底地を売りたい皆様へ、底地の売却相場の調べ方

今回は底地の売却について紹介します。まず底地所有することで生じるメリットやデメリットを知ったうえで、底地の売却方法や相場の調べ方をお伝えしていきます。

底地とはなにか?

底地とは、借地権が設定されている土地のことを指します。借地権とは、土地の上に建物を建てて使用することができる権利です。

底地の評価は、土地の価格と借地権の価格を合算して行われます。土地の価格は、周辺の土地の価格や土地の条件によって異なります。借地権の価格は、借地期間、地代、建物の価値によって異なります。

底地を所有する際メリット、デメリットどちらが大きいか?

底地を所有することでどのようなメリット、デメリットがあるかを見てみましょう。

底地を所有するメリット

  • 修繕費や改修費などのコストがかからない
  • 空室リスクや、滅失リスクがない
  • 地主の立場から、借地人には建物に関する責任を負わせることができる
  • 借地権の期間が満了した後、地主は土地を再取得することができる

底地は、これから不動産賃貸業に参入しようと考えている人にとって、最初に手がける物件としてはアパート・賃貸住宅よりも手間がかからないというメリットがあります。

例えばアパート・賃貸住宅を所有する場合、地主は建物の修繕や管理を行う必要があります。また、空室が発生した場合は、家賃収入が減少します。さらに建物が火災や地震で滅失した場合は、地主は建物と土地を失うことになります。

一方、底地を所有する場合、地主はこれらのリスクを負う必要がありません。借地人は、建物の修繕や管理を行い、空室が発生した場合は家賃収入が減少します。また建物が火災や地震で滅失した場合は、借地人は建物を失うことになります。

そのため底地を所有する地主は、アパート・賃貸住宅を所有する地主よりも手間がかからず、安定した収入を得ることができます。

底地を所有する際生じるデメリット

底地を所有する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 地代の回収が困難になる
  • 借地人に立ち退きを求めることが困難になる
  • 借地権者に相続が発生して権利関係が複雑化することがある
  • 収益性が低い

地代の回収が困難になる理由は、底地は賃貸関係が長期化するため、地主が借地人から地代を回収することができなくなる可能性があります。また借地人が亡くなった場合、遺産分割の話し合いが難航し、誰に地代を請求したらよいのかわからなくなるケースが頻繫します。さらに底地の地代は、賃貸住宅・マンションなどの家賃収入に比べるとそこまで多くはありません。

これらのリスクを回避するためには、底地を購入する前に十分に調査を行い、適切な物件を選ぶことが重要です。また借地契約を締結する際には、地代や借地権の期間など、細かい条件を明記しておくことも大切です。

また底地権は、土地を他人に貸し、その代わりに地代を受け取る権利です。そのため底地権を持つ土地を自由に使用することができず、借地人が建物を建てている間は土地を売却することもできません。また借地人が地代を滞納した場合は、強制執行や強制退去などの手続きをとる必要があります。

底地権のデメリットを詳しく説明します。

  • 底地権は、流動性が低い不動産です。底地権を売却したい場合、買い手が見つからないことも多く、売却価格が低くなることもあります。
  • 借地人とトラブルになることが多い。借地人が地代を滞納した場合は、強制執行や強制退去などの手続きをとる必要があります。また、借地人が建物を建ててから、建物の老朽化や倒壊などのトラブルが発生することもあります。
  •  底地権を相続した場合は、相続税がかかります。相続税は、底地権の評価額に応じて課税されます。

底地は不動産投資のひとつとして考えられますが、メリットよりもデメリットを感じる場面が増えると思われます。

底地を持つことで生じる税について知ろう

底地に関しては税金も深く関わっていきます。底地を所有することで生じる税金を知っていきましょう。

底地を所有して発生する税金には以下のようなものがあります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 相続税の軽減措置

底地は普通の土地に比べて権利が制限されていますが、財産であることに変わりはありません。したがって相続時には相続税がかかります。

またそのほかにも多くの税金がかかります。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記にかかる税金です。底地と借地権の等価交換の場合、借地権者から底地権者へ所有権が移転されるため、登録免許税がかかります。登録免許税の税率は、土地の固定資産税評価額の2%です。

たとえば、底地の固定資産税評価額が1,000万円の場合、登録免許税は20万円です。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産の取得にかかる税金です。底地と借地権の等価交換の場合、借地権者から底地権者へ土地が取得されるため、不動産取得税がかかります。不動産取得税の税率は、土地の固定資産税評価額の4%です。

たとえば、底地の固定資産税評価額が1,000万円の場合、不動産取得税は40万円です。

印紙税

印紙税は、契約書に貼付する印紙にかかる税金です。底地と借地権の等価交換契約書に印紙税がかかります。印紙税の税額は金額が書かれていない場合は200円です。

一方で固定資産税・都市計画税と相続税は税負担を軽くする措置があります。

底地を相続し、引き続き賃貸を行う場合は、相続税の「小規模宅地等の特例」を適用することができます。この特例は、底地の面200㎡までの部分の評価額を50%減らすことができるため、相続税を大幅に減らすことができます。

また底地は固定資産税/都市計画税の税負担を軽減することができます。固定資産税は土地の評価額に応じて課税されますが、小規模住宅用地に指定されている場合は評価額の6分の1に相当する税額が軽減されます。都市計画税も同様に評価額の3分の1に相当する税額が軽減されます。

軽減されているとはいえ、自由が利かない底地を所有し税金を払い続けるのに対して不満を持つことが多くなることが考えられます。また利益を上げることが難しいため、所有する負担を感じるケースが増えるでしょう。

底地の売却方法、相場の調べ方!

今回の記事で底地の所有にはデメリットや税金負担が多いことが知れたと思います。そんな底地を売却したいという方に売却方法や相場を紹介します。

まず売却方法に関してですが以下のような売り方があります。

  • 借地人に売却する

借地人に売却するのが最も一般的です。借地人が底地を取得することで、建物の建て替えや増改築を自由に行うことができます。借地人が底地を買うかどうかは、借地契約の内容や、借地人の経済状況によって異なります。

  • 底地買取業者に売却する

底地買取業者は、底地を専門に買い取る業者です。底地買取業者は、底地の売却手続きがスムーズで、高額で売却できる可能性があります。ただし、底地買取業者は、底地の状態や、借地権の有無によって、買取価格を下げることがあります。

  • 第三者に売却する

第三者に売却する場合は、借地権の有無や、底地の状態によって買取価格が異なります。底地に借地権が設定されている場合は、借地権の評価額を差し引いた金額で売却する必要があります。また、底地の状態が悪い場合は、買取価格が低くなることがあります。

  • 地主と借地人が同時に売却する

地主と借地人が同時に売却する場合は、最も高額で売却できる可能性があります。これは、底地と借地権をセットで売却できるためです。ただし地主と借地人が同時に売却をするのは難しいです。

  • 底地と借地権を等価交換して売却する

底地と借地権を等価交換して売却する場合は、税金の節約にもつながります。これは、底地と借地権を交換することによって、売却益が発生しないためです。ただし、底地と借地権を等価交換するには、法律の専門家に相談する必要があります。

底地を売却する際は、これらの方法を検討し、自分に最適な方法を選ぶ必要があります。しかしこれらの売り方を自分一人でやろうとするとトラブルや損をするケースが非常に増えるので、どの売却方法を選択しても必ず専門業者を仲介して売るようにしましょう。

また底地の相場の評価額について詳しく説明します。

底地の評価額は、路線価から借地権割合を差し引いて算出されます。

路線価とは、道路に面した宅地の1平方メートルあたりの評価額のことで、相続税や固定資産税の課税評価額として用いられます。

借地権割合は、土地の立地条件や周辺の環境などによって異なりますが、一般的には70%程度です。

したがって底地の評価額は、路線価から借地権割合を差し引いて算出されます。

例えば、路線価が1万円/m2の土地で、借地権割合が70%の場合、底地の評価額は1万円/m2 × (1 – 0.7) = 3,000円/m2となります。

底地を売却する際の価格は、評価額よりも低くなることがほとんどです。

その理由は先述した通り、底地には借地権が設定されているため、借地人(借り手)が土地を自由に利用することができないことにあります。そのため底地を売却する場合は、借地人との交渉が必要となる場合もあります。これらの計算は個人で行うのは非常に難しいため、売却と同様に専門業者を頼ることをオススメします。

底地の売却方法や相場の求め方はかなり複雑です。底地への負担から早く手放そうと個人でやろうとすると、逆にトラブルのもとになってしまうため、注意してください。

まとめ

いかがでしょうか底地は、修繕費や改修費などのコストがかからず、空室リスクや滅失リスクがありません。しかし地代の回収が困難になる、借地人に立ち退きを求めることが困難になる、借地権者に相続が発生して権利関係が複雑化することがある、収益性が低いなどのデメリットもあります。底地を所有する際には、これらのメリットとデメリットをよく理解した上で、慎重に判断する必要があります。

最後に売却の際の注意点ですが、底地を売却する際は、借地人の同意は不要ですが、事前に告知しておくとトラブルを防ぐことができます。また、底地を売却する際は、底地に精通している不動産業者を選ぶことが重要です。底地を共有している場合は、共有者全員の同意がなければ売却できません。底地を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税を納める必要があります。

いかがでしょうか。この記事を参考にして、底地の売却を検討してみていただけたらと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。