© REAL ESTATE Co.,Ltd. All RIGHTS RESERVED.

投稿⽇時

2024/06/18

最終更新⽇時

2024/06/18

市街化調整区域の特徴と土地活用方法を徹底解説

  • 不動産の知識

住宅を建設する際や、不動産投資を始める際には土地の選定は非常に重要です。土地を探す過程で「市街化調整区域」や「都市計画調整区域」という用語を目にすることはありませんか。双方は同じエリアを指しますが、このエリアでは土地を購入しても建物を建てられない場合があります。そこで今回は、市街化調整区域(都市計画調整区域)について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

市街化調整区域の概要と目的

市街化調整区域は、都市計画法によって指定された地域で、人口の増加を抑制し、自然環境や農地を保護することを目的としている区域のことです。この地域では、都市計画法で定められた建築制限が厳しく適用されます。

都市計画法では、主に3つのエリアが指定されます。「市街化区域」は人口が集中し、都市機能が発達している地域、「市街化調整区域」は人口増加を抑えるための地域、「非線引き区域」は特定の区域を指定せず、市街化や農地保護を促進する地域です。各自治体がこれらのエリアを設定し、管理しています。

その中でも市街化調整区域は、一般的に農地や自然環境が多い地域に指定されます。ここでは、市街化を抑制するために住宅や商業施設などの建築制限が厳しく適用されているのです。加えて、市街化調整区域には都市計画法で決められる建築制限以外に、農地法という別の法律によっても制限が課せられることがあります。

ただし、農地法によって、市街化調整区域内での土地利用が農地に限定されるわけではありません。農地法に基づいて、市街化調整区域内でも農地以外の利用が許可される場合があります。このような複雑な法規制のため、市街化調整区域では人口増加を抑えることを優先し、建物の建設には慎重な制限が課されています。

市街化調整区域の購入時の注意点

市街化調整区域の土地を購入する際には、以下の注意点に留意することが重要です。

  • 土地の地目を確認
  • 線引き前後の建物の確認
  • 区域指定の確認
  • 住宅ローンは対応可能か
  • 住環境の整備

土地の地目と確認すべき要素

土地の地目にはさまざまな種類がありますが、とくに宅地と農地の区別が重要です。宅地は住宅を建てることができる地域であり、市街化区域・市街化調整区域の指定より前から宅地として利用されている必要があります。一方、農地は農業を行うための地域であり、農地転用の申請が必要です。農地を宅地として利用するには、農地転用手続きが必要ですが、転用が認められない場合は住宅を建てることができません。

線引き前後の建物の確認

土地に建物がある場合、市街化区域または市街化調整区域の指定日より前に建てられたものか、後に建てられたものかを確認する必要があります。前者の場合、特別な許可が必要な場合があるのです。建物の建築年月日が不明確な場合は、固定資産税課税台帳などを調べる必要があるため注意しておきましょう。

区域指定の確認

都道府県の条例で、開発や建築が可能な特定の区域が指定されている場合があります。このような指定がある場合、将来的な土地の利用価値が高くなる可能性があるため買い時です。開発地域であれば、建物の建築が可能であり、投資の価値が高まるかもしれません。

住宅ローンは対応可能か

市街化調整区域の土地では住宅ローンの利用が難しい場合があります。一部の銀行では融資の対象外としていることもあります。住宅ローンを利用する予定の場合は、事前に融資可能な金融機関を確認し、条件を把握しておくことが重要です。

住環境の整備

市街化調整区域は都市部から離れた地域が多いため、電気や水道などのライフラインが整っていない場合があります。購入前に、必要な設備の整備にかかる費用や手続きについて把握しておくことが重要です。とくに、自己負担でライフラインを整備する必要がある場合は、購入後の予算計画に影響を与える可能性があるため、注意しておきましょう。

これらの注意点を踏まえて、市街化調整区域の土地を購入する際には、十分に情報収集して、検討しなければなりません。

市街化調整区域(都市計画調整区域)の良さと懸念点

本項では、市街化調整区域(都市計画調整区域)の良さと懸念点を紹介します。

市街化調整区域の魅力

市街化計画調整区域の魅力を紹介します。

  • 静かな環境で生活できる
  • 土地の保有にコストがかかりにくい
  • 広い敷地を手に入れやすい
  • 自然に隣接した生活を実現できる

静かな環境で生活できる

市街化調整区域は、大都市部から離れた自然豊かな場所に位置しています。周囲に大きなビルや施設がないため、騒音に悩まされることが少なく、穏やかな環境での生活が期待できます。また、敷地面積が広く、隣家との距離が遠いため、プライバシーを確保しやすいです。

土地の保有にコストがかかりにくい

都市計画調整区域では、土地の価格が比較的安価です。そのため、固定資産税が低く抑えられます。また、都市計画税が徴収されないため、購入後の負担が軽減されます。このように少ない負担であることにより、資金に余裕のない人でも土地を所有しやすくなるでしょう。

広い敷地を手に入れやすい

都市計画調整区域では、土地の価格が低く、広い敷地を手に入れることができます。市街化区域と比較しても、同じ価格であれば広い土地を確保できるため、家や庭を大きく造ることが可能です。これにより、自然に囲まれた広々とした生活空間を作れるでしょう。

自然に隣接した生活を実現できる

都市計画調整区域は、基本的に自然豊かな場所に位置しています。大都市部から離れた地域であり、美しい景色や清々しい空気を楽しむことができます。また、農地や森林などの自然資源にも近いため、自然と共生して生活できるでしょう。

これらのメリットを考慮すると、都市計画調整区域は自然豊かで静かな環境での生活を求める人や、広い土地を手に入れて家を建てたい人にとって魅力的な選択肢となります。

市街化調整区域の懸念点

一方で、市街化調整区域には下記のような懸念点があります。とくに売却が難しくなるという懸念点には注意が必要かもしれません。

  • 市場価格低下の恐れ
  • 売却の難しさがある
  • インフラ整備が遅れていることがある

市場価格低下の恐れ

都市計画調整区域では、建築や開発に対する制限が多いため、土地の市場価値が低下します。建物を建てることが難しく制約が多いため、需要が低くなります。その結果、土地の価格が一般的な地域に比べて低くなる傾向があります。不動産投資として土地を購入する人にとっては魅力が低く見えてしまうでしょう。

売却の難しさがある

都市計画調整区域の土地は、制限が多く周辺地域と比べて用途の柔軟性が低いため、売却が難しいことがあります。需要が少ないため、買い手を見つけるのが難しく、売却価格も低くなりがちです。また、売却に関する手続きや条件が複雑であり、素人では対処しづらい場合があります。将来的に売却を検討しているのであればかなり難しいことになるでしょう。

インフラ整備が遅れていることがある

都市計画調整区域は都市部から離れた場所に位置することが多く、そのためにインフラ整備が遅れがちです。道路や下水道、公共交通機関などのインフラが整備されていないことがあり、それによって生活コストが高くなる可能性があります。また、プロパンガスを使用することが多いため、ガス代が高くつく場合があります。

これらの懸念点は、都市計画調整区域の不動産を購入や不動産投資を検討する際に必ず考えておかなければならない重要な要素です。リスクとメリットをバランスよく検討して、都市計画調整区域の土地を購入して住宅を建てる、もしくは投資用不動産を購入するのか決めましょう。

市街化調整区域での土地活用法

市街化調整区域は、都市計画に基づいた土地利用の規制があるため、一般的には土地の売却や活用が難しいとされています。しかし、適切な戦略や方法を用いれば、このような土地でも有効に活用することが可能です。以下では、市街化調整区域での土地活用の方法について詳しく説明します。

  • 資材置き場
  • 太陽光発電設備の設置
  • 駐車場経営
  • 墓地としての貸し出し
  • 優良な不動産会社に依頼

資材置き場

市街化調整区域の土地は、資材置き場としての活用が考えられます。木材や鉄鋼の置き場として利用することで、安定した収入を得られるでしょう。業者に土地を貸し出し、地代を受け取ることで、土地を活用するのです。

太陽光発電設備の設置

フィールド設置型の太陽光発電設備を土地に設置することで、固定価格買取制度の恩恵を受けることができます。建物としての許可が不要なため、比較的簡単に始めることができます。定期的な収入を得ることができる一方で、設備投資費用がかかる点やメンテナンス、故障に対するリスクも考慮する必要があります。

駐車場経営

土地を整備して駐車場として利用する方法もあります。青空駐車場や月極駐車場を設置することで、安定した収入を得られるでしょう。とくに、市街化調整区域のなかでも駅周辺や商業施設の近くなど需要が見込まれる場所での駐車場経営は有効です。

墓地としての貸し出し

広い土地を持っている場合、霊園や墓地の業者に土地を貸し出すことで収入を得ることができます。需要があり、長期的な収入が見込める一方で、一度墓地にするとほかの活用方法が難しいため、慎重な検討が必要です。

優良な不動産会社に依頼

市街化調整区域の土地を売却する際は、地域の特性や規制を理解し、それに応じた戦略を立てることが重要です。そのため、地元に詳しい優良な不動産会社に依頼することが望ましいです。優良な不動産会社であれば、地元の市場動向や規制に精通しており、最適な売却活動を提案してくれるでしょう。

これらの方法を活用することで、市街化調整区域の土地を有効に活用し、収益を得ることが可能です。ただし、各方法にはそれぞれの特徴やリスクがありますので、自身の目標や状況に合った方法を選択することが重要です。

まとめ:市街化調整区域の土地活用に適した不動産会社

本記事では、市街化調整区域(都市計画調整区域)の魅力や懸念点、土地の活用方法について説明しました。土地を購入する際には、その土地がどのような区分に該当しているのか、どのような用途地域に指定されているのかを確認し、その規制に沿った利用をしなければなりません。この機会に、用途地域や都市計画についてさらに詳しく調べてみることをおすすめします。