アパートの耐用年数は何年?経年後の賢い運用法

アパート経営をしている方の中には、耐用年数を気にしている方も多いのではないでしょうか。築年数が経つにつれてアパートが劣化し、さまざまな箇所に破損が生じることは避けられません。
今回は、アパートの耐用年数の目安や耐震年数を過ぎた場合の対処法、経営時のポイントについて解説します。
築年数が経ち、住人がいなくなるとアパート経営に大きな支障をきたします。住人にとっての大切な居場所を守るためにも、耐用年数を過ぎたアパートの対応策を慎重に検討することが重要です。
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アパートの耐用年数とは?構造ごとの目安を解説
アパートの耐用年数はおよそどのくらいなのでしょうか。リフォームや建て替えを検討していても、多額な金額が必要なため行えないということもあります。このような場合、どうしたらよいのか迷うところです。一般的に、耐用年数は19年から34年となります。
これはアパートを建てた際の素材によって耐用年数が異なってくるのです。法定耐用年数という言葉が存在します。法定耐用年数とは、国が定めた期間内で固定資産を使用できることを示すものです。
具体的には、木造・鉄筋・鉄骨コンクリートといった建築物の固定資産を対象としています。耐震年数として、新築の場合、木造22年・鉄骨34年・鉄筋コンクリート47年とおよその耐震年数が決まっているのです。
たとえば、2023年に木造アパートを新築した場合、2045年まで固定資産として使用できるとされています。ただし、耐用年数というのはあくまで目安として扱われています。使えなくなってしまったり、安全性に欠けるということは一切ないため安心して耐用年数が過ぎたあとでも利用できるのです。
法定耐用年数に対して経済的耐用年数があります。経済的耐用年数とは、資産が経済的価値を失うまでの期間を指します。アパートに限らず、家電製品には何年までの利用を基準にしているのか明記している商品がたくさんあります。不動産鑑定士の調査によると、アパートの耐用年数は木造で50年、鉄筋で60年、鉄筋コンクリートで70年とされています。
いったい耐用年数がなぜそこまで大事になっているのでしょうか。
アパート経営している投資家は、不動産と税金を合わせて計算しなくてはいけません。たとえば、2億円で物件を購入した場合、2億円の物件費用は耐用年数に応じて償却しなくてはいけないのです。鉄筋アパートを建設した場合、34年間で2億円を償却していくという形になります。耐用年数がなぜ定められているのか気になる方がいるのではないでしょうか。車の購入を例にみていきましょう。
仮に、会社の経費で車を購入したとします。新車の場合、耐用年数は6年と定められているのです。そのため、新車を購入した際は、6年間で減価償却するように定められています。たとえば、360万円の新車を購入したとします。一括で購入した場合、全額を費用計上できる訳ではないのです。新車の場合、国があらかじめ定めた耐用年数が6年間であるため、毎年60万円を経費計上して6年後に新車の経費計上が完了することになります。これが定められている要因として、法人税や住民税等を自由に削減できてしまうため、脱税の疑いが発生してしまうのです。
賃貸経営で大事になっていくのが、中古の物件を購入する際に耐用年数が過ぎてしまっている物件だと金融機関は融資してくれないことがあるのです。主に、担保を設定できないということがあげられます。たとえば、築25年の木造アパートを購入する際に、木造は耐用年数が22年となっています。このように耐用年数が過ぎている物件に関して、金融機関は融資してくれない可能性が高いのです。そのため、自己資金で購入しなくてはいけないのです。また、築30年の鉄骨造のアパートを購入する際は、金融機関と相談し残りの耐用年数で返済を求められることもあります。この場合、鉄骨造の耐用年数は34年のため4年間で返済する必要があるのです。万が一、定められた期間で返済できない場合は担保にかけられている不動産を売却させられてしまうため、注意が必要です。
アパートは構造や用途によって大きく耐用年数が変化していきます。「自分が保有している物件は耐用年数が何年なのか?」「購入を考えている物件の耐用年数は何年なのか?」事前に理解しておくことがアパート経営している方にとって大切なことなのではないでしょうか。
減価償却費の仕組みとアパート経営への影響
先程まで、減価償却という言葉が何度かでてきましたが、減価償却とはいったいどういったことなのでしょうか。減価償却費とは、固定資産を使用することで発生する費用を指します。「多くの方がお金を使うことが費用になるのではないか?」と思うのではないでしょうか。1,000円で物を購入した場合、費用として計上されると思いがちですが、実は異なるのです。紹介した通り、物を使用した際に費用として扱われます。たとえば、タクシーを利用して3,000円支払うとします。この場合、交通費3,000円という費用が発生するのです。なぜ交通費3,000円が費用として発生するのかというと、交通費3,000円支払ったからではなく、タクシーを利用したため費用として計上されています。
また、7,000万円のオフィスビルを購入して使用した場合どうのようになるのでしょうか。この場合、費用は、7,000万円ではなく使用年数に応じて費用処理されるのです。たとえば、50年間使用する場合、1年間で140万円支払う必要があるのです。この年間で計上される140万円が減価償却費となります。
減価償却費に関して一部対象外となる物もあります。それは、土地です。土地は永久的に利用可能なため、減価償却費の対象外となります。また、1年未満しか使用しない物や少額な物が対象外となります。たとえば、携帯やノートパソコンといった仕事で使用するものは、全額費用処理できるのです。減価償却費とは、固定資産を使用した際にかかる費用ということを覚えてきましょう。
アパートの耐用年数が過ぎた場合の3つの対処法
耐震年数が過ぎた場合、どのように対応すべきか迷う方もいるのではないでしょうか。実は、耐震年数が過ぎてしまったからといって無理に心配する必要もないのです。耐用年数とは、あくまで目安であり、過ぎてしまっていたとしてもそのままにしているという方も多くいます。しかし、アパートを借りる際に、耐用年数が経っている物件と過ぎていない物件ではどちらに住みたいと感じるでしょうか。信頼性や安全性を考えれば、後者を選択する方が多くいるはずです。ここでは耐用年数を過ぎた場合の具体的な対処法を解説します。対処法は以下のとおりです。
- 売却する
- 建て替えをして経営する
- 更地にして土地を活用する
それぞれ詳しくみていきましょう。
アパートを売却するメリットと注意点
一つ目は、売却することです。不動産会社に売却依頼します。その際に買取という方法で売却することがおすすめです。買取とは、不動産会社が直接買取してくれる方法で、すぐに売却できるといった特徴があります。また、築年数が古い物件も買取してくれるため、耐用年数が過ぎている物件でも対応してくれるので安心です。一方、デメリットとしては希望金額で売却できないため、どうしても売却価格が低くなってしまう恐れがあります。不動産会社も今後価値がありそうな物件を高く評価するため、仕方のないことです。そのため、ただちに売却したいという方は不動産会社に足を運び買取依頼することをおすすめします。
建て替えによる経営再建のポイント
二つ目に、建て替えして経営を続けることです。アパートの建て替えをする場合、1坪あたり約50〜100万円の費用が発生してしまいます。木造アパートでは、1坪あたり約50〜60万円・鉄骨造アパートは1坪あたり約70〜100万円・鉄筋コンクリート造は1坪あたり100万円からになっているのです。たとえば、50坪の鉄骨アパートの場合、2,500〜3,000万円に費用がかかってしまうのです。建て替えにより新築になるため、家賃も高く設定できます。しかし、入居者が集まりやすい都市部では有効ですが、地方では過疎化が進んでいるため十分な入居者が見込めない場合があります。そのため、建て替えを検討している方は慎重に判断しなくてはいません。また、建て替えではなくリフォームすることで費用を安く抑えられるでしょう。
更地活用の可能性とその利点
三つ目に、更地にして土地を活用することです。耐用年数が過ぎてしまい、住み続けられる状況ではない場合は、アパートを解体するというのも一つの手段です。解体費用として、鉄骨造であれば1坪あたり約5〜7万円となります。たとえば、60坪の場合、300〜420万円です。解体に関して、各自治体で補助金として解体費用を免除してくれる場合があるのです。解体して更地になった土地を売却して資金を得たり、新しく賃貸物件を建設することもできるため、自分にあった方法で有効に活用しましょう。
築年数が経過したアパートでも経営を成功させる方法
耐用年数が過ぎてしまったアパートに限らず、アパート経営するにあたって計画的な修繕が必要になるのではないでしょうか。物件というのは、借主が安心して住み続けられる場所でなくてはいけません。そのため、経営者であるオーナーが日々点検やメンテナンスして安心して暮らせるように配慮することが必要になるのです。また、悪徳不動産会社が増えている近年において誠実な不動産会社と取引してお互いが納得のいく交渉ができるように対策する必要があります。
まとめ:アパートの耐用年数を活かした賢い賃貸経営
今回はアパートの耐用年数はおよそどのくらいなのか。耐震年数を過ぎてしまった場合の対処法や経営するにあたってどのようにすべきなのかを紹介してきました。木造22年・鉄骨34年・鉄筋コンクリート47年と定められていますが、必ずしも過ぎた後は壊したり、解体する必要はないのです。しかし、耐用年数が原因で問題が発生した場合は経営者であるオーナーが自己責任になるため厳しいものになってしまいます。築年数が過ぎてしまい心配という方は、不動産会社に買取の査定してもらったり、建て替えをして新築物件として経営する手段があります。賃貸物件は貸主・借主の信頼関係が大事になっていくため、日々メンテナンスや点検することが必要になるのではないでしょうか。