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2024/06/18最終更新⽇時
2024/06/18買付証明書の法的効力とは?メリットと注意点を解説
- 不動産の知識

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買い付け証明書とは、購入希望者が売主に対して購入の意思を伝えるための重要な文書です。古くから用いられており、現在でも利用されています。しかし、買い付け証明書の書き方や注意点について詳しく説明できる人は少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、買い付け証明書を発行するメリットや注意点、発行する際に書くことなどを解説します。
買付証明書とは?その概要と重要性
初めに、買い付け証明書とは何か、詳しく解説します。
買付証明書の基本情報
買い付け証明書は、不動産取引において買主が売主に対して自らの購入意思を示すための書類です。以下、買い付け証明書の役割、法的効力、規定について解説します。
買付証明書の役割と必要性
買い付け証明書は、買主が特定の物件を購入する意向を売主に伝えるための書類です。これにより、売主は買主が「真剣に購入を考えているんだな」というように購入意思を確認できます。主な情報として、買主の個人情報(氏名、住所、連絡先)、物件の情報(所在地、構造、面積)、購入希望価格、支払方法、有効期限などが記載されます。
買付証明書における法的効力
つまり、買い付け証明書には法的効力がないため、あくまで買主の意向を示すための文書です。これは、あくまで買主の意思表明を伝えるための文書であり、法的な契約を構成するものではないためです。買い付け証明書を提出した後でも、買主が購入を取りやめることができます。この際、罰則や違約金の支払いを求められることはありません。あくまでも「真剣に購入を希望している」ということを伝えるためだけの文書なのです。
規定
買い付け証明書には共通の項目が含まれるものの、公式な書式に関する厳格な規定は存在しません。不動産会社や仲介業者が提供する書式を使用することが一般的です。書式は会社ごとに異なる場合がありますが、基本的には必要な情報が記載されていれば問題ありません。
要するに、買い付け証明書は、買主の購入意思を明確に伝えるための重要な文書ですが、法的な契約を形成するものではありません。こうしたことに留意する必要があります。
買付証明書のメリットとデメリット
法的効力がない買い付け証明書ですが、作成するメリットは大いにあります。
メリット
買い付け証明書を提出することの主なメリットは以下の3点です。
- 真剣に購入を考えているという意思表示になる
- 値下げ情報を優先的に得られることがある
- 情報を早くもらえる可能性がある
真剣に購入を考えているという意思表示になる
まず、買い付け証明書は購入希望者が物件に真剣に興味を持っていることを示す重要な文書です。この証明書を提出することで、売主側は買主の本気度を確認しやすくなります。物件の売買においては、売主も買主も相手方の意思を把握したうえで交渉を進めることが望ましいです。買い付け証明書を提出することで、売主は買主の真剣な意向を理解しやすくなり、交渉が円滑に進むでしょう。
値下げ情報を優先的に得られることがある
また、買い付け証明書を提出することで、売主側から値下げ情報を優先的に得ることができる場合があります。売主が物件を早く売却したい場合や需要が高い物件の場合、買主の真剣度を示す買い付け証明書を提出した人に対して、値下げ情報を最初に提供することがあります。これにより、買主は有利な条件で物件を購入するチャンスを得ることができます。
情報を早くもらえる可能性がある
さらに、買い付け証明書を提出することで、不動産会社からの情報提供がスムーズになります。買主が買い付け証明書を提出すると、不動産会社はその買主の真剣度を認識し、優先的に情報を提供する傾向があります。また、買い付け証明書には買主の希望条件や資金状況などが記載されているため、不動産会社が提供する情報もより適切なものになるでしょう。
以上のように、買い付け証明書の提出は物件の売買プロセスにおいて重要な役割を果たします。真剣に物件を購入したい意思を示し、交渉や情報提供において有利な立場を築くためにも、買主は積極的に買い付け証明書を提出することをオススメします。
デメリット
反対に、不動産買い付け証明書を提出することには、購入希望者側にとって、いくつかのデメリットがあります。
- 交渉が後回しになる可能性がある
- 提出後の条件変更は難しい
交渉が後回しになる可能性がある
人気の物件では、複数の購入希望者が買い付け証明書を提出することがよくあります。売主はこれらの証明書を比較し、条件が良い購入希望者と優先的に交渉したいと考えるかもしれません。その結果、自分の順番が後回しになり、交渉の機会を逃す可能性があります。また、あまりにも無理な条件を提示したとき、売主や不動産会社からの印象が悪くなってしまい、交渉そのものが断られる可能性もあります。条件をよく考え、慎重に記載することが重要です。
提出後の条件変更は難しい
買い付け証明書は、書面で購入の意向を表明するものであり、提出後の条件変更は困難です。提出後に条件を変更することは難しく、トラブルの原因になる可能性があります。例えば、提出後に価格交渉を試みたり、条件を修正したりすることは難しいです。また、条件変更が認められない場合、買い付け証明書を取り下げることで取引の機会を失う可能性もあります。したがって、提出前に条件をしっかり精査し、修正が不要な状態で提出することが重要です。
以上のように、買い付け証明書の提出には注意が必要であり、慎重な判断が求められます。不動産取引は大きな金額が動くことから、しっかり買い付け証明書の内容を吟味して提出し、トラブルを避けましょう。
【注意点】
デメリットに加え、買い付け証明書を提出する際には重要な注意点もあります。以下、その詳細を解説します。
- 法的な契約ではない
- 契約条件の不明確さ
- 裁判例も見ておく
- 口頭でも契約成立の可能性がある
法的な契約ではない
繰り返しになりますが、買い付け証明書は購入希望者が物件に対する購入の意向を表明するための文書であり、法的な契約ではありません。実際の売買契約は、売買契約書と呼ばれる文書によって成立します。買い付け証明書による意思表示は、購入希望者が売主に購入意思を示す段階であり、契約自体を形成するものではありません。
契約条件の不明確さ
買い付け証明書には、基本的な情報(購入希望金額や物件の特定など)が記載されますが、具体的な契約条件や詳細な約款は含まれていません。したがって、買い付け証明書を提出したからといって、売買契約の詳細な条件が確定するわけではありません。後から内容が変更されて売買契約を締結することがあります。
裁判例も見ておく
過去の裁判例も見ておきましょう。前提として、過去の裁判例からも分かるように、買い付け証明書の提出だけでは売買契約が成立するわけではありません。売買契約は、双方の合意が成立した後に行われるものであり、書類の提出だけでは契約が完了するわけではありません。
口頭でも契約成立の可能性がある
法的な観点から見れば、不動産の売買契約は口頭でも成立する場合があります。ただし、不動産取引は高額な金額が動くことから、後々のトラブルを避けるためにも、契約書を作成して書面で取り交わすことをオススメします。一般的にも口頭で契約する事例はほとんどありません。
以上の点から、買い付け証明書の提出は購入意思を表明する重要な要素ですが、それだけで契約が成立するわけではないことを理解しておく必要があります。
買付証明書を発行する際のポイント
買い付け証明書は、不動産の売買契約において買主が売主に対して具体的な購入意思を示す文書です。この文書は、不動産取引において、相手からの信頼性獲得や、意思表示の面において非常に重要です。以下、買い付け証明書の各項目について解説しました。
買い付け証明書発行時に記載しておくべきこと
下記の要素は、買い付け証明書に記載しておきましょう。
- 希望購入金額
- 手付金、中間金
- 物件情報
- 契約希望日、引き渡し希望日
- 残代金
- 買主の情報
- 契約の有効期間
- その他条件
希望購入金額
買主が物件を購入する際の希望価格を記載します。この価格は、買主が物件の価値を調べ上げ、適正な金額として提示するものです。ただし、過度に低い価格を提示すると、売主の交渉意欲を損なう可能性があります。
手付金、中間金
手付金は、買主が契約時に売主に支払う金額であり、売買契約の証拠となります。中間金は、契約後の支払いを保証するための金額です。これらの金額は、買主が物件購入の本気度を示す重要な要素となります。
物件情報
物件の所在地、建物の構造、面積など、物件に関する詳細情報を記載します。これにより、売主は買主がどの物件に興味を持っているのか正確に把握できます。
契約希望日、引き渡し希望日
買主が契約を希望する日付や、物件の引き渡しを希望する日付を記載します。これにより、売主との間での取引スケジュールが明確化されます。
残代金
残代金は、物件の総額から手付金と中間金を差し引いた残りの金額です。この金額は、物件の引き渡し時に支払われます。
買主の情報
買主の情報は、買主の信用度や経済的な背景を売主に伝えるための重要な要素です。年収や自己資金の有無、過去の不動産取引の経験などを記載しましょう。
契約の有効期間
買い付け証明書の有効期間は、買主が提示した条件が有効である期間を示します。一般的には1〜2週間が設定されますが、長期間に設定することもあります。
その他条件
買い付け証明書には、特別な条件や取り決めが含まれる場合があります。例えば、融資特約や特定の条件下での購入意思の撤回条件などが挙げられます。
これらの項目は、買主と売主の双方が円滑な不動産取引を進めるために必要な情報です。とくに決まった雛形は存在せず、不動産会社や専門家ごとに記載内容は異なるため、彼らに相談しつつ、項目を埋めていくことをオススメします。
まとめ
まとめとして、売主が買い付け証明書を受け取った際には、まずその内容を検討することが重要です。条件が売却条件と一致していれば、通常は承諾し取引を進めます。その際、売渡承諾書を提出することもありますが、口頭での応諾でも取引は可能です。一方、条件が異なっている場合は再度条件を提示して交渉できます。交渉の結果、応諾できない場合は早めに購入希望者に伝えるようにします。
不動産の売却にはさまざまな商慣習があり、初めての売却では不安に感じることもあるかもしれません。その一つの商慣習として買い付け証明書があるのです。不動産会社や専門家は、この買い付け証明書の用意についてもサポートしてくれることが多いです。そのため、安心して取引を進めることができるでしょう。心配する必要はありません。
最後までご覧いただきありがとうございました。