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投稿⽇時

2023/11/01

最終更新⽇時

2023/11/01

定期借地権は更新できない?再契約の方法と注意点を解説

  • 底地・借地

定期借地権を設定している土地は、その契約期間が終わっても更新できるの?」
定期借地権付きの建物は、契約終了後に住み続けられないの?

など、定期借地権の期間満了後について気になる方は多くいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、定期借地権の種類とその契約内容を解説するとともに、期間満了時にできる再契約の方法や期間の延長についてまとめてみました。

興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。

借地権とその種類について

定期借地権の契約について解説する前に、そもそも借地権とはどんな権利なのかをざっくりと説明します。

借地権とは?

借地権とは、簡単に言うと「土地を借りる権利」のことです。

家を建てる際に、所有権付きの土地ごと購入するのではなく、地主のいる土地(借地)を購入するような場合があります。その場合は、借地権付きの土地を買ったということですので、土地の所有者はあくまでも地主であり、「その土地の上に建物を建てる権利」=借地権を手に入れたことになります。

土地の購入者は、地主へ毎月地代を支払うことで、建物が建てられるようになります。

このように、借地権には「貸す人(地主)」と「借りる人(賃借人)」の両者の権利を守るための契約が発生します。そして、その契約の種類によって内容も異なるため、それぞれの違いを見ていきましょう。

借地権の種類

借地権は、現在の借地借家法が制定される以前にあった「旧借地権」と、借地借家法にもとづいて新たに制定された「普通借地権」、「定期借地権」の3種類が存在します。

旧借地権」は、1992年(平成4年)7月31日までに締結された契約で用いられていた借地権です。

「普通借地権」は、現在定められている借地借家法に基づく権利で、定期借地権に該当しないものを指します。

「定期借地権」は、旧借地権における土地がなかなか返還されないという問題を改善するために、地主がより安心して土地を貸し出せるようつくられた借地権です。

定期借地権の詳しい契約内容については、次の章で説明していきます。

定期借地権とは

定期借地権は、1992年(平成4年)8月以降に施行された、新法の借地権です。

また、定期借地権はそのなかでも「一般定期借地権」と「事業用定期借地権」、そして「建物譲渡特約付借地権」の3つに分けられています。

本章では、これら3つの特徴をそれぞれ解説していきます。

一般定期借地権

一般定期借地権の契約期間は50年以上で、その用途に制限がない定期借地権です。50年以上の契約を条件としており、賃借人は契約期間満了時に土地を更地にして地主へ返還しなければなりません。

契約時には、以下の3つの特約を定めます。

  1. 契約の更新はない
  2. 建物の再築による期間延長はない
  3. 期間満了後の建物の買取請求はできない

事業用定期借地権

事業用定期借地権は、事業用建物を所有する場合にのみ設定できる借地権です。その契約期間は10年以上50年未満とされており、期間によって一部内容が異なります。

期間を10年以上30年未満で設定する場合は、以下の3つの要件が必然的に適用されます。

  • 契約の更新はない
  • 建物の再築による期間延長はない
  • 期間満了後の建物の買取請求はできない

期間を30年以上50年未満で設定する場合には、上記3つの要件を特約として付加できます。

建物譲渡特約付借地権

借地契約を結んで30年以上が経過した時点で、賃借人が借地上の建物を地主に売り渡して契約を終了するということを、あらかじめ特約として取り決めておくものです。建物譲渡特約付借地権はあまりみかけないですが、一般的には、普通借地権や一般定期借地権、事業用定期借地権にこの特約をプラスして設定されます。

建物が朽廃しているなどの理由で、地主が「やはり建物は買い取らない」となった場合には、おおもとの借地契約の期間満了をもって借地権は消滅します。

なお、建物譲渡特約付借地権が行使されて借地権が消滅した後でも、賃借人は賃貸としてその建物に住み続けられます。

定期借地権には更新がない!

ここまで、借地権の種類とその契約内容について解説してきましたが、本章では「借地権の更新」についてフォーカスして解説していきます。

借地権には、更新という概念があるものとないものがあるというのは、なんとなくおわかりいただけたでしょう。

では、もう一度借地権の種類ごとに、更新の可否をまとめてみましたのでご覧ください。

旧借地権・普通借地権の場合

旧借地権の契約期間は、木造などの非堅固建物は20年、鉄骨造および鉄筋コンクリート造等の堅固建物は30年となっています。契約期間がこれより短いか、もしくは期間の定めがない場合には、非堅固建物は30年、堅固建物は60年とされています。

旧借地権は契約の更新が可能で、その期間に関しては、非堅固建物は20年、堅固建物は30年とされています。

また、建物を再築した際に期間の延長をしたり、期間満了時に地主に建物を買い取ってもらうことも可能です。

旧借地権は、賃借人が希望する限り半永久的に土地を借り続けられるという点で、非常に強い権利だといえます。

普通借地権における存続期間は30年以上です。また、期間を定めていない契約であっても30年となります。

また、契約の更新も可能で、期間満了時に地主に建物を買い取ってもらうよう請求することも可能です。

更新後の存続期間は、1回目だと20年、2回目以降は10年となっていますが、原則として、地主による正当な理由がなければ契約解除はできません。ただし、賃借人が地主の許可を得ずに、契約期間を過ぎても存続するような建物を再建した場合や、朽廃などで建物が焼失し土地を借し続ける必要がなくなった場合は、地主が賃借人に契約解除を申し出ることが可能です。

つまり、旧借地権と普通借地権は、更新することを前提としているので、地主が契約を満了したい場合には「明け渡し料」を支払う必要があります。

定期借地の場合

定期借地権の場合は、当初の契約で定めた期間で借地契約は終了となります。つまり、更新はできないということです。

原則として、その契約期間が満了すると、賃借人の負担で建物を解体して更地にした状態で、地主に土地を返還する必要があります。

定期借地権は、契約の更新ができない=一定期間で確実に地主に土地が戻ってくる、ということが前提であることから、存続期間は長めに設定されています。

定期借地権は再契約ならできる!

もし、定期借地権が更新できるとなってしまうと、地主は一定期間が過ぎても土地を取り戻せないことになるため、そもそも契約を「定期借地権」としている意味がなくなってしまいます。

そのため、定期借地権を更新するといった特約を定めることはできないというのが結論です。

とはいっても、賃借人側としては、定期借地権の存続期間満了後であっても継続して土地を使用したい場合があることはわかります。地主としても、「もう少しの期間であれば(いずれ返ってくるのであれば)、まだ継続して使用してもらってもいいですよ」となることもあるでしょう。

そこで、当初の借地契約の終了したのち、定期借地権を再度設定する、つまり再契約を結ぶことは認められています。

では、その再契約にはどのような決まりがあるのでしょうか。

再契約の方法

再契約の方法としては、合意と予定、そして予約という3パターンが存在します。

再契約の合意」とは、当初の契約終了後に地主と賃借人が話し合いによって、再契約に合意することをいいます。つまり、両者合意のもとでもう一度定期借地権の契約を結ぶということです。

再契約の予定」とは、当初の契約時に、再契約を予定する旨の特約を定めることをいいます。つまり、最初に契約する時点で「もしかすると再契約を結ぶかも」という可能性を提示しておき、当初の契約終了後にその予定に基づいてもう一度契約を結ぶということです。

再契約の予約」とは、当初の契約時に、期間が満了したら再度借地契約を結ぶことを、地主と賃借人の間で約束することをいいます。つまり、当初の契約終了後に賃借人が地主に対して「予約完結権」を行使することで、一方的に借地契約を成立させることができるようになっています。

再契約の予約

上述した「再契約の予約」についてですが、この場合は賃借人の一方的な意思で再度定期借地権の設定契約が成立するという、地主にとってより拘束力の強いものであるため、借地借家法の要件を満たしておく必要があります。

再契約の予約に必要な要件は以下の通りです。

・存続期間の満了前に予約する

当初の契約期間が満了する前に予約しておく必要があります。当初の契約締結時に予約をすることも可能です。

・定期借地権の要件を満たすか

再契約は、当初の契約とは別にもう一度契約をすることになるため、内容が同じである必要はありません。

例えば、当初の契約では存続期間10年以上30年未満の事業用定期借地権であったものを、再契約では存続期間30年以上50年未満の事業用定期借地権とすることはできます。

いずれにしても、「予約完結権」の行使によって契約が成立することになるので、存続期間など借地借家法にもとづいた要件を満たす必要があります。

更新料について

定期借地権の再契約は、実際には普通借地権の更新とさほど大きな違いはありません。

そこで、普通借地権で更新料の支払いが認められている以上、定期借地権でも更新料の支払い義務を定められるのではないかと考えられます。

ただし、法的には更新料というよりも、新たに契約を締結しているため、権利金に近い性質と考えられます。

事業用定期借地権の延長

もう一点、更新や再契約とは異なる方法ですが、事業用定期借地権で契約を結んでいる場合に賃借人側が「契約期間を延長したい」と申し出ることがあります。

この場合、結論から言えば、「借地借家法23条」に定められている事業用定期借地権の存続期間の範囲内であれば、延長が可能です。

例えば、存続期間が30年以上50年未満の1項事業用定期借地権である場合には、その期間内である30年から40年に延長することは可能です。

また、存続期間が10年以上30年未満の2項事業用定期借地権の場合には、その期間内である20年から25年に延長することは可能です。

ただし、20年から40年に延長するなど、それぞれの対象期間から外れて延長することはできません。

まとめ

今回は、借地権のなかでもとくに「定期借地権」について解説しました。

定期借地権は、その特徴として契約期間に定めがあり、期間満了後の更新がないというのが特徴です。

そのため、賃借人は基本的には、「契約期間が満了すれば地主に土地を返還する」という決まりのもとで土地を借りられると考えておいた方が良いでしょう。

また、契約期間中や期間満了後にトラブルが発生しないよう、当初の契約締結時に内容をしっかりと把握しておくことが重要です。

居住用もしくは事業用など目的をしっかり定めたうえで、どれくらいの期間を設けるのか、期間満了後に再契約の意思があるのか等を地主と賃借人で協議してから、お互い納得のいく契約をするようにしましょう。