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2024/06/18最終更新⽇時
2024/06/18初心者向け!不動産評価額の種類と調べ方完全ガイド
- 不動産の知識

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不動産売却時や相続時には、自分が持つ不動産の価値を知りたいと考えるのではないでしょうか。そこで重要となる概念が「不動産評価額」です。一口に不動産評価額といってもさまざまな種類があり、それぞれで考え方や調べ方、求め方が異なるため、用途に応じて評価額を活用しなければなりません。そこで本記事では、不動産評価額の種類や調べ方を中心に、不動産評価額について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
不動産評価額とは?基本を解説
初めに、不動産評価額についての基本的な情報や、不動産評価額の種類について紹介します。これから不動産評価額について勉強する人や、相続したことで初めて不動産を所有したという人は、ぜひ本項からご覧ください。
不動産評価額とは
不動産評価額とは、その不動産の市場価値を表す数値です。特に売却を検討している人は、「どれくらいで売れるか」を知りたいはずです。この場合に重要なのが「固定資産税評価額」という価格です。
固定資産税評価額は、国や地方自治体が決めた基準に基づいて算出され、毎年の固定資産税や都市計画税などの納税額を計算するために使われます。固定資産評価額は、専門の不動産鑑定士が鑑定した価格をもとにして決まります。不動産鑑定士が算出した価格も、不動産の評価額と呼ばれます。
つまり、不動産の評価額は、その不動産がどのくらいの価値があるのかを示すものです。しかし、固定資産評価額以外にも4つの不動産評価額が存在します。次にそれぞれの特徴を紹介します。
不動産評価額の種類と特徴
一口に不動産評価額といっても、大きく分けて5つの種類があります。それぞれ詳しく見てみましょう。下記5つの種類があります。
- 固定資産税評価額
- 路線価
- 公示地価
- 基準地価
- 実勢価格
それぞれ解説します。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、地方自治体が不動産に課税する際に使用される評価額です。「不動産評価額」として言及されることが多い数値も、この固定資産税評価額を指します。各地域の市町村や東京23区などでは、土地や建物の評価額を決定するために「固定資産評価基準」を定めています。通常、評価額は3年ごとに見直され、その際に評価替えが行われます。
ただし、評価替えのない年は前回の評価額が維持されるため注意しましょう。固定資産税の納税通知書には、土地や建物の評価額が記載されており、これを確認することで評価額を把握することができます。
路線価
路線価は、道路に面した土地の1m²あたりの価格を示します。これらは相続税や贈与税の計算に使用され、国税庁が毎年7月に公表します。路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類があり、一般的に相続税路線価が指されます。相続税路線価は、特に相続税や贈与税の申告時に必要となる情報です。
公示地価
公示地価は、国土交通省が毎年3月に公表する、土地ごとの平均的な価値を示すものです。
全国約26,000箇所での現地調査に基づいて算出され、土地の地域ごとの相対的な価値を示します。土地の価格変動を把握しやすく、一般の土地取引の際の指標として利用されることが多いです。加えて、相続税や固定資産税の評価基準としても利用されます。国土交通省のホームページを通じて、公示地価は調べられます。
基準地価
基準地価は、各都道府県が毎年9月下旬に公表する、土地ごとの平均価格を示すものです。
公示地価と同様に、全国の地域ごとに異なる土地の相対的な価値を示します。基準地価を利用することで、土地の価格動向を把握しやすく、一般の土地取引や地方公共団体、民間企業における取引の際の指標として利用されます。基準地価も公示地価と同じように国土交通省のホームページなどを通じて調べられます。
実勢価格
実勢価格は、不動産市場で実際に取引された価格を指します。市場の相場や動向を把握するための重要な指標となり、投資家や不動産業者が取引価格を決定する際に役立ちます。実勢価格は、国土交通省の不動産取引価格情報検索を使って調査でき、地域ごとの不動産市場の動向を理解するために非常に役立ちます。
固定資産税評価額の調べ方
次に、不動産評価額ごとの調べ方を紹介します。あまり調べる機会は多くないかと思いますが、いざというときにすぐに調べられるよう、本項を見て知識を身につけておきましょう。
不動産評価額ごとの調べ方
各不動産評価額の調べ方は、以下の通りです。公示地価、基準地価、実勢価格はどれも土地総合情報システムを利用して算出するため、一気に調べられますね。
固定資産税評価額の調べ方
まずは納税通知書を確認します。毎年、市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書には、土地と建物の評価額が記載されています。ここに記載されている金額が、固定資産税を算出する際の基準となります。
次に、役所に問い合わせるという方法も有効です。不動産の所有者は、役所に問い合わせることで固定資産税の評価証明書を取得できます。この証明書には、土地や建物の評価額がそれぞれ含まれています。
また、自治体の課税台帳を閲覧することでも確認もできます。所有者自身、または委任状を持った代理人は、自治体の課税台帳を閲覧できるのです。この台帳には、不動産の評価額や所有者の情報が含まれています。
さらに、全国地価マップの利用により評価額を確認することも可能です。一般財団法人資産評価システム研究センターが公開している全国地価マップを利用すると、固定資産税の路線価から評価額を計算できます。
路線価の調べ方
全国地価マップを利用します。一般財団法人資産評価システム研究センターが公開している全国地価マップを使用して、路線価を調べることができます。まず所在地を入力し、対象のエリアの路線価情報を取得します。それだけで、その土地の路線価を把握できるのです。
公示地価の調べ方
公示地価を調べる際には、土地総合情報システムを利用します。国土交通省が運営する土地総合情報システムを使用すると、個人でも公示地価を調べることができます。不動産の所在地を入力し、対象のエリアの地価公示情報を取得でき、これにより、簡単にその土地の公示地価を把握できるのです。
基準地価の調べ方
基準地価を調べるときは公示地価と同様に、土地総合情報システムを利用します。
実勢価格の調べ方
実勢価格を調べる際も、土地総合情報システムを利用します。土地総合情報システムの不動産取引価格情報検索を使用しなければなりません。手順としては、まず取引価格情報の中から、対象の不動産と類似する条件の物件の取引価格を調べます。これにより、不動産の実際の市場価値を把握できます。
以上が、それぞれの不動産評価額の調べ方です。
固定資産証明書の役割と重要性
ほとんどの「不動産評価額」には固定資産税評価額が適用されると先程説明しました。固定資産税評価額を理解するうえで、固定資産証明書の存在も非常に重要です。本項では、固定資産証明書にフォーカスして解説します。
固定資産証明書とは
固定資産証明書は、不動産の評価額を証明する重要な書類です。この証明書を見れば、不動産の価値の目安を知ることができ、その評価額を基に固定資産税の計算が行われます。
固定資産税は、所有する土地や建物などの不動産に課税されます。また、事業用の機械や一定額以上の設備などの償却資産にもかかります。こうした固定資産税の計算は、固定資産評価額を基準にしなければなりません。
固定資産証明書は、市区町村がその年の固定資産評価額を証明したものです。この証明書には、固定資産課税台帳の評価額が記載されています。したがって、固定資産証明書を持っていれば、不動産の評価額を正確に把握できるのです。
固定資産証明書は、不動産の価値の目安が知りたい場合だけでなく、固定資産税や相続税、贈与税、登録免許税などの税金を計算する際にも必要です。具体的には、不動産の売買や相続税の申告、贈与の手続きなどで使用されます。また、不動産に関する訴訟などでも必要とされます。
固定資産証明書が必要な場面
固定資産証明書が重要な理由は、不動産に関わるさまざまな手続きや税金の計算において、評価額が基準となるためです。この基準を作るために、固定資産証明書が不可欠です。主に以下の場面で必要となります。
- 不動産の登記手続きを行う際
- 相続税、贈与税の申告を行う際
- 不動産についての訴訟を起こす場合
不動産の登記手続きを行う際
不動産の所有権を移転させる場合、つまり不動産の売買や贈与、相続などの場合、登記免許税の計算に固定資産評価額が必要です。登記免許税は、不動産の評価額に対して一定の税率が適用されます。そのため、登記手続きを行う際には、固定資産評価証明書が必要なのです。
相続税、贈与税の申告を行う際
相続や贈与によって不動産を受け取る場合、相続税や贈与税の申告書において、不動産の評価額が必要です。相続税や贈与税は、不動産の評価額に対して課税されるため、正確な評価額の算出が必要なのです。固定資産評価証明書には、このような税金の申告に必要な情報が載っています。
不動産についての訴訟を起こす場合
不動産についての訴訟を起こす場合、申立手数料が必要となります。手数料の算出には、不動産の評価額が基準となります。そのため、裁判手続き時には、固定資産評価証明書が必要です。手続きを進めるうえで正確な評価額が証明されることで、訴訟を有利に、かつ円滑に進められるでしょう。
このように、固定資産証明書は不動産の評価額を正確に示し、税金の計算や法的な手続きを円滑に進めるために不可欠なものとなっています。
不動産評価額の調べ方まとめ
本記事では、不動産評価額について詳しく説明しました。今回紹介した調べ方を参考にして、ぜひ自分でも調べてみてください。とはいえ、正式な金額を計算したい場合には、必ず不動産鑑定士などの専門家に依頼するようにしましょう。当然コストはかかってしまいますが、裁判の時に有利に進められたり、実際の納税額を確認することで減税できたりするため、このメリットを考えるとコストは仕方がない出費でしょう。今回の記事では、不動産評価額の重要性や種類、調べ方について大まかな概要を知っていただければ十分です。最後までご覧いただきありがとうございました。