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2024/06/19最終更新⽇時
2024/06/19仏壇の正しい処分方法とは?供養の仕方や移動手順も網羅
- 不動産の知識

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日本古来より、仏様やご先祖様をまつり、供養するために数々の人達にお祈りされてきた仏壇。日々のできごとをご先祖様に報告したり、精神を整えたりするため現代でも大切にされている方が多いです。そんな仏壇ですが大切だからこそ処分に困っている、適切な処分方法がわからないといった悩みを抱えている方も少なくないでしょう。
そこで本記事では実家の仏壇を処分する方法と、処分できる場所について解説します。
この記事を読むことで実家の仏壇を適切に処分する方法がわかるでしょう。
仏壇とは?
仏壇とは、仏様やご先祖様を位牌としてまつり、供養するための台のことです。
もともとはお寺にあったものですが、家庭で供養やお参りができるように、お寺の内陣を縮小して一般家庭に持ち込まれたのが仏壇です。
仏壇の起源は、686年の奈良時代にさかのぼります。当時国を治めていた天武天皇が仏壇の原型となる仏舎を設置し、お祈りするようになったことが仏壇の始まりです。当時は現代のように一般家庭で仏壇によるお参りが普及していなかったため、上流階級のみが仏舎を設置しお参りできていたとされています。
現代のように一般家庭にも仏壇によるお参りが普及したのは江戸時代です。江戸時代になると一般家庭の人々も数あるお寺の中からどれか1つを菩薩寺に定めなくてはなりませんでした。
菩薩寺とは先祖のお墓を置いてもらうお寺で、お葬式やお墓参りをお願いするお寺のことです。このように菩薩寺を定めたことにより特定のお寺でお墓参りをする習慣がつきました。
仏教が伝来したことに加え、日本の祖先や霊的なものを信仰心が混ざりあった結果、現代のような仏壇によるお参りが日本全体に浸透していったのです。
仏壇の目的と重要性
仏壇の目的は次の通りです。
- 亡くなった祖先との対話の場所
- 感謝の気持ちを忘れずにいられる
- 精神が安定する
- 亡くなった方を自分の中で再認識できる
亡き祖先との対話の場所
仏壇に向かってお祈りをすることで、亡くなった祖先との会話ができるとされています。もちろん言葉を交わせるわけではありませんが、心に思いを込めることで、亡くなった祖先と対話できるでしょう。たとえば今日はこんな楽しいことがあった。今日はこんな悲しいことがあったなどの思いを仏壇の前に座り、手を合わせお祈りすることで、祖先に気持ちが届くかもしれません。仏壇は亡くなった方を供養することも大切な役割されていますが、一方で日々のできごとを祖先に報告する場所でもあるのです。
感謝の気持ちを忘れずに保つ場所
仏壇は古くから日本人の生活と密接にかかわってきました。とくにみかんやバナナ・お菓子などをお供えする光景を目にすると思います。これは祖先や仏様に美味しい食べ物をまず召し上がって頂くという目的で行われているお供えです。日々見守ってくれる仏様やご先祖様がいるおかげで今の自分がいるんだという認識や感謝を忘れないためにも、こういったお供え物が必要とされています。感謝することで心が豊かになるでしょう。
精神的安定をもたらす仏壇の役割
仏壇にお祈りするときは、正座して、姿勢を正してお祈りするでしょう。気持ちに関しても一呼吸おいて落ち着かせなければお祈りできません。そのためイライラしたり、気持ちが落ち込んだりしたときこそ、仏壇にお祈りすることをおすすめします。仏壇にお祈りした経験がある方はわかるかもしれませんが、どんな心境であっても、仏壇にお祈りすることで気持ちが落ち着くのではないでしょうか。精神を安定させるためにも、ご自宅に仏壇がある方は、ぜひ一度お祈りしてみてください。
仏壇を通じて亡くなった方を再認識する
普段生活していると、亡くなった方を深く思い出すことは少なくなるでしょう。生活が忙しければ忙しいほど、目の前の現実に追われてなかなか想いを馳せづらくなるものです。そんなときでも仏壇にお祈りし、亡くなった方やご先祖様を思い出すことで、再度自分の中で存在を感じられるのではないでしょうか。忙しいと心に余裕がなくなりがちですが、そういうときこそ一呼吸おいて、亡くなった大切な方やご先祖様を思い出すことが大切です。
仏壇処分前に知っておきたい「魂抜き」の重要性
魂抜きとは?その必要性
なぜ仏壇を処分する際に魂抜きをしなければならないのでしょうか。それは仏壇を購入した際に開眼供養(かいげんくよう)という儀式を行っているからです。開眼供養は一般的に、仏壇やご本尊・位牌・お墓などを購入したり建てたりした際に行います。開眼供養は、お寺の住職の方あるいは僧侶の方がお経を読むことで、ご本尊の目を開き、亡くなった方の魂を位牌にいれることが目的とされています。つまり仏壇に魂を宿す儀式ということです。魂を宿すことから別名魂入れとも呼ばれています。このように開眼供養を行った仏壇は魂が宿っているため、魂抜きを行ってから処分しなければならないのです。
なお開眼供養は宗派や地域によって呼び名や儀式内容が異なります。
魂抜きのタイミングと方法
開眼供養を行った仏壇は亡くなった方の魂が入っている状態のため、閉眼供養という魂を抜く儀式を行う必要があります。閉眼供養を行うタイミングは、引越しや仏壇を処分するときです。
閉眼供養も開眼供養と同じように宗派や地域によって呼び方や儀式内容が異なります。たとえば浄土真宗の場合は、魂入れ、魂抜きとはいわずに、入仏法要・遷仏法要と呼ばれます。
閉眼供養を行う場所は、仏壇が設置されているご自宅か、お寺が一般的です。
仏壇を買い替えたり、引越しをしたり、仏壇を処分したりする際は、閉眼供養を行いましょう。もし手続きの方法がわからない場合は、一度お近くのお寺さんに相談してみてください。
仏壇の魂抜きを依頼する場所と方法
仏壇の魂抜きを依頼できる場所は次の通りです。
- お寺に依頼する
- 僧侶派遣サービスを利用する
お寺に依頼する方法
仏壇の魂抜き依頼場所で最も多いのは、菩薩寺です。菩薩寺とはご先祖様のお墓を管理しているお寺さんのことです。菩薩寺は普段から付き合いがあるため、仏壇の魂抜きをしてほしいとお願いすれば、日程を調整してくれるでしょう。
ただし当日や前日などの急なお願いをすると対応してもらえない可能性があるため、魂抜きをお願いしたい場合は、余裕を持って連絡しましょう。おすすめは一ヶ月程前の連絡です。
僧侶派遣サービスの活用方法
菩薩寺が定まっておらず、普段からお寺の僧侶との付き合いがない方は、僧侶派遣サービスを利用しましょう。僧侶派遣サービスとはインターネットや電話で依頼できる派遣型の僧侶サービスです。登録している僧侶が多いため、日程調整がしやすいでしょう。また浄土真宗や浄土宗、天台宗などさまざまな宗派の僧侶が登録しているため、あなたの宗派にあった僧侶を見つけられるはずです。費用に関しても、事前に決まっているため、一般的なお布施のようにいくら支払えばよいかわからないという状況になりづらいでしょう。菩薩寺や僧侶との繋がりがない方はぜひ僧侶派遣サービスを利用してみてください。
実家の仏壇を処分する方法
実家の仏壇を処分する方法は次の通りです。
- 粗大ごみとして処分する
- 魂抜きを依頼した上でお寺に処分してもらう
- 仏具店に処分してもらう
粗大ごみとして処分する
実家にある仏壇を処分する方法の一つは、粗大ごみとして処分することです。粗大ごみで処分する場合は、仏壇の大きさを測り、業者に取りに来てもらうか、ご自身で指定の場所に持ち込むかのどちらかになります。
ただし詳しい処分方法は各自治体によって異なるため、お住まいの粗大ごみのルールを確認しましょう。なお自治体によっては、魂抜きをすることが条件となっている場合があります。仏壇を粗大ごみとして処分することは違反にはならないものの、少しでも罪悪感や不安がある場合は、お寺や仏具店にお願いしましょう。
お寺に依頼して処分する
普段からお墓参りや、仏壇参りで関わりのある僧侶に処分を依頼することも1つの方法です。付き合いが長ければ信頼や安心感を持って依頼できるでしょう。また仏壇の魂抜きだけでなくお焚き上げも一緒に実施してくれます。新しく仏壇の購入を検討している場合には、仏壇購入のアドバイスをしてくれる可能性もあります。このように菩薩寺の僧侶は一番身近な僧侶のため、仏壇の処分に困ったらぜひ、一度菩薩寺の僧侶に相談してみましょう。
仏具店で処分してもらう
仏壇は仏具店でも処分してもらえます。仏具店で仏壇を処分してもらうメリットは、菩薩寺に依頼する場合と比べて費用が安い点です。
一般的に菩薩寺では1万円〜10万円程の費用がかかるのに対し、仏具店の場合は1万円〜3万円程度で収まります。これは菩薩寺で依頼する場合は、お布施という気持ちのお金を収めなければならないからです。処分費用をできるだけ安く済ませたい方は仏具店に相談してみましょう。
実家の仏壇を引き継ぐ場合の注意点
実家の仏壇を引き継ぐケースとして考えられるのは次の通りです。
- 実家の仏壇を長男が引き継ぐ場合
- 実家の仏壇を長女が引き継ぐケース
- 跡継ぎがいないケース
実家の仏壇を引き継ぐ場合の注意点
親が亡くなった場合、実家の仏壇は長男が引き継がなければならないのかと考えている方も少なくないでしょう。しかしそんなことはありません。なぜなら仏壇は相続財産とは異なる祭祀財産であるためです。。祭祀財産は民法上の相続財産に該当しないため誰が引き継ぐかは基本的に話し合いで決まります。したがって長男が必ずしも引き継ぐ必要はないのです。
仏壇はご家族の誰が引き継ぐかよりも、良い環境に安置し、仏さまやご先祖様に日々お祈りすることが重要なため、毎日きちんとお祈りできる方に引継ぎしましょう。
長男や長女が引き継ぐケース
仏壇は長女だから・長男だから引き継がなければならないという決まりはありません。しかし長女が仏壇を引き継ぐ場合、次のような問題が考えられます。
- 嫁ぎ先に既に仏壇がある
- 夫や姑から処分してほしいと言われる
- 2つ置きたいけどスペースがない
仏壇は1つの家に2つ置いてはならないという決まりはありません。しかし現実的にスペースが無くて2つ置くのは難しい、あるいは宗派が違うことで嫁ぎ先に仏壇を持っていけないなどの理由で実家の仏壇を持っていけない可能性があります。このような場合は、ご主人の宗派に合わせて、仏壇を1つにまとめるのが一般的です。どうしても実家の仏壇を持っていきたい、処分したくない場合は、ご主人やご主人の家族と相談した上で、どうするかを決めましょう。
跡継ぎがいない場合の選択肢
仏壇は一般的に先祖代々引き継いでいくものとされています。当然子孫がいれば子孫に引き継いでいきます。しかし跡継ぎがいない場合はどうするのでしょうか。跡継がいない場合は、仏壇を処分してしまうことがほとんどです。なぜなら跡継ぎがいない仏壇は誰も管理できないからです。仏壇は仏さまやご先祖様と魂を通じ合わせたり、お祈りをしたりするための物なので管理ができないことはかえって失礼とされています。したがって跡継ぎがおらず管理ができない場合は処分を検討しましょう。
跡継ぎがいない仏壇を処分する際の流れは次の通りです。
- 菩薩寺や僧侶派遣サービスに相談する
- 魂抜きを実施してもらう
- 仏壇を処分してもらう
なお位牌に関しても永代供養を行う・仏具店に引き取ってもらう・お寺で魂抜きをしてもらうなど、いずれかの方法で適切に処分しましょう。
仏壇の移動方法と注意点
仏壇の移動方法は次の通りです。
- 仏具店に依頼する
- 引越し業者に依頼する
- 自分で移動する
仏具店に依頼する
仏壇を移動する方法で最もおすすめなのは仏具店に依頼することです。なぜなら仏具店は普段から仏壇を取り扱っていることにより、作法や仏具の適切な取り扱い方を知っているからです。仏様やご先祖様が祀られている大事な仏壇だからこそ取り扱い方法をわかっている仏具店に依頼することは安心に繋がるのではないでしょうか。古くなった仏具の交換やクリーニングなどを一緒に行ってくれる仏具店もありますので、詳細は一度お近くの仏具店に相談してみてください。
引越し時の仏壇の移動方法
仏壇は引越し業者に依頼することでも移動してもらえます。ただし注意点があります。それは仏壇のプロではないため、搬送時にぶつけてしまったり、他の荷物と接触することで傷がついてしまったりする可能性があるということです。
他の荷物と一緒に移動してもらえる分、費用が安く済む・手間が省けるといったメリットはあるかもしれませんが、丁重に扱って欲しい場合は、仏壇の取り扱いに慣れている仏具店に依頼しましょう。
仏壇を自分で移動する際のポイント
自分で仏壇を移動する最大のメリットは費用がかからないことです。しかし仏壇は一般的なサイズで50キロ〜60キロ程の重さになります。成人男性1人分くらいの重さの物を別の家に運び出すのはかなり大変ではないでしょうか。また適切な梱包の仕方や持ち方がわからずぶつけてしまったり、傷をつけてしまったりする可能性もあります。
移動する際に壊れてしまうと修理代がかかってくるため本末転倒です。仏壇は慎重に取り扱わなければ壊れてしまう可能性があるため、無理をせずできる限り業者や仏具店に依頼しましょう。
まとめ: 仏壇は魂抜きと適切な処分方法で心を込めて処分しよう
仏壇は日本古来より伝わる伝統的なお祈りの場所です。もともとはお寺でお祈りする習慣があったものを、家でもできるようにという願いの元作られています。そんな想いのこめられた仏壇を処分するのは難しいと思われる方がいる一方で、大切な仏壇だからこそ、適切に処分したいという方もおられるでしょう。その点ご安心下さい。仏壇は閉眼供養という魂抜きさえしっかり行えば、仏様やご先祖様を供養して適切に処分できるからです。閉眼供養は菩薩寺や僧侶派遣サービスに依頼することで実施できます。仏壇の処分に困った際は、ぜひ一度菩薩寺や僧侶派遣サービスに相談してみてください。