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投稿⽇時

2024/06/06

最終更新⽇時

2024/06/06

土地活用で資材置き場を始める方法!収益性と注意点を徹底解説

  • 不動産の知識

アパート経営や駐車場経営、太陽光パネルの設置など、土地を活用する方法はさまざまです。しかし、これらの土地活用には初期費用がかかります。だからといって使わずに放置していても、土地にはそれなりの管理や税金がかかるものです。手軽に始められる土地活用はないのでしょうか。そこで紹介したいのが、資材置き場としての活用です。この記事では、資材置き場のメリットとデメリットについて解説します。貸し出し時の賃料の目安や注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

資材置き場の基本情報と活用方法

資材置き場とは、木材、鉄骨、砂利、砂などの建築資材を保管するスペースを指します。資材はサイズが大きいため、保管スペースを所有していない業者は土地を借りる必要があります。そうした業者に対して、土地を貸し出して収入を得るのが資材置き場経営です。

資材置き場を始めるためのステップ

資材置き場を始める際は、土地をそのまま貸し出す方法が一般的です。大型トラックが出入りできるよう整地しなければならない場合は、貸し出し業者がその作業を負担します。そのため、土地の所有者みずから整地する必要はありません。土地を資材置き場として貸し出す方法としては、「近隣地域の事業所に長期的に貸し出す」「大規模な工事を控えた業者に一時的に貸し出す」の2種類が挙げられます。いずれの場合も、不動産業者に借り手を探してもらうといいでしょう。

賃料の目安

資材置き場として土地を貸し出す際、賃料の設定方法について解説します。資材置き場だけでなく、土地を貸し出す際は固定資産税を基準に賃料が決まります。

土地の所有者は、固定資産税と都市計画税を毎年納税する義務があります。ただし、都市計画税の課税対象は市街化区域のみです。資材置き場として活用される土地は、ほとんどが市街化調整区域にあるため課税対象にはなりません。しかし、固定資産税はすべての土地が課税対象となり、税務署が算定した固定資産税評価額の1.4%が毎年課税されます。

土地の賃料は、この固定資産税のおよそ5~8倍が相場です。資材置き場として利用される土地の多くは、市街化調整区域内の山林や雑種地に位置します。そのため、固定資産税評価額は都市部の土地に比べて低く設定されています。もちろん、それに伴って固定資産税も安くなります。そこから算出される資材置き場の賃料は、1坪あたり毎月数百円ほどが一般的です。

貸し出し期間

資材置き場として土地を貸し出す場合、貸し出し期間はどのように設定すればいいのでしょうか。基本的に、貸し出し期間は借主と相談して決定します。資材を保管したい期間は借主によってさまざまです。工事前の一時的な保管の場合もあれば、長期的な貸し出しを希望する場合もあります。長期的な貸し出しの場合、10年以上50年以内の事業用定期借地として貸し出すといいでしょう。ただし、定期借地として貸し出した場合、別の用途でその土地を利用できないことに注意が必要です。また、一度契約すると途中解約ができないため、期間満了まで土地を返してもらえません。

資材置き場のメリットと活用のポイント

資材置き場として土地を活用することには、次のようなメリットがあります。

①  初期投資が少なく、土地活用がしやすい

資材置き場の最大のメリットは、駐車場経営やアパート経営などの他の土地活用方法と比較して、初期費用がほとんどかからない点です。

資材置き場は、借主が置きたい資材を保管できればいいため、特別な設備は必要ありません。

除草や整地作業が必要な場合でも、駐車場経営やアパート経営の設備費用と比較して、格安で済む点がメリットです。

②  管理が簡単で手間が省ける

資材置き場として土地を活用するメリットとして、収入を得られるほかに「土地を管理する手間が省ける」ことが挙げられます。土地は、たとえ更地にしても土壌汚染対策や除草などの手間がかかるものです。また、人目につかない環境であれば、不法投棄や不法侵入などのトラブルが発生する可能性もあります。

使わない土地でも、定期的な管理とチェックは欠かせません。しかし、資材置き場として貸し出せば、土地の管理は借主に任せられます。定期的な除草作業はもちろん、大型トラックが頻繁に出入りするため、不法投棄や不法侵入のリスクも軽減されるでしょう。土地の管理を借主に任せられる上、賃料収入が得られるのは資材置き場経営の大きなメリットです。

③  他の土地活用方法への転用が可能

資材置き場として土地活用をする場合、当然ですが建物は必要ありません。そのため、契約が終了した後、資材置き場以外の土地活用を気軽に始められます。資材置き場に向いている土地は、一般的に周辺の建物が少ない土地です。田舎を始め、人里離れた土地が該当しますが、こうした土地は市民農園やキャンプ場経営に向いています。別の土地活用に挑戦しやすい点は、資材置き場経営の大きなメリットです。

④  不労所得としての収益を得る方法

特定の業者の専用資材置き場として契約できれば、その業者が倒産しない限り契約を解除されることはありません。そのため、長期的な不労所得が期待できます。一方、大規模工事の前に一時的に貸し出す場合は、工事が終われば契約は終了します。しかし、その場合でも建設会社や土木会社専用の資材置き場であれば、長期的な契約を見込めるでしょう。事業用定期借地で貸し出すと、10年以上の長期契約が可能です。

なお、貸し出し時の賃料は固定資産税の税額によって設定されます。ほかの土地活用よりは安価となりますが、それでも毎年の固定資産税を支払うだけの利益は得られます。

⑤  土地の形を問わない

土地の形状に多少の問題があっても、スペースや間口が広ければ資材置き場として成立します。アパート経営やマンション経営であれば、土地が広いことはもちろん、整形地であることが重要な条件となります。しかし資材置き場は、借主の資材を保管できるスペースさえ確保できれば問題ありません。そのため、いびつな形状の土地(不整形地)でも資材置き場として活用できます。ただし、資材を運搬する大型トラックが通れるだけの間口の広さは、最低限確保しておきましょう。

資材置き場のデメリットと注意点

資材置き場として土地を活用することは、メリットがある一方でデメリットも存在します。トラブルを避けるためには、事前にリスクを知っておくことが重要です。ここでは、資材置き場を始めるデメリットを4つに分けて紹介します。

①  節税効果が低い理由と注意点

固定資産税や都市計画税といった土地に関する税金は、なるべく節税したいものです。これらの減税措置は、土地に建物がある場合に限り適用されます。そのため、資材置き場は節税対策に向いていません。

ちなみに、建物がある場合、敷地面積が200平米までの土地であれば固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1に減税されます。それ以上の敷地面積であっても、固定資産税は3分の1、都市計画税は3分の2まで軽減されるため、節税対策をしたい場合は建物の有無が重要です。

②  収益性が低い場合の対応策

資材置き場は、所有する土地をそのまま賃貸する方法で活用します。そのため、建物や施設を持つ土地と比べて付加価値をつけにくく、賃料は低めに設定せざるを得ません。アパート経営などの土地活用と比較すると、収益性が低いと言えるでしょう。また、資材置き場の賃料設定は、その土地の評価額を基準とします。賃料が土地の価値に大きく左右されることもデメリットの1つです。

③  農地転用許可の必要性と手続き

資材置き場として利用したい土地が農地の場合、農地転用許可が必要です。転用許可は、所有する農地が「市街化調整区域にあるかどうか」で手続きが異なるため注意が必要です。以下を参考にしてください。

市街化調整区域の場合

各市町村の農業委員会へ申請書類を提出

それ以外の場合

各市町村の農業委員会へ申請書類を提出→農業委員会で審議が行われる→許可が下りる

ただし、農業委員会の審議基準は厳しく、許可が下りない場合がほとんどです。

④  近隣トラブルのリスクを避けるための対策

資材置き場として活用したい土地の周囲が、広々とした環境であれば問題ありません。しかし、もし周辺環境が住宅街や繁華街であった場合、近所トラブルになる可能性があります。資材置き場の主な役割は、木材や鉄骨、砂利や砂などの保管です。そのため、運搬用の大型トラックが頻繁に出入りします。天候によっては、運搬時に大量の砂や木屑、埃が舞うこともあるでしょう。これらが周辺地域に影響を及ぼすと、近隣住民からクレームが寄せられるかもしれません。そのため、住宅街や繁華街で資材置き場を始める際は、近隣住民の理解を得ることが重要です。また、通学や通勤の時間帯はトラックを使用しない、警備員を配置する、運搬時は荷台にカバーを付けるなど、周辺環境への配慮が必要となります。

資材置き場に向いている土地と場所選び

資材置き場として活用しやすいのは、どのような土地なのでしょうか。ここでは、資材置き場に向いている土地を3つ紹介します。

①  田舎の土地を活用するメリット

周囲に住宅や店舗、商業施設などがない田舎の土地は資材置き場に向いています。資材置き場に必要なのは、資材を多く保管できるスペースの広さと、運搬用トラックが出入りできるだけの間口の広さです。このような土地は、逆に住宅用地としての需要が低いため、アパートやビルを用いた土地活用は難しいでしょう。

②  市街化調整区域の利用方法

資材置き場は、資材の搬入・搬出するための大型トラックが頻繁に出入りします。そのため、周囲に住宅が多ければ事故やトラブルのリスクが高く、周辺環境に対してさまざまな配慮が必要です。市街化調整区域であれば、そもそも住宅や商業施設の建設が制限されているため、上記のようなリスクを軽減できます。周囲に建物が少ないという点で、資材置き場に向いていると言えるでしょう。

③  大型車両の出入りが可能な土地を選ぶ

資材置き場として必要不可欠な条件として、「間口の広さ」が挙げられます。土地の敷地が広くても、資材を搬入・搬出するための大型トラックが出入りできなければ意味がありません。土地の間口や、そこへ到達するまでの車道の幅が極端に狭い場合は、いくら賃料が安くても借り手は見つかりにくいでしょう。一般的に、大型トラックやトレーラーが問題なく通過するためには、6m以上の幅員が必要とされています。この条件を満たしている土地であれば、資材置き場として活用しやすいでしょう。また、幹線道路や高速道路のインターチェンジに近い土地も、利便性が高いため重宝されます。

注意点

①  利益が20万円を超える場合は確定申告が必要になる

資材置き場の賃料は、ほかの土地活用と比べてとても安価です。しかし、貸し出す土地の広さや立地条件によっては、毎月それなりの利益が発生します。その利益が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。さらに、所得税の課税対象にもなります。資材置き場の収益が20万円以下でも、ほかにも副業をしている場合は注意しましょう。給与を除くすべての収益が合計20万円以上であれば、確定申告をする必要があります。

また、資材置き場から得られる収入は「不動産所得」に分類されます。年間の利益を計算する場合は、以下のように算出しましょう。

不動産所得=賃料の総額(1年分)-経費

1年間で得た賃料収入から、経費を差し引いた金額が不動産所得となります。ただし、資材置き場は経費がほとんどかかりません。それでも、固定資産税は租税公課として経費に計上できます。

②  土地上に建物を建築できない

資材置き場として活用しやすい土地は、そのほとんどが市街化調整区域に存在します。市街化調整区域にある土地は、原則として土地上に建物を建築できません。資材置き場として貸し出す土地も同様です。簡易的な仮設小屋さえ建てられないため、従業員の休憩所などは確保できません。その点を借り手に理解してもらう必要があります。しかし、トレーラーハウスなどの建築確認を要しない建物であれば、地域によって例外的に許可されるケースもあるようです。気になる方は各市町村のホームページをご覧ください。

資材置き場として土地を活用することには、多くのメリットが存在します。ほかの土地活用と比べて初期費用がほとんどかからず、気軽に始められるのは大きな魅力です。しかし、一方で節税効果が低く、収益性が期待できないなどのデメリットもあります。資材置き場を始める際は、周辺環境への配慮も必要です。資材置き場として土地を貸し出す際は、リスクや注意点を十分に理解しておきましょう。