マンションの修繕工事はいつ行うべき?その工事内容とは?
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マンションの修繕工事とは何か?
マンションは定期的に修繕工事を行なっています。修繕工事とは、マンションの劣化によって生じた不具合を直したり、外観をきれいにしたりして、新築の状態に近づける工事のことです。修繕工事には大規模なものと小規模なものがありますが、修繕工事というと一般的には大規模工事のことを指しています。皆さんは、大規模修繕とはいつ、どのように行われているのか知っていますか。今回は、マンションの修繕工事について解説していきます。
マンションの大規模工事はなぜ必要なのか?
マンションは定期的に小規模な修繕工事を行なっています。しかし、それだけではなく数年に一度は必ず大規模な工事を行なっています。それはなぜなのかというと、マンションの劣化は避けられないからです。どのマンションも建築基準法に基づいて設計されるため、防水性や耐震性が優れています。しかし、建築されてから長い月日が経つと、紫外線や雨風の影響を受けて劣化してきてしまいます。そこで、防水性や耐震性を安全な状態に保つために定期的な修繕工事が必要となるのです。
修繕によるメリット
マンションを修繕することには、実はさまざまなメリットがあります。
安全性が保たれる
一つ目は、マンションの安全性が保たれるという点です。どれほど安全できれいな状態のマンションでも、時が経つと劣化してきてしまいます。その状態では安全に住むことができません。また、見た目にも汚れや壁の色落ちなどが目立ってきてしまうと住み心地が悪いと感じるようになるでしょう。しかし、こまめに修繕をしておけば、安全できれいなマンションを保つことができるのです。
資産価値が保たれる
さらに、修繕によるメリットはもう一つあります。それは、マンションの資産価値が下がりづらいということです。一般的に、マンションは築年数が経過するにつれて資産価値が低下していきます。それはつまり、そのマンションに住みたいと思う人が減っていってしまうということです。それではマンションに空室ができてしまい、マンションのオーナーは十分な家賃収入を得られなくなってしまう可能性があります。しかし、定期的に修繕工事をしておけば、安全で見た目もきれいな状態を保つことができ、資産価値のマンションとなるでしょう。
修繕費用が抑えられる
もう一つのメリットは、修繕費を抑えられるという点です。マンションでは、定期的な小規模工事と、数年に一回の大規模工事が必要だとされていますが、数日で目立った外傷がついたり故障が起きたりするわけではありません。見た目には修繕の必要性を感じないこともあるでしょう。さらに、修繕工事を行えばその度にコストがかかります。修繕工事の度にかかる支出を考えると、数回の大規模工事で済ませてしまいたいと考える人もいるかもしれません。しかし、そのように小規模工事を怠っていると、修繕するべきダメージが深刻化して、かえって費用が高額になってしまうことがあります。総合的にかかるようを考えて、修繕工事は先送りにせず、少しづつ行なっていくのが良いのです。
修繕工事を行う頻度はどれくらい?
それでは、マンションの修繕工事はどれくらいの頻度で行うのが良いのでしょうか。一般的には、12年に1度行うと良いとされています。それは、建物を保護するために塗っている塗料が12年を超えると効力を失ってしまうからです。この塗料は、建物を紫外線や雨などから守るために建物の外壁に塗られています。しかし、塗料は雨や風の影響を受けてだんだんと剥がれていってしまいます。その結果、効力を発揮するのが平均して約8年、最長で約12年だと言われているのです。この塗料がなくなってしまうと、外壁のひび割れなどにつながります。それを防ぐために、12年を目安に一度大規模な工事を行う必要があるのです。しかし、いつ修繕するべきかはマンションの状態によって異なります。12年経っていなくても修繕した方が良い場合もあります。例えば、海の近くにあるマンションや、大通りに面しているマンションは、劣化が進みやすくなります。修繕の周囲は、マンションの立地や状態を見て決める必要があるでしょう。
修繕工事の内容
マンションの修繕工事といっても、その内容は単純ではありません。外壁に対する工事、配管に対する工事など、さまざまな工事が行われています。ここからは、どのような工事が行われるのかを紹介していきます。
仮設工事
まず最初に仮設工事が行われます。仮設工事とは、足場や現場の事務所など、工事のために必要な設備を準備するための工事です。足場組み立てや自事務所の設置のほかに、工事用の用水や電力の設置、落下防止のシート張り、防音シートの設置などを行います。
下地補修工事
次に行うのが下地補修工事です。下地補修工事は、建築物全体を支える骨組み部分に生じた細かいひび割れなどを修理する工事です。下地の補修を先に行っておかないと、後でどのような工事をしても再び劣化しやすくなってしまいます。そのため、まず躯体部分に生じた劣化部分を補修するのです。この工程が後で塗装の仕上がりや外観のきれいさ、マンションの強度に影響を及ぼしてきます。マンションの劣化を修繕するうえで最も大切な工事なのです。
タイル補修工事
タイル補修工事では、劣化によって下地から浮いてきたタイルを補修します。劣化したタイルはそのまま放置していると、剥がれて落下する危険性があります。さらに、剥がれた部分から雨水が入ってコンクリートが劣化することにもつながります。タイルを補修することで、マンションの防水性と安全性、耐久性を回復させることができます。
シーリング工事
次に、シーリング工事を行います。シーリングとは、外壁のタイルとタイルをつないだり、サッシ廻りで使用されたりしているゴムのような素材のものです。このシーリングは、一見すると問題がなさそうに見えるけれど、年数が経つと硬くなってひびが入りやすくなってしまいます。そのひびから雨水や埃、汚れなどが入り込み、雨漏りを引き起こすことがあります。シーリングを修理すると、雨漏りを防げるだけでなく、機密性が向上して断熱効果が高まるという利点もあります。
塗装工事
塗装工事とは、特に外壁の塗装のことを指しています。まずは上塗りをし、次に中塗り、下塗りと三段階にかけて行います。塗装工事の目的は、マンションの外観をきれいに保つことです。加えて、外壁を塗装しなおすと汚れからマンションを守ることができます。塗装が剥がれた状態だと、雨水が入り込んでコンクリートを傷ませる原因となってしまうのです。マンションを汚れや傷みから守るために塗装工事は欠かせません。
鉄部塗装工事
塗装工事には、外壁だけではなく、鉄部への塗装もあります。外の階段や手すり、扉などには鉄が使われている、放っておくと錆がついてしまします。その錆を落として塗装することで、耐久性と見た目が良くなります。
防水工事
マンションには防水工事が欠かせません。それは、もし雨漏りなどが発生すると、コンクリートを傷めてマンションの構造全体に大きな影響を及ぼしてしまうからです。廊下や各部屋、屋上、バルコニーなどに塗膜防水やシート防水を施します。
マンションの小規模工事とは?
マンションには数年に一度行われる大規模工事と、もう少し頻繁に行われている小規模工事があります。ここからは、マンションの小修繕工事について紹介していきます。
小規模工事の内容
小規模工事のいちばんの目的は、大規模工事と同じで、劣化した箇所を修繕することです。大規模工事を行うまでのつなぎとしての役割も果たしています。しかし、小規模工事で修理するのは、大きな被害が出ている部分だけです。例えば、外壁からの雨漏りの被害がないのに外壁の修復は行いません。その代わりに何をするのかというと、リノベーションや、より良い住環境づくりが行われます。それによって、入居希望者を増やしたり、現在の居住者の環境を改善したりするのです。このように、小規模工事では修繕だけではなく、リノベーションに力を入れるというのが特徴です。
工事にかかる費用
マンションを工事するためにはいくらかかるのでしょうか。例えば、大規模工事を行うためには、1戸当たり100万円が必要だと言われています。つまり、住宅数が40戸あるマンションなら4,000万円、100戸あるなら1億円を超えることが予想されます。しかし、かかる費用は、マンションの規模や、どのような工事をするのか、どのような素材が必要になるのかなどによって異なってきます。そのため、1戸につき100万円を下回る場合も、さらに費用がかかる場合もあるでしょう。工事の費用には、マンションの住人から受け取っている修繕積立金を利用します。他には、国や自治体が出している助成金や補助金制度が利用できます。それでも足りない場合は、マンション管理組合ローンなどを利用すると良いでしょう。
まとめ
今回は、マンションの修繕工事について紹介してきました。マンションでは、定期的に修繕工事を行うことで、マンスションをきれいに保ち、さらに安全性や耐久性も守っています。修繕工事の内容は、マンションの状態によって異なりますが、外壁塗装やシーリング工事などがあります。支出を抑えようとして修繕を怠ると、マンションの安全性が損なわれるので危険です。さらに、修繕箇所の悪化によってかえって修繕にかかるコストが高くなってしまうことがあるので、修繕工事は欠かさず定期的に行うようにしましょう。