マンションを購入するには手付金は必要なのか?その相場とは?
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マンションの手付金とは?
マンションを購入するには、売買契約を結んだときに「手付金」を支払う必要があります。この手付金がどのような費用であるかをご存じでしょうか。実は、手付金とは売り主への配慮として支払うものなのです。それでは、手付金はいくら支払えば良いのでしょうか。今回は、マンションを購入するときになぜ手付金が必要なのか、手付金はいくらが相場なのかなどについて解説していきます。
マンションの購入にかかる費用
マンションを購入するためにかかるのはマンション単体の価格だけではありません。さらに、さまざまな追加費用がかかります。一般的に、新築の分譲マンションを購入ためには、追加で物件価格の3〜5%が諸費用として必要だと言われています。諸費用としてかかるのは、登記費用、住宅ローン事務手数料、印紙税、固定資産税、都市計画税、住宅ローン保証料、火災保険料、修繕積立一時金などがあります。これらの費用は現金で用意することになります。
手付金の定義と役割
マンションを購入する際には、登記費用や印紙税などのさまざまな費用がかかりますが、それだけではなく手付金の支払いが必要な場合があります。そもそも手付金とは何なのでしょうか。手付金とは、そのマンションを購入したいという意思表示をするために支払う費用のことを言います。手付金は不動産の売買契約を締結するときに支払います。万が一、買い手が契約を破棄した場合、手付金は返還されないことになります。また、もし売り手側が売買契約を解除したくなったら、手付金の倍額を買い手に支払わなければなりません。しかし、それは買い手にとっても売り手にとってもデメリットなので、簡単には契約を解除しなくなります。このように、契約解除はしないという意思を見せるのが、手付金の役割なのです。手付金は不動産売買の手続きをするときに必ず必要になるわけではありません。しかし、多くの場合で売買契約を締結するときに支払いを求められることがあります。手付金は現金で支払うのが原則です。手付金の金額や支払うタイミングは場合によって異なるので、契約を結ぶ前に不動産会社に確認すると良いでしょう。買い手が支払った手付金は、売り手への追加収入となるわけではなく、最終的にマンションの代金の一部に充てられます。
手付金と頭金の違い
手付金とは、不動産の売買契約を結ぶときに、契約解除はしないという意思を見せるために支払う費用です。手付金の類似した言葉で「頭金」というものを聞いたことがある人もいるでしょう。手付金と頭金とは何が違うのでしょうか。
法的根拠があるかどうか
手付金と頭金の一つ目の違いは、法的根拠があるかどうかです。手付金には法的な根拠があります。手付金は宅建業法という法律で内容や金額の上限について定められています。一方、頭金には特に法的根拠は存在しません。
支払う目的
手付金と頭金では、支払う目的が異なります。手付金は、そのマンションを買いたいという意思を示すために支払うものです。一方、頭金とは住宅ローンの融資額を少なくするために、先払いする費用です。融資額を少なくしないと、住宅ローンの利息が増えてしまうからです。このように、手付金と頭金の役割は全く異なります。この二つの意味を混同していると「頭金を支払えば手付金は不要なのではないか」などと思ってしまうかもしれませんが、そのようなことはないので注意しましょう。
支払いのタイミング
手付金と頭金では支払うタイミングも異なります。手付金は売買契約を結ぶと同時に、頭金は売買契約を結んだ後に支払います。手付金とは違って、頭金を支払うタイミングに関するルールはありません。そのため、売買契約を結ぶ前に支払うことも可能です。しかし、そうすると、支払った頭金を売り手や仲介業者に持ち逃げされる危険性もあるので注意が必要です。
手付金の種類
手付金はマンションを購入したいという意思を見せるために支払うものですが、その意味は一つだけではありません。実は、手付金には三つの種類があります。一つ目は「解約手付」です。この手付金は、一度締結した契約を一方的に解約された場合に相手に支払うものです。二つ目は「違約手付」というものです。これは、契約が不履行になった場合に違約金として支払われるものです。三つ目は、「証約手付」です。これは、手付金として買い手から売り手へお金を預けることで、マンションの売買契約を結んだ証としての役割を果たしています。このように、手付金には三つの意味合いがあるのです。
手付金の相場と実際の金額
手付金がいくらになるのかは場合によって異なります。手付金の相場は、一般的にマンションの代金の5〜10%程度とされています。つまり、1,000万円のマンションを購入する際には、手付金として50〜100万円くらい支払うことになるでしょう。しかし、手付金はマンションの売り手への追加支払いではないので、1,000万円のマンションの手付金が100万円だった場合の支払い総額は1,100万円ではなく1,000万円のままです。手付金が高額でもそれは損をしているのではありません。ただ、手付金が高いというのは初期費用が高いということなので、契約時までに用意できるかどうかをよく検討する必要があるでしょう。
手付金の注意点
ここからは、手付金の注意点を紹介していきます。
買い手が契約解除すると返還されない
一般的に、手付金を支払った後は、契約解除を行っても返金されることはありません。契約解除の理由としては、購入意欲がなくなってしまったことや、より良い条件のマンションが見つかってしまったこと以外に、急に収入が減少して支払いが難しそうだからなどがあり得ます。しかし、どのような理由であっても、マンションの買い手が自分の都合によって契約を解除したら、手付金は返還されません。違約金として売り手が受け取ることになります。
売り手による契約解除では倍額が返還される
万が一売り手が売買契約をキャンセルすると、支払った手付金は買い手に返還されます。さらに、それだけではなく手付金と同額の金額が違約金として買い手に支払われます。売り手が契約解除するケースの中には、より良い高額でマンションを購入してくれる人が見つかったなどがあります。
契約を解除するには期限がある
買い手の場合は手付金を放棄すれば、売り手の場合は手付金の二倍の金額を支払えば、契約を解除することができます。しかし、契約を解除するためには期限があります。それは、「相手が契約の履行に着手する前まで」です。つまり、売り手が所有権登記を行ったり、買い手が引っ越し業者と契約をしたりした後には、手付金によって契約を解除することはできません。このことは民法によって定められています。契約を解除できるタイミングについて明確になっていないと後々トラブルにつながることがあります。そうならないように、契約を結ぶときに手付解除ができる期間を確認するようにしましょう。
手付金詐欺の可能性がある
手付金が高額であっても、支払った費用は最終的にマンションの代金に充てられるので心配する必要はありません。しかし、中には、手付金が詐欺の場合もあります。それは、実際には売却しない物件に対して手付金を支払わせ、手付金を持ち逃げするという手法です。しかし、相手が悪徳業者かどうかを見極めるのは簡単ではないかもしれません。手付金を無理やり支払わされたり、業者が売買契約書を準備してくれなかったりする場合は、悪徳業者の可能性があります。安易に手付金を支払わないように注意しましょう。
手付金はマンションの代金の20%まで
実際、手付金には法律で上限が設けられており、最大でもマンション価格の20%となっています。中には手付金としてマンション代金の20%を越える金額を支払うことがあるかもしれません。しかし、その場合は20%を越えた部分は手付金ではなく頭金という扱いになります。それによって、契約解除が発生したときの支払い内容が変わる可能性があるので注意が必要です。
手付金の金額は変えられるのか?
マンションを購入する際の手付金は、マンション価格の5〜10%というのが相場です。ただし、手付金の金額には明確な計算式は存在しません。それでは、手付金の金額はどのように決められているのでしょうか。実は、あえて手付金額を抑えているケースや、訳あり物件なので手付金を取らないというケースもあります。つまり、手付金は不動産業者やマンションの売り手が決めているのです。そのため、手付金の金額は交渉によって変えることも可能です。提示されただけの手付金を現金で用意するのが難しい場合は、交渉してみると手付金を減額してもらえるかもしれません。
「手付金保証制度」とは?
中には売り手側によって契約が解除されたけれど、不動産会社の倒産などによって手付金を返してもらえないこともあるかもしれません。しかし、その際には「手付金保証制度」という制度によって手付金を返還してもらうことが可能です。この制度では、手付金の元本部分のみが保証の対象となります。保証の上限は、マンション価格の20%以内、もしくは1000万円までのいずれか低い方となります。この制度を受けたい場合、保証料はかかりません。万が一のときにはぜひ利用してみましょう。
まとめ
今回は、マンションの手付金について紹介してきました。手付金とは、マンションを購入する意思を示すために、契約締結時に支払う費用のことです。その金額は場合によって異なるので、事前に確認しておくことが大切です。中には手付金に関する詐欺もあるので注意しましょう