リバースモーゲージの利用条件とは?年齢制限や担保不動産の種類などを解説

不動産契約の場面。契約書に署名する人物と説明する人物。鍵と住宅模型がテーブルに置かれている

リバースモーゲージは、持ち家を担保に資金を借り入れ、老後の生活費や医療費に充てることができる仕組みです。利用には年齢や不動産の条件があり、資金用途にも制限が設けられています。

また、契約内容によっては、金利の変動や長生きリスク、不動産価値の下落などの影響を受けるため、慎重に判断することが重要です。事前に制度の仕組みを理解し、適切な選択を行いましょう。

リバースモーゲージの利用条件:借入対象者

リビングでスーツ姿の女性が高齢女性と男性にパソコンを使って説明している

リバースモーゲージの利用には、年齢や同居家族の条件が影響する場合があります。多くの金融機関では、申し込み可能な年齢を50歳以上または60歳以上に設定しており、配偶者の年齢が条件となるケースもあります。

また、単身者や夫婦のみを対象とする商品が多く、子供や親族と同居している場合は利用できないことがあります。さらに、相続への影響も考慮する必要があるため、家族と事前に話し合い、条件を十分に確認することが重要です。

リバースモーゲージの年齢制限は何歳から?

リバースモーゲージの申し込み年齢は金融機関によって異なりますが、多くの金融機関では50歳以上または60歳以上を条件としています。例えば、三井住友信託銀行の「住み替え新時代」は50歳以上、りそな銀行の「あんしん革命」も50歳以上で申し込みが可能です。一方で、みずほ銀行の「リ・バース60」では60歳以上が対象で、年齢の上限は設けられていません。

申し込み可能な年齢の上限を80歳以下に設定している金融機関も多いですが、上限を設けていないケースもあります。また、配偶者がいる場合、契約者だけでなく配偶者の年齢も条件となることがあります。さらに、公的融資制度である「不動産担保型生活資金」は、世帯全員が65歳以上であることが利用条件です。

子供の有無や同居家族はリバースモーゲージの利用条件に影響する?

リバースモーゲージの利用には、契約者の年齢や資産状況が最も重要ですが、子供の有無や同居家族の状況も影響する場合があります。

多くの金融機関では、単身者または夫婦のみが対象となっており、子供や親族と同居している場合は利用できないケースが一般的です。これは、契約者の死亡後に自宅を売却しローンを返済する仕組みのため、同居している家族がいると売却時にトラブルが生じる可能性があるためです。

さらに、リバースモーゲージは相続に大きな影響を及ぼします。契約者の死亡後、自宅は売却されてローンの返済に充てられるため、相続財産として残らないことがほとんどです。そのため、推定相続人の理解と合意が求められるケースもあり、事前に家族全員で話し合いをしておくことが大切です。

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リバースモーゲージの利用条件:担保となる不動産

積み木の家と札束

リバースモーゲージの担保となる不動産には、一定の条件が設けられています。ここでは、担保として認められる不動産の種類や、マンションを担保にする際の注意点、必要とされる土地評価額の目安について解説します。

リバースモーゲージの担保として認められる不動産の種類

リバースモーゲージの担保として利用できる不動産には一定の条件があります。一般的に、土地と建物の両方を所有していることが必要であり、建物のみの所有では利用できないケースが多いです。

土地や建物の評価額は、立地や形状、築年数などによって変動するため、詳細な条件については金融機関に確認することが重要です。リバースモーゲージを利用する際は、担保にできる不動産の条件を十分に理解し、事前に相談することをおすすめします。

マンションをリバースモーゲージの担保にすることは可能?

マンションは、一戸建てに比べるとリバースモーゲージの担保として利用できるケースが限られています。対象外とする金融機関が多いものの、一部では築年数や専有面積、立地などの条件を満たせば利用可能です。

マンションを担保にする場合、いくつかの条件をクリアする必要があります。特に築年数の制限は重要で、築15年から20年以内が条件とされることが多いです。また、都心部や利便性の高いエリアにあることも評価のポイントになります。

マンションの担保評価額は、一戸建てに比べると低めに見積もられる傾向があります。具体的な評価額は物件の条件や金融機関によって異なりますが、一戸建ての評価額よりも低く設定されるケースが一般的です。

リバースモーゲージの担保として求められる土地評価額の目安

リバースモーゲージを利用する際の担保となる土地の評価額には、一定の目安があります。一般的に、融資限度額は土地の評価額の50%~70%程度に設定されるため、希望する融資額に応じて必要な土地評価額も変わります。

例えば、1,500万円の融資を希望する場合、担保となる土地の評価額は2,500万円~3,000万円程度が目安とされています。仮に評価額が1,000万円の土地を担保にする場合、融資限度額は500万円~700万円程度となり、老後の生活資金としては十分ではない可能性があります。

一方、土地の評価額に上限はなく、価値の高い不動産を所有している場合は、より多くの融資を受けられる可能性があります。ただし、いくら評価額が高くても、融資額の上限は評価額の50%~70%に抑えられるのが一般的です。

リバースモーゲージで借り入れた資金用途に条件はある?

リバースモーゲージで借り入れた資金は、生活費や医療・介護費、住宅のリフォーム費用などに利用できる場合が多いです。ただし、金融機関や商品によって資金用途の制限が異なるため、事前の確認が必要です。

多くの金融機関では、事業資金や投資目的での利用を認めていません。また、一部の商品では、住宅関連費用に用途が限定されているケースもあります。

リバースモーゲージの返済条件

リバースモーゲージでは、一般的な住宅ローンのように毎月の元本返済は不要ですが、契約者が死亡した際にまとまった返済が求められます。その返済方法には、以下のような選択肢があります。

・契約者が死亡した場合の返済方法(売却または一括返済)

契約者が死亡すると、借入金を返済する必要があります。主な返済方法は次の2つです。

1.不動産を売却して返済

・多くの金融機関では、物件を売却し、その売却代金を借入金の返済に充てる仕組みを採用

・売却額が借入残高を上回れば、相続人が残った資金を受け取れる

・逆に、売却額が借入残高を下回る場合、契約内容によっては不足分の支払いを求められる可能性がある

2.相続人が一括返済する

・相続人が自己資金で返済し、物件を相続する選択肢もある

・金融機関によっては、相続人がローンを組んで返済することが可能なケースもあり

契約時に「売却のみ対応」か「相続人による返済が可能か」などの条件を確認しておくことが重要です。

リバースモーゲージの諸条件とともに確認しておきたい注意点

電卓、木製の家の模型、下降するグラフが描かれた紙が並ぶ、不動産価格やローン計算をイメージした構図

リバースモーゲージは老後資金の確保に有効な手段ですが、いくつかの注意点があります。特に、金利の変動や不動産価値の下落リスク、長生きリスクを理解した上で利用することが重要です。

金利変動リスクや担保価値下落リスクなどのデメリット

リバースモーゲージでは通常、変動金利が適用されます。将来、市場金利が上昇すれば、支払利息も増加してしまうリスクがあります。年金収入など限られた収入しかない高齢者にとって、予想外の利息増加は家計を圧迫する可能性が高いです。

関連記事 : リバースモーゲージの罠?5つの理由と対策を解説

担保となる不動産価値の下落リスク

リバースモーゲージの融資限度額は担保不動産の評価額に基づいて決まります。しかし、将来的に不動産価格が下落すれば、融資限度額も減ってしまう恐れがあります。特に、地方の物件など流動性の低い不動産の場合、価格下落リスクには要注意です。

さらに、担保不動産の価値が借入金額を下回った場合、金融機関によってはその差額を別途返済しなければならなくなる可能性もあります。

長生きリスク

リバースモーゲージを利用する際は、長生きリスクにも注意が必要です。契約期間が想定よりも長くなった場合、(期限型の場合は)融資金が尽きる可能性があるため、老後資金計画を慎重に立てる必要があります。

リバースモーゲージの契約には、多くの場合「終身型」と「期限型」があります。

・期限型

契約期間終了時点で借入金の一括返済が求められます。返済資金が不足していれば、自宅を売却せざるを得ない可能性があります。

・終身型

契約者が生存中に融資が打ち切られることは基本的にありません。ただし、金利の上昇や不動産価値の下落によって追加担保の提供を求められる場合があります。

また、契約者の死亡後、担保不動産の評価額が借入金額に満たない場合の対応は、契約内容によって異なります。

「ノンリコース型(非遡及型)」では、売却額が借入残高を下回っても相続人に返済義務はありません。

「リコース型(遡及型)」では、不足分を相続人が負担する場合があります。

リバースモーゲージの代替策「リースバック」

不動産契約の場面。スーツ姿の人物と高齢者が握手し、机の上には家の模型や契約書が置かれている

リバースモーゲージと並び、自宅を活用して資金を確保する方法として「リースバック」があります。これは、自宅を不動産会社や投資家に売却した後も、そのまま賃貸契約を結び、引き続き住み続けられる仕組みです。

リースバックの仕組み

リースバックでは、以下の流れで資金を確保します。

1.自宅を売却し、その売却代金を一括で受け取る

2.売却後、買主と賃貸契約を結び、引き続き居住する

3.毎月の賃料を支払いながら住み続ける

この方法により、不動産を売却してまとまった資金を得ながらも、住み慣れた自宅にそのまま住むことが可能になります。

関連記事 : 【徹底解説】リースバックとは?その意味と活用事例

リースバックのメリット

リースバックのメリットとして、まず一括でまとまった資金を確保できる点が挙げられます。売却代金を一括で受け取れるため、老後資金の調達手段として有効です。また、住宅ローンの残債があっても利用可能な点も大きな特徴です。リバースモーゲージは住宅ローンの完済が条件となる場合が多いですが、リースバックはローン残債がある状態でも利用できます。

さらに、自宅を手放さずに住み続けられるのもメリットです。所有権は移るものの、賃貸契約を結ぶことで退去することなく住み続けることができます。加えて、一定期間後に資金を確保できれば将来的に買い戻しが可能なケースもあるため、状況によっては再び持ち家として所有できる可能性があります。

リースバックの注意点

リースバックの注意点は、家賃の支払いが発生する点です。売却後は賃貸契約となるため、毎月の家賃支払いが必要になり、資金計画を立てておかなければなりません。また、売却価格が市場価格より低くなることがあるため、通常の不動産売却と比べるとリースバックでは買取価格がやや低めに設定されることが多いです。

買主の都合で契約が更新されない場合がある点も考慮する必要があります。賃貸契約の更新が保証されているわけではなく、一定期間後に退去を求められる可能性があるため、長期的に住み続けたい場合は契約内容を慎重に確認することが重要です。

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リースバックを利用する際は、売却価格と賃料のバランスを確認しましょう。複数の業者に査定を依頼し、適正な価格かを比較することが大切です。また、買い戻しの可否も重要なポイントで、将来的に自宅を再取得したい場合は、条件を事前に確認しておく必要があります。

契約内容の確認も欠かせません。賃貸契約の期間や更新条件をチェックし、長く住み続けられるかを確かめることが大切です。契約期間が短すぎると、数年後に退去を求められる可能性があるため注意が必要です。

リアルエステートの「おうちのリースバック」は、市街化調整区域や再建築不可物件などの買取にも対応し、柔軟な資金計画をサポートしています。売却後も住み続けられる仕組みを整えており、老後の生活費確保や住宅ローンの返済を検討する際の選択肢の一つとなります。

まとめ

笑顔の女性がタブレットを見せながら高齢者に説明している

リバースモーゲージは、老後の生活資金を確保する手段として有効ですが、年齢や担保となる不動産の条件、返済方法などを十分に理解して利用することが重要です。契約内容によっては、相続や長生きリスク、不動産価値の下落といった点にも注意が必要です。

一方で、リースバックは自宅を売却しながら住み続けることができる方法として注目されています。まとまった資金を確保しつつ、引き続き自宅で生活できる利点がありますが、賃料の負担や契約条件を慎重に確認する必要があります。

どちらの方法を選ぶ場合も、契約内容をよく理解し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。自身のライフプランに合わせた最適な選択をすることで、老後の資金計画をより安心して進めることができるでしょう。