自分の土地に国有地?払い下げの手順と費用まとめ

「国有地や国有財産について知りたい」
「国有地の払い下げを検討している」
今回の記事は、このような疑問を抱いている方にオススメです。
国有地や国有財産について知らない初心者の方にも分かるよう、基礎知識から解説しています。
「国有地は自分には関係ない」と思っていませんか?
実は自身が所有している底地に実は国有地が含まれている、なんてこともあり得るのです。
この記事は土地の売買を検討している方だけでなく、底地や借地を所有している方にもぜひ知っておいてほしい情報です。
Contents
国有地・国有財産の基本知識
国有地とは?その定義と利用方法
一般的に、公共のために国が利用している土地のことです。
国有財産の約3分の1を国有地が占めています。
国有財産の概要と種類
国有財産とは、国の負担で国有になった財産などのことです。
国有地の他に、庁舎・宿舎・政府保有株式などが含まれます。
財務省・財務局では国有地の売却などを通じて国の財政に貢献しつつ、地域と連携して国有財産を有効活用することで社会へのニーズに応えています。
国は国有地を公共施設(公園など)として国が無料で地方自治体に貸し出しながら、その一部である国有宅地の売却も意欲的に行い、歳入の確保を試みています。
代表例として挙げられるのが、代々木公園や大阪城公園です。
国有財産の種類
国有財産は「行政財産」と「普通財産」に分けられます。
行政財産とは?公共利用の目的と例
国会議事堂や税務署のように国が直接使用する財産、そして国道のように国民が使用する財産の総称です。
- 公用財産
市町村が事務や事業を執行するため、直接使用することが目的の財産
(例)庁舎・消防施設 etc.
- 公共用財産
住民の一般的共同利用に提供することが目的の財産
(例)学校・図書館・公民館・公営住宅・公園 etc.
- 皇室用財産
国において皇室用に提供・提供すると決められた財産
(例)皇居・御所・御用邸 etc.
- 森林経営用財産
国土の保全や自然環境の保護を担う財産
(例)屋久島・小笠原諸島 etc.
普通財産とは?売却と貸付の特徴
行政財産以外の国有財産の総称です。
普通財産は、行政財産とは異なり、特定の行政目的に直ちに利用されることはありません。
地方公共団体が一般私人と同じ立場で所有します。
普通財産はこれらを貸し付けたり売却したり、私権を設定したりできます。
【基礎知識】国有地の払い下げとは?
国有地の払い下げとは?売却の仕組みと目的
国有財産の中には、現在利用されていないものも含まれます。
そうした財産は民間に売却されることがあります。
このことを「払い下げ」と言います。
つまり、国有地の払い下げとは、使われていない国有地を民間に買ってもらうことです。
国有地は民間の土地に混ざっているものもあります。
そのため、売主が売却時にはじめて「国有地がある」ということを認識する場合もあるのです。
売却する土地に国有地が含まれていると、不動産価値が下がったり買い手がつきにくくなったりするので、必ず国有地が含まれているかどうか確認しておきましょう。
普通財産にあたる国有地は、特定の目的で利用されていません。
都道府県や市町村に貸し付けて利用される場合や、利用目的がない国有地は払い下げられる場合があります。
基本的には、単独利用できる宅地・山林などの国有地は一般競争入札で売却されます。
一般競争入札とは、「売り出し価格の最低を国が決め、最も高く入札した人が購入できる」入札法です。
それとは別に、単独利用できない国有地は隣地所有者のみがその国有地を購入できます。
単独利用できない国有地には、赤道・青道などの「旧法定外公共物」というものが含まれます。
「赤道」「青道」に関して以下で解説していきます。
赤道(あかち)と青道(あおち)とは?それぞれの特徴とトラブルについて
赤道(あかち)とは?
赤道とは、道路法に該当しない道路を指します。
赤地(あかち)や里道(りどう)とも呼ばれます。
法務局で備え付けられている公図のなかで、地番が無く、赤く塗られた箇所を指します。
明治時代に、日本で国道政策がなされました。
その際に道路が「国道」「県道」「里道」の3つに分かれたのです。
1952年に道路法が施行して以来、何度か法改正がなされ、現在の「国道」「都道府県道」「市町村道」へと変化を遂げました。
つまり、赤道とはこれらの道路以外の道路のことなのです。
地方分権一括法が施行された2000年に、赤道として機能していた道路は市町村が管理し、そうでないものは財務局の管理下に置かれました。
青道(あおち)とは?
青道とは、国有地の水路や河川敷のことです。
青地(あおち)とも言います。
法務局で備え付けられている公図のなかで、地番が無く、青く塗られた箇所を指します。
青道が含まれる土地は、利用目的が農地に限定されていますので、売却時には注意しておきましょう。
農地は農業を営む上で、国にとっての大切な資源の1つです。
一定の農地を保つために「農業振興地域」という地域が指定されています。
その中でも青地は「農用地区域」です。
基本的にこの区域では、他の目的での利用が禁止されています。
ですが、青地を農地以外に利用せざるを得ない状況においては、例外として認められる場合があります。
国有地の払い下げの詳細と成功のポイント
国有地の払い下げにかかる時間
国有地の払い下げには、一般的に約3カ月の期間がかかります。
手続きにかかる時間はそれぞれの財産によって変わってきます。
そのため、お急ぎの場合は事前に担当者へ相談しておくことでスムーズに手続きが進むでしょう。
払い下げを受ける場合の流れ
払い下げを受ける際の基本的な流れは、以下の通りです。
- 市役所で打ち合わせ
- 土地の測量&境界の確定
- 売払申請書の提出&売却価格の算定
- 売買契約の締結
- 代金納付&登記手続き(土地表題登記・所有権移転・保存登記etc.)
払い下げを受ける際の手続きは、大きく「境界確定」と「購入」の2つがあります。
境界を確定させる前に、対象地域が道路や水路として利用されていないか確認しなければなりません。
確認するには、各市町村の担当窓口へ尋ねましょう。
また、払い下げを受けるのに必要な各書類は各地域の財務局公式サイトでご覧いただけます。
各地域の財務局公式サイトは、Q&Aに後述していますのでご確認ください。
国有地の払い下げにかかる費用
国有地を払い下げるには、数10万円を要します。
一般的な不動産売買契約では、司法書士へ所有権保存や移転登記を依頼する場合がほとんどです。
しかし、国有地の払い下げでは自治体に提出する書類の作成・土地の境界確定などの手続きを、行政書士や土地家屋調査士など各方面の専門家と協力しなければなりません。
それに掛かる費用は、隣接地がいくつあるのか、地域区分が何か、面積はどれくらいかなど多くの要素によって変動します。
自治体の相談窓口で依頼先を尋ねてみると良いでしょう。
国有地の払い下げ事例【2例】
神奈川県在住のAさん「戸建住宅を建てるための土地を安く購入したい」
- 住宅メーカーの住宅モデルを気に入って、同じ住宅を建築したい
- 土地をできるだけ安く購入したい
Aさんが取った行動
- 裁判所が管轄する競売物件情報から探す
- それと同時に、「国有財産物件情報メールマガジン」に登録し、国有地に関する情報を集める
- 希望エリアで国有地の入札情報が出たため、相差
- 相場より安く土地を入手
→裁判所の競売物件だけでなく、国有地の方でも情報収集していたことで、「希望通り安く購入する」という目的を達成
東京在住のBさん「資材置き場などの事業用地として活用したい」
- 郊外で資材置き場用の土地を探す
- 不要資材の仮置き場なので、立地にこだわりはなし
- 立地にこだわらないため、国有地を安く落札したい
Bさんが取った行動
- 財務局で入札情報を得る
- 入札自体は、知り合いの不動産業者に依頼
- プロである不動産業者によって適正価格で落札
→委任状を提出することで、代理人に入札してもらうという効率化&適正価格での入札を可能に
国有地を借りる
実は、国有地は売却だけでなく賃貸契約も可能です。
とくに「介護離職ゼロ」を目指す国の取り組みとして注目されているのが、「介護施設整備に係る貸付料減額措置」です。
この制度では、老人ホームなどの介護施設に利用する場合は、最大10年にわたって地代が半額になります。
この制度は、2016(平成28)年1月1日〜2021(令和3)年3月31日に新規で締結する契約が対象です。
また、地域は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・愛知県・大阪府・兵庫県・福岡県に限られています。
実施期間は、2025(令和7)年度末までに延長されています。
詳しくはこちらからご確認ください。
【Q&A】国有地についてのよくある質問
国有地があるかどうか調べるには、どうしたらよいですか?
国有地がどこにあるかは、法務局やそれらの支局・出張所などの登記所に保管されている公図に表記されています。
しかし、減少が道路や水路などでなくなっていると個人では気づかないことも多いのです。
住宅の新築・建て替え・土地の売買にあたって、所有地内に国有地があるとトラブルや弊害となることがあります。
ですので、一度住宅が建つ土地上に国有地があるのかどうかを住宅があるエリアの登記所で調べてみると良いでしょう。
国有地に関する相談はどこでできますか?
以下の財務局で電話でご相談可能です。
普通財産の国有地は誰でも買えますか?
普通財産は、すぐに特定の利用目的に用いられることがない財産です。
それゆえ、積極的な管理処分の上、国の財政収入に充てるべき財産でもあります。
しかし、売却に際して国の会計法などの決まりごとがあります。
ですので、普通財産であっても、国有地である限り誰でも購入できるわけではありません。
- 単独利用可能な未利用財産の売却
公共用・公用として具体的な利用計画がない未利用財産は、基本的に一般競争入札で売却されます。
一般競争入札とは、国があらかじめ決めた売却の際低価格以上で1番高い価格で入札した人が購入できる方法です。
- 権利が付着した財産の売却
賃借権などの権利が付いている物納財産などの財産は、その権利者に直接売却できます。
- 単独利用できない財産の売却
機能を果たしていない里道・水路など(旧法定外公共物)や畦畔・脱落地などで単独利用できない財産は、隣接土地所有者に直接売却できます。
まとめ
さて、今回は国有地や国有財産について知識がない初心者の方にも分かるよう、基礎知識から解説しました。
国有地は、実は民間の土地に混ざっていることもあります。
そのため、「売却するまで所有している底地が国有地であると知らなかった」ということも起こり得ます。
どこに国有地があるかは、建物が建っているエリアの登記所で調べてみてください。
また、国有地は一般的な賃貸借契約で底地人から土地を買うよりも安く土地を購入できます。
実際に、一般競争入札を利用して住宅用や事業用に安く国有地を購入した例もあります。
国有地の購入に興味がある方は、国有財産物件情報メールマガジンを登録して情報を収集してみてください。