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2024/06/28最終更新⽇時
2024/06/28建ぺい率の調べ方と緩和条件を完全ガイド
- 不動産の知識


建ぺい率は、土地上に建物を建てる際に必ず守らなければいけない数値です。建物の売買を検討している方の中には、次のような疑問を抱えてはいませんか?
「買いたい土地が見つかったけど、その土地の建ぺい率がわからない」
「そもそも建ぺい率はどこで調べられるの?」
「建ぺい率が低い土地でも、広々とした家づくりは可能?」
本記事では、建ぺい率の調べ方について解説します。ほかにも、建ぺい率の計算方法や緩和条件、建ぺい率が低いときの対策方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
建ぺい率とは
建ぺい率の基本概念とは?
建ぺい率という言葉を聞いたことがありますか? 建ぺい率とは、その土地の「敷地面積に対する建築面積」の割合を指します。この説明だけでは少し難しいかもしれません。たとえば、土地面積が100平方メートルで建ぺい率が60%の場合、建築面積は60平方メートルということになります。つまり、たとえ100平米の土地を持っていても、建物を建てられる面積は60平米ということです。このように、土地に対する建築面積の割合のことを建ぺい率と言います。
建ぺい率を理解するためのポイントは、土地と建物の関係をイメージすることです。
たとえば、土地の面積をはみ出すような建物は物理的にあり得ないため、建ぺい率が100%を超えることはありません。
さらに注意しなければいけないのは、平屋以外の建物の場合です。つまり、2階建てや3階建てなど、複数の階数を持つ建物では、それぞれの階のうち最も面積の広いフロアが「建築面積」とみなされます。
建ぺい率の計算方法を徹底解説
建ぺい率は次のような計算式で求められます。
建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100
たとえば、建築面積70平方メートル・敷地面積100平方メートルの物件の建ぺい率は、70平方メートル÷100平方メートル×100=70%となります。
また、建物を建てる際は、建ぺい率をもとに建築面積を算出しなければいけません。この場合、上の計算式をすこし変形して、次のような式で建築面積を求めます。
建築面積(平米)=敷地面積×建ぺい率
たとえば、敷地面積が100平米の土地に70%の建ぺい率で建築する場合、許容できる建物面積は100平米×70%=70平米となります。
異なる土地にまたがる建物の建ぺい率の計算方法
立地条件によっては、建ぺい率が違う2つの土地をまたいで建物を建てなければいけないこともあります。この場合は、次の手順で建ぺい率を算出します。
〈1〉それぞれの土地の建築面積を計算し、合算する
〈2〉合算した建築面積を2つの敷地の合計面積で割る
建築予定の場所が2つの土地をまたいでいる場合は、このように建ぺい率を求めましょう。
市区町村の役場で建ぺい率を調べる方法
建物を建築する前に、建ぺい率を正確に把握しておくことは大切です。
「建ぺい率の意味はわかったけど、そもそもどうやって調べたらいいの?」
「家を建てたいと考えている土地があるけど、その土地の建ぺい率を知りたい」
この記事を読んでいるということは、こうした疑問をお持ちですよね。実際、建ぺい率の調べ方をご存じですか? ここでは、建ぺい率の調べ方を3つ紹介します。
各市区町村の役場に問い合わせる
建ぺい率は、市町村の都市計画課に問い合わせることで調べられます。手続きは非常に簡単です。建築予定地の市町村役場へ行き、都市計画課の窓口で相談します。直接訪問できない場合は電話で対応してくれるはずです。
都市計画に携わっている部署は、正確な情報を提供してくれます。そのため、自分が調べたい土地の建ぺい率もすぐにわかるでしょう。電話での問い合わせも可能ですが、建ぺい率のほかに境界線なども確認したい際は、役場を直接訪問することをおすすめします。
市町村WEBサイトで建ぺい率を調べる方法
昨今では、多くの市町村が公式ホームぺージで都市計画情報を提供しています。建ぺい率を調べたい場合は、その公式ホームページにアクセスしましょう。都市計画図が掲載されているページを開けば、それぞれの土地の正確な建ぺい率を把握できます。
不動産業者への問い合わせで建ぺい率を調べる方法
建ぺい率を調べたい場合、不動産業者に問い合わせることも1つの手です。建築予定地の情報を掲載している不動産業者の公式ホームページや、チラシ・ポスターなどで建ぺい率を確認できます。また、土地を管理している不動産業者に、直接問い合わせることも方法の1つです。不動産業者は地域の物件情報に精通しているため、正確な情報を提供してくれるでしょう。
建ぺい率が緩和される条件
建物を建てるときは、建ぺい率に従って建築工事を進めなければいけません。しかし、特定の条件を満たせば、建ぺい率は緩和される場合があります。このような緩和措置を活用することで、より規模の大きい建物を建築できます。
では、建ぺい率を緩和するためにはどうすればいいのでしょうか。以下、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう
角地で建ぺい率が10%増加する条件
角地とは、2つの道路に接している土地のことです。この場合、建ぺい率の上限が10%増加します。ただし、角地として認定される条件は、自治体によって異なることに留意しておきましょう。単純に2つの道路に接しているだけでなく、角の角度や接道面積の割合などを満たす必要があります。そのため、条件を満たすかどうか判断できない場合は、各市町村の都市計画課などにあらかじめ問い合わせておきましょう。
防火地域に耐火建築物を建てるときの建ぺい率の緩和条件
防火地域とは、火災の発生や延焼を防ぐために都市計画で指定された地域のことです。このような地域内での建設では、耐火性の高い建築物を建てることが求められます。さらに、耐火性を追求するために建材や工法にもこだわる必要があるため、建設コストは通常の建物より高額です。建築プランの緻密さと正確性が求められますが、建ぺい率が10%増加することは大きなメリットと言えます。
角地&防火地域で建ぺい率が最大20%増加する条件
角地でかつ防火地域内である場合は、建ぺい率の上限が20%増加します。つまり、通常の上限をはるかに超えた建物を建てられるのです。このような建ぺい率の緩和によって、建築面積を拡大できるほか、より柔軟な建築プランを立てられます。ただし、建設に際しては、建築士や不動産業者など専門家の意見をしっかり取り入れましょう。
建ぺい率を超えてしまった場合のリスク
建ぺい率は、建物の建築時に必ず守らなければいけない規定です。一般的に、新築物件では建築確認審査の過程で建ぺい率が厳密にチェックされ、オーバーすることはまずありません。しかし、増築やリフォームなどの場合は、建ぺい率を超えてしまうことも考えられます。実際に建ぺい率を超えてしまうと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは、建ぺい率を超えてしまった場合に発生するデメリットについて考えてみましょう。
住宅ローンに与える影響
建ぺい率を超えてしまった建物は、金融機関の住宅ローンを利用できません。なぜなら、建ぺい率を超える建築は法律違反とみなされるからです。そのような物件をローン審査に通せば、金融機関も法的な問題を抱えることになります。そのため、建ぺい率を超えてしまった物件は、住宅ローンを利用できないのです。特に、中古住宅のリフォームなどは、建ぺい率を超えてしまうケースが多いため注意しましょう。
売却に影響する違法建築物のリスク
建ぺい率を超えてしまった建物は、違法建築物として扱われます。そのため、売りたくても「違法物件である」という理由から、売却契約を結べません。また、不動産市場では合法性が問われるため、このような物件は資産価値そのものが大幅に下がってしまいます。売却が不可能な場合、法律の範囲内の建ぺい率に調整するためのリフォームが必要です。
ただし、1971年以前に建てられた物件は例です。この年以前に建てられた物件は、「既存不適格建築物」として売却できる可能性があります。土地の建ぺい率が合法かどうかわからない場合は、まず不動産業者に相談し、物件の法的地位を確かめてもらいましょう。
建ぺい率が低いときの対策方法
「土地の建ぺい率が低いため、理想の家を建てられない…」
「建ぺい率は低いけど、今の土地を手放さずに住居スペースを広げたい」
建ぺい率の低さから、このような悩みを抱えている方は少なくありません。しかし、そんなときこそ緩和規定を上手に活用することで、建物の可能性を広げられます。ここでは、建ぺい率が低い土地をうまく活用する方法を紹介します。
建ぺい率を考慮した「1m以内」のひさしやバルコニーの活用方法
ひさしやバルコニーなどの軒先は、一定の条件を満たす場合には建ぺい率の計算から除外されます。具体的には、長さが1m以内であれば建築面積に含まれません。そのため、建ぺい率の制約を受けずに広いスペースを確保できます。1m以内であれば、デッキチェアやミニテーブルを置いてゆったり過ごすことも可能です。
屋根裏収納やロフトで建ぺい率を超えずに収納スペースを確保する方法
2階の床面積の半分までの面積であれば、ロフトや屋根裏収納をつくっても建ぺい率には含まれません。そのため、建ぺい率を考えることなく収納場所や書斎などの追加スペースを確保できます。それまでリビングや寝室に置いていた物をひとまとめに収納できるため、より広々とした暮らしづくりを実現できるでしょう。
ビルトインガレージを活用した建ぺい率の緩和方法
1階の床面積の一部をビルトインガレージとして活用することも、建ぺい率の制約を緩和する方法の1つです。ただし、ガレージの広さは「1階の床面積」の1/5の範囲に留めましょう。そうでなければ、建ぺい率の計算に含まれてしまいます。この条件さえ満たせば床面積には含まれないため、広々とした住宅スペースに加えて、車やバイクなどの保管スペースを確保できます。
屋上を活用して建ぺい率を超えずに広々とした生活空間を確保する方法
建ぺい率の計算には含まれない屋上スペースを活用することで、建物全体の空間を拡大できます。洗濯物を干すスペースや休憩所のほか、植栽スペースとしても利用できるため、より開放的な空間を実現できるでしょう。
よくある質問
Q.1 建ぺい率が超えてしまった場合でも、住宅ローンは組めるでしょうか?
A.1 建ぺい率を超えてしまうと、住宅ローンは利用できません。建築基準法に違反するからです。そのため検査済証が発行されず、金融機関からの融資が受けられません。また、これは物件の築年数に関係なく、新築も中古も同じです。
Q.2 違反物件と既存不適格建築物の違いは何ですか?
A.2違反物件とは、建ぺい率の要件を満たさない物件のことです。具体的に言えば、建築基準法に違反しているものを指します。一方で既存不適格建築物は、竣工時には要件をきちんと満たしていたものの、後になって建ぺい率の制限を満たさなくなった物件です。いずれも違法建築とみなされてしまうため、行政からの是正勧告や対策が講じられます。
Q.3 容積率や建ぺい率を超えてしまった物件の価値はどうなりますか?
A.3容積率や建ぺい率を超えてしまった物件は、評価額が著しく低下してしまいます。なぜなら住宅ローンが組めず、買い手がつきにくい傾向にあるからです。市場価格での価値も下がり、売却はかなり難しくなるでしょう。そのため、結婚や転勤・子どもの自立といったライフスタイルの変化によって家を売却したい場合は、建ぺい率をしっかりと把握しておくことが重要です。
Q.4 家づくりに関するほかのルールはありますか?
A.4 家づくりには、建ぺい率のほかにもさまざまなルールがあります。たとえば、「接道義務」や「絶対高さ制限」、「斜線制限」など、建物の配置や形状に関するルールです。これらは建ぺい率と同じように、建築法によって定められた大切な規定です。ただし、自治体によって異なる規制もあるため、建築前にしっかり調査しておきましょう。わからないことがあれば、個人で調べることも大切ですが、不動産業者や建築士などの専門家の意見を取り入れることも重要です。
いかがでしたか?
今回は建ぺい率の調べ方について解説しました。建ぺい率は、建築法によって定められた重要なルールです。土地上に建物を建てる際は、必ず守らなければいけません。建ぺい率がわからない場合は、各市町村の役場の都市計画課や公式ホームページなどで確認できます。また、建ぺい率が低い土地でも、屋上や地下室、バルコニーを活用することで広々とした空間を得られます。そのほかにも家づくりには多くのルールがあるため、わからないことがあれば不動産業者や建築士の力を借りましょう。
参考文献
https://o-uccino.com/front/?cid=pwa_home