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投稿⽇時

2024/06/10

最終更新⽇時

2024/06/10

ビル解体の費用はいくら?流れと見積もりのコツ

  • 不動産の知識

街中に立ち並ぶ多くのビル。ビルを解体する際、どのくらいの費用がかかるかご存じでしょうか?日常生活の中でビルの解体について考える機会は少ないですが、解体工事を目にした経験がある方は多いのではないでしょうか。

今回はビルの解体に焦点を当て、その流れや費用、費用算出の方法などを詳しく解説します。興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

ビルとは?解体対象となるビルの定義と特徴

そもそも「ビル」とはどのような建物を指し、マンションとはどのように異なるのでしょうか?ここではまず、ビルの定義について解説していきます。

ビルとは、英語の「building」に由来し、鉄筋コンクリートなどで造られた中・高層の建築物を指します。意外に思われるかもしれませんが、建築基準法にはビルの明確な定義はありません。法律上で明確な定義はないものの、広義では鉄筋コンクリートなどで造られた中・高層で、主に社屋や事務所として利用される建造物を指します。日本では、中・高層建造物でもマンションは主に住居用、ビルは会社や事務所、商業施設として使われることが一般的です。

ビル解体の流れとは?段階ごとの作業内容を解説

ビルを解体する際には、どのような方法が用いられるのでしょうか。

解体工事の規模はさまざまですが、基本的な流れは一般的な家屋の解体工事と似ており、解体業者によって行われます。ただし、ビルの解体工事はすべての解体業者が対応できるわけではありません。

というのも、工事費が総額500万円以上かかってくる場合には建設業許可というものが必要になるからです。建設業許可とは、建設業を営む事業者が取得する必要がある許可のことです。しかし例外として軽微な建設に該当する場合には建設業許可が無くても工事が可能とされています。

ここで言う軽微な建設とは、一件の解体工事の請負金額の総額が税込み500万円に満たない工事のことを指します。つまり、一般的な家屋の解体工事を行う場合に500万円以上の解体費用がかかることはほぼないので建設業許可を取得する必要はありませんが、ビルなどの中・高層の建造物を解体する場合には解体費用が500万円以上かかってくることが多いので建設業許可を取得する必要があるということです。

建設業許可は、2つ以上の都道府県に事業所が存在する場合には国土交通大臣が、1つの都道府県のみで営業している場合にはその都道府県の知事が許可を出します。また、建設業許可には期限があるため5年ごとに更新する必要があります。以上のことからビルの解体工事を行う業者を探す時には、建設業許可を取得している解体業者に相談するのが良いでしょう。解体業者が建設業許可を取得しているかどうかは業者のホームページ上の会社概要や会社案内に掲載されているはずですので確認してみてください。

解体を依頼する業者を絞ることが出来たら次は解体工事費用の見積もりを取ってもらいましょう。ビルの解体工事にかかる費用と工事期間はそのビルの構造や大きさ、地域によって大きく異なってきます。ビルの構造とは、①鉄骨造ビル②鉄筋コンクリート造ビル③鉄骨鉄筋コンクリート造ビル の3つに分類されます。

鉄骨造ビル解体の特徴と方法

①鉄骨造ビルとは、簗や柱などの骨組みに鉄骨を使用した構造のビルのことです。木造よりも強固で、柱の本数を減らすことが出来ます。また、木造より重さに耐えられる力が大きいため、アパートやマンション、ビルなどの大きな建物に使用されることが多いです。

鉄筋コンクリート造ビル解体の特徴と方法

②鉄筋コンクリート造ビルとは、コンクリートで補強された鉄筋を埋め込んだ構造のビルのことです。コンクリートでカバーすることにより錆に弱い鉄筋の酸化を防ぐことができ、強度が弱いコンクリートの補強を鉄筋が補ってくれます。木造に比べて遮音性、気密性や耐震性が強く、マンションなどの集合住宅に用いられることが多いです。

鉄骨鉄筋コンクリート造ビル解体の特徴と方法

③鉄骨鉄筋コンクリート造ビルとは、鉄骨の柱と鉄筋を組み合わせコンクリートを打ち込む構造のビルです。鉄筋コンクリート造に比べて耐震性や耐火性、さらに強度も優れており、高層ビルや高層マンションに用いられることが多い構造です。

ビルの強度は③、②、①の順で高く、ビルの強度が高いとそれだけ解体費用も高額になります。すなわち、鉄骨鉄筋コンクリート造ビルが最も解体工事費用が高くなります。費用については、後で詳しく説明します。その後は解体業者が現地調査を行い、詳しく解体方法や費用、工期を決め、解体工事に取り掛かります。ビルの解体には主に5種類の方法が取られるのが一般的です。まず1つ目は「地上解体」です。地上解体とは、地上に大きな重機を設置してビルの外部から解体していく方法です。2つ目は「階上解体」です。階上解体とは、大型のクレーン車を用いて重機をビルの屋上までつるし上げ、上から下の順に解体を勧める方法です。オフィス街など建物が密集していてビルの周辺に大型の重機を設置することができない場合にこの方法が取られることが多いです。3つ目の方法は「ブロック解体」です。ブリック解体とは、ビルの最上階にタワークレーンという重機を設置して上から順に部材をブロック分けして切断していく方法です。階上解体と同様に、ビルの周辺に大型重機を設置するスペースを確保できない場合や高層ビルにもこの方法が用いられます。4つ目は「だるま落とし式解体」です。だるま落とし式解体とは、その名の通りだるま落としのように下から1階ずつ解体していく方法です。最下部にジャッキを設置して支えにしてから解体していきます。この方法は主に高層ビルの解体で用いられることが多く、粉塵や騒音で周囲に迷惑をかけてしまうリスクを抑えることができ、また下から少しずつ解体していくため景観を損ないにくいというメリットがあります。最後は「上部閉鎖式解体」です。上部閉鎖式解体とは、ビルの上階に移動可能な設備に天井クレーンなどを装備して上から下へと順番に設備を降ろしながら解体していく方法です。解体現場を閉鎖して工事を行うため、④と同じく粉塵や騒音でトラブルになることを回避することができ、さらに落下物で被害が出るリスクも減らすことができます。周囲の状況やビルの状態を解体業者が実際に現地調査を行ってどの方法を取るかが決定されます。

ビル解体にかかる費用の目安と計算方法

先述したとおり、ビルの解体費用はビルの構造、規模、地域によって大きく異なります。また、工期についても同様のことが言えます。ビルの構造による費用の目安は、先ほど説明した3つの分類によって異なります。まず①の鉄骨造です。鉄骨造のビルの解体費用の相場は、1坪あたり約2.9万円~4万円です。他の2つの造りに比べて廃材の量が少なく、また工期も短いために費用も安めに設定されています。次に②鉄筋コンクリート造です。鉄筋コンクリート造のビルの解体費用の相場は1坪あたり約3.2万円~5万円です。鉄筋コンクリート造は強固であり、また中に埋め込まれている鉄筋の数が外部からでは知ることができないので、実際に解体をしてみて出た廃材によってその処分費用が決まります。そのため解体費用が高額になるケースがあります。最後は③鉄骨鉄筋コンクリート造です。鉄骨鉄筋コンクリート造のビルの解体費用の相場は1坪あたり約4.5万円~6万円です。先ほど説明したように、この構造は非常に強度が高く、解体に時間がかかるため工期も長くなります。そのためビルの規模によって解体費用は異なってきます。

地域によってもビルの解体費用は左右されます。それは、周囲の状況によって解体工事のしやすさが異なるためです。例えば、ビルなどの建物が立ち並ぶオフィス街では周囲の建物に対して防音や粉塵対策を施さなければなりません。また、ビルの前を通る道路が狭く、大型トラックが入ることが出来ずに効率が下がって作業が長引いてしまうこともあります。よって、人口が多い都市部は解体工事費用が高くなる傾向があります。逆に道路が広く、ビルの周辺にも十分なスペースがある場合には費用は比較的安くなるでしょう。

ビルの解体工事では、解体費用費用意外にも別途かかる費用があることはご存知でしょうか?ここでは解体費用とは別に発生する費用について紹介していきます。

まずは「廃棄物の処理費用」です。ビルの解体工事を行うと鉄骨や鉄筋、コンクリートなどの廃棄物が大量に発生します。これらはもちろん、一般の家庭ごみと一緒に処分できるわけがないので産業廃棄物として専門の処理業者に費用を支払って処理してもらわなければなりません。次に「アスベストの除去工事」です。一度はアスベスト問題について耳にしたことがあるのではないでしょうか。アスベストは肺がんなど、大きな健康被害をもたらす要因となる有害物質の一つです。最近の建物にはアスベストを使われていませんが、古いビルにはアスベストが使用されていることがあります。そのため、解体工事を行う前にそのビルにアスベストが使用されているかどうか、調査を行う必要があります。アスベストが使用されている場合にはその除去工事を行わなければならないため、費用が加算されます。

最後に紹介するのは「地中埋設物の除去」です。ビルを解体して更地にするには、その更地の土の中に何も残してはいけません。そのため、ビルの解体を行った後、地中に何か埋設物があった場合、その除去費用がかかってきます。実際にビルを解体してみないと地中に何かが埋まっているのかは分からないのでその追加費用がかかるかも知れないことを念頭に置いておきましょう。

このようにビルの解体工事には解体費用とは別にかかる費用がいくつも存在します。思ったより費用がかさんでしまい予算が足りなくなってしまったなどということがないように、解体費用には余裕を持たせておくことが大切です。

よくある質問(FAQ)

質問:解体工事を依頼する前にやるべきことは何ですか?

回答:解体費用の相場を知るためにも、複数の業者に見積依頼をすることをおすすめします。

質問:ビル全体ではなく、一部を解体することは可能ですか?

回答:結論から言うと、可能です。ただし、部分解体が可能かどうかは業者によって異なります。そのため複数の業者に相談をすると良いでしょう。

ビル解体のまとめと注意点

ビルの解体工事はビルの構造や規模、周辺地域の状況によって費用が全然違ってきます。また、解体工事費用以外にもかかってくる費用が多く存在します。ただでさえビルの解体には高額な費用がかかります。後に高額な費用が請求された、想定より費用がかかってしまい予算が足りなくなってしまったということに陥らないためにも解体費用の相場を知ることは重要です。複数の業者に見積もりを依頼して相場を把握し、信頼できる業者に解体工事を依頼しましょう。