中古マンションリノベーションのデメリット7選|失敗しないポイントとは

リノベーションとは?意味と種類を解説

リノベーションの定義と目的

「リノベーション」とは、既存の建物に対して行う大規模な改修工事のことを指します。新築以上の性能向上や資産価値の向上を目的としています。
よく似たワードには「リフォーム」があり、目的は異なります。リフォームは、古くなった建物を新築の状態に戻すことがゴールです。マンションやアパートの退去時に行う「原状回復」のようなイメージが該当します。
リノベーションは「刷新」「修復」「革新」といった意味を持つ言葉です。リフォームがマイナスの状態をゼロに戻すことを目指すのに対し、リノベーションは新しい付加価値を創り出すことを目指します。そのため、工事規模が大きくなることが一般的です。

リノベーションの種類と特徴

主なリノベーションの事例としては、以下のようなものが挙げられます。具体的な内容をご参考ください。

フルリノベーション

室内を一度空っぽの状態にして行われるリノベーションです。
間仕切りの壁や住宅設備を可能な限り撤去し、新築のように間取りを一から設計して空間を一新する大規模な工事です。

スケルトンリノベーション

スケルトンリノベーションとは、フルリノベーションの一種で、建物の骨格(スケルトン)だけを残し、天井、壁、床、配管、配線などを撤去して再構築する工事を指します。
マンションの場合には、コンクリートの土台が見える状態まで解体を施し、専有部分内を一新していきます。

部分リノベーション

部分リノベーションは、一部屋や特定の設備のみを改修する方法です。全面改修ほどの規模が必要ない場合や、住まいの一部を改善したい場合に適しています。

リノベーション事例の紹介

主なリノベーションの事例には、以下のようなものが挙げられます。あくまで一例になります。ご参照ください。

間取りの変更

間取りの変更では、仕切られた壁を取り払って部屋をつなげるなど、構造に問題がない範囲で自由に改修が可能です。

内装の変更

壁紙をデザイン性の高いものに変更したり、壁の塗り替え、床材の変更など、好みに合わせた空間づくりを行えます。

外装の変更

外壁や屋根なども対応範囲です。塗装の塗り替えや、資材の貼り替えなどが行えます。

壁の補修

構造上の問題がなければ、耐震性や耐久性の向上を目指した壁の補修も可能です。

天井の変更

クロス・仕上げ材の変更や、物件によっては天井を高くすることも可能でしょう。吹き抜けや、勾配天井を希望する方にもオススメです。

水周りの変更

可能な範囲であれば、浴室やトイレ、キッチン設備などの交換・移動・増設が行えます。

断熱や耐震にまつわる工事

断熱材の追加や耐震面での補強など、建物の状態に応じて対処できます。

増改築

建築基準法の制限内であれば可能です。

中古マンション購入時のリノベーションデメリット

リノベーションの事前確認ポイント

住まいを検討する際に、リノベーションを前提に中古マンションの購入を希望する方もいらっしゃるでしょう。この項では、そうした場合に考えられるデメリットをまとめます。

共用部分はリノベーション対象外

マンションで行えるリノベーションは、あくまで専有部分だけになります。共有部分である室外は基本的に対応範囲外になりますので、注意しましょう。
外と隣接する玄関ドアも、共有部分にあたります。きれいに整えた内装に合わせて、古いドアを変えたいと思っても、手をつけられません。
外と隣接する玄関ドアも、共有部分にあたります。きれいに整えた内装に合わせて古いドアを変えたいと思っても、手をつけられません。
また、隣り合う2部屋をつなげる場合にも、戸境にある壁は共有部分になります。取り替えや、取り壊しできない範囲があることを覚えておきましょう。

中古マンション購入でローン金利が高くなる可能性

住宅ローンを使用する際、中古マンションの購入には使えても、リノベーションは適用外になるケースがあります。
その場合、「リフォームローン」という、住宅ローンよりも金利の高い傾向にあるローンを組むことになるでしょう。想定よりもローン金利が高くついてしまう可能性もあるので、事前に確認してみてください。

予算の総額が試算しづらい理由

内装の状態や設備のグレードなどによって費用が変動するため、中古マンション購入費とリノベーションにかかる工事費の総額は、事前に予測しにくいといったデメリットがあります。事前に立てた資金計画と、実際の見積金額に大きな差異が生まれる可能性もありますので、注意が必要です。

構造上、間取り変更ができない場合がある

建物の柱や基礎に大きく干渉できない場合では、構造上の問題で間取りの変更が行えないケースもありえます。希望の間取りがあるなら、住まい探しの段階で、望む形のリフォームが実現できるかを確認するといいでしょう。

管理規約がリノベーションに制限をかける

マンションのリフォームでは、「管理規約」に沿った対応を求められます。規約内容によっては、フローリング材の遮音性能が決められていたり、禁止されている床材があったりと、共同住宅ならではのルールが設けられている場合もあるのです。
水周りの設備移動なども、床下の配管状況を考慮する必要があります。階下への影響にも配慮しながら、リフォームを進める必要があるでしょう。

入居までに時間がかかる理由とその影響

すぐに入居できる新築マンションなどと違い、購入後のリノベーションが完了するまでは住みはじめられません。工事内容によって、リノベーション期間は一般的に設計に2〜3か月、工事に1〜2か月ほどを要することが多いです。
すぐに新生活を開始したい方にとっては、我慢が強いられる期間となるでしょう。リノベーション完了までの期間も考慮して、引っ越しプランを検討する必要があります。

リノベーション済の中古マンション購入時のデメリット

前提

費用をおさえて住まいを購入するために、リノベーション済の中古マンションを検討する方もおられるでしょう。購入後のリノベーションで挙げられた懸念は回避できるものの、以下のようなデメリットが考えられます。

リノベーションが不完全な場合がある

リノベーション済マンションであっても、必ずしも部屋全体に手を加えたフルリノベーションとはかぎりません。古くなった水周りの設備は取り換えられていても、部屋の雰囲気に影響する内壁や床はそのままである場合もあるでしょう。新品のような部屋を安く手に入れたいのなら、フルリノベーションされた物件を中心に探すのもひとつの手段です。

外見が古い可能性

外見がリノベーション前の状態で残っていることもあります。例えば、マンションの外壁や共用部(エントランス、廊下など)はリノベーションされていない場合があります。そのため、室内のリノベーションが完璧でも、建物の外観や共用部に古さが感じられることがあるかもしれません。外観や共用部の状態も重要視して選ぶことが、快適に生活するためには欠かせません。

間取りが狭い場合がある

新しい物件では、比較的ひと部屋あたりのスペースが広々と確保された間取りが増えています。一方の古い物件では、壁や部屋の数が多くつくられているものも少なくありません。各部屋の採光や、手狭な部屋の扱いなど、生活のしやすさに問題がないかを確認する必要があるでしょう。

古い電気設備による影響

物件によっては、電気の契約容量が少ないところもあるでしょう。建設当時に比べて、家電の利用が普及してきたこともあり、現代の生活に適した容量になっていない場合も考えられます。
一般的には、一人暮らしの場合であれば30A程度の容量があれば十分といえるでしょう。ただし、食洗機やIH調理器など、日常使いする家電が多い場合には気を付けてください。マンションによっては、電気容量を変更できないケースもありますので、事前に必ずチェックすることをオススメします。

断熱性が不十分な場合

物件によっては、十分な断熱材が入っていないケースもあります。 新しい物件であれば、天井・床・壁にそれぞれ断熱材が施されている場合も多いです。中古物件ではわかりません。
せっかく住まいの費用をおさえようと中古マンションを購入したのに、冷暖房効率のわるさから電気代がかさんでしまえば元も子もないでしょう。室温を保つ工夫がなされているかも考慮しながら、物件を探してみてください。

耐震性が低い可能性がある

1981年以前に建てられた建物は旧耐震基準が適用されているため、耐震性に不安が残る場合があります。施されたリフォーム内容と合わせて確認することが大切です。
とくに、築40年以上経過しているマンションには要注意です。万が一の災害に備えて、安全性の高さに配慮した住まい探しをオススメします。耐震性について、次項でさらに詳しく解説しましょう。

リノベーションマンションの耐震性チェックポイント

「耐震性」とは、地震などの振動に建物が耐えうる度合いを意味します。1950年に「旧耐震基準」が制定され、1981年からは新たに「新耐震基準」に基づく建築が行われています。リノベーションマンションを検討する際には、この耐震性を意識した物件選びがひとつのポイントです。
リノベーションされ、一見するときれいな様子でも、構造そのものが旧耐震基準に沿った形では、暮らしの安全が懸念されます。旧耐震基準では、震度6以上の地震が想定されていないため、とくに将来的な地震が心配される地域では注意が必要です。
また、専有部分はリノベーションされていても、共有部分の設備が老朽化している可能性もあります。交換や改修のタイミングも確認しながら、物件選びを進めるとよいでしょう。
共有部分の修繕工事にむけて、マンションの住民には「修繕積立金」が定期的に請求されます。とくに、旧耐震基準のマンションの場合には、高額になる可能性もあります。物件選びの段階で、修繕積立金についても確認しておくと安心です。

まとめ:リノベーション済みマンション購入のメリットとデメリット

本記事ではマンションのリノベーションについて、考えられるデメリットを考察しました。リノベーションを前提に中古マンション購入を検討されている方や、リノベーション済の中古マンションを買いたい方には、ぜひご覧いただきたい内容です。
マンションのリノベーションには、暮らしの快適性を向上させるメリットがある一方で、デメリットも存在します。本記事で紹介した注意点を参考に、慎重に検討してください。
とくに、耐震性の問題など、生活の安全に直結するデメリットも想定されます。こうしたデメリットも考慮しながら、物件探しをしてみてください。