マンションを買うタイミングはいつがいい?買う前のポイントも解説

マンション購入希望者の中には、以下のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

「いつかマンションを買いたいけど、どれくらいの年収があればいい?」

「子どもが生まれるタイミングでマンションを買うのはアリ?」

「中古マンションは春前に価格が上がるって本当?」

マンションを買いたいという意思はあっても、買うタイミングをなかなか決められない方は少なくありません。実際、どのようなタイミングで買うケースが多いのでしょうか。この記事では、マンションを買うタイミングを「年齢」や「年収」などの数値的データ、「結婚」や「出産」などのライフイベントに分けて解説します。マンションを買うタイミングに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

データから見る購入タイミング

ここでは、年齢や年収などさまざまなデータ別に購入タイミングを見てみましょう。

平均年齢

国土交通省の「住宅市場動向調査」によれば、マイホームを買った方の平均年齢は30~40代が最も多い結果となりました。ただし、具体的な数値は物件の種類によって異なります。それぞれの平均年齢は次の通りです。

物件の種類購入者の平均年齢
注文住宅39.1歳
分譲戸建住宅36.8歳
中古戸建住宅39.4歳
分譲マンション42.8歳
中古マンション44.8歳

このうち、マンションは分譲・中古ともに40代前半が多いことがわかります。

また、マイホームを買う方の多くが住宅ローンを利用します。一般的に、住宅ローンの借り入れ条件は20歳以上65未満であり、80歳までに完済を予定している金融機関がほとんどです。住宅ローンを借り入れる期間は最長35年ですから、80歳までにローンを完済するには少なくとも40代で物件を買う必要があります。購入者の平均年齢に30~40代が多いのはそのためです。無理のない返済プランを立てたい方は、それよりも早いうちに購入を検討するといいでしょう。

平均年収

マイホームを買うタイミングとして目安となる平均年収は、およそ700万円前後です。物件の種類ごとの購入者の平均年収は次のようになります。

物件の種類購入者の平均年収
注文住宅744万円
分譲戸建住宅688万円
中古戸建住宅720万円
分譲マンション798万円
中古マンション694万円

上記の表より、マンションを買うタイミングは中古マンションの場合で年収694万円、分譲マンションの場合で年収798万円が平均的とわかります。ただし、年収というのはあくまでも「世帯年収」のことです。つまり、夫婦であれば夫の年収が500万円であっても、妻の年収が400万円であれば世帯年収は900万円で、マンションを買える平均年収を満たします。

居住人数

マイホームを買うタイミングと居住人数の関係性は、次のようになります。

物件の種類購入時の平均居住人数
注文住宅3.4人
分譲戸建住宅3.6人
中古戸建住宅3.3人
分譲マンション2.9人
中古マンション2.7人

マンションを買うタイミングとしては、居住人数が2人以上になったときが多いとわかります。夫婦の間に子どもが生まれた場合や、友人同士のルームシェアの人数が増えた場合などが当てはまるでしょう。マンションを買う際は、そこに居住する人数を購入タイミングの基準にするのも1つの手です。

子どもの年齢

子どもの教育環境を考慮して、マンション購入のタイミングを決める方もいます。実際、既婚者かつ子どもがいるマイホーム購入者のうち、およそ33%が「子どもが乳幼児のとき」に購入を決断しています。育児スペースの確保や、将来的に必要となる子ども部屋の確保など、子どもの年齢にマンション購入のタイミングを合わせる方もいるようです。

貯金額

マイホームを購入する場合、およそ1,500万円前後の貯金が目安となっています。アンケート調査によると、マイホームの購入を検討している方のうち、およそ4人に1人が「1,500万円以上貯金してから購入したい」と回答したようです。また、マイホーム購入時の頭金(=自己資金)も関係しています。次の表は、物件の種類ごとの平均的な頭金の金額です。

物件の種類購入時の頭金
注文住宅960万円
分譲戸建住宅713万円
中古戸建住宅907万円
分譲マンション1261万円
中古マンション810万円

物件を買う際は多くの方が住宅ローンを組みますが、その前に自己資金で賄う金額が頭金です。たとえば分譲マンションの場合、頭金の平均金額は1261万円円となります。つまり、仮に1,500万円の貯金があったとしても、頭金を支払った後の貯金残高は250万円前後になるということです。購入前の貯金額は、購入時に頭金をいくら支払うかということを念頭に置く必要があります。

ライフイベントから見る購入タイミング

マンションを買うタイミングは、年齢や年収などのほかに、ライフイベントに合わせて購入を決断するケースも多くみられます。ここでは、代表的なライフイベントごとにマンションを買うメリットを見てみましょう。

結婚・出産のタイミングで買う

家を買うタイミングとして、最も多く挙げられるのが「結婚・出産」です。結婚時であれば、パートナーと新しい住まいを検討しながら人生プランを立てられます。さらに、住宅ローンを組む際もペアローンを利用できるため、1人暮らしの場合より審査に通りやすくなるでしょう。出産のタイミングであれば、子どもが生まれることを想定して物件を選べます。十分な育児スペースはもちろん、将来的には子ども部屋も必要となるでしょう。また、子どもが入学予定の小学校の学区内にエリアを限定するなど、より条件を絞って物件を探すことが可能です。

子どもの入園・入学のタイミングで買う

子どもの入園・入学のタイミングでマンションを買う最大のメリットは、子どもの教育環境を整えられる点です。入園・入学先が有名校や遠方の私立であれば、通学を考慮して学区内に引っ越す必要があるでしょう。さらに、有名小学校などが建っている地域は将来的に人気エリアとなる可能性が高いです。そのため、建物の資産価値の下落リスクが低く、住み替え時に高値で売却できる可能性があります。

子どもが独立するタイミングで買う

子どもが大学進学や就職などで1人暮らしを始めるタイミングで、マンションなどの物件を買う方もいます。これは先述した「結婚」や「子どもの入学」などのケースと違い、老後の生活に重点を置いたタイミングと言えるでしょう。子どもが家を出たことで、それまで使用していた子ども部屋は不要になります。夫婦2人暮らしを再開するにあたり、住まいをもう少しコンパクトにしたいという方もいるでしょう。今後の老後生活を考慮すれば、子どもの独立のタイミングでマンションを買うのも1つの選択肢です。

中古マンションの価格の決め方

中古マンションの購入を希望している方も多いはずです。新築マンションよりも安く買えることが大きなメリットですが、中古マンションの価格はどのように決まるのでしょうか。

売却価格は過去の事例を参考にして決まる(取引事例比較法)

中古マンションの価格を決める際、よく採用される方法が「取引事例比較法」です。不動産業者に査定を依頼した場合、まずはこの方法で査定を進めます。ここで参考にされるのが同じような物件です。築年数や階数、敷地面積や間取り、ベランダの向きや最寄り駅までの距離など、さまざまな要素を加味して査定価格を決定します。不動産会社によって多少の違いはありますが、中古マンションは売買の前例が非常に多いため、大きな差が生じることはありません。

中古マンション探しはタイミングが重要

中古マンションを探す際、多くの方が物件情報サイトなどを参考にするかと思います。物件情報サイトは、購入希望エリアや間取りを絞って多くの物件を探せるため、不動産会社を一件ずつ回るよりはるかに効率的です。この物件情報サイトで、ごく稀に相場よりかなり安い値段で物件が売りだされていることがあります。心理瑕疵物件の可能性も考えられますが、「今すぐ売却して引っ越したい」「すぐに売却金が必要」などの売り主側の事情が反映されることもあります。もちろん、このような物件に出会うにはタイミングが重要です。安い上に良質な物件であれば、すぐに買い手がつくでしょう。購入のタイミングを逃さないためにも、物件情報サイトをこまめにチェックしておきましょう。

1~3月にマンションを買うのは損?

中古マンションは1~3月に需要が高くなる

不動産業界で、中古マンションが最も多く売れる時期は1~3月と言われています。これは大学進学や新卒の入社、転勤による異動などが始まる4月を控えているからです。この時期に中古マンションの需要は一気に高まります。

購入希望者が増えるということは、需要が供給を上回るということです。つまり、中古マンションの価格は上昇傾向になります。では、1~3月に中古マンションを買うのは損なのでしょうか。答えはノーです。1~3月に需要が急上昇するということは、言い換えればその時期を逃せば1年を通して売れない可能性があることを意味します。不動産業者もそれを踏まえ、極端に価格を上げるようなことはしません。そのため、繁忙期の1~3であっても平均的な価格で中古マンションを買えるでしょう。

気になる中古マンションは常時チェックする

人気物件であれば、競争率が高いため高額でも売れる傾向にあります。しかし、築年数が古い・最寄り駅までのアクセスが悪いといった条件付きのマンションの場合、2月頃から大幅に値下げされることがあります。気になる中古マンションがあれば、不動産業者が発信する情報をできるだけこまめにチェックしておきましょう。

マンションを買う前の注意点

マンションを買う前は、次の4つの点に注意しましょう。

マンションを買うエリアを限定する

マンションを買う際のポイントとして、立地条件が挙げられます。購入者の状況や家族構成によって、希望する立地条件はさまざまです。たとえば、通勤時間をできるだけ短くしたい方であれば、職場までの距離や最寄り駅までのアクセスが重要視されるでしょう。一方、子どもの教育環境を重視するのであれば、治安の良い地域はもちろん、小学校や病院までのアクセスなどが選定条件になります。自分にとって暮らしやすいエリアを決めておくと、物件選びをスムーズに進められるでしょう。

物件の種類を決めておく

マンションを買うと言っても、新築なのか中古なのかで特徴は異なります。次の表は、新築・中古マンションのメリット・デメリットの一覧表です。

 メリットデメリット
新築マンション・不動産価値が高く、住宅ローンの審査に比較的通りやすい ・立地条件が良いことが多い・建物を実際に確認できない ・修繕積立基金が高いケースがある
中古マンション・実際に建物を確認してから購入を検討できる ・立地条件が良く、物件数が多いため選択肢が幅広い・築年数が古い建物では、耐震基準が「旧耐震基準」の物件もある ・管理費や修繕費などのコストが高い

基本的に、マンションは戸建住宅に比べて立地条件に優れた物件が多いです。しかし、買うのが新築なのか中古なのかによって、注意すべきポイントが異なります。マンションを買うときは、それぞれのメリット・デメリットを事前に把握しておくことが重要です。

部屋の間取りを決めておく

マンションを買う際は、住みたい間取りを決めておくことも大切です。購入後にリフォームやリノベーションを行うことも可能ですが、多大な時間と費用がかかります。できれば、物件探しの段階で希望条件に合う間取りを見つけたいものです。間取りを選ぶ基準は、一般的に居住人数によって異なります。夫婦2人であれば2DK~2LDK、1人以上の子どもがいるファミリー層であれば2LDK以上の間取りを希望する方が多いようです。

住宅ローンの返済プランを立てる

マンションを買う際、多くの方が住宅ローンを利用します。住宅ローンの返済期間は、一般的に30~35年です。また、ローンを提供する金融機関のほとんどが「80歳までの完済」を想定しています。できるだけ早く完済したいと思う方も多いかと思いますが、住宅ローンで最も重要なのは「無理なく返済し続けること」です。長いローン生活において、思わぬ出費もあるでしょう。子どもができれば教育費がかかりますし、夫婦のどちらかが退職すれば世帯年収は激減します。「収入が減るかもしれない」「多額の出費があるかもしれない」といった可能性を考慮し、無理のない返済プランを立てることが重要です。

今回はマンションを買うタイミングについて解説しました。年齢や年収のほか、結婚や出産といったライフイベントなど、マンションを買うタイミングは人それぞれです。どのタイミングがベストとは言い切れず、自分の経済状況や人生プランを十分に考慮する必要があります。また、住宅ローンを組む場合は頭金と借入額のバランスだけでなく、無理のない返済プランを立てることが大切です。しっかりと準備を整え、マンションを買うタイミングを見極めましょう。