マンション経営でかかる経費と節税のポイント

マンション経営は、マンション一棟を購入し、貸し出すことによって収入を得る不動産投資の形態です。

マンションを一部屋から購入して行なうマンション経営も存在します。この経営方法を区分マンション投資といいます。

本記事では、マンション経営を始めようという人へ向けて、マンション経営のメリットやデメリット、経費や税金について詳しく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

マンション経営の基礎知識

初めに、マンション経営について知るために、マンション経営のメリットとデメリットを紹介します。本項では、メリットを3つ、デメリットを5つ紹介します。

マンション経営のメリット

マンション経営には以下の3つのメリットがあります。

  • 安定収入が期待できる
  • 資産として残る
  • 節税効果

安定収入が期待できる

マンション経営では、入居者が入れば毎月の家賃収入を安定して得られます。特にマンションは複数の部屋があるため、一時的な空室があっても他の部屋の家賃収入でカバーしやすく、入居者不足のリスクが少ない傾向があります。また、ローンを完済すれば、手元に残る利益が増え、老後の収入源としても利用できるため、老後の生活を快適にできるでしょう。

資産としての価値

マンション経営することで、建物そのものが資産として残ります。とくにRC造やSRC造のマンションは、将来的な売却が簡単で、買い手側のローンの状況も考慮されやすくなっています。これにより、将来的に資産価値の上昇が期待できます。

節税効果

マンション経営には節税効果があります。不動産所得による損益通算や相続時の評価額の関係で、所得税や住民税、相続税において節税が期待できます。損益通算では、マイナスとなった不動産所得を他のプラスとなっている所得と相殺することが可能で、税金を抑えられるのです。また、相続時には不動産の評価額が実勢価格の8割程度となるため、相続税負担を軽減できます。

これらのメリットにより、マンション経営は安定した収入源としてだけでなく、将来的な資産形成や節税の手段としても魅力的です。

ただし、マンション経営にはいくつかのデメリットも存在します。以下にその一部を挙げて説明します。

マンション経営のデメリット

今回5つのデメリットを紹介しますが、とくに初めに説明する空室のリスクには注意しておきましょう。

  • 空室が出てしまう
  • 建物の老朽化
  • 災害のリスク
  • 金利の上昇
  • 売却のリスク

空室リスク

マンション経営において最も懸念されるのが空室です。空室が発生すると、収入が途絶えるだけでなく、運営費用を補うために自己資金を投入しなければならない場合もあります。立地や賃料設定が原因で、空室リスクが高まることもあります。また、感染症などの影響で予期しない空室リスクが発生する可能性も考慮する必要があります。

建物の老朽化

マンションの建物は時間とともに老朽化していきます。老朽化が進むと入居者の確保が難しくなり、家賃を下げざるを得なくなる可能性があります。建物の老朽化に伴う修繕費や管理費の増加も、運営コストの増加につながるでしょう。将来的に老朽化が進むと収益が減少する可能性があるため、考慮する必要があります。

災害のリスク

災害はマンション経営において避けることのできないリスクです。とくに火災や地震、洪水などによる被害は、不動産の価値を大幅に減少させ、経済的な損失を招く可能性があります。火災保険や地震保険に加入することで一定のリスク回避が可能ですが、保険金だけですべての損害を補填できるわけではありません。

金利の上昇

マンション経営には多額の融資が必要となる場合があります。変動金利や固定期間選択型変動金利の融資を利用している場合、金利の上昇により返済額が増加し、収支が悪化する可能性があります。金利上昇のリスクを考慮し、資金計画を慎重に立てなければなりません。

売却のリスク

急に資金が必要になった場合や投資先を変更したい場合、マンションを売却することが考えられますが、すぐに買い手が見つからない場合や希望する価格での売却が難しい場合があります。マンションの売却は時間がかかる場合があり、売却時の価格が予想外に低くなるリスクも考慮しなければなりません。

これらのメリットやデメリットはマンション経営におけるリスクの一部です。マンション経営者はこれらのメリットやリスクを理解し、十分な計画と対策を講じることが重要です。

マンション経営でかかる経費とは

マンション経営における経費とは、その経営活動を行う上で必要な費用であり、マンション事業の運営や収益を増やすために支出される費用です。本項では、具体的な費用項目を詳しく解説します。費用の詳細を理解する必要はありませんが、項目だけでも把握しておきましょう。

マンション経営にかかる具体的経費

  • 修繕費、修繕積立金
  • 管理委託費用
  • 保険料
  • 税金
  • ローン手数料や利息分
  • 広告費用
  • 減価償却費
  • 司法書士や税理士報酬への報酬
  • 立ち退き料や弁護士への報酬
  • 仲介手数料
  • 通信費
  • 交通費
  • 接待交際費
  • 事務用品費、消耗品費
  • 情報収集費

修繕費、修繕積立金

マンションの建物や設備は時間とともに老朽化していきます。そのため、定期的な修繕やメンテナンスが必要です。これには部屋のクリーニング費用や原状回復工事費、壁紙や床の張替え費用、退去時の修理費用などが含まれます。また、管理組合に支払う修繕積立金も経費計上できます。

管理委託費用

マンションの管理を委託することで、管理会社に支払う費用です。管理委託費用には、管理会社のサービス料や管理業務を行うための経費が含まれます。

保険料

マンションを保険で保護するための費用です。火災保険や地震保険などの損害保険料が含まれます。ただし、火災保険などの損害保険料のうち、その年にかかった分のみが経費計上の対象となります。

税金

マンション経営により生じる各種税金や公課が経費計上の対象となります。例えば、不動産取得税や固定資産税、都市計画税、登録免許税、自動車税などが含まれます。建物部分だけではなく土地も購入する場合には、土地に対しての税金もかかるため注意しておきましょう。

ローン手数料や利息分

マンション購入に伴うローン手数料やローンの利息分が経費として計上されます。ただし、元本返済分は経費にはなりません。

広告費用

物件の宣伝や販促活動にかかる費用です。例えば、チラシの作成費用や広告掲載費用が含まれます。

減価償却費

マンションの建物や設備などの固定資産の価値が経年劣化によって減少することを考慮した費用です。耐用年数に基づいて毎年一定額を経費計上します。

司法書士や税理士報酬への報酬

不動産登記や税務申告などの法的手続きや税務処理を行うために支払う報酬が含まれます。

立ち退き料や弁護士への報酬

入居者とのトラブル解決や立ち退き交渉に関する費用が含まれます。入居者の立ち退き料や弁護士への報酬がこれに該当します。

仲介手数料

物件の売買や賃貸を仲介する不動産会社に支払う手数料が経費として計上されます。

通信費

マンション経営において必要な電話やインターネットなどの通信費用が含まれます。

交通費

物件の見学や管理、取引先との打ち合わせなどにかかる移動費用が経費として計上されます。

接待交際費

取引先や関係者との会食や接待にかかる費用が含まれます。

事務用品費、消耗品費

経理作業や事務処理に必要な文房具や消耗品の費用が経費として計上されます。

情報収集費

マンション経営に関する情報収集やセミナー参加などにかかる費用が含まれます。

これらの経費は、マンション経営事業に直接かかるものであり、適切に計上することで、マンション事業の収支を適正に管理でき、節税効果を得られます。

マンション経営で節税できる税金とは

最後に、マンション経営により節税できる税金に関して説明します。マンション経営を始めることで、下記で紹介するような税金を節税できます。

節税対象となる税金の種類

マンション経営により、下記のような税金を節税できます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 固定資産税

所得税

所得税は、不動産所得の計算において総収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。必要経費には管理費や修繕費など、マンション経営に必要な費用が含まれます。上記で説明したような経費を増やすことで、納めるべき所得税を軽減できます。また、小規模企業共済制度を利用することで、積立金に応じた共済金を受け取る退職金制度があります。この掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税を節税できるのです。

住民税

不動産投資の場合、給与所得と不動産所得を合算して課税されることがあります。この際、損益通算という仕組みを活用することで、不動産所得が赤字の場合には、給与所得からそのマイナス分を差し引くことができます。これにより、住民税の課税対象所得を減らすことができるのです。

相続税

相続税は、相続した資産の評価額に基づいて課税されます。賃貸物件を建設する場合、土地の評価が更地や自分の住宅よりも低くなることが多く、その場合相続税が減少します。これは、賃貸物件が将来的に収益を生み出す可能性があり、その評価が反映されるためです。マンションのような賃貸物件を立てれば、相続税評価額が減少するのです。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物の所有者が支払う税金です。賃貸物件を所有する場合、土地や建物の評価が低くなるため、固定資産税も軽減されます。とくに、賃貸物件の土地評価は更地よりも低くなり、建物の評価も影響を受けます。このため、賃貸物件を複数所有することで、固定資産税の負担を軽減できるでしょう。

マンション経営のまとめと今後の展望

本記事では、マンション経営について説明してきました。マンション経営には、安定収入が期待できることや、資産として残ること、節税効果があることなどのメリットがありました。しかし、空室が出てしまうことによるリスクや、建物の老朽化による価値の低下、災害のリスクがあることも判明しました。マンション経営は大きな収益を上げられる可能性がある一方、その分リスクも大きいため注意しておきましょう。

もしマンション経営を始めるのであれば、ぜひ再度本記事を読み返し、復習してみてください。最後までご覧いただきありがとうございました。