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投稿⽇時

2024/06/06

最終更新⽇時

2024/06/06

専任媒介契約の期間内解約は可能?注意点とメリットを解説

  • 不動産の知識

不動産の売買をする際には「媒介契約」を締結するのが一般的です。

本記事では、3種類ある媒介契約のなかで最も契約数の多い「専任媒介契約」について以下のとおり解説します。

  • 専任媒介契約のルール
  • 専任媒介契約のメリット
  • 専任媒介契約が良いケース
  • 専任媒介契約の解除

媒介契約の種類に迷っている方や、媒介契約を締結するか迷っている方はぜひ、参考にしてください。

媒介契約とは?

まずは、媒介契約について以下の内容で解説いたします。

  • 媒介契約が必要な理由
  • 媒介契約の違い

媒介契約の必要性と基本的な役割

媒介契約とは、不動産物件の所有者(売主)と不動産会社との間で結ぶ契約で、主に売買や賃貸などの取引を円滑に進めるために締結されます。媒介契約には、以下の3つの種類があります。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

媒介契約は、必ず締結する必要はありません。物件を売買する際、自ら買主を見つけられる方であれば媒介契約は必要ないからです。

しかし、物件の購入者が見つかっても、売買契約をスムーズに進めるには不動産売買の知識や経験が不可欠なため、媒介契約を締結する売主は多くいます。また、プロが販売活動をおこなった方がより早く確実に買い手が見つかることも、媒介契約を結ぶ1つのメリットでしょう。

つまり、売りたい物件を所有している方にとって、媒介契約は重要な役割を担っているといえます。

専任媒介契約と一般媒介契約の違いとは?

3種類の媒介契約には、それぞれ契約内容に違いがあります。

内容の違いは、以下の表のとおりです。

 一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
契約期間法令上の定め:なし3ヶ月以内3ヶ月以内
自己発見取引可能可能不可
指定流通機構 (レインズ)の 登録義務任意7日以内5日以内
契約会社数複数1社のみ1社のみ
報告義務なし2週間(14日)に1回1週間(7日)に1回

一般媒介契約のメリットは、複数の不動産会社と契約することができ、より多くの買主に物件を紹介し、良い条件で売買が成立する可能性が高い点です。

しかし、不動産会社にとっては、自社が販売活動をしても手数料が入らない可能性があるため積極的な営業がしづらく、売買までに時間がかかる場合があるでしょう。

一方で、専任媒介契約や専属専任媒介契約では、売主が契約できる不動産会社は1社のみのため機会損失の可能性がありますが、不動産会社の販売活動は積極的になります。

それぞれの媒介契約にメリットやデメリットがあるため、物件や売主の状況などに応じて最適な媒介契約を選ぶとよいでしょう。

専任媒介契約のルール

上記で解説したとおり、媒介契約によってルールが異なります。

専任媒介契約を検討されている方は、ルールをよく理解しておきましょう。

専任媒介契約のルールは、以下のように定められています。

  • 契約期間のルール
  • 売主側のルール

・契約可能な会社数

・自己発見取引の可否

  • 不動産会社側のルール

・指定流通機構の登録義務

・販売状況の報告

専任媒介契約のルール

専任媒介契約の契約期間は最長で3ヶ月です。このため、双方の同意があれば1ヶ月間の契約も可能です。

しかし、契約期間が終了すると更新はできないため、双方に継続の意志がある場合は再契約を締結してください。

3ヶ月以上の契約ができない理由は、売主の不利益を防ぐためです。契約した不動産会社が物件を売却できないと、物件の売却機会を損失する恐れがあるため、宅地建物取引業法で定められています。

売主側のルール:契約可能な不動産会社数と自己発見取引の可否

売主側のルールは以下の2点です。

①契約可能な会社数

専任媒介契約の場合、売主が契約可能な会社数は1社です。契約期間中は他の不動産業者との契約ができないため、不動産会社は物件を独占できる上、売却すれば必ず手数料を受け取れることがメリットになります。

したがって、不動産会社の販売活動も積極的になり、売主にとっても物件が早く売れやすいというメリットがあります。

②自己発見取引の可否

自己発見取引とは、売主が不動産会社を介さず、自身で見つけた買主に販売することです。

自己発見取引のメリットは、自身が買主を探した場合、不動産会社に支払う手数料がかからない点があげられます。

専任媒介契約では自己発見取引ができますが、専属専任媒介契約の場合は自己発見取引が不可となり、すべてを不動産会社に委託します。

「自己発見取引の可否」は専任媒介と専属専任媒介の大きな違いとなるため、よく検討しましょう。

不動産会社側の義務:指定流通機構への登録と販売状況報告

不動産会社側のルールは以下の2点です。

①指定流通機構の登録義務

専任媒介契約では「指定流通機構」の登録が義務づけられています。「指定流通機構」とは、国土交通大臣が指定した不動産情報ネットワークのことで、通称は「レインズ」です。

媒介契約を結んでからレインズ登録までの日数も明確に定められており「契約後7日以内」に登録する義務があります。

レインズに登録された不動産情報は全国の不動産会社に提供されるため、最適な買い主を探しやすくなり、動産流通の円滑化に役立ちます。

②販売状況の報告

販売状況の報告とは、不動産会社から売主に、物件の販売状況や進捗状況を報告することです。報告の頻度も定められており、専任媒介契約では「14日に1度」の報告が義務づけられています。

販売状況や進捗によって、売主と不動産会社で話し合ったり、売主は媒介契約の継続を検討したりすることができるため、報告が必要になります。

専任媒介契約のメリットとデメリット

ここでは、専任媒介契約のメリットとデメリットをご紹介いたします。

メリットとデメリットをよく理解し、専任媒介契約が最適かどうか判断してみてください。

専任媒介契約のメリットとは?売主にとっての利点

専任媒介契約は、一般媒介契約よりも制約が厳しく、専属専任媒介契約よりも柔軟性が高いことがメリットです。

たとえば、一般媒介契約の場合は不動産会社からの報告義務がない上に、売主側も複数の不動産会社と契約できます。お互いにコミュニケーションをとる機会が少ないため、双方の信頼関係は希薄になりやすいでしょう。

一方、専任媒介契約や専属専任媒介契約では、売主は1社とのみしか契約できない上に、不動産会社は売主へ販売状況を報告する義務があるため、より深い信頼関係を築きやすくなります。しかし、専属専任媒介契約では自己発見ができないため売主側にも制約がある部分がデメリットです。

つまり、専任媒介契約は売主にとって、自身で探した買主と契約できる上に不動産会から報告を受けられるため、安心して契約できる形態だと考えられます。実際、売主の多くが専任媒介契約を締結しています。

2022年の不動産流通推進センターの調査によると、媒介契約締結後にレインズに新規登録された805,583件の内、一般媒介契約が33%、専任媒介契約が51%、専属専任媒介契約が16%という結果を示しました。媒介契約をする方の約半数が専任媒介契約を結んでいることがわかります。

参考:不動産流通推進センター|指定流通機構の活用状況について(2022年分)

https://www.retpc.jp/wp-content/uploads/reins/katsuyo/2022_katsuyo.pdf

専任媒介契約のデメリットと注意点

専任媒介契約は他社との競争がないため、不動産会社の営業力によっては、販売活動が長期化する可能性があります。

また、自己発見取引のない専属専任媒介契約と比べると、不動産会社の熱量は下がりやすいため、販売活動に影響を与えることも考えられます。

不動産会社が手間や時間をかけて販売活動をおこなっても、売主自身が探した買主と契約を結ぶ場合は不動産会社には手数料が一切入らないためです。

専任媒介契約が適している場合とは?

ここまで、媒介契約や専任媒介契約のメリットなどをご紹介いたしました。

どの媒介契約にもメリットとデメリットがあるため、状況に応じて最適な契約を選択することが重要です。

専任媒介契約が良いケースは以下のとおりです。

  • 自己発見取引の可能性がある
  • 売却に手間をかけたくない
  • 進捗報告を受けたい
  • 早く売却したい

専任媒介契約の特徴は、一般媒介契約と専属専任媒介契約の良さを併せ持っていることです。「自己発見取引はしたいけれど、不動産会社にも責任を持ってほしい」という場合、専任媒介契約を締結するとよいでしょう。

専任媒介契約の期間中に解約したい場合の対処法

専任媒介契約期間中に解約を希望する場合、どのような手続きが必要か解説します。

ここでは、専任媒介契約期間中の解約ルールについて解説いたします。

  • 契約期間中の途中会解約はできない
  • 途中解約できる場合はある?

契約を締結するということは、双方の信頼関係のもと取引をおこなうということです。

お互いに誠意を持ち、契約期間や契約内容を守ることが大切です。

専任媒介契約期間の途中解約は可能か?

専任媒介契約期間中は途中解約はできません。

また、専任媒介契約のルールにあるように、契約期間中には売主が他の業者との契約を結ぶことや自己発見取引を行うことは不可能です。

逆に、契約期間が満了すれば他の不動産会社との媒介契約に切り替え可能になります。

万が一、売主が契約違反をして他社と売買契約が成立した場合、不動産会社は違約金を請求できます。

専任媒介契約は最長で3ヶ月と短い期間の契約のため、途中解約したくなっても一方的に解約せず契約期間満了まで待つべきでしょう。

専任媒介契約解約時の注意点と例外の条件

不動産会社に落ち度がある際は、契約期間中でも違約金が発生せず、途中解約が可能です。

不動産会社の落ち度とは、以下のような場合です。

  • 販売活動に積極性がない
  • レインズの登録証明書を交付してくれない
  • 販売活動をおこなわない
  • 違反や不正をおこなう
  • 虚偽の報告をする

専任媒介契約は、物件を販売するために契約を締結しています。

そのため、販売活動がおこなわれなかったり、不正をおこなったりする不動産会社であった場合は、契約を解除する必要があるでしょう。

まとめ

本記事では、専任媒介契約のルールやメリット、途中解約の可否などを解説いたしました。

専任媒介契約は、一般媒介契約よりも制限が厳しい上に専属専任媒介契約よりも制限が緩いため、媒介契約のなかで最も多く結ばれている契約です。しかし、状況によっても異なるため、専任媒介契約でない方が良い場合もあります。ルールやメリット、制限などをしっかり理解し、自身にあった媒介契約を選ぶことが大切です。

また、媒介契約の種類によって物件の販売スピードや販売価格などに違いが出る可能性があるため、媒介契約は重要な契約となります。信頼できる不動産会社を探し、安心して取引ができる不動産会社と契約を締結しましょう。