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投稿⽇時

2023/10/05

最終更新⽇時

2023/10/05

任意売却のメリット・デメリットと成功の秘訣

  • 不動産買取

任意売却とは? – 基本的な理解

任意売却と競売、自己破産の違い

ご家庭の事情や早期退職、給料の減額などが原因でローンの返済が困難になり、支払いが滞るのではないかと悩んでいる方も多いでしょう。

一般的には、住宅ローンの支払いが残っている場合、家を売却することは困難です。しかし、任意売却をおこなうことによって、ローン残債が残っていても、通常の売買と同様に自宅を売却することができます。

通常は、住宅ローンを滞納すると競売によって売却手続きが進められます。競売物件として落札された場合は、そのまま自宅に住むことができず、最終的には家財道具などを強制的に運び出されます。

任意売却を利用すれば、自宅の差し押さえや強制退去の心配がなく、引越し準備を余裕を持って進めることができます。
まずは、任意売却の具体的な内容について解説します。

住宅ローン滞納後でも家を売却できる理由

任意売却は、住宅ローンを滞納している、または返済途中でも、借入先金融機関の同意を得ることで売却可能です。

通常は、金融機関とローン契約を結ぶ際に抵当権が設定されます。抵当権は、ローンを完済することで外すことができる仕組みであるため、ローンが残っていると外すことができず、売却もできません。

しかし、任意売却では完済していなくても同意が得られると抵当権を外すことが可能です。その結果、ローンが残っていても売却することができるようになります。

売却ができると、その売却資金を住宅ローンの返済に充てることができます。たとえ滞納していたとしても、売却・債務の整理が可能であるため、注目されている売却方法のひとつです。

債権者の影響と売却金額の決定方法

任意売却をする際は、債権者によって売却金額が決められるため、所有者が自分で決めることはできません。

所有者が低い金額で設定した場合、早期売却は可能ですが、債権者からすると貸したお金が回収できない可能性が出てきてしまいます。そのため、債権者がより多くの金額を回収できるように、売却金額を設定し、確実に回収できるような仕組みになっているのです。

続いて、競売や自己破産との違いについて解説します。

競売との違い

競売と任意売却の大きな違いは、強制力があるかどうかと、売却金額の決め方の2つに分けられます。

競売は、債務者がローンを支払えない場合、保証会社が代わりに弁済し、その後保証会社が一括弁済を請求します。それでも支払われなかった場合は、裁判所に申し立てをし、申請が受理されると競売手続きの開始です。

また、物件の売却金額は、裁判所の執行官と不動産鑑定士によって物件の調査がおこなわれ、評価価格が決定します。その際に、債権者や所有者の意向が考慮されることはありません。評価価格をもとに裁判所が売却基準価額を決定します。

その点、任意売却には競売ほどの強制力がなく、通常の売買と同様に自分の意志での売却が可能です。物件の明け渡し時期も自分で決められるため、時間に余裕をもって退去準備を進めることができるでしょう。

自己破産との違い

任意売却や競売のほかには、自己破産が挙げられます。
任意売却をしても債務が完全に解消されるわけではなく、売却資金でローン返済を行っても、残債が多い場合は返済義務が残ります。

一方、自己破産の申し立てをおこない、裁判所から認められて成立すると、残りの債務を弁済する必要はありません。自己破産をすることで、金融機関からの取り立ても止められます。

自己破産の手続きを進めながら任意売却をすることもできます。自己破産をすると、生活するうえで必要となる最低限のお金以外は債権者に配分されます。その点、任意売却ではある程度のお金を手元に残すことができます。
引越し費用も捻出できるため、生活の再設計をおこないやすいのが特徴です。

任意売却のメリットとは?

ここでは、任意売却をおこなう5つのメリットについてご紹介します。

ローン滞納の事実を周囲に知られない

競売では、インターネットや官報により一般公開されますが、任意売却ではローンを滞納していることが周りの人に知られることはありません。
そのため、近隣住民や身近な人にローン滞納の事実が知られることなく手続きを進めることができます。

自分で売却価格を決める自由

任意売却では、通常の売買と同様に手続きを進められる点がメリットのひとつです。
突然の差し押さえや立ち退きを迫られる心配がなく、計画的な退去が可能です。
売却条件を自分で決められたり、競売より債務者の裁量が大きいのもメリットといえるでしょう。

相場価格に近い価格で家を売却できる

売却方法やタイミングによっては、相場に近い価格で売却できる可能性が高くなります。また、ローン返済に充てることで、月々の返済額の負担を減らすことも可能です。
一方、競売では、物件価格が相場よりも3〜4割程度低くなる傾向があるため、債務完済が難しくなる場合があります。

ローン残債を分割払いにできる可能性

競売の場合は、ローン残債を一括で支払わなければなりませんが、任意売却の場合は、債権者との交渉次第で分割払いにすることが可能です。

そもそも、毎月の返済が厳しくなっている状態で任意売却をおこなうため、一括返済することは厳しいでしょう。分割払いにより無理のない支払い計画が立てられる点も大きなメリットです。

売却にかかる諸費用が不要

任意売却では、売却にかかる仲介手数料などの諸費用は売却資金から引かれるため、まとまった現金を準備する必要がありません。
また、引越し費用も売却資金から捻出できる可能性があります。

任意売却のデメリットとは?

上記では、魅力的なメリットについてご紹介しましたが、気を付けていただきたい点もございます。

ここでは、任意売却をおこなう4つのデメリットについてご紹介します。

ローン滞納記録の影響と信用情報へのリスク

任意売却を行うには、最低でも3か月間のローン滞納記録が必要です。そのため、ブラックリストに載る可能性があることを理解し、慎重に進める必要があります。

このように、自分の信用情報に傷がつくリスクも考慮したうえで、慎重におこないましょう。

連帯保証人の同意が必要

任意売却をおこなっても債務が残っている場合に、債務者が支払いの責任を放棄したり、自己破産をすると債務の請求が連帯保証人にいってしまいます。

連帯保証人の責任が重いため、必ず同意を得ることが重要です。

このことからも、任意売却をおこなう際は連帯保証人の合意も必要となるので、その分手間がかかるでしょう。

競売に移行する可能性

競売の申し立てがおこなわれている状態から任意売却をおこなった場合は、競売の完了前に任意売却を完了させる必要があります。

競売当日までに完了していないと、先に競売の手続きが進行してしまう状態にあるため、注意が必要です。

任意売却はいつでも可能ではないため、競売が進行中の場合は、その進行状況を確認し、迅速に手続きを進めましょう。

任意売却が向いている人とは?

上記でのメリットとデメリットを踏まえ、任意売却がおすすめの人をご紹介します。

まだ、高額なローンが残っているうえ、購入時より物件の価値が下がっている場合は、任意売却をおこなうことをおすすめします。

債権者は、今後の資産価値が上昇しない場合は、全額回収することができません。この場合、任意売却後も債務は残りますが、価格設定を自分で行える点や自己資金として管理できる点では利点があります。住宅の資産価値が大幅に下がる前におこなうのがいいでしょう。

債務者側も、高額なローンが残っている状態で、収入減少や途絶えを想定し、資産価値が下がりきる前に任意売却を行い、債務整理を進めることで返済に余裕を持てる可能性があります。

収入減少でローン返済が難しい人

返済が数か月滞ると、競売にかけられ強制的に立ち退きを求められる場合があります。

しかし、任意売却であれば退去までの手続きを自分で計画的に進めることが可能です。そのため、ローンの返済が困難に感じた場合は、弁護士や司法書士など専門家に相談し、任意売却することをおすすめします。こうすることで、生活資金の調整ができるようになります。

離婚による住宅売却を希望する人

離婚をきっかけに任意売却をおこなうケースも少なくありません。離婚時は財産分与をおこないますが、ローン返済中の場合はトラブルが多いため注意が必要です。

離婚して一人でローン返済をすると、精神的にも大きな負担となるでしょう。

また、住宅ローンを支払ってもらう予定でも、相手が支払わなかった場合は、金銭問題に発展することも考えられます。任意売却をすることによって、そうした後々のリスクを下げることができます。

任意売却のまとめと注意点

任意売却とは、ローン残債が残っていても通常の売買と同様に自分で価格や時期を定めて自宅を売却することができる売却方法です。

競売と任意売却では、強制力があるかどうかと売却価格の決め方が大きく異なります。競売は、債務者がローンを支払えなくなると、保証会社が代わりに弁済し、その後保証会社から一括弁済の請求を求められます。また、売却金額は、裁判所の執行官と不動産鑑定士によって物件の調査がおこなわれ、評価価格が決定します。

自己破産は、申し立てをおこない裁判所から認められ成立すると、残りの債務を弁済する必要がなくなり、金融機関からの取り立ても止めることが可能です。

任意売却をおこなううえでのメリットは、周囲の人に周知されにくく、ローン残債を分割でき、諸費用がかからないといった点が挙げられます。

一方で、手続きには手間がかかり、3か月の滞納記録が必要であり、信用情報にも関わることがデメリットです。この手続きを進めている場合でも、手続きの進行状態によって、競売になる可能性があることも念頭においていただければと思います。

特に、住宅ローン残高が高額で物件価値が下がっている場合や、収入が減少し返済が難しい場合、離婚により売却を希望する方にはおすすめの方法です。

任意売却はいつでもおこなえるわけではないので、競売の進行状況も確認したうえで、手続きを迅速におこなうようにしましょう。