マンション解体費用は誰が払う?費用負担と相場を詳解
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マンションの解体についての基本情報
マンションを解体することになった場合、まず何をすればよいかご存知でしょうか。マンションを解体するにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、マンションを解体する費用の相場や、どのような費用がかかるのかについて説明していきます。
なぜマンションを解体する必要があるのか
そもそも、なぜマンションを解体しなければならないのでしょうか。分譲でも賃貸でも、マンションを解体しなくてはならない時期がやってくることがあります。ここからは、マンションを解体することになる事例について説明していきます。
老朽化による解体の必要性
マンションが老朽化してきたら解体を検討します。これは、老朽化したマンションに住み続けることが危険だからです。一般的に、鉄筋コンクリートで造られているマンションは、建設されてからおよそ60〜80年が寿命だと言われています。しかし、管理が十分に行き届いていなかった場合や、マンションに空き部屋が多かった場合は、それよりも寿命が短くなってしまいます。さらに、古くに建てられたマンションだと現在の耐震基準を満たしていない場合もあります。耐震基準は1981年に改定され、より強い地震に耐えられる構造をしていなければならないのです。そのため、現在築年数が30〜40年の物件は盛んに解体工事が行われています。中には、わざわざ解体しなくても、補修工事をすれば良いのではと思う人もいるかもしれません。しかし、あまりにも老朽化が進んだマンションでは補修工事では追いつかないことがあります。さらに、補修工事にかかる費用も小さいものではありません。
収益向上のための解体
マンション経営者にとって、より高い収益を得るためにマンションを解体することもあります。マンションの空き部屋を無くし、うまく経営していくことは簡単ではありません。空き部屋が増え、家賃収入が減少すると、マンション経営に限界を感じて売却を検討することがあります。しかし、そのとき、マンションが建っているままではスムーズに売却できない可能性があります。それは、空き部屋が多いマンションを買いたいという人はなかなかいないからです。より入居者がいて、高い家賃収入が望めるマンションの方が買い手がつきやすいです。そのため、入居者が減ってしまったマンションは手放す際に解体されることがあります。そしてその土地を別の用途に使います。例えば、駐車場にしたり、別の物件を建てたりすれば、新たな運営が可能です。
土地の売却を目的とした解体
土地を売却したいときにマンションを解体することがあります。マンションが建ったままの方が売却しやすいと思う方もいるかもしれませんが、好立地でない限り、更地の方が売却しやすいです。それは、更地の方が、その土地の活用方法が自由だからです。マンションが建っていれば居住用でしか利用できませんが、更地であれば駐車場をつくったり、別の物件を建てたりすることができます。その分買い手となる人の幅が増えるので、買い手がつきやすくなるのです。
マンションの解体にかかる費用の詳細
マンションを解体するには費用がかかりますが、どのような工事に対して費用がかっているのか知っていますか。ここでは、マンションの解体費用に含まれる項目についてご紹介します。
仮設費
解体工事には、まず「仮設費」が発生します。仮設費とは、仮設工事にかかる費用のことです。では、その仮設工事とは何かというと、解体工事を行うために必要な準備にかかる工事のことを指します。例えば、足場を組んだり、防音シートをかけたり、資材置き場を設置したり、といった作業が仮設工事にあたります。他に、資材を運ぶ車両の手配代も仮設費に含まれます。仮設費はいくらくらいかかるのかというと、鉄筋コンクリート構造の3階建てのマンションの仮設費で150万円ほど、5階建てのマンションの場合で200万円ほどかかります。このように、仮設費はマンションの規模や構造によって異なります。
解体そのものにかかる費用
次に、解体作業にかかる費用です。この費用は、基礎解体、内装解体、上屋解体といった具体的な項目に分かれます。例えば、内装解体には、一坪あたり15,000円〜40,000円くらいかかります。しかし、この解体費用もマンションの規模や構造などによって金額が変わってきます。
廃材処分にかかる費用
仮設費や解体費用の他にも個別にかかる費用があります。例えば、廃材処分にかかる費用について説明します。マンションを解体したらたくさんの廃材が出るので、それを処分しなくてはなりません。がれき1tを処分するのには大体5,000円くらいかかり、さらにそのがれきを運搬するためにトラック代がかかります。しかし、この項目は、どの業者を利用するかによっても異なるので、費用は一概には言えません。
設備を撤去するための費用
建物を解体する際、マンション内の設備を撤去する必要がある場合があります。例えば、エアコンが埋め込まれていたり、植木があったり、外周にフェンスが立っていたりすると、すぐに解体することができません。先にそれらを動かす必要があります。もしこれらの処分も業者に依頼する場合は、加えて処分費もかかります。
手続きにかかる費用
マンションを解体するためにはさまざまな手続きが必要です。具体的な手続きとしては、解体業者との契約や役所への届け出などがあります。自分で手続きを行えばかからない費用もありますが、業者に代行してもらうとサービス料を追加で支払うことになります。これらの諸経費がいくらかかるのかは残念ながら予測が困難です。それは、諸経費とは業者が利益を上乗せしている部分になり、詳細な項目を明示してくれないことがあるからです。
マンションを解体するためには、このようにさまざまな費用がかかります。単純に建物を解体するときにかかる費用だけではなく、そのための準備や手続きに対しても費用がかかることを理解しておきましょう。そうしないと、思っていたよりも多くの費用がかかり、費用不足でマンションの解体ができなくなってしまったという事態に陥る可能性があります。
解体の費用と工期の相場
鉄骨造マンションの場合
マンションの解体費は、マンションの構造によって異なります。マンションの構造には、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造といった種類があります。まず鉄骨造のマンションについてですが、鉄骨造は他の構造のマンションと比べると軽量です。鉄骨造のマンションの場合、解体するのに一坪あたり約35,000円かかるのが相場です。工期は、50坪くらいのマンションの場合10日ほど、300坪だと40日ほどかかります。
鉄筋コンクリート造マンションの場合
鉄筋コンクリート造の場合、解体費用は一坪あたり約45,000円が相場です。鉄骨造のマンションよりも相場が値上がるのは、鉄筋造の方が造りが丈夫で解体しづらいからです。また、丈夫なマンションほど解体している間の振動や工事音も大きくなりがちです。その分、解体業者は近隣への配慮をしなくてはならなくなります。それも、費用が上がる理由の一つです。50坪のマンションの場合、工期は大体15日前後、500坪だと70日程度かかります。鉄骨造マンションよりも解体しづらいため、その分工期も延びていることがわかります。
鉄骨鉄筋コンクリート造マンションの場合
最後に、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションについてです。鉄骨鉄筋コンクリート造は、強度が高く、しなやかさも兼ね備えています。一坪あたりの解体費用は60,000円だといわれています。工期は、50坪くらいの規模だと30日ほど、500坪くらいだと90日ほどかかります。
マンションの解体費用は誰が払うのか
マンションを解体するためにはさまざまな費用が必要だということがわかりました。それでは、その費用は一体誰が負担するのが知っていますか。誰が支払うべきかを知らないと、実際には支払う必要がないのに費用を負担させられることがあるかもしれません。ここからは、マンションの解体費用は誰が支払うべきなのかについて説明していきます。
実は、マンションの解体費用の負担は、そのマンションが賃貸なのか分譲なのかによって異なります。まず分譲マンションの場合は住民が解体費用を支払うことになります。それは、分譲マンションの場合、その部屋を購入し、所有しているのは住人自身となるからです。一方、賃貸物件の場合だと、支払うのはマンションの所有者です。住民には支払いの必要がありません。しかし、家賃として払っている費用が後々解体費用として充てられる可能性はあります。
まとめ
今回は、マンションの解体費用について説明してきました。解体費用はマンションの構造や規模によって異なります。マンションを解体するには多額の費用がかかるけれど、収益の出ないマンションを所有していても税金がかかるだけなので、解体してしまった方が良いかもしれません。どのような費用がかかるのかを理解して、解体を検討してみましょう。