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2024/06/05最終更新⽇時
2024/06/05解体工事費用の勘定科目を徹底解説!確定申告にも役立つ仕分け方法
- 不動産の知識

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解体工事をおこなった際にかかった費用の勘定科目に関して、「経理上どの科目に入れるべきかわからない」、「確定申告の際の書類の書き方がわからない」など悩む方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、解体費用の勘定科目についてご紹介します。
結論から述べると、勘定科目は解体工事の目的によって異なります。本記事では勘定科目の必要性やわからない際の対策、節税につなげるポイントなども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
解体費用とは?かかる金額と内訳を詳しく解説
解体費用の勘定科目を知る前に、まずは解体にかかる費用を確認しておきましょう。解体費用は建物の構造によって1坪あたりの金額が異なります。木造の場合は2〜4万円、鉄骨造の場合は3〜5万円、鉄筋コンクリート造の場合は5〜9万円が相場です。
基本的な金額をもとに、次に解体費用の内訳を紹介します。主な内訳には、建物の取り壊し費用、廃棄物処分費用、諸経費、付帯工事費用などがあります。
建物の取り壊し費用は、建物本体を解体する費用で先ほどの建物構造の金額が相場です。手作業による工事が必要な場合、追加費用が発生します。廃棄物処分費は、がれきや木材など解体により発生した廃棄物の運搬・処分費です。
諸経費は、申請にかかる費用、車両や重機の駐車代金などが含まれます。付帯工事費用は庭石の処分足場や養生の設置、アスベスト除去などにかかる費用です。かかる費用は依頼する業者によって異なりますが、工事が難しい立地や特別な注意が必要な物件の場合は、高額になる可能性があります。
また、地中埋設物など「目に見えずにいざ解体を始めたら出てきた」と言った場合も追加で料金が発生します。なるべく費用を抑えるなら、複数社で見積もりを依頼する、自分でできることはしておく、など心がけるのがポイントです。見積もりをお願いする際は、現地調査での依頼がおすすめです。
仕訳の基礎と解体費用における注意点
仕訳の基本から見ていきましょう。仕訳とは、取引を正確に記録する作業のことです。仕訳の流れは、「取引の発生」→「資産、負債、資本、費用、収益のどの項目に分類するか確認」→「グループ内で勘定科目を決定」→「金額の計算」などです。
仕訳で悩むポイントとしては、グループを決めること、どの勘定科目を使うか決めることです。カテゴリーの選択を誤った場合、資産の内訳が合わなくなるため注意しましょう。
解体費用の勘定科目が必要な理由とは?経理の基本を解説
では、勘定科目がどうして必要なのか詳しく見ていきます。先ほども紹介した通り、勘定科目は取引でかかった資産・負債・収益・費用などを分かりやすく記録するための行為です。勘定科目がなければ、お金の流れを把握できず、確定申告でも申請内容が不明確になり、誤りが生じる可能性があります。また、一人が管理している場合でも、勘定科目を明確に記録しておくことで誰が見ても一目でわかるため、引継ぎの際も簡単におこなえます。
とは言え、一言で勘定科目と言われてもカテゴリーがわからないもの。勘定科目には5つのグループがあり、「資産」・「負債」・「純資産」・「費用」・「収益」に分けられます。資産は現金や土地、建物などが当てはまります。負債は借入金や未払金など。純資産は資本金や元入金などが挙げられます。費用は、商品仕入高や交通費、消耗品費など、収益は売上・雑収入などが該当します。
目的別に異なる!解体費用の勘定科目を徹底解説
最初に述べたように、解体費用の勘定科目は、目的によって異なります。それぞれの目的によりカテゴリーが分類分けされるので順番に見ていきましょう。
建物の撤去が目的の場合の勘定科目
建物の撤去(解体・取り壊し含む)が目的の場合、「取り壊し後に新たに建物を建てない」とみなされ、固定資産除却損として計上されます。
固定資産除却損とは、必要なくなった有形固定資産(土地や建物)を廃棄処分する際にかかって発生した損失のことを指します。そのため、固定資産除却損は「費用」のグループに認定される勘定科目と言えます。
建て替えを目的とする場合の勘定科目
既存の建物を解体し、新たに建築物を建てる建て替えが目的の場合は、既存の建物の解体は新たに建設するために必要な行為として判断されるので、解体にかかる費用は新規資産の獲得にかかる費用と同じ立ち位置になります。
解体工事も新築工事の中に含まれるので、新規資産取得費用は既存の資産解体費+新規資産建設費用の計算式です。仮に解体後に建物の建設を予定している場合は、勘定科目は「前払金」として計上します。前払金は「資産」のグループに認定される勘定科目です。
現状復旧を目的とする場合の勘定科目
建物を解体する目的が現状復旧の場合、解体にかかる費用は修繕費として計上します。しかし、建物の修繕をするにあたって建物すべてを解体するのは考えにくいところ。
解体工事にあたる現状復旧は、修繕箇所が既存の物件と同一価値、同一仕様にならなければいけないので注意が必要です。旧式の仕様を最新のものに交換した場合、資産の新規取得としてみなされる場合があり、費用ではなく資産として計上する必要があります。
解体費用の支払いで節税!支出を賢く管理する方法
解体にかかった費用を節税につなげるためのポイントを紹介します。主な方法としては、「費用として計上」または「資産として計上」の2パターンがあります。
解体費用を費用として計上する方法
解体費用の勘定科目を費用にすることで、支出をおこなった年の利益が下がるため税金を抑えることにもつながります。反対に言うと、大きな利益が出ている場合は支出を費用として計上することで節税対策として有効です。
解体費用を資産として計上する方法
支出をおこなった年に大きな利益は出ていないものの、購入した資産の効果によって将来利益の計上が見込まれる場合は、一度資産に入れるのが節税対策として有効な方法です。
勘定科目がわからない場合の対策方法
初めて帳簿を付ける方やカテゴリー分けがあいまいでわからない方は、税務署などでおこなわれる申告無料相談会にて税理士や税務署職員などに問い合わせてみましょう。いつでも丁寧に対応してもらえるので、わからない場合はプロに聞くのが手っ取り早いです。
また、解体費用の仕訳で使用する勘定科目は、費用グループと資産グループです。基本的には2つに分けられますが、自宅を賃貸物件に変更する場合や賃貸物件を自宅に変更する場合などはそれぞれ経費計上できるかが問われます。この際も不明な箇所が出てくる場合があるため、不安な方はぜひ相談しましょう。
減価償却と消耗品費の違いと解体費用との関係
確定申告の際、所得税に大きく影響する減価償却と消耗品費。一般的には、解体工事費を資産として計上する場合は減価償却での支払いをおこないます。減価償却とは、金額の高いものを購入した際、一度に経費とするのではなく分割して少額ずつ計上する制度です。
高額な支出を一度に経費として計上した場合、その年に大幅な赤字が発生する可能性があります。この場合、銀行からの融資が打ち切られるリスクもあり、費用がないにもかかわらず収益が発生する事態を引き起こすことがあります。しかし、減価償却することで、少額が費用として計上されるので毎年コンスタントに利益を出せるようになります。
消耗品費は、仕事で使う少額な消耗品を購入した場合に使う勘定科目を指します。雑費の科目がありますが、どうしても分類できない場合に使う科目なので、なるべく使用は避けたいところ。また、雑費は不明確なこともありあまりに項目が多いと税務署に目を付けられることもあるので、注意が必要です。
そのためなるべく消耗品費に分けられるものは、消耗品費として計上するのがおすすめです。減価償却と消耗品費の線引きとしては、10万円以上が減価償却、10万円以下が消耗品費であることです。この線引きを基準にそれぞれ計上しましょう。
解体工事のタイミングによる税務上の影響と損得
解体の時期によって損をすることがあります。理由は、土地に建物があるかどうかで税額が異なるためです。一般的に、固定資産税や都市計画税がかかり、これらはその年の1月1日時点で所有している資産に基づいて計算されます。
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業を目的とした税金を指します。該当地域に資産がある場合のみかかる税金で、課税の線引きは市町村によって異なります。以上のことから、解体にふさわしい時期は固定資産税が決まった年明けすぐがおすすめです。
更地にしたのち、新しい建物を建設するもしくは売却することで更地の状態で固定資産税を払うことを避けられます。
よくある質問:解体費用の勘定科目についての疑問解決
解体費用の勘定科目についてよくある質問をご紹介します。
解体費用を経費として計上する場合の勘定科目は?
工事をおこなう目的に応じて固定資産除却損・土地・修繕費・災害損失を使用します。固定資産を廃棄した場合は固定資産除却損、建て替え目的で購入した建物の解体・撤去する場合は土地、有形固定資産の修理をする場合は修繕費、災害によって発生した損失の場合は災害損失となります。
部分解体後の修繕費用はどう処理すべきか?
修繕をおこなう場合は基本的に修繕前と同一価値、同一仕様である必要があります。同一価値、同一仕様の場合は修繕費として計上できますが、新たに何かを付けた場合などは資産としての計上が必要になります。
まとめ:解体費用の正しい勘定科目の選び方と確定申告への影響
解体費用の勘定科目についてご紹介しました。勘定科目は工事をおこなう目的によって異なることがわかりました。仕訳をしっかりおこなっておくことで、誰が見ても一目で理解できるため、引継ぎの際にも役立ちます。それぞれの違いをしっかり理解しておくことで項目ごとに分けやすいため、解体工事の目的が何なのかを明確にわかっておくと安心です。