不動産に関する書類
- 不動産贈与契約書
- 登記申請書
このように、全てのケースに共通して必要な書類とケースによって異なる書類があります。書類を全て揃えるのには手間と時間を要する場合もありますが、印鑑証明書や住民票はマイナンバーカードを取得していれば、役所に出向かなくても近くのコンビニで発行することもできます。必要書類に不足が無いように気を付けましょう。
よくある質問(FAQ)
質問:家の名義変更にはどのくらい費用がかかりますか?
回答:不動産の名義変更には法務局への申請が必要で、その申請時に登録免許税というものが必ずかかってきます。登録免許税とは、名義変更の内容によって0.4%~2%と一定の税率が決まっています。また、法務局への申請など名義変更の手続きを司法書士に依頼する場合には担当の司法書士へ報酬を支払う必要があります。報酬額はそれぞれの事務所や司法書士によって異なるのでよく確認しましょう。
質問:家の名義変更にはどのくらい時間がかかりますか?
回答:売買、相続、財産分与、贈与とそれぞれの内容にもよりますが、おおよそ1ヶ月ほど時間を要します。一般的には、必要書類が一番多い相続による名義変更が最も長い時間を要し、1ヶ月~1ヶ月半ほどです。売買、財産分与、贈与による名義変更はスムーズにいけば通常で3~4週間ほどで手続きが完了します。
まとめ
今回は家の名義変更について、4つのケースに分けてそれぞれの特徴と手続きの手順、申請に必要な書類について解説しました。各ケースによって申請の流れも必要な書類も異なります。自身がどのパターンに当てはまるのかをよく確認してください。また、書類の収集には手間と時間がかかる場合もありますので、余裕をもって手続きを行えるようにしましょう。