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2024/06/12最終更新⽇時
2024/06/12固定資産税は建築中の土地も対象?減税措置と注意点を解説
- 不動産の知識

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「マイホーム建築中の土地には固定資産税がかかるのでしょうか?」
新築で住宅を建築する際には、既に所有している土地に建築する場合と、新たに土地を購入して建築する場合があります。土地は建築前に購入するため、建築中であってもその土地の所有者となります。住宅が未完成の場合でも土地に固定資産税を払う必要があるのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。今回は、マイホーム建築中の土地に固定資産税がかかるのか、固定資産税の減税措置とは何かを解説します。
固定資産税とは?基本的な知識と支払いの流れ
固定資産税とは、家屋や土地など「固定資産」とされる償却資産にかかる税金です。固定資産税といえば、マイホームを持っている方が払うものと認識している方も多いのではないでしょうか。しかし、固定資産税にはたくさんの種類があります。
固定資産税の種類と課税対象
固定資産税には、主に以下の種類があります。
土地 | 田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地 |
家屋 | 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物 |
償却資産 | 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など |
固定資産税は、地方公共団体に納める地方税です。対象となる固定資産がある市町村に納税します。ただし、東京都23区内は特例として都に納付します。固定資産を所有する人には毎年、固定資産税や都市計画税の納税通知書が届くので、確認を忘れないようにしましょう。
固定資産税の支払い時期と方法
マイホームが完成し、登記が完了すると、各自治体で固定資産の評価が行なわれます。毎年4月~5月に固定資産税の納税通知書が送付されてくるので年4回の分割払いで支払うことが一般的です。自治体によっては一括での納付も可能です。また、支払時期は日本全国一律ではなく、管轄の地方自治体によって決まります。
固定資産税が使われる目的とは?
固定資産税の納付先は、その土地の所在がある市町村自治体です。自分の所有している土地建物になぜ税金を払い続けなければならないのか、何に使われているのかなど疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
固定資産税は地方自治体の財源となり、地域住民の生活向上に使用されます。固定資産税は普通税と呼ばれる使途が定められていない税に分類されます。
以下にいくつか使用用途をまとめてみました。
- 道路の整備
- 学校や公園・公共施設の整備
- 介護・福祉などの行政サービス
このように、固定資産税は私たちの生活に、なくてはならないものに使用されています。しかし、固定資産税は大きな金額の税金です。毎年納付しなければならないのですが、減税措置や免除措置など、一定の要件を満たせば優遇される可能性もあります。
建築中の土地にも固定資産税がかかる理由
では、マイホーム建築中でまだ住んでいない場合、土地に固定資産税はかかるのでしょうか。固定資産税の納税義務者は年に1回、1月1日(賦課期日)時点の所有者です。マイホームを取得した年には、土地の所有者(売主)に支払い義務があります。そこで、一般的には売買契約時に固定資産税の清算を行い、当年分の残額分を現金で支払わなければなりません。翌年からは買主が所有者として登録されるので、納税義務が発生し自宅に納付書が届きます。つまり、建築中でも関係なく売買契約をして土地の所有者になった場合、固定資産税を払わなければならないのです。
一般的に新築でマイホームを建築する場合、土地を先に購入します。例えば、1月1日時点でマイホームが未完成の場合、建物には課税されません。課税対象は土地のみとなります。しかし、建物が建っていない建築途中の土地は更地とみなされ、軽減措置の対象にはなりません。1月1日に住宅が完成していれば、住宅用地(建物が存在する土地)とみなされ、固定資産税の減税措置が適用されます。
建築中の土地にかかる固定資産税の計算方法
固定資産税を求める計算式は、次のとおりです。
固定資産税(年額)=課税標準額×1.4%
課税標準額は固定資産税などの税額を計算するためのもので、土地の課税標準額の目安は公示地価の約7割、建物は建築費の約6割になります。土地の評価額は市町村が定めた基準に基づいて評価され、土地の面積や形状、地価動向、周辺環境などを考慮して算出されます。
土地の課税標準額が3000万円の場合、建築中更地とみなされる土地にかかる固定資産税は以下の通りです。
3000万円×1.4%=42万円
したがって、課税標準額が3000万円の更地の固定資産税は1年で42万円となります。
1月1日を基準に課税される固定資産税
もし、1月1日をまたがずに住宅用地として固定資産税額が算出される場合、200㎡以下の小規模住宅用地では減税措置で42万円の6分の1になり、年間7万円の納付になります。年をまたぐか、またがないかで固定資産税額が異なるため注意しましょう。
新築や建築中の土地に適用される減税措置とは?
固定資産税は、マイホームや土地など固定資産を所有している方にとって大きな税金の支払いになります。特に、住宅などの固定資産税額を決定する評価額は、新築などでは高くなります。築年数が経過するほど建物の劣化も進むので、評価額が下がると結果的に固定資産税も下がります。そこで、固定資産税にはいくつかの減税措置が設けられています。
新築住宅に対する減税措置の概要
新築戸建て住宅やマンションを取得した際の固定資産税には、減税措置があります。固定資産税は土地と建物に個別に課税されますが、一定条件を満たすとそれぞれ減税措置を受けられます。
新築住宅の減税措置を受けるための要件を以下にまとめました。
- 新築である
- 住宅部分の面積が50㎡以上280㎡以下である
新築戸建て住宅の場合、上記要件を満たせば120㎡分の固定資産税額が3年間半額になります。さらに、その新築戸建て住宅が長期優良住宅の場合は5年間半額になります。
土地に対する減税措置とその条件
土地にも一定の要件を満たせば、減税措置が受けられるのをご存じでしょうか。
土地の減税措置を受けるための要件を以下にまとめました。
- 一般住宅用地である
- 1月1日時点で住宅用家屋の敷地として利用されている
上記の要件を満たし、小規模住宅用地である場合、固定資産税額が6分の1に減税されます。また、一般住宅地の場合には固定資産税額が3分の1に減税されます。
土地の減税措置には期間の制限がありません。住宅用地として利用されている期間はずっと減税措置が適用されます。しかし、建物を取り壊し、更地として土地のみ所有するようになると減税措置が無くなるため、元の金額を払わなければなりません。
住宅建て替え中の土地に適用される減税措置
建て替え中の土地でも、要件を満たせば住宅用地としてみなしてくれる「住宅用地の建て替え特例」があります。住宅用地建て替え特例を受けるために必要な要件を以下にまとめました。
- 前年1月1日に住宅が建っていた
- 当年1月1日に建て替え建築中で翌年1月1日までに完成する
- 同じ敷地内の建て替えであること
- 土地・住宅ともに前年1月1日と同じ所有者であること
所有者が異なっていたり、1年以上の建築工事が続いたりするなど、不自然な状況がない限り、特例が適用されます。
建築中の土地に対する固定資産税の注意点と対策
固定資産税は、マイホーム取得時に必ず伴う税金です。1月1日の時点でマイホーム建築中の場合、土地にかかる固定資産税は満額かかってしまいます。出来ることなら、1月1日までにマイホームの完成まで完了させるか、1月1日を超えてから建築を開始するかのどちらかにしましょう。
固定資産税の減税措置の種類
固定資産税の減税措置には適用できるものがたくさんあります。住居に適用できる減税措置を以下の表にまとめました。
減税措置の特徴 | 適用条件 | |
新築住宅 | 床面積120㎡までの部分に限る 一戸建て住宅は3年間にわたり2分の1に減税 マンションは5年間にわたり2分の1に減税 長期優良住宅に該当する場合、一戸建ては5年、マンションは7年に延長される | 床面積50㎡以上280㎡以下である 住居部分の割合が2分の1以上である |
耐震リフォーム | 固定資産税が3年間にわたり全額免除 耐震構造に改修した場合は1年間全額免除 住宅が通行障害既存耐震不適格建築物に該当する場合は2年間全額免除 | 1982年1月1日以前に建築された家屋を取り壊し耐震改修を行った家屋を新築する |
バリアフリーリフォーム | 工事完了の翌年から1年間、床面積100㎡までの部分に限り、固定資産税が3分の1に減税 | 2007年1月1日以前に建築された家屋をバリアフリー化改修する |
省エネリフォーム | 1年間、床面積120㎡までの部分に限り固定資産税が3分の1に減税 | 2008年1月1日以前に建築された家屋 賃貸住宅ではない 窓の改修工事を行う事 省エネ改修工事費用が50万円以上である 工事後の床面積50㎡以上、280㎡以下である 工事後の家屋の床面積2分の1以上が住居用である 2013年の省エネ基準相当に適合する |
減税措置などの優遇は、自分で申告をしなければ適用されないので注意が必要です。条件や申告方法などをしっかりと調べ、いつまでにどのように手続きをすればよいか確認しておきましょう。
まとめ:建築中の土地の固定資産税を賢く管理する方法
今回は、マイホーム建築中の土地にも固定資産税はかかるのかを解説しました。マイホーム建築中の土地には、固定資産税はかかります。1月1日(賦課期日)の時点で住宅が未完成で住居用地として登録されていない土地では、更地としてみなされます。そのため、土地には減税措置などが適用されず、満額の固定資産税を払わなければなりません。
しかし、翌年以降、住宅用地として住宅に住んでいれば、翌年からは固定資産税が減税されます。1月1日時点での状況によるので、マイホームの建築は1月1日をまたがないようにしましょう。減税措置や免除措置などさまざまな特例措置がありますが、自分で申告をしなければなりません。誰も教えてくれない場合もあるので、固定資産税を払いすぎないようにしっかりと知識を身につけましょう。
固定資産税とは「マイホーム税」ともいわれるほどマイホームとは切っても切れず、所有している間はずっと払い続けなければなりません。目に見えない税金は、少しでもおさえたいところです。
最後までお読みいただきありがとうございました。